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第1部 第4章 第2節(3)消費者安全調査委員会の取組

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第2節 消費者の安全の確保

(3)消費者安全調査委員会の取組

2012年10月、消費者庁に消費者安全調査委員会(以下「調査委員会」といいます。)が設置されました。調査委員会は、生命・身体の被害に関する消費者事故等の中から、事故等の発生・拡大の防止及び被害の軽減を図るために原因を究明する必要性が高い事故を選定し、調査を行います。その際、調査委員会は、調査権限を行使するなどして自ら調査を行うほか、他の行政機関等により調査等が行われている場合には、その調査等の結果を評価(活用)して原因を究明します。また、必要に応じて、被害の発生・拡大防止のため講ずべき施策・措置について、内閣総理大臣や関係行政機関の長に勧告や意見具申を行うこともできます。

調査委員会は、消費者事故からの教訓を得て、事故の予防・再発防止のための知見を得ることを目的に設立され、責任追及(「誰が悪い」)ではなく、事故の予防・再発防止(「なぜ事故が起きたのか」、「どうすれば同じような事故が防げるのか」)を考える組織です。事故の原因には様々なものがありますが、単に機械に不具合があったか、法令等に違反していたか、といったことだけではなく、消費者によって実際に使われる環境や人間の行動特性にも目を向けて、幅広い視点から科学的、客観的な調査を行っています(図表4-2-4)。

調査委員会による事故等原因調査等の対象となり得る事故等は、製品、食品、施設、役務など幅広い分野の生命身体事故等に及びます。調査等の端緒となる生命身体事故等の発生に関する情報は、消費者庁に一元的に集約されるものに加え、可能な限り網羅的に生命身体事故等の情報を把握するため、被害者等からの申出によるものもあります。

このように把握された生命身体事故等全てを調査等の対象とすることは困難であるため、調査委員会は、事故調査等原因を究明する必要性が高いものを選定して調査等を実施しています。調査等の対象の選定に関しては、「公共性」、「被害の程度」、「単一事故の規模」、「多発性」、「消費者による回避可能性」及び「要配慮者への集中」の要素を総合的に勘案して判断することとしています。

これまでに選定した事案は図表4-2-5のとおりです。調査委員会発足以来、11件の調査等を開始し、うち7件の事案について最終報告を行うとともに、関係行政機関の長に対して意見を述べています。

なお、意見を述べたものについては、関係行政機関の協力を得て、フォローアップに努めることとしています。

調査委員会では、不幸にも起きてしまった事故から真摯に学び、事故を繰り返さないために、個別の事故調査を通じて再発防止のための施策を関係省庁に提言していくことだけではなく、身近に潜むリスクを丁寧に消費者へ伝えることや、幅広い事故に応用できる知見を引き出すことも大事なことと考えています。今後とも、消費者安全の考え方や継続的な安全管理の取組について、その重要性が広く社会で共有され、また実践されるよう、幅広い視点で調査を行い、報告書を社会の共有財産として残していきたいと考えています。

COLUMN9
エスカレーターの安全な乗り方

図表4-2-4 消費者安全調査委員会における事故等原因調査等の流れ

図表4-2-5 消費者安全調査委員会 案件一覧


※以下は、図表4-2-5の注釈

  • (注57)2005年11月、東京都港区の共同住宅で、当時大学生の男性が、ガス瞬間湯沸器から発生した一酸化炭素による中毒で死亡した事故。
  • (注58)2009年4月、東京都港区の商業施設で、下りエスカレーターの手すりから男性会社員が階下に転落して死亡した事故。
  • (注59)事案を絞らず当該事案をテーマとして広く調査する手法。
  • (注60)2006年6月、東京都港区の共同住宅で、当時高校生の男子生徒が、エレベーターから降りようとしたところ、扉が開いたままの状態でエレベーターが上昇し、乗降口の上枠とかごの床部分の間に挟まれて死亡した事故。

担当:消費者調査課