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第1部 第2章 第2節(5)東日本大震災に関連した消費者意識や消費生活相談

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者行動・意識

第2節 消費者行動・意識の状況

(5)東日本大震災に関連した消費者意識や消費生活相談

●消費者意識の変化とリスクコミュニケーションの実施について

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故の後、科学的知見に基づいた食品中の放射性物質に関する基準値が設定され、合理的な検査体制の下で食品の安全が確保されているにもかかわらず、被災県産の農作物を中心に買い控える等の消費行動がみられました。そこで、被災県の農林水産物等についての消費者の意識等を調査し、風評被害対策及び消費者理解の増進に関する取組に役立てることを目的として、2013年2月から半年ごとに被災地域及び被災地産品の主要仕向け先の都市圏(注19)の消費者約5,000人を対象として、インターネットを通じた消費者意識の実態調査を行っています。

その結果を見ていくと、まず「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人に対して、「食品を買うことをためらう産地」について聞いたところ、「福島県産」と回答した人の割合は、調査対象者全体に対して15.7%でした。福島県産の食品の購入をためらう消費者は一定割合存在していますが、2014年8月以降は連続して減少傾向にあります(図表2-2-15)。

食品中の放射性物質の検査の情報について「基準値超過の食品が確認された市町村では、同一品目の食品が、出荷・流通・消費されない」ことについて知っていると回答した人の割合は、第7回目の2016年2月調査で42.2%でした。他方で、「検査が行われていることを知らない」とする回答は36.7%となっており、2013年2月調査の22.4%から増加していました。一定程度の理解がある反面、放射性物質に関する情報量の減少に伴い、食品中の放射性物質についての検査を始めとする各種の取組についての理解の度合いが減少傾向にあることがうかがわれます(図表2-2-16)。

「普段の買い物で食品を購入する際に、その食品がどこで生産されたか」を気にするか聞いたところ、「気にする」との回答割合は25.4%、「どちらかといえば気にする」との回答割合は38.9%となりました(2013年2月調査では「気にする」との回答は28.2%、「どちらかといえば気にする」との回答は40.0%。)。食品の産地を気にする理由を聞いたところ、調査対象者全体に対して、2016年2月調査では「産地によって品質(味)が異なるから」は31.6%(2013年2月調査より4.2ポイント増加。)、「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」は、19.2%(2013年2月調査より8.7ポイント減少。)でした。

消費者庁では、2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、食の安全・安心を確保し、食品と放射能に関する理解を広げることを目的として、2011年度から「食品中の放射性物質」に関する情報提供とリスクコミュニケーションの推進に取り組んでおり、関係府省や地方公共団体及び各種団体と連携して、消費者と専門家、生産者、行政担当者等が共に参加する意見交換会を2015年度末までに518回開催しています。また、2013年度に養成したコミュニケーター(注20)に対し、ウェブサイトやメールマガジンで最新情報を提供するなど、各種支援を実施しています。

消費者庁としては、引き続き、関係府省と連携し、今回の意識調査の結果も踏まえつつ、今後とも、消費者に対して食品中の放射性物質に関する正確な情報提供を行い、消費者理解の増進に努めていく予定です。

●東日本大震災に関連する相談は減少

2011年3月の東日本大震災に関連する消費生活相談は、震災発生当初の3月11から31日までには、全国で9,000件の相談があり、2011年度には24,773件の相談が寄せられました(図表2-2-17)。その後は減少傾向にあり、2015年度は1,034件でした。

また岩手県、宮城県、福島県及び茨城県の被災4県では、震災直後の2011年度は1万件を越える相談が寄せられましたが、2015年度には536件まで減少しています。震災関連の相談全体のうち、被災4県での相談が51.8%を占めている状況です。

2015年度の被災4県の震災関連の相談を県別にみると、宮城県が287件と半数を占め、次いで福島県が173件、岩手県は40件、茨城県は36件となっています。

また、各県で相談の主な商品・サービスは異なり、宮城県では住宅の修繕工事等に関わる「不動産貸借」や「工事・建築」が多く、これらを合わせると相談の半数近くを占めています。福島県では主に放射能に関する不安について「野菜」、「果物」の相談が約3割と目立っています。岩手県では「工事・建築」、茨城県では「不動産貸借」の相談が多く、それぞれ全体の約2割を占めています。

被災県以外の地域では、「復興への支援を名目として投資勧誘を受けたが、怪しい」等の相談が見られます。

平成28年(2016年)熊本地震に関連した被災地の消費者対応

2016年4月に発生した平成28年(2016年)熊本地震(注21)については、被災地のニーズに応えるため、消費者庁は熊本県や国民生活センターと連携して消費者問題に係る相談体制の整備や注意喚起等を行っています。

具体的には消費者庁、国民生活センターから、過去に発生した震災時の事例も参考にしつつ、自然災害に便乗した悪質商法、生活再建に当たって発生し得る不動産賃貸、工事建築等のトラブル、義援金詐欺等に関する情報や注意喚起をウェブサイト等で、発生直後から公表しています。

災害に関する事業者とのトラブルや不審な訪問や電話を受けるなど悪質商法に対する相談については、消費者ホットライン「188(いやや!)」にて全国の消費者から相談を受け付けているほか、4月28日から国民生活センターにフリーダイヤル「熊本地震消費者トラブル110番」を設置し、沖縄県を除く九州地方の消費者から土日祝日を含めて相談を受け付けています。

COLUMN6
水産物の風評被害払拭に向けた取組(宮城県石巻市)

図表2-2-15 放射性物質を意識し、産地を気にする人が購入をためらう産地

図表2-2-16 食品中の放射性物質の検査の情報について

図表2-2-17 震災関連の相談件数の推移


  • (注19)被災県及び被災県産農林水産物の主要仕向先等:岩手県、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県
  • (注20)地域において食品中の放射性物質に関する正確な情報提供ができる専門家。消費生活相談員、保健師、栄養士、保育士、学校給食関係者、JA職員等を対象に、2013年度末までに約3,400名を養成した。
  • (注21)「平成28年(2016年)熊本地震」は4月14日21時26分以降に発生した熊本県を中心とする一連の地震活動を指す。

担当:消費者調査課