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記者会見(平成27年7月17日(金))

日時:平成27年7月17日(金)15:58~16:38 於:消費者庁6階記者会見室

1.発言要旨

  • 畑村委員長

    本日の調査委員会では、まず、子供による医薬品の誤飲の事案について、事務局からチャイルドレジスタンス包装容器のパネル試験の結果や、包装容器の導入、普及の課題について、部会での審議結果の報告を受けました。
    次に、染毛による皮膚障害の事案について、事務局から部会で専門委員から報告のあった内容や、報告書素案の検討状況について説明を受け議論をしました。
    染毛の問題というのを少し詳しくお話ししたいと思います。これは、普通に今まで消費者事故調で取り扱ってきた、例えばエスカレーターであったり、その他のいろいろな工業製品というものがどんなふうに使われて、どういうところでどんな事故が起こって、その事故が再発しないようにするにはどんなふうに考えて、何をやっていったらいいかと考えて、調査結果を出すということをやってきたわけです。ですから、この委員会のやってきたやり方の最大の特徴は、誰に責任があるかという責任追及をやるというのは全く目的にしていなくて、何かそれまでに考えていたことに考え落としがあるのだったら、そこに気がついて、それがどんなメカニズムというか、どういう順序で事故に結びついていったかというのを明らかにして、そういうやり方でやることで、事故が再発しないようにしようと。この事故の再発防止というのを目的にして、今まで調査をやったり活動をして、それで分かったことの提言をするということをやってきました。
    それが一番典型的に現れて出てきたのがエスカレーターの事故だったと感じています。あれは責任追及ということは全然考えていないで、それでいて、普通に考えたらあのやり方でいいと思って使っていたのに、それで事故が起こっている。そうだったら、何かの考え落としがあるのだろうというので、考えごとをしようと探していって、それで気がついてみると、ハンドレールのところに人が接触したときに、人を持ち上げてしまう力が出るなんということは誰も考えていなかった。しかし、そのことが起こって人が亡くなった。それはなぜ起こったのか、どんなからくりで起こったのかというのを丁寧に追いかけていって、それで報告書ができ上がりました。それが前回報告書でやったものです。
    今回の染毛の事故というのをやるようになると、一番初めに染毛と聞いた途端にみんなはどんなことを思い浮かべるか、髪の毛が黒いのを茶色に染めたくなる人がいるのではないのか、私の感じで見るとそういうのは物好きに見えるのですが、そういう人もいる。だけれども、圧倒的にたくさんの人がそれをやるのは、昔なら白髪染めといった言葉で言っていたもので、年を取って、ごま塩頭になったり、白くなったりするというのがとても気になるから、それを黒く染めたいというので、そういう形で髪の毛を染める人というのがたくさんいて、そういう人がいること自体は別に構わないのだけれども、実はその染毛剤が基になって、とてもつらい、皮膚に症状が出るというトラブルが実はたくさん起こっています。そんなトラブルがあるなら染毛というのをやめてしまえばいいではないかと、染毛しない人はそういうふうに考えるけれども、本当は、自分の髪の毛をそういう色に染めて、自分が生きがいを感じるふうに生活をしていくということをやりたいという要求が本当は非常に強くて、ですから、仮に何かのトラブルがあったとしても、それでも染毛をやりたいという人が世の中にいっぱいいます。この事案を取り上げるまで、私自身もそういうことを知りませんでした。そういう要求が非常に強いのだということを知らなかった。
    しかし、日本中で生きている人の半分は女の人で、半分は男ですが、半分の女の人のほうは髪の毛に白いのがまじるようになっていくときに、いつも真っ黒にしておきたいということが物すごく強くて、結局、染毛をすることによって、トラブルが起こっていることを知ってはいるのに、その染毛剤を使わなくするという選択はほとんど実際には行われずに、いろいろなトラブルが起こっていることを知りました。
    特に、それのひどい例というのは何かというとアレルギーです。その人の体に合わないでアレルギーが発症すると、皮膚に吹き出物が出る形が最終的にはいろいろ起こってきます。しかし、それでも自分の染毛剤とそういうものがアレルギーで起こってしまっているのだということ自体に気がつかなかったり、自分が認めたくなかったり、いろいろな理由でそれがアレルギーで起こっているのだということの対応ができないということが起こっています。
    これに関与する人というのは、例えば染毛剤を作る人もいるし、美容院のようなところで染めるという人もいるし、今度は、皮膚にいろいろな発症をしたから、それに治療をするお医者さんがいたり、そのお医者さんも皮膚の専門の人もいるし、専門でない人もいるし、いろいろな人がいる。そうすると、結局はどうも見ていると、染毛でアレルギーを発症する人というのは、何パーセントかの人は発症をするようになって、しかも、その人は染毛剤を使わなくなる以外にこのことから逃げ出すというか、治療をするというのは方法がもうないのです。でも、そういうことを私たちが知らないで、世の中の人がいっぱい知らない状態のままでいろいろな物事が進んでいて、それでいろいろ苦しんでいるし、トラブルが起こっているわけです。
