文字サイズ
標準
メニュー

第1部 第2章 第1節(2)消費生活を取り巻く環境変化の動向

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者行動・意識

第1節 消費者を取り巻く社会経済情勢

(2)消費生活を取り巻く環境変化の動向

●クレジットカードや電子マネー等によるキャッシュレス決済が一般化

クレジットカードや電子マネー等によるキャッシュレス決済の利用が拡大しています。一般社団法人日本クレジット協会「年次統計」によると、クレジットカードショッピングの信用供与額は2010年の35兆9800億円から2015年には49兆8341億円と約1.4倍に増えています。また、日本銀行「電子マネー計数」によると、電子マネーによる決済金額は2010年の1兆6363億円から2014年には4兆140億円へ約2.5倍へと大幅に増加しています。2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向け、キャッシュレス決済の普及への取組が進められており、今後更に拡大していくと考えられます。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2015年)によると、家計の日常的な支払の主な資金決済手段は、1,000円以下の小口の決済では現金が87.2%となっていますが、10,000円超ではクレジットカードが主な決済手段であるとの回答は50%を超え現金と同水準となり、50,000円超では現金での決済より高い割合を占めています。また、電子マネーも1,000円超5,000円以下では9.6%、1,000円以下では12.3%が主な決済手段としています。このように、日常の消費生活においてキャッシュレスでの決済は一般的になっています(図表2-1-21)。

●インターネット接続回線のブロードバンド利用が拡大し、近年特に光回線が増加

インターネットの利用拡大に伴い、よりスムーズにインターネットを利用できる通信回線として固定系ブロードバンドの利用が拡大しています。総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」によると、固定系ブロードバンド契約数は2009年度末の3286万世帯から2014年度末には3680万世帯に増加し、その中でも光ファイバー回線によるブロードバンド契約であるFTTHが1780万世帯から2661万世帯へと大きく増加しています(図表2-1-22)。

また、固定系ブロードバンドの契約数の増加等に伴い、固定電話におけるIP電話の利用番号数も増加しており、2013年度末にNTT東西加入電話の契約数は固定電話全体の契約数の半分以下となり、2014年度末には42.9%となっています。

●インターネットの利用が拡大し、高齢者にも広がっている

総務省「通信利用動向調査」によると、個人のインターネット利用率は全ての年齢層で高くなっており、2014年末には13歳から49歳までの層で100%に近くなっています。

また、60歳代と70歳代では、2010年末と2014年末との比較で10ポイント以上増加しており、高齢層でも利用が拡大しています(図表2-1-23)。高齢層での利用率の高まりは、インターネットの利用が全世代に広がり生活に浸透してきていることを表しています。

●スマートフォンの普及が急速に進む

同じく、総務省「通信利用動向調査」によると、スマートフォンを含む携帯電話は7割以上が保有しており、中でもパソコンと同等の機能を携帯電話で利用できるスマートフォンは、2014年末で44.7%が保有しており、前年の39.1%から5.6ポイント増加しました(図表2-1-24)。

スマートフォンの保有状況を年齢層別に見ると、2014年末で20歳代が88.9%、30歳代が79.0%、13〜19歳が71.7%と若い世代で保有割合が高くなっていますが、2013年末から2014年末にかけての増加幅では40歳代が10.7ポイント、50歳代が9.1ポイントと、より高い年齢層への広がりが見られ、幅広い年齢層でスマートフォンが利用されるようになっていることが分かります。こうした手軽な端末の普及がインターネットの利用拡大に寄与しているとも考えられます。

●携帯電話の通信料の支出は増加

携帯電話の利用の拡大に伴い、携帯電話の通信料の支払額も増加しています。総務省「家計調査」によると、二人以上の世帯の家計の移動電話通信料の平均支出額は増加傾向にあり、2014年には年間10万円を超えました(図表2-1-25)。

また、世帯主が60歳代の世帯では2010年まで金額が低く推移していましたが、ここ数年で大幅に増加しており、2005年には3.9万円であったものが2015年には8.9万円と2倍以上になっています。先に述べた携帯電話普及率の増加や、スマートフォンの普及に伴って、利用頻度、通信量が拡大したことなどが理由として考えられます。

●情報化の進展で、インターネットを利用する取引は年々増加

経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によると、我が国の消費者向け電子商取引の市場規模は年々拡大しており、2010年の7.8兆円から2014年には12.8兆円と1.5倍以上となり、消費者がインターネットを利用する取引が大幅に拡大しています。こうしたインターネットを利用した取引の増加は、前述したキャッシュレス決済の利用の拡大の一つの要因と考えられます(図表2-1-26)。

