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記者会見(平成30年4月24日(火))

日時:平成30年4月24日(火)15:38~15:50 於:消費者庁6階記者会見室

1.発言要旨

  • 宇賀委員長

    本日の調査委員会では、教育・保育施設等におけるプール活動・水遊びに関する実態調査について取りまとめを行い、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣に対して、再度必要な対策を求めることを決定いたしました。
    本実態調査は、幼稚園で発生したプール事故について事故等原因調査を行い、平成26年6月に、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣に対して述べた意見のフォローアップとして行ったものです。
    本実態調査では、26年に事故等原因調査報告書において示しました再発防止策が幼稚園等に十分に伝わっているか、実際に対策が講じられているか、また、プール活動にかかわる先生方がどのように受けとめているかを確認いたしました。
    その結果、再発防止策を示し、関係行政機関に対して意見を述べたにもかかわらず、類似の事故やヒヤリハットが依然として発生していることが明らかになりました。また、意見後に出された関係行政機関からのガイドラインや通知には一定の効果があったと考えられるものの、水の外で監視に専念する職員がいないとする回答が少なからずあるなど、十分な対策が講じられていない園が認められました。
    そこで、今回、本実態調査の結果を踏まえ、再度関係行政機関に対応をとっていただくべく、意見を述べることといたしました。
    再意見のポイントは3点になります。
    1点目は、事故の再発防止のため、水の外で監視に専念する人員を配置することができない場合には、プール活動・水遊びを中止することが必要であるという点です。
    2点目は、緊急時対応マニュアルの作成や、幼稚園教諭、保育士及び保育教諭への十分な情報の共有や定期的な訓練を行うことです。
    3点目は、いまだガイドラインを認識していない園があることから、ガイドラインや通知の内容をわかりやすく漏れなく伝えることです。
    その他、本日は、現在調査中の案件であります、太陽光発電システムから発生した火災事故等の案件、電動シャッター動作時の事故の案件について審議するとともに、過去に調査を行いました子供による医薬品誤飲事故及び家庭用ヒートポンプ給湯器事案につきまして、意見後の状況の確認を行いました。
    続きまして、部会の動きについて、委員長代理から説明していただきます。

  • 持丸委員長代理

    委員長代理の持丸です。今月の部会の状況を御紹介いたします。
    製品等事故調査部会は開催しておりません。
    私が部会長を務めますサービス等事故調査部会では、今、話のありました太陽光発電システムから発生した火災事故等、電動シャッター動作時の事故事案について審議を行いました。
    私からは以上です。

2.質疑応答

NHKの飯嶋です。よろしくお願いします。
プール事故の実態調査の件でお伺いしたかったのですが、附属資料としてチェックリストを作成されているかと思うのですが、今後、どういうふうに現場で活用してもらいたいか。まだ対策を講じていないという園も見られる中で、どういった対策を現場にしてほしいのかお伺いできたらと思います。
持丸委員長代理

今回の我々が手直ししたところの一つが、御質問のありましたチェックリストです。内容としては、実態調査の中に書いてあることがそこに要領よくまとめてあるわけなのですけれども、とにかく1~2枚ぐらいのものですので、これをできれば全ての園で一度目を通していただいて、チェックをするというようなことをぜひ心がけていただきたい。やはり今回の調査で、なかなか届かないと。届かないというのは、場合によっては、園長先生までは届いていたけれども、現場に届き切っていなかったとか、いろいろなケースが我々のほうでも見て取れます。
それに対して、ただ周知してくださいと繰り返すだけでも、こちらとしても少し不足なのかなと思いまして、一つのアイデアとして、そういうものを用意して、できるだけわかりやすくチェックしていただこうという趣旨でございます。

毎日新聞の岡と申します。よろしくお願いいたします。
今の御質問と関連するのですけれども、緊急時対応マニュアルの存在が、園長と教諭の間で知っているか知らないかの割合が大幅に違ったかと思うのですけれども、これについてどのように見ていらっしゃるかを教えてください。
持丸委員長代理

