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第1部 第3章 第3節(1)インターネットや情報通信に関連するトラブル

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第3章 消費者問題の動向

第3節 最近の消費者問題の傾向

(1)インターネットや情報通信に関連するトラブル

第1節の2015年度の消費生活相談の概況で見たように、情報通信に関する相談は消費生活相談全体で大きな割合を占めています。その内容は多岐に渡りますが、ここでは携帯電話や光回線などの電気通信サービス契約に関するもの、インターネットサイトを利用したデジタルコンテンツに関するもの、ソーシャルメディアを通じた個人情報発信・コミュニケーションツールに関するもの、インターネットを利用しての内職等、また主にデジタルコンテンツのトラブルに巻き込まれた場合のうち特に悪質事業者によるプリペイドカード等の支払手段を悪用するものについて、取り上げます。

●携帯電話、特にスマートフォンの契約トラブルが増加

第2章第1節において、携帯電話の保有状況は増加傾向にあることを紹介しました。総務省「通信利用動向調査」によると、2014年末時点で20歳代から40歳代まででは9割以上の個人が携帯電話を保有しており、重要な生活インフラの一つと位置付けられます。

一方で、急速な技術革新に伴い、サービス提供の基礎となる技術が高度化するとともに、サービス体系が複雑化することにより契約内容が分かりにくくなったことを背景として、携帯電話に関する消費生活相談は年々増加しています(図表3-3-1)。その理由の一つとして考えられるのは、スマートフォンの普及です。携帯電話に関する相談のうち、スマートフォンに関する割合が徐々に増加しており、2015年度は半数を占めるようになってきています。

年齢別に見ると、2013年度には携帯電話の相談のうち、高齢者は12.3%でしたが、2015年度は18.5%と、最近では高齢者における相談割合が大きくなっており、特に契約内容が難しいという相談内容が他の世代に比べ、目立っています。

これらの実態を踏まえ、電気通信サービス・有料放送サービスの利用者・受信者の保護の観点から電気通信事業法が2015年5月に改正(未施行)されました。それによって、書面の交付・初期契約解除制度、不実告知・勧誘継続行為等の禁止、代理店に対する指導等の措置の導入等が決まったところです。

●スマートフォン利用でのインターネット関連のトラブルは増加傾向

「スマートフォン」に関する相談件数の増加については前述しましたが、スマートフォンを利用してインターネットにアクセスする機会が増加することにより、スマートフォンから「アダルト情報サイト」や「出会い系サイト」等のデジタルコンテンツを利用した「スマートフォン関連サービス」についての相談も年々増加しています(図表3-3-2)。特に、2015年度には9万件を超える相談が寄せられており、相談全体の1割を占めるほどになっています。また、高齢者についても2015年度は2014年度の2倍を超える相談が寄せられています。

●支払手段のキャッシュレス化が一層進み、プリペイドカードの悪用も

第2章第1節でも紹介したように、商品購入・サービス利用において支払手段が多様化し、特に最近ではプリペイドカードや電子マネーを使う機会が増えています。それを悪用した手口に関する相談も2014年度に顕著となり、2015年度も引き続き見られます。

スマートフォンにより利用したアダルト情報サイトに関する相談は依然として多い状況ですが、その支払手段として上記のような電子マネー等を利用するよう、事業者に誘導される例が挙げられます。事業者から指示されてプリペイドカードや電子マネーを購入したり、そのカード番号等を伝えたりすることは、金銭を支払うことと同様の事態になることを、日頃プリペイドカードを使い慣れていない消費者には理解しにくく、そのため被害に気付くのが遅れる状況にあります。

消費者庁が2016年1月に注意喚起したケースでは、有名企業をかたって、有料動画サイトの年会費、延滞金等の未払い料金について金銭の支払を要求し、その際の支払方法として、コンビニエンスストア等で消費者に大手通販サイトのギフトカードを購入してギフトカードの裏面のカード番号等を伝えることを指示していました(注45)

●SNSをきっかけにトラブルに巻き込まれることが増加

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が何らか関連している消費生活相談は増加傾向にあり、2015年度も前年度の7,169件を上回って9,004件寄せられています(図表3-3-3)。

相談件数を年齢層別に見ると、2010年度から2015年度にかけて、30歳代以下は約2倍となったのに対し、40歳代は約4倍、50歳代は約9倍、60歳代は約13倍、70歳以上は約23倍と、インターネット利用によるSNSの普及は幅広い年齢層に拡大し、それがトラブルへとつながっており、特に中高年層で大きく増加していることが分かります。

主な相談内容は、「スマートフォンで見ていたSNSからアダルト情報サイトへつながってしまい、会員登録されてしまった」、「SNSに表示された広告をきっかけにダイエットサプリメントを試しに1回注文したところ、定期購入となっていた」、「SNSで副業サイトの広告を見付け登録したが、報酬を受け取るためにポイント購入が必要と料金を請求された」等、多種多様なものとなっています。