    そんなに大きな、重篤なアレルギーが発生するものが世の中に普通に使われたままでいること自体も知りませんでしたし、それをそう理解していないために、一体どうすればいいのかという議論を実は今日だけでなくて、前回もやっているし、その前からもずっと議論をやっています。非常に長い時間をかけて本質的な議論をやっているのですが、まだはっきりと何をすればいいのかというものの方向もまだよく見えません。なぜそうかというと、今までやってきた事故というのは、例えば工業製品だったら、それを作るときのおかしさ、さもなければ取りつけた後の運用のおかしさ、さもなければ設計して作るときに最初に考慮しなくてはいけないことが、きちんと考慮されていなかったことで起こっているとか、そういうことが明らかになれば、対応することが可能だったし、事実そういうことを意見で言ったり、提言で言ったりすることで、少しずつ世の中で共有されて進んでいくということができていたように思うのです。
    ところが、今回、この染毛の問題を取り上げてみたら、全然、今言ったようなやり方や考え方をそのまま当てはめることができません。それはなぜかというと、人が生きているということ自体に直結していて、トラブルがあって、皮膚にいろいろな発症が起こっているというのを知っていても、それでも髪の毛を染めるという動作をやめたくないという人がいっぱいいて、そこで非常に重篤な症状が起こっています。そういうことが起こっているというのを薄々知っていたり、聞いたりしている人というのはいっぱいいるのですが、本当にアレルギーが起こるとこんなにひどいことになるぞというのを、直接、言葉で知ったり、画像で知ったり、さもなければ誰か人の話で聞いたりとかで、実物を見たり、知ったり、感じたりすることができないまま進んでいることのように思うのです。
    もう何回もこの議論をやっているのに、一体どういうふうにこれに対応していったらいいかという議論をやって、今までと違うことをやらなければいけなくなったということがあります。それは染毛剤を使う人が、人それぞれによってアレルギーの反応を起こし得るということを知っていること。それから、このアレルギーで出た症状というのは、実は治す方法がないのだということ。これを使わなくなったら自然に治るのだろうと思っているとそうならないで、体質自体が、アレルギー物質が入ってくることで体が攻撃を受けたようになるので、体が変わってしまうのだという理解を使う人だけではなくて、これを見る人、お医者さんもそうだし、理容師や美容師の人もそうだし、それから最も大事なのは、これをやる御当人がそういうことをきちんと理解していることが大事なのです。ところが、そういう理解がないまま事は全部進んでいるのです。
    今日もその議論を随分長いこと、この委員会でやってきたのですが、私は結局何をしなければいけないかというと、染毛剤、これは変なことが起こるから、それは悪いものなのだから、使うのを禁止してしまえと一番最初はそんなことを考えていた。そんなことはもう歴史的にできないのです。そういうことができないというのは、よその国では、禁止したりなんかしても、結局は使うようになっていったとか、そういうことがいっぱい歴史があります。
    そういうので見ると、この染毛剤で一番多く使われている物質があるのですが、それの持つアレルゲンとしての性質を知っていて、そして、それをみんなが共有して、きちんと検査をして、アレルギー反応が起こらない人だけが使うとか、さもなければ、それでも使っている人はこれから先使うと、こういうことが起こるぞというのを知っているとか、本当にアレルゲンになる物質の特性と自分の体というものとの関係をみんなが正しく理解するようなものをやらないと、もうやりようがないのではないか。
    そうすると、私たちが何かの原因を究明して、それで対策が打てるような、随分単純な形のものとは違うのではないかというのに気がついて議論をやっています。そうしたら、今、言っているアレルギー反応が起こってくること自体を社会全体が正しく理解して、使う人も、使って染毛してやる美容師の人も、皮膚科のお医者さんもみんながこういうことを共有して、その中でこの物質にみんなで対応していかないといけないのではないかと考えるようになりました。
    今日は、ここで突然に委員長がいつもは余りしゃべらないのに、長々と変にしゃべり出したぞという気はするのだろうと思うのだけれども、もうこれは意識してお願いがあって、ここでしゃべろうと思って来ました。世の中でみんなが危なさとか、おかしさとか、大変さを共有して、自分で判断してくれるというのをやらない限り、最後に実現したい重篤なアレルギー反応というものを予防する方法というのは、多分もうないだろうと思うのです。そうすると、消費者安全調査委員会で一生懸命に原因の究明をやって、どこに提言をやって、意見をやって考えて、それはやりますが、そういうことではもう多分無理なのです。そうすると、社会全体できちんとそういうことの知識を共有できるようにするというのが、一番大事だと考えるようになってきました。
    まだこれからもこういうことの審議をやるし、みんなで調べたり、考えたり、議論したりすることをやりますが、記者の皆さんに染毛で起こるアレルギー反応ということの理解を正確にして、どこかで新聞でもテレビでも、どれでもいいし、いろいろなメディアがあると思うけれども、そこで世の中に正確にそのことを伝えてもらって、社会全体で共有ができるようにすることを始める以外ないのではないかなと思うようになっています。そうすると、ここの記者会見の場で今日はこういうことをやりました、こういうことを考えています。それで質疑応答をやるというのもあるけれども、それよりもっと大事な、本格的な消費者の問題というのに対応するには、記者の皆さんに一緒にやってもらって協力してもらうというのをお願いしないと、もうだめなのではないかと思うようになってきたので、頼まれもしないのに長演説をやってしまったのだけれども、是非こういうことをよく理解して、みんなに伝わるようにして、それでこの問題が起こらなくなるような、そんなことをやりたいから、ぜひ協力をお願いしたいと思っています。
    これはお願いで、もう委員長としてはここでおしまいなのだけれども、調査等の状況、その他については、持丸委員長代理に説明していただきます。長丁場でごめんなさいだけれどもお願いをしました。

