文字サイズ
標準
メニュー

第1部 第1章 第4節(1)静岡県賀茂地域の広域連携による消費生活センターの設置

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第1章 【特集】地方消費者行政の充実・強化に向けて

第4節 地方公共団体の様々な取組

ここまで地方消費者行政の現状について、全体を俯瞰する形で見てきました。本節では、地方公共団体が行っている、それぞれの地域の特性や課題に応じた取組を紹介します。

一口に「地域」と言っても、「現場」の実情は様々であり、消費者の最も身近にある行政組織として、地方公共団体は、その実情や課題に合わせ、様々な取組を行っています。そういった地方公共団体に対し、国でも、「地方消費者行政活性化基金」の創設や地方交付税交付措置の拡充等の支援に取り組んでいます。また、「地方消費者行政強化作戦」を定め、具体的に取り組むべき項目を提示し、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、安全・安心が確保される地域体制を全国的に整備することを目指しています。

(1)静岡県賀茂地域の広域連携による消費生活センターの設置

●賀茂地域における消費生活相談等の現状と課題

賀茂地域は伊豆半島の南半分を占め、下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町及び西伊豆町の1市5町から構成されています。各市町は小規模かつ過疎、半島、中山間地域等の条件不利地域にあって、人口減少・少子高齢化が急速に進行しており、行財政基盤が脆弱な状況にあります。また、賀茂地域1市5町には消費生活センターが設置されておらず、下田市では月3日消費生活相談員が消費生活相談に対応していますが、その他の日は職員が様々な業務の傍ら相談に対応しており、残りの5町では相談窓口は設置しているものの、相談には職員が対応しています。

賀茂地域内の全相談件数のうち、市町が受け付けた割合は30.4%(2014年度)であり、県内の市町全体の平均である76.0%(同)を大きく下回っており、他の地域と比べて当該市町の消費生活相談体制は十分な体制が構築されていません。また、地域内の人口1,000人当たりの相談件数は3.5件(同)と県内の平均件数7.0件(同)の半分となっており、消費者被害が水面下に隠れている可能性が高いとみられます。さらに、65歳以上の高齢者の人口割合は、39%(2013年度)と県全体の割合である26%(同左)を大きく上回っていることから、全国的に高齢者の消費者被害が増加している中、賀茂地域における消費者相談や消費者教育の機能充実が急務となっています。

静岡県内の消費生活センター設置状況

●賀茂広域消費生活センター共同設置に向けた取組

このため、2014年度から賀茂地域1市5町の消費者行政担当課及び県関係課(行政改革課、自治行政課、県民生活課)をメンバーとする「行政経営研究会」において、消費生活センター整備の課題と対応方針を整理しました。

2015年度は、賀茂地域1市5町と県による消費生活センター共同設置の早期実現に向け、「賀茂地域広域連携会議」(注9)の一つの専門部会において、前年度に整理した課題について、一つ一つ検討を重ね、各首長の合意を得ながら解決を図りました。その結果、地方自治法に基づく「機関等の共同設置」及び国の地方消費者行政推進交付金等を活用し、「賀茂広域消費生活センター」を共同設置し、2016年4月から業務を開始することとしました。

課題と対応方針、賀茂広域消費生活センターの概要、賀茂広域消費生活センターにおける市町と県の役割等

●賀茂広域消費生活センター共同設置の効果と今後の課題

賀茂広域消費生活センターの共同設置により、平日毎日、専門的な立場からの助言やあっせんが受けられるとともに、潜在している相談事案が表面化して財産的被害の回復などの救済が図られることが期待されます。また、市町ごとに設置するより効率的な運用が可能となり、県民相談を併せて実施することで多様な相談にも対応できるようになると考えられます。


  • (注9)賀茂地域における連携強化等を図るための方針や計画の決定等を行うことを目的に、静岡県賀茂振興局長及び賀茂地域1市5町の市町長を構成員として2015年4月に設置された会議(8月からは副知事が議長に就任)

担当:消費者調査課