●若者を中心に、アフィリエイトやドロップシッピング内職トラブルが目立つ

自らのウェブサイトに商品や広告を掲載する、アフィリエイト(注46)やドロップシッピング(注47)内職に関する相談は、2009、2010年度に多く寄せられた後、一時減少しましたが、再び増加傾向の兆しが見えており、2015年度は1,521件相談が寄せられています(注48)図表3-3-4)。中でも30歳未満の若者の割合が増加しています。

若者の相談の主な事例は、「友人やSNSで知り合った人からアフィリエイトやドロップシッピング内職を紹介され、知り合いを勧誘して会員を増やせば収入が得られると説明された」といったもので、アフィリエイトという単語を用いたマルチ取引的な勧誘が見られることが最近の特徴です。

【解説】アフィリエイトとドロップシッピングの仕組み

●インターネット接続回線トラブルも引き続き増加、光回線サービスの卸売開始の影響も

インターネットを利用する世帯が増えていることは、第2章でも紹介しましたが、それに伴い、プロバイダやインターネット回線の料金やサービスに関連する「インターネット接続回線」の相談は年々増加しています(図表3-3-5)。中でも光ファイバーについての内容が目立っているのが最近の特徴です。そこには2015年2月1日から始まった光回線サービスの卸売の開始が影響しています。

東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下あわせて「NTT東西」といいます。)が光回線サービスの卸売を開始したことにより、現在では異業種からの新規参入を含む多くの事業者が参入しています。卸売を受けた光回線と、プロバイダや携帯電話等をセットで独自の内容や料金で販売する等、事業者は様々な形態でサービスを提供しています。

消費者にとっては、契約先の選択肢が増えた反面、新しい仕組みを十分に理解していないケースや、事業者から十分な説明を受けていないケース等、卸売開始後、全国の消費生活センター等に光回線サービスの卸売に関する相談が12,549件寄せられており、特に2015年度に入り急増しました(注49)図表3-3-6)。

相談の主な事例は、「現在契約している大手電話会社のサービス変更だと思って話を聞いたら、関係ない事業者との新たな契約になっていた」、「契約に必要な手続をした覚えがないのに、他の事業者への乗り換えが完了していた」、「安くなると言われて契約したのに、知らないオプションを契約させられて今より高くなった」等、勧誘時の説明が不十分と考えられる内容や、消費者が光回線サービスの卸売について十分な理解がないまま契約してトラブルになってしまったものなどが挙げられます(注50)

総務省は、不適切な勧誘を実施した事業者に対して、行政指導を行っています(注51)

【解説】光回線サービスの卸売とは

光回線サービスの卸売とは、光コラボレーション事業者(NTT東西から光回線サービスの卸売を受けた事業者)が提供する光回線に関するサービスです。光回線及び光電話(IP電話)等オプションサービス、プロバイダー等の光コラボレーション事業者が独自サービス等を組み合わせる等して消費者へ提供しており、このモデルを「光コラボレーションモデル」といいます。

光回線サービスに関する契約関係の変化例

光回線サービスの卸売の特徴

図表-3-3-1 携帯電話に関する相談及びそのうちスマートフォンに関するもの

図表-3-3-2 スマートフォン関連サービスに関する相談件数

図表-3-3-3 SNSに関連する相談

図表-3-3-4 アフィリエイトやドロップシッピング内職に関する相談

図表-3-3-5 インターネット接続回線に関する相談及びそのうち光ファイバーに関する相談

図表-3-3-6 光回線サービスの卸売に関する相談


  • (注45)消費者庁「SMSを用いて有料動画サイトの未払料金名目等で金銭を支払わせようとする「株式会社DMM.comをかたる事業者」に関する注意喚起」(2016年1月18日公表)
  • (注46)アフィリエイトとは、一般的には提携先の商品広告を自分のウェブサイト上に掲載し、その広告をクリックした人が提携先から商品を購入する等した場合、一定額の報酬を得られるというもの。
  • (注47)ドロップシッピングとは、一般的には自分のウェブサイト上に提携するメーカーや卸業者の商品を掲載し、商品の申込みがあった場合、自ら売主になって販売し、メーカーや卸業者から申込者へ商品を直送するというもの。
  • (注48)国民生活センター「20代に増えている!アフィリエイトやドロップシッピング内職の相談—友人を紹介すると儲かる?借金をさせてまで支払わせる事例も—」(2015年7月16日公表)
  • (注49)相談件数は、光回線が関連する相談のうち光回線サービスの卸売に関する相談(契約前の相談を含む。)と判別されたものである。
  • (注50)国民生活センター「光回線サービスの卸売に関する勧誘トラブルにご注意!」(2016年2月12日公表)
  • (注51)例えば、総務省「光アクセス回線サービスの卸売を受けて提供するサービスに係る販売勧誘方法についての「株式会社Hi-Bit」に対する行政指導(警告)」(2015年12月4日公表)

担当:消費者調査課