  • 持丸委員長代理

    それでは、部会での検討状況を御報告いたします。
    子供による医薬品の誤飲と染毛の皮膚障害、今、畑村委員長がお話になった件です。子供による医薬品の誤飲の事案については、医薬品の包装容器の在り方について、食品・化学・医学部会では医学的な見地から、工学部会では技術的な見地からそれぞれ議論を進めております。
    工学部会のほうで御存じのとおり、医薬品の誤飲防止に有効と考えられるパッケージのデザイン、子供が開けにくくて、かつ、肝心の使用者である高齢者などがきちんと開封できるというのを、チャイルドレジスタンス・シニアフレンドリー、CR-SFと呼ぶのですけれども、この包装容器を試作してパネル試験をやっている。この実施結果と、それを本当に導入、普及していくための課題といったものを専門委員と事務局から報告を受け、議論をしております。食品・化学・医学部会のほうでも、その調査結果と報告書の取りまとめに向けた進捗状況について事務局から報告を受け、議論をしているという段階にあります。
    染毛による皮膚障害については、今、畑村委員長より紹介がありましたけれども、専門委員のほうから染毛による皮膚障害の現状や課題について説明を受け、最終的には消費者知識と意識を変えていくということを何とかしなくてはいけなくて、このための手段として、先ほども話があった製品、メーカー、サービス、美容院とか医師といったところと消費者に、どうやってアプローチをかけていこうかということを今は専ら議論している段階で、最終的に報告書にどうやって取りまとめていくかというのを、今ちょうど様々に検討している段階ということでございます。
    私からは以上です。

2.質疑応答

朝日新聞の重政です。
委員長、染毛のこれは今後、どういう結論に持っていくのかという方向ですけれども、今までは全部報告書を出して、関係大臣に再発防止策提言みたいな形でしたけれども、今のお話を聞くと、そういう再発防止策を作るというよりも、事故調として、注意を呼びかけるという内容のほうになるだけになりそうなのですか。
畑村委員長

