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記者会見(平成30年10月2日(火))

日時:平成30年10月2日(火)11:45~12:00 於:消費者庁6階記者会見室

1.発言要旨

  • 中川委員長

    第4期消費者安全調査委員会の委員長を務めることになりました、中川丈久でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    私は平成22年、この事故調の設立について検討した「消費者庁の事故調査機関の在り方に関する検討会」の委員でございました。その後、この調査委員会の第1期及び第2期、ちょうど畑村委員長のもとで委員を務めさせていただきました。
    そういうわけで、この消費者安全調査委員会につきましては、それなりに長くかかわりを持たせていただきました。第1期、第2期の2期、4年間にわたりまして、9つの事案につきまして、再発防止の検討、関係行政機関に対する意見のあり方等を議論し、いかにその議論が大変であるかということを経験させていただきました。
    これらの経験を踏まえまして、調査委員会に対して創設時からさまざまな期待が寄せられているということは、よく心にしみております。第4期の委員長をお引き受けさせていただくに際しまして、その重責をひしひしと感じているところでございます。
    この9月までの第3期におきましては、宇賀委員長を初めとする委員の方々が4つの事案について再発防止策を示し、関係行政機関に意見を出されていること。それから、新たにレポートの公表という取り組みをされたと伺っております。これについては、敬意を表して拝見しております。
    今後の2年間でございますが、第3期までの実績をしっかりと引き継ぎつつ、かつ創設時からの環境の変化等も踏まえながら、調査委員会のあるべき姿について委員の方々と不断に考えながら、できるだけ多くの事案に取り組んでいくという所存でございます。
    どうぞよろしくお願いいたします。
    本日の会議の内容について御説明いたします。
    消費者安全法第21条第3項に基づきまして、私より隣にいらっしゃる持丸委員を委員長代理として指名し、御了解をいただいております。
    また、本日は私以外にも第4期からの新しい委員がいらっしゃいましたので、かつ初めての会議でございますから、委員の方々にこれまでの御経験、本委員会での抱負等をお一人ずつ伺いました。次いで、これまでの審議の状況や新規案件候補等についての確認を行いました。今後の新規事案算定や議事運営に関する議論も行いました。それで、ちょうど先ほど終わったところでございます。
    私からは以上でございます。

2.質疑応答

朝日新聞の長谷といいます。
中川委員長にお伺いします。
今後の抱負ということで環境の変化を踏まえながらというところをおっしゃったと思うのですが、今の時代のどんな変化に対応していきたいとお考えでしょうか。
中川委員長

環境の変化もいろいろございまして、外部的には高齢者の事故をどこまでどのように扱っていくかというのは非常に重要な問題であります。他方で、幼児の事故は前からあったわけでございますけれども、その双方にどれぐらい我々のリソースを割いていくのか。これはなかなか難しい判断でございます。
それから、もう一つは内部の変化といいますか、消費者安全調査委員会自体でありますけれども、最初の第1期は、こういう事故のわからない原因を探って対策を検討するということは本邦初でございますし、恐らく世界的にもまずないのではないかと思えるような機関でございます。ここははっきりわかりませんが、余り聞いたことがないという程度の認識であります。ですので、五里霧中でやってきたわけなのですけれども、この6年間でかなり蓄積されまして、そういった意味ではより効率的にやっていくためのノウハウがそれなりに出てきたのではないかと思われます。
これも事故というものは多様でございますので、ちょうどお医者さんが人を診断するのと一緒で、一個一個個性がありますので、何もかも早くできるというわけではありませんけれども、効率的にやっていけるのではないかという意味での変化もあると、我々自身の蓄積という意味ですね。そういったところを踏まえながらやっていきたいと考えております。