一般的なことしかお答えできないのですけれども、やはり管理側からすると、わかっている、やれているというケースはあるのかもしれないのです。認識の問題ですね。ところが、現場側からすると、いや、これだけのことをやろうとしたらば、実際にはなかなかずっと監視はしていられないですよという現実もあったのかもしれなくて、そういうようなところがお互いに十分に確認できないような場合では、ずれが出てくるのは仕方がないのかなと。
それもあって、我々としては、園に届くだけではなくて、最終的な皆さんのところに届くようにというのがすごく大事なことだというのが、今回、強く認識したところです。

朝日新聞の長谷といいます。お世話になります。
そのマニュアルの周知なのですけれども、これは各園にどういう形でこれまで徹底していて、周知できなかった理由、周知されなかった理由というのは、主にどういう点が挙げられるかという、現在の見方を教えてください。
持丸委員長代理

済みません。後でちょっと補足をいただくかもしれません。
私の理解では、基本的に我々は、例えば、文部科学省とか厚生労働省に対してこういうような内容を周知してくださいというお願いをいたしまして、そこから一つのラインですね。自治体を通すものは自治体を通すし、そういうような形でそれぞれの園に行ったものと理解しています。ただ、実態として、皆さんもお忙しい中に、過去、例えば、プールの事故はうちでは起きていなかったよな、うちは安全にやっているよなというようなところは、もしかしたら、来て、園長先生が目を通して、うちは大丈夫だというところで末端まで行っていないというケースがあったかもしれません。
こういうものは、この案件だけではなく、誰が悪いということではないのかもしれませんけれども、結果的にそういう漏れから事故が起きてしまうので、我々としては、うちは大丈夫というのではなくて、できるだけ下まで届くように工夫を重ねていきたい。こういうような形でございます。

たびたび済みません。毎日新聞の岡です。
今回、ポイントに挙げていらした水の外での監視体制について、そこでまず1番におっしゃった理由を改めて教えていただけますでしょうか。
持丸委員長代理

御存じかもしれませんが、ヒヤリハット的な再発が起きているのですね。もちろんそれと今回のフォローアップは必ずしもかみ合っているわけではないのですけれども、やはり前回の事案のときでも監視をする人が水の外にいて、それに専念できていなかったのではないかということがあって、今回、別件で起きたものもどうもそういうことらしい。こちらはまだちゃんと調べがついていないのです。我々が今回メーンに出した調査からも、どうもそこが徹底できていないらしいというところが見えてまいりました。
その中で、今回は、見ていただくとわかりますが、強目に言葉を出しておりまして、とにかく監視する人を確保してくれと。確保できないのであれば、そのときは中止を考えてほしいということを申し上げております。その監視というのは、監視をする役割ということで、本当にその監視だけをしている人が水の外にいて、外にいるというのは視点が上からちゃんと見られるようになっているということを極めて重要視しているということです。
やはり暑くなってまいりまして、また今年もプールのシーズンで、我々としては痛ましい事故をとにかく再発させたくないという思いがすごく強いものがありまして、人手が足りない場合は、きちんとトレーニングをした、もしかしたら職員でなくてもいい、つまり、お子さんが水に触れる経験をとればリスクは減るのですけれども、何も取り上げなさいと我々は申し上げているわけではなくて、安全にその経験ができるような体制をぜひとってほしいし、どうしてもとれないときは、もうしようがないから諦めることを考えてほしい。今回はそこを強く出した。それも調査と事故の経験からということになります。

共同通信の植木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
今のところで関連してなのですけれども、水の外で監視に専念する職員がいないことの理由として、人員が不足しているとか、予算が不足しているという回答があったということなのですけれども、これは事故調としてもそう考えているということでよろしいのでしょうか。
持丸委員長代理

ここはなかなか答えが難しいのですが、そういう答えがあったということはまず認識していいです。それから、今回の分析の中でも、それと関係するかどうか我々は特定できませんけれども、やはり公立とか、そういうところと、私立のところにちょっと統計的な差が出ている。そういうのを考えると、規模が小さいところとか、そういうようなところは、もしかしたら人員の配置が難しいという事情があるのかなということは、我々も何となくは察しています。察しているというのは、そういう可能性があり得るだろうと。それを承知した上で、ですから、人員を配置してほしいということと、もしどうしても配置できない場合に、職員でない方でも、トレーニングを受けて、ボランティアでも参加していただくことをぜひ考えてほしい。そういうような形になっている。