そんなものでいいのかという話になるわけですね。

はい。
畑村委員長

ただみんなに呼びかけるだけでいいのかと。多分そうではないのです。だけれども分からないのです。本当に分からないから議論している。だから、例えばこういうことです。検査で分かるのだったら、検査を義務づけたらいいだろうとか、アレルギーになる前に全員にきちんと検査をして、使っていいか悪いか、そういうことをやるようにしよう。そうしたら、それはそれでいいよと。そうだったら染毛剤の箱なり何なりに使用上の注意というので、そういうのを書くことを義務づけて、必ず全部読むようにしようというので、そうやればいいではないかと。そういうふうに考えると、箱にはもうちゃんと書いてあるのです。検査をちゃんとやらないといけないというのも、危ないぞと書いてあるけれども誰もやらない。そうだったら、箱のそのとおり使わないのがおかしいのだからとなる。
今度、美容院に行ったとき、染毛してくれというお客さんがいて、そしたら、美容師の人はお客さんがそう言ったら必ず説明することというので、不動産の何かをやるときだったら説明して、説明を受けましたというサインをさせられるではないですか。本当に説明しろとなったら、それと同じことを美容院でもやれというのでということになる。そんなことを本当に言ったら、面倒くさいから行かないというので来なくなってしまったらと美容院の人だと考えるよねと言ったら、形の上でサインしてくださいときっとなる。そうすると、そんなことで本当に防げるのかといったら防げっこない。
その次、今度はお医者さんのほうです。お医者さんのほうも染毛剤とアレルギーとの関係があるということを知らない状態で、皮膚がこんなふうにぶつぶつが出てしまったから見てくださいというのを言ってきたら、医者のほうはアレルゲンというので基が何になっているかをまず検査しなければいけない。そうすると、それを検査するのは正味48時間かかる。皮膚に何かを貼りつけるというのが、このごろはできたのだそうだけれども、それより前は薬液を混ぜて、それの濃さと大きさがきっちりなるものを皮膚にくっつける。こすってはいけないし、触ってはいけないし、お風呂も入ってはいけないし、そんなものになっている。2日やって結果が出て、その人はアレルギー反応を起こす人か、そうでないかというのが分かって、今度は対策を考えていくとなりますと。
そういうところまで患者として来た人がそれに耐えてちゃんと協力するか、医者のほうもそういうアレルギーがあるときに染毛剤だということを考えて調べ始めるかといったら、きちんとそういう知識、スキルもちゃんと持って全部やれるのではないとできないよねと。そういうふうになったときに先ほど言ったような、美容師の人もお医者さんもそうかもしれない。でも、そうだとすると、一番大事なのは御当人が一番苦しむのだから、そういう危なさがあるというのを知った上で、ちゃんとそれを使うとか使わないということをやらないといけない。
今、言っている染毛剤で一番みんなが使いやすいというものは、アレルギーの反応があるけれども、そうではない種類のものというのがあって、そういう別の染毛剤というか、色をつけるようなものだけれども、そういうものをやると、それならそれでもできるではないかというのはあるのだけれども、それは2週間しかもたないとか、洗うと取れてしまうとか、そういう性格があるのだそうです。そういうふうに見ると、一番便利な材料なのは、私はよく覚えられないのですが、何だったか。

事務局

PPDです。

畑村委員長

PPDだけれども、それをもっとカタカナで。

事務局

パラフェニレンジアミンです。

畑村委員長

何だか口がうまく回らないのだけれども、そういうものです。
そういうものが結局一番便利だから、世界中で使われたままに今はなっているというのを知ると、普通にその物質が特定できてそうだから、それを使わなければいいなんてことはできない上に、どう対応するかも今までやったような考え方では、だめではないかということになっています。すごく難しい問題でよく分からない。
最初の質問で、いつまでやるのですかと。本当は1年たったら結果を出すという法律になっているのです。それでやってきたのです。それがあと何カ月かすると来るのだけれども、本当に今言っているような状態で結論を出せるのかといったら、私は無理ではないかと思う。とすると、今度は延びますと言う準備をしなければいけない。そこもまだよく分からない。だから、どう考えていったらいいかよく分からない。何かだらしのない委員長が変なことを言っているぞとなってしまうかもしれないけれども、本当に真面目に考えて今やって、分からないしか今は言えません。誰に何を言ってどうすればいいかというのも分からない。
でも、先ほどから言っている染める人自身が、その問題があるぞというのを知っている状態を作るのが、多分一番正解なのではないかと思うようになってきたので、せっかくある記者会見だから、自分で先に言い出そうというので話をしました。こんな記者会見なんて多分初めてです。でも、すごく大事だと思うのです。

