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第1部 第4章 第5節(5)公益通報者保護

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第5節 消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成

(5)公益通報者保護

2000年代初頭に、リコール隠しや食品偽装など消費者の信頼を裏切る不祥事の多くが、事業者内部からの通報を契機として明らかになったことから、通報者の保護を図るとともに、事業者等の法令遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的として、公益通報者保護法が制定されました(2004年6月成立、2006年4月施行)(図表4-5-6)。

事業者内部を始め、様々な通報先における適切な通報受付・対応体制の整備・運用が進むことは、組織の自浄作用の向上やコンプライアンス経営の推進にも寄与するなど、その組織自身の利益や企業価値の向上にも資するとともに、消費者の安全・安心や社会全体の利益を図る上でも重要な意義を有しています。また、法令遵守を図り、消費者が安心して消費できる環境を整備することは、国内総生産(GDP)の約6割を占める消費の拡大、更には経済の好循環の実現に向けて大前提となるものです(注68)

しかし、公益通報者保護制度の認知度は十分とはいえず、通報に適切に対応することの意義が十分理解されているとは必ずしもいえないほか、通報に係る紛争等も発生している状況にあります。また、近時の企業不祥事においても、内部通報制度が機能せず事業者内部に通報しても問題の是正が期待できないと思われる事案が散見されます。

さらに、「消費者基本計画」(2015年3月24日閣議決定)では、「制度の見直しを含む必要な措置の検討を早急に行った上で、検討結果を踏まえ必要な措置を実施する」こととされています。

これらを背景に、消費者庁がこれまで実施してきた有識者ヒアリングの結果等(注69)を踏まえ、2015年6月から2016年3月まで、「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」を開催しました。同検討会では、制度の実効性の向上のための方策として、①民間事業者の取組の促進、②行政機関の取組の促進、③通報者保護の要件・効果について検討を行い、2016年3月に検討結果を取りまとめた報告書を公表しました(図表4-5-7)。今後は、検討結果等を踏まえ、制度の見直しを含む実効性の向上に係る取組を積極的に推進していく予定です。

図表4-5-6 公益通報者保護法の概要

図表4-5-7 「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」第1次報告書概要


  • (注68)「経済財政運営と改革の基本方針2015」(2015年6月30日閣議決定)
    第2章 経済の好循環の拡大と中長期の発展に向けた重点課題
    4.安心・安全な暮らしと持続可能な経済社会の基盤確保
    “消費者の安全・安心の確保は、消費の拡大、更には経済の好循環の実現にとって大前提となる。「消費者基本計画」に基づき、(略)公益通報者保護制度(略)等を推進する。”
  • (注69)「公益通報者保護制度に関する実態調査」(2013年6月)、「公益通報者保護制度に関する意見聴取(ヒアリング)」(2015年4月)等

担当:消費者調査課