毎日新聞の岡といいます。
中川先生の御専門について教えてください。
中川委員長

私は法律が専門でございまして、行政法という分野です。行政、要するにお役所が使う法律ですので、六法全書に載っている95%ぐらいが行政法なのですが、業法とか消費者安全法ももちろんそうですし、お役所が使う法律の全部の共通構造を分析するという分野なのです。
この消費者安全調査委員会はもちろん原因調査という理系、工学系、医学系の調査プラス、その対策を誰にどうやって伝えていくか。それは法的な規制がいいのか、そうではないほうがいいのか、自主規制がいいのか。あるいは、きょうも先ほどの審議で持丸委員からお話があったのですけれども、標準化という標準の設計図というか仕組みをつくる。それは規制ではないというお話があったのですけれども、さまざまな方法があるのです。それをどこら辺が適切であるのかという対策をつくって、かつそれをどの役所に持っていくのがいいのかという部分も結構重要な部分なのです。
ですので、行政法の知識ないし経験を使って、特に後半の部分についてより貢献できたらと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田と申します。
第1期、第2期の委員も務められ、お詳しいということでお聞きしますけれども、現在の原則非公開の審議のあり方を原則公開にするという議論が第1期、第2期でも外部からあったと思うのですけれども、これに対してお考えかということと、あと、昨年の10月で事故調第何周年と評価されたときに、案件の件数に対して少ないのではないかということをお認めになっている事務局がいて、それは消費者委員会のほうで報告されまして、それに対して事務局体制の何らかの改善、強化ということが提案されていたと思うのですけれども、それはどういうふうにお考えでしょうか。要するに、案件の数です。
中川委員長

1点目の公開でございますが、審議の公開は実際にやってみてなかなか難しい。つまり、企業名が全部出てきますので、結局これは関係なかったねとか、これは取り上げないとか、あと、委員の中から似たような案件、こういうのが何とか社のこれ、議論してみたけれどもこれも関係あった、あるいは関係あったと両方あるのです。
そういうふうにディスカッションを進めていきますので、無責任というと言い方はおかしいですけれども、生煮えの情報ですよね。もしかしたらこれも関係あるかもしれないという段階の情報を出してしまうというのは、何がよくないかと言うと、もちろん風評被害もあると思いますが、関係の企業が情報を出してくれなくなるのです。つまり、敵対関係になってしまいますので、それは非常に我々にとっても支障があるという意味で、これは非公開にせざるを得ないと感じております。
議論している内容を聞かれて困るということではないのですが、今、申し上げたように、一個一個の情報が生煮えの状態でありますので、我々が調査を効率的に進めていくためにも完全に秘密にしておくことが必要で、何をどこまで公開すべきか、企業名をどこまで公開すべきかということは、最後に公表するときに検討するわけでありますけれども、それは事案に応じて、公表すべきものはするし、すべきでないものはしないという検討を別途やっております。
それから、企業名とかを出さない、あるいは事故の場合は個人名も場合によってはわかることもありますので、個人情報がわからないような形で議事要旨は公表しておりますので、議論の仕組みというかたてつけといいますか、どういう方向で議論を進めるかということは、今の議事要旨は簡単過ぎるかもしれませんけれども、ある程度はわかっていただけるかと思います。
議事はほとんどの場合は行ったり来たりということですので、余り今、どのように検討が進んでいるかというのは我々もよくわからないところがありますので、それは報告書できちんと説明するというところが一番の責任かと思っております。
2番目でございますが、案件の少なさですね。これは確かに多いとは言えないという感じが正直いたします。その原因はよくわかりません。最大の原因は、この消費者安全調査委員会が取り上げる事故は、ほかで取り上げていない。つまり、事故と思われていないもの、これはしようがないと思われているものなのだけれども、しかし、これは機械的に、あるいはサービス面でこういう改善をすれば防げるじゃないかという見落とされているものを発見することなのです。それはそんなに多いわけでもない。だけれども、見落とされているがゆえに非常に重大なことにもなるというものをいかに発見するかという委員会です。
事故だとわかっているものは大体どこかの省庁が担当でやっていますので、もちろんそれが不十分であれば、我々はそれに対する再調査ということもやりますけれども、メーンは事故と思われていなかったものを事故とするということです。過去の報告で言えば、例えばエレベーターやエスカレータも、あれは安全だとみんな思い込んでいたのだけれども、ああいう動くものというのはそうではない。それから、エコキュートはなかなか調査が難しかったという記憶がありますけれども、音がする。だから、自分が調子が悪いということを事故と捉えられるのか。これ自体が非常にチャレンジングな案件だったわけですけれども、そういうものがメーンで、それは誰もやってくれていないことなのです。それをいかに探し出して、かつそれをきちんと、だからこそ大変な調査になるわけですけれども、時間もかかってしまうわけです。
そういう特質がありますので、たくさん右から左にどんどんやっていくというのとは違うというところは御理解いただく必要があるかと思います。
事務体制がどういうものなのかも私はわかりません。それと昨年の話で、予算がどうなったかも私はわかりません。