共同通信の平田と言います。
私も髪の毛を染めているので、何とも言えないですけれども、例えばですが、議論の方向性として医師と美容師とか、使おうと思っている消費者の人たちがいかにその知識を共有するようにするかというので、ネットワークをどう作っていくとかを厚労省のところも踏まえつつ。
畑村委員長

だから、それが例えば医療行為に近いのだと考えたら、厚労省のところにこういう活動をやってくださいとか、やったほうがいいのではないですかとか、提言とか意見で言うというのはあるのです。でも、そこをやったら、それでおしまいかというと、最後に分かっているのはいろいろな会社が、いろいろな調合で作っている染毛剤を美容院にも行かないし、医者にも行かないし、自分で買ってきて染めてしまっているという人がいて、その人がトラブルを起こしているとすると、そうだったらちゃんとした状態、危なさとそれをちゃんと自覚して、どんなことが起こるかを知っている人を作る以外は、しようがないのではないかと思うようになってきたのです。
最初のうちは、ほかの事故では、結構誰かが何かをやりさえすれば、それが起こらないで済むという枠組みで考えていればよかったと思うのだけれども、どうもこの染毛剤はそういうものではないと思うようになってきた。あなたは全然トラブルが起こらないのですか。

実は、一部の事務局の方に御相談したのですけれども、私は襟足にぶつぶつができました。初めてでした。
畑村委員長

それは、すごく今議論している中で、最初に出たサインを見逃してそのままやってしまう人が多過ぎるから、だんだん次に進んでいって重篤になっていくというのです。

使う人がちゃんと認識した上で、さらに、もう一回使って皮膚障害になったら、それは自己責任だと思うのです。だけれども、その前提として、何か知っているという状況を。
畑村委員長

作らなければいけないよね。

私は、その方向性で突き詰めていって、中間報告があるのでしょうけれども、更に検討する形で。
畑村委員長

多分、中間報告にそれが書けるかどうかもまだ分からないのです。だけれども、報告書がみんなに知らせること以外にはもうやりようがないというので、それぞれに関係するところに提言や意見だという格好を言って、それでおしまいになるのかもしれないし、もうそれでいいかということ。でも、考えてみたら、今まで誰も知らないでそういう問題が仮に何かで起こってしまっているとしたら、そういう報告書が出て、みんながちゃんとやっていることがハードメンタルの事柄として、一番大事なのだというので発信をして、それでメディアの人たちがそれをまた報道してくれて、みんなの中に少しでもしみ込んでいったら大成功なのではないかと思うようになってきた。
だから、あなたのところでもぜひ報道してほしい。本当に大事だよね。誰も困る人がいるというのではなくて、それでいろいろなことが分かったら、世の中のためには物すごくなると思います。

日本消費者新聞の丸田です。
事故調が具体的な事故から原因究明していく。今回の場合は、去年の段階では、何度も何度も注意喚起がされていて、国民生活センターもいろいろテストをしていると思う。そのたびに事業者団体とか、あと厚生労働省も制度を持っているからということで一応制度があって、にもかかわらず、身近な製品として重大事故が起きていると。それはなぜなのかということと、再発防止に向けた提案ということをみんな期待していたと思います。
身の回りの製品で、ずっと事故が起きているというものに対しては、とても大事なことがあって、例えば化粧品ということにしても、アレルギーということにしても、あるいは洗剤の皮膚障害にしても、いろいろあると思います。染毛剤の特性みたいなものが、化粧品とか洗剤とはどこが違うのかとか、あるいは制度的に本当に十分なのかとか、あるいは先ほどおっしゃったメーカーのジアミンの物質自体のリスクの認知の仕方とか、個別具体的にいろいろ出てくる気もするのです。
そのときに、これだけ染毛剤というのは、リスクがいろいろなところであるということ。要するに、委員長がよくおっしゃっている旗をいろいろと立てて、道を立てて、そういうことを今やろうとされているから、報告書素案とおっしゃったので報告書素案自体が。
畑村委員長

