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第1部 第4章 第4節(1)特定商取引法の見直し

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第4節 適正な取引の実現

(1)特定商取引法の見直し

●特定商取引法とは

特定商取引法は、消費者トラブルが生じやすい取引類型(訪問販売、電話勧誘販売、通信販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入)を対象に、消費者トラブル防止のためのルールを定め、事業者による不当な勧誘行為等を規制することにより、消費者の利益を保護し、商品の流通や役務の提供を適正で円滑なものとすることを目的としている法律です。

事業者への行為規制としては、消費者への適正な情報提供等の観点から、氏名や勧誘目的等の明示義務、不当な勧誘行為の禁止、契約に関する取引条件等を記載した書面の交付義務、広告表示規制等が定められています。また、民事ルールとしては、申込みの撤回又は契約の解除(いわゆるクーリング・オフ)、中途解約、契約の解除時の損害賠償額の制限、不当な勧誘によって誤認した場合の意思表示の取消し等が定められています。なお、行為規制に違反した場合には、1年以内の業務停止命令や指示といった行政処分や罰則の対象となります。

特定商取引法の執行は、消費者庁と各経済産業局、都道府県が行っており、複数の都道府県域に被害がまたがる事案については消費者庁と各経済産業局が、都道府県域内で被害が認められる事案については各都道府県が対処しています。

●特定商取引法の見直しの経緯

特定商取引法は、新たな手口の悪質商法の発生など消費者トラブルの状況の変化に対応して、累次の改正を行ってきました。

近年、高齢化社会が進展していることや悪質事業者の手口が巧妙化していること等に加え、2008年改正法(特定商取引に関する法律の一部を改正する法律)が施行されてから5年が経過すること(注62)から、特定商取引法の見直しを行うこととなりました。

本格的な見直しに先立って、消費者庁において「特商法関連被害の実態把握等に係る検討会」を2014年2月から7月にかけて計6回実施し、同年8月に報告書を取りまとめました。報告書では、当該検討会で出された意見も踏まえ、特定商取引法に関する課題の更なる精査を行い、その後の検討に向けた準備を進めていくこととされました。

その後、2015年1月に、内閣総理大臣から消費者委員会に対して、特定商取引法の施行状況を踏まえた購入者等の利益の保護及び特定商取引の適正化を図るための規律の在り方について諮問を行い、同月、消費者委員会に特定商取引法専門調査会が設置され、特定商取引法の見直しに関する本格的な検討を行うこととなりました。同年3月から8月にかけて計11回開催された専門調査会では、特定商取引に関する消費生活相談や執行の状況を踏まえつつ、ヒアリング等で関係事業者や関係省庁の意見等を聴取しながら、2008年改正法の施行後の社会経済情勢の変化等に対応した特定商取引法における規律の在り方について審議を行い、2015年8月に「中間整理」が公表されました(同年9月1日から30日まで、中間整理に関する集中的な意見受付を実施。)。

また、2015年10月以降は計7回の専門調査会を開催し、中間整理に関する集中的な意見受付で提出された意見を踏まえながら、議論の成熟度が十分でない論点や、見直しの方向性が専門調査会の委員間で一致していない論点などについて重点的に審議を行い、同年12月に「特定商取引法専門調査会報告書」が取りまとめられました(注63)

同報告書の内容を踏まえ、2016年1月には、消費者委員会から内閣総理大臣に対して、答申(注64)がなされました。

消費者庁及び経済産業省では、同答申の内容を踏まえて、特定商取引法の改正に係る検討を進め、2016年3月4日に特定商取引法の一部改正法案が閣議決定され、国会に提出されました(図表4-4-1)。

図表4-4-1 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案


担当:消費者調査課