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第1部 第1章 第4節(8)地域における食品ロス削減に向けた取組(長野県松本市)

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第1章 【特集】地方消費者行政の充実・強化に向けて

第4節 地方公共団体の様々な取組

(8)地域における食品ロス削減に向けた取組(長野県松本市)

食べられるのに廃棄されている、いわゆる「食品ロス」は、年間642万トンと試算されており、このうち半分は家庭から排出されていると言われています(第2章第2節を参照。)。

長野県松本市では、「もったいない」をキーワードとしたごみの減量化施策を実施しており、特に食品ロス削減の取組は、ごみの減量及び食育推進の観点からも重要政策と位置付け、あらゆる世代で「もったいない」を心掛けた食べ残しを減らす取組を幅広く実施しています。

●飲食店における取組

①【おそとで】残さず食べよう!30・10運動

飲食店から出る生ごみのうち約6割は食べ残しだと言われています。そこで、乾杯後の30分間は自席でゆっくり料理を楽しみ、お開きの前の10分間は自席に戻って再度料理を楽しむ時間を設け、宴会の食べ残しを減らす取組を「残さず食べよう!30・10運動」と名付け、2011年度から推進しています。

「30・10運動」を周知し、市民に実践してもらうため、ポケットティッシュやコースターを作成し、協力していただける店舗(2016年1月末現在177店舗)には無料で配布しています。

「30・10運動」ポケットティッシュ

30・10運動」コースター

②プラチナメニュー

高齢者や女性等から「お店で出される料理が多くて食べられない」という声があることから、「量」よりも「質」を重視したメニューを「プラチナメニュー」と名付け、提供店を募集しています。提供店(2016年1月末現在6店舗)については、市の公式ウェブサイト等で紹介しています。

●家庭における取組

①【おうちで】残さず食べよう!30・10運動

松本市が2013年度に行った調査の結果、冷蔵庫の中で使われないまま廃棄されたものや野菜の過剰除去が多く見られたほか、「もったいないクッキング」に係る情報が欲しいという市民が多いことが分かりました。そこで、毎月30日は、冷蔵庫の中を整理し、賞味期限、消費期限の近い物や残り物を使い切る、「冷蔵庫クリーンアップデー」として、また、毎月10日は、今まで捨てていた野菜の茎や皮を使って料理をする「もったいないクッキングデー」として、楽しみながら、家庭からの食品ロスを削減する家庭版の「30・10運動」を2014年度から実施しています。

また、市民に食品ロスについて情報提供を行い、意識を深めてもらうために、食品ロスの現状、課題や市の取組、個人でもできることなどを記載したハンドブックを作成し、幅広く配布しているほか、松本大学と連携し、もったいないクッキングレシピ集を作成しています。

②園児を対象とした参加型環境教育

食べ物を作ってくれた人への感謝の心、資源の大切さを忘れない心を育むためには、幼いころから環境に対する意識を高めることが大切です。そこで、感受性が豊かな園児を対象に、質問、クイズ、踊り等園児が積極的に参加でき、イラスト、写真、効果音等を使い興味を持ちやすい内容に工夫した、参加型の環境教育を2012年度から毎年度実施しています。

環境教育の効果を評価・検証するため、全保護者に実施したアンケート調査では、園児が残さず食べるようになったり、保護者が食品ロスの削減に気を付けるようになった等、それぞれ約6割に意識や行動の変化が現れました。

また、変化した意識を継続させるため、日頃から保育園で使える教材として、自らが苦手なものを楽しみながら克服していくという内容の紙芝居を、松本市の保育士を中心としたプロジェクトチームにより2014年度に作成しました。紙芝居は、松本市のマスコットキャラクターの「アルプちゃん」と食品ロス削減国民運動キャラクター「ろすのん」が登場する内容で、「アルプちゃん」の部分を各地のマスコットキャラクターに入れ替えれば全国どこでも使える内容となっており、松本市及び消費者庁のウェブサイト(注14)で自由にダウンロードが可能となっています。

園児を対象とした参加型環境教育

紙芝居

●今後の展開

2015年度には、環境省のモデル事業を活用し、小学生に環境教育を行った際に、実際に給食の食べ残しが減るか等の効果測定事業をモデル校において実施しました。その結果、実際に給食の食べ残しが減るとともに、残さず食べるようになる等児童や保護者にも意識と行動の変化が現れる等の効果があることが分かりました。そこで、今後は、全小学校において保育園同様環境教育を展開していく予定です。

また、飲食店の取組では、「30・10運動」や「プラチナメニュー」等を総合的に推進するため、協力店の登録店制度を創設する予定です。

食品ロスを削減するには、一人一人ができることを、まず始めることです。「30・10運動」の一層の推進と併せ、今後も一人でも多くの人が行動に移るような取組を積極的に実施していきます。

担当:消費者調査課