本当は素案もできないのです。

そうですか。
畑村委員長

今、言っているところをどうすればいいのかが分からない。でも、取り上げないで逃げてしまうというのは多分いけないから、取り上げて進むのです。

茶のしずくの場合は、新しいものと古いものがあって、古いものに対してはいろいろ問題があったということですよね。土庫さんが、事務局長がおっしゃった。
事務局

製品の改良が行われた。

それは製品ですよね。
事務局

はい。

ということは、染毛剤は今回具体的に個別的事項を究明するに当たって、個別事項ですので、なぜ事故が起きたのかというのが、それなりに報告ができるとは思うのですけれども、例えば使用実態であるとか、あるいは表示であるとか、それが美容院で起きた場合は美容師の説明であるとか、そういうのがあるかと思うのですけれども、この染毛剤については、要するに、それ以降の事項だけではなくていっぱいあるわけで、そういうものを総合すると、先ほど、委員長がおっしゃったような方向性は検討中だということになるのでしょうか。
事務局

医薬部外品の中で、理美容師や消費者に対して、使用する際に、パッチテストと呼ばれている皮膚試験を先に行ってから、本使用というのですか、ヘアカラーのために使用してくださいという製品は非常に特殊でして、私どもが調べたところでは、この製品だけが自ら皮膚テストを求めて、大丈夫かどうかをそこで確認の上、使ってくださいという製品になっている。製品がもともと持っている危険性と恐らくかかわるのだろうと思っているのですが、皮膚テストを求めることによって、事故は十分防止されているかというと、かなり長い間、高いレベルで被害が続いているという実態がある。
それで、どうしたらよいかというのが出発点なのですけれども、今、委員長からいろいろお話がございましたように、どういう形で再発防止策を検討してよいかというのは、まだ現在進行形で審議をしていただいている状況です。

もう一つ、経過報告というのは1年でたしかあります。もうすぐかと思います。
事務局

昨年10月に選定しております。

そうか、10月ですか。
事務局

はい。1年以内に経過報告を公表する。

そうすると、今はもう素案とおっしゃっていたけれども、その中身も今。
畑村委員長

そんな立派なものにはならない。

法律では、1年ということになっております。これは報告書の中から原因究明の、それが経過報告になるのかということですが、委員会としてはどちらの方向ですか。
事務局

いつも申し上げているので恐縮なのですけれども、できるだけ早く出したいという思いがあると。他方で生煮えのものは出せないというのも当然なので、そういう意味で言うと、先ほど委員長からお話がありましたけれども、まさにどちらになるかは、まだ委員会としても、見きわめがつかない非常に難しい状態にある。それは先ほど委員長もおっしゃいました、いろいろな国での経験もあり、日本の国の中での経験もあり、従来の事故調のアプローチでは、なかなか一筋縄ではいかない案件であるということを、議論すればするほど実感させられている。
しかし、これは何らかのことで社会全体として、このリスクを共有しなければいけない。では、具体的にどういう方法があるのだ。それも絵に描いた餅ではなくて、どういう手法で実際にリスク重篤化を下げる方法があり得るのだろうかということを議論するたびに、この事案の難しさを実感しているというところでございまして、どちらかと言われても、正直私は決めたいのですけれども決まらないと。こういうところでございます。

それで一つ確認ですが、今の段階では、リスクの社会的共有化をどう図っていくかという。
畑村委員長

多分、それが一番大事なのではないかという気がします。

そこの経験ですか。
畑村委員長

はい。それが一番大事なのだけれども、今まで消費者事故調が取り扱ってきたもので、初めからそれの共有化というのが、それが結論ですと言ったら、調べもしないでそんなことをやって何だとなったと思うのです。でも、今度のこれについては、調べたら何が分かるのかというのはいっぱいあるわけです。それでいて、その中で本当の対応というのを考えたら、今までやっていたこととは違うことでないと、真の意味での対応をしたことにならないのではないかということになってきましたと。そうすると、先ほど言った中間の報告でやるのかというのは、多分そういうふうにならざるを得ないだろうというので、だから、最終報告がいつ出るかと言われても分からないし、どれも分からない。とても分からないところに船をこぎ出している感じがする部分があります。それでいてやはり有効で、少しでもトラブルが減るような方向に、提案ができることを考えなければいけないと思っています。

もう一つだけ確認で、電動車椅子はどうなったでしょうか。
事務局

今日は議論をされていません。

進捗状況は。
事務局

まさにそういう状況だと思っていただいて。

今日は、されていないということですか。
事務局

選定から1年を経過いたしますときには、経過報告をしたいと考えております。