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「消費者を主役とする政府の舵取り役」として、2009年9月に消費者庁が発足してから、6年8か月が経ちました。消費者行政を推進する基本的な枠組みが整備されつつあり、新たな制度についても導入が進んでいます。2015年度は、機能性表示食品制度の創設を含む新たな食品表示制度の施行、消費者ホットラインの3桁番号「188」の案内開始などの取組を講じました。2016年度では、4月に、消費生活相談員の職の法律への位置付けや新たな資格試験制度の創設、地域における高齢者等の見守りネットワークの整備が規定された消費者安全法の改正法、不当表示に対する課徴金制度を導入した景品表示法の改正法が施行されたところであり、10月には、消費者裁判手続特例法が施行されます。

消費者一人一人の安全・安心な暮らしを確保していくためには、このような新たに導入した様々な枠組みや制度について、実効性を確保し、トラブルや被害に遭った消費者が質の高い相談によって救済される、食品の表示が適切で分かりやすいものになるなど具体的な成果につなげていくことが重要です。2015年8月に、消費者庁は「消費者の安全・安心暮らし戦略2015」を取りまとめ、①消費者問題が多様化・複雑化する中で、地域等における多様な担い手の参画や連携・協働の強化、②ルール整備や執行体制の充実による制度の実効性の確保・向上、③生命身体・財産の安全・安心のための情報収集・提供の強化を三本柱として、重点的に取り組むこととしています。

高齢化、情報化、国際化等により、消費者を取り巻く環境は大きく変化しています。これらに適切に対応するため、施策の実施体制を充実・強化して、これまでに整備してきた制度を積極的に活用し、実際に消費者の利益の擁護・増進が図られるよう努めるとともに、新たな課題の解決に向けて、今後も消費者行政を推進する制度の更なる充実を目指していきます。

「消費者政策の実施の状況」は、2012年の消費者基本法改正を受けて2013年度から作成・報告しており、今回が4回目の報告です。併せて、消費者安全法の規定に基づく「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめの結果の報告」を行っています。

第1部「消費者行動・意識と消費者問題の現状」においては、2015年度は第1章の特集のテーマを「地方消費者行政の充実・強化に向けて」としました。消費者行政の最前線は、「地域」です。上述したような、消費者行政の実効性の確保という観点からは、実際に起きている消費者トラブル・被害に対して、個々の消費者からの相談を受け付け、時には事業者との間に立って解決を図る、地域における消費者教育を実践する、又は、地域内で消費者被害をもたらしている事業者に対して法執行を行う等を通じて、地方消費者行政が大きな役割を果たしています。

消費者庁は、発足以来、地域の現場で消費者、国民本位の行政が行われることにつながるよう、地方消費者行政の強化に精力的に取り組んできました。「地方消費者行政活性化基金」、「地方消費者行政推進交付金」を活用し、地方公共団体の取組を財政面で支援するとともに、「地方消費者行政強化作戦」を定め、具体的な目標を掲げて、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる体制を全国的に整備することを目指してきました。こうした取組により、2015年度には全国の全ての市区町村に、消費生活相談窓口が設置され、消費生活センターの設置数は、市区町村の約半数まで増えました。相談体制の整備が進んだことにより、高齢者を中心に相談の掘り起こしや、あっせん率の増加などの効果が出ています。一方で、消費生活センターの設置率は人口規模が小さいほど低い状況であり、消費生活相談員の配置率や資格保有率等については、地域でばらつきがみられます。消費者トラブルや被害に高齢者が遭いやすく、かつ自分では交渉できない高齢者もいることや、また、携帯電話の契約やインターネットの利用に関わるトラブルは内容が複雑であることなどから、相談対応の質の向上が一層求められています。改正消費者安全法により、2016年4月から、消費生活相談員の職の法定化、資格試験制度の創設、また、高齢者など被害に遭いやすい方の見守りネットワークの構築の推進などにより、地方消費者行政の充実・強化を図ります。

第2章「消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者の行動・意識」では、家計消費や消費者の生活に身近な物価や公共料金の動向、高齢化や情報化の現状、さらに、消費者庁「消費者意識基本調査」を基に、消費者の行動や意識の状況について、紹介しています。

情報化が進展し、消費者のインターネット利用やスマートフォンの利用は、中高齢年層を含め、幅広い年齢層に普及しています。消費者の意識については、表示や説明を十分確認するなど、積極的な行動を心掛ける消費者が増えています。最近の消費者問題の中では、「食品の安全性」、「偽装表示、誇大広告など」といった分野について、消費者の関心が高くなっています。また、約1割の消費者が1年間に消費者被害・トラブルを経験したと認識しています。

第3章「消費者問題の動向」では、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談情報に基づき、2015年度における消費者被害・トラブルの状況や、最近の特徴的な消費者被害・トラブルについて、紹介しています。

2015年度の消費生活相談件数は約92.7万件で、2014年度を若干下回りましたが、依然として高水準です。携帯電話やスマートフォンの契約トラブルやインターネット接続回線のトラブル、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をきっかけとしたインターネット利用に関する相談等、情報通信の関連するトラブルが幅広い年齢層にみられ、相談件数全体の3割以上を占めています。高齢者の消費生活相談件数は、全体の27%を占め、依然として多くなっています。マイナンバーや電力小売全面自由化等の消費者の生活に関連の深い新たな制度の導入に関連した相談も目立ちました。

消費者安全法の規定に基づき、2015年度に消費者庁に通知された消費者事故は、約1万2000件で、前年度とほぼ同水準でした。子供による高吸水性樹脂製品の誤飲事故や高齢者によるPTP包装シート(薬の包装)の誤飲事故が発生しており、注意が必要となっています。

第4章「消費者政策の展開」では、最近の消費者行政の主要政策について紹介しています。不当表示を抑止するための課徴金制度、機能性表示食品制度など食品表示法に基づく新たな食品表示制度、多数の消費者に共通して発生した消費者被害を集団的に解決するための消費者裁判手続特例法など、新たな制度が導入・運用されます。2015年に発生した、スキーバス事故、廃棄食品の不正流通問題についても、対応を行っています。また、事業者の消費者志向経営、倫理的消費の促進については、持続可能なより良い社会の実現に向けて、消費者や事業者と連携・協働しながら、消費者庁として取組みを進めています。

第2部では、2015年度消費者政策の実施状況について、消費者基本計画に盛り込まれた項目に沿って、消費者庁及び関係府省が文他執筆しており、消費者行政の各分野ごとの取組みを報告しています。本報告は、消費者基本計画の実施状況の検証・評価(フォローアップ)としての機能も兼ねています。

また、資料編として、消費者事故等の状況、消費者庁が行った法執行・行政処分・各種情報提供についても掲載しています。

消費者ホットライン188

担当:消費者調査課