その内訳を見ると、物販系分野の取引金額が6.8兆円と、過半を占めています。

●家計のインターネット利用に関する支出は年々増加

総務省「家計消費状況調査」によると、インターネット利用料は2015年には1世帯当たり月平均で11,890円となっています。また、ネットショッピングを利用した1世帯当たり月平均支出額は2015年では7,742円となっており年々増加傾向にあります(図表2-1-27)。両者の支出額を合わせると2015年は1世帯当たり月平均で19,632円となり、支出総額の7.1%を占めています。

ネットショッピングを利用した世帯の月平均支出7,742円の内訳を見ると、宿泊料、運賃、パック旅行費等の旅行関係費が20.6%と最も多く、次いで食料品、飲料、出前等の食料の13.1%、書籍・音楽映像ソフト、パソコン用ソフト、デジタルコンテンツ、チケットの13.1%と続きます(図表2-1-28)。幅広い商品やサービスでネットショッピングを利用した支出がなされています。

COLUMN4
宅配サービス受取方法の現状と消費者意識

●高齢化の下で高齢単独世帯の増加傾向は続く

総務省「人口推計」によると、我が国の高齢化率(注17)は、1980年の9.1%から2015年には26.7%に増加しています。5歳刻みで人口の年齢構造をピラミッドに表すと、65〜69歳の第一次ベビーブーム世代と、40〜44歳の第二次ベビーブーム世代の2つの膨らみが目立ちますが、いわゆる「釣鐘型」となっています(図表2-1-31)。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」によると今後2060年には39.9%まで上昇すると見込まれるなど、高齢化が進展しています。

また、厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、1世帯当たりの平均世帯人員は減少しており、1980年には1世帯当たり3.28人、1992年には2.99人と3人未満となり、2000年には2.76人、2014年には2.49人となっています。

また、単独世帯は2004年に全体の23.4%でしたが、2014年には27.1%と増加しています。この間、高齢以外の単独世帯の割合は横ばいで推移する中で、高齢単独世帯の割合が8.1%から11.8%へ上昇し、2014年には単独世帯の約4割を占めています。また、2人以上の世帯においても、65歳以上の夫婦のみの世帯の割合が2004年の8.4%から2014年に11.5%へと上昇しています(図表2-1-32)。

高齢者の単独世帯や高齢夫婦のみの世帯が増えていくことは、高齢者が在宅時にトラブルに巻き込まれたときに、家族や周囲の目が届かない、すぐに誰かに相談することができない等の状況が発生する可能性が高くなっていることを意味します。

●高齢者は貯蓄が多く持ち家率も高い

総務省「家計調査」により1世帯当たりの貯蓄・負債額、持家率を年齢層別に見ると、世帯主が30歳未満の世帯では平均純貯蓄額(貯蓄額から負債額を引いた額)がマイナス290万円、持家率が30.4%ですが、年齢層が上がるにつれ貯蓄額と持ち家率が増加しています(図表2-1-33)。一般的に引退し始める年齢層でもある60歳代の世帯では、平均純貯蓄額は2271万円と2000万円を超え、持家率は94.0%まで上がるなど、高齢層ほど資産が多くなっています。高齢者は平均的に見ると、家も含め資産を多く保有していますが、こうした資産は高齢者にとっては生活や病気等への備えに重要です。

図表2-1-21 金額階層別日常の主な決済手段

図表2-1-22 固定系ブロードバンド契約数の推移

図表2-1-23 年齢層別インターネットの利用状況(個人)

図表2-1-24 年齢層別携帯電話保有率

図表2-1-25 家計における移動電話通信料の支出額推移

図表2-1-26 消費者向け電子商取引の市場規模の推移

図表2-1-27 1世帯当たりのインターネット利用に関連する支出の推移

図表2-1-28 1世帯当たりのネットショッピングを利用した項目別支出割合

図表2-1-29 再配達を削減するための取組

図表2-1-30 最速のタイミングで受け取るなら追加料金が掛かる場合の選択

図表2-1-31 人口ピラミッド(2015年)

図表2-1-32 家族類型の構成比の推移

図表2-1-33 世帯主年齢層別世帯平均貯蓄・負債額と平均世帯年収、持家率


  • (注17)65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合。

担当:消費者調査課