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法律・制度の概要Q&A(平成29年8月版)

質問

総論

通報対象事実関係

通報先関係

保護要件関係

通報者の保護関係

その他

回答

Q1 零細企業など企業規模等によって、本法の規定の対象外となる場合はあるのでしょうか。
A

公益通報者保護法(以下「本法」といいます。)は「事業者」(本法第2条第1項)の範囲について規模による限定を設けていませんので、企業規模等によって対象外となることはありません。

Q2 本法の規定に違反し、公益通報者に対して解雇等の不利益な取扱いを行った場合、刑罰が科されたり、行政処分が課されたりするのでしょうか。
A

本法は民事ルールを定めたものであり、本法違反を理由に刑罰が科されたり、行政処分が課されたりすることはありません。

しかし、それとは別に、通報対象となる法令違反行為については、関係法令に基づき刑罰が科されたり、行政処分が課されたりすることがあります。

Q3 本法と、法令違反を通報した労働者を保護する個別の法律との関係はどうなるのでしょうか。
A

通報者の保護を規定した個別の法律としては、

  • 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
  • 鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)
  • 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)
  • 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)

などがあります。

これらの法律に違反する事実を通報した労働者の保護については、それぞれの法律の通報者保護の規定と本法の規定とが併せて適用されます(本法第6条第1項)。

Q4 どのような事実について通報を行った場合に、本法の規定により保護されるのでしょうか。
A

本法では、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として本法の別表に定められた法律(及びこれに基づく命令)に違反する行為のうち、犯罪行為又は最終的に刑罰につながる法令違反行為の事実について通報を行った場合を、保護の対象としています。

Q5 職場でのパワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントに関する通報は本法の「公益通報」(本法第2条第1項)に当たりますか。
A

パワー・ハラスメントやセクシュアル・ハラスメントについても、そのパワー・ハラスメントが暴行・脅迫などの犯罪行為に当たる場合や、そのセクシュアル・ハラスメントが強制わいせつなどの犯罪行為に当たる場合などには、本法の「公益通報」に当たり得ます。

Q6 職場の同僚等の私生活上の法令違反行為に関する通報は、本法の「公益通報」(本法第2条第1項)に当たりますか。
A

本法第2条第1項が「当該労務提供先の事業に従事する場合における・・・従業員・・について」としていることから、事業と全く無関係な同僚の私生活上の法令違反行為に関する通報は、本法の「公益通報」に当たりません。

Q7 過去に生じた事案を通報した場合、本法の「公益通報」(本法第2条第1項)に当たりますか。
A

過去の法令違反行為の事実についての通報によって、過去の被害が救済されたり、再発防止措置がとられたりすることも考えられるため、過去に生じた事案についての通報であっても本法の「公益通報」に当たり得ます。

また、本法施行前の法令違反行為や既に公訴時効が過ぎている犯罪事実についての通報も、「公益通報」に当たり得ます。

ただし、平成18年4月1日より前にされた公益通報については、本法の規定の対象となりません。

Q8 まず事業者内部に通報してからでないと、事業者外部には通報できないのでしょうか。
A

本法では、労務提供先等(労務提供先及び労務提供先があらかじめ定めた者)、権限を有する行政機関(通報対象事実について処分・勧告等をする権限を有する行政機関)、その他外部通報先(その者に対し通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者)の3つの通報先が定められています。

定められた通報先に応じて、それぞれ保護要件が設定されていますが、通報に当たっては、それぞれの保護要件を満たしていれば保護され、通報先又は通報の順序は問いません。

Q9 「請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合」(本法第2条第1項第3号)の「その他の契約」には、具体的にどのような契約関係が該当するのでしょうか。
A

例えば、卸売業者との継続的な物品納入契約、清掃業者との継続的な役務提供契約、コンサルティング会社との顧問契約などが該当します。

Q10 勤務先が取引先事業者との間の契約に基づいて事業を行っている場合に、勤務先と取引先事業者との間の契約とは関係のない法令違反行為の事実を取引先事業者に通報することは、本法の規定によって保護されるのでしょうか。
A

このような場合、その通報された事実が取引先事業者における法令違反行為の事実についてのものであれば、その法令違反行為が取引先事業者との契約内容と関係がないものであっても、本法の通報対象事実になり、労務提供先への通報として保護の対象となり得ます。

このような場合の具体例としては、清掃事業者で清掃業務に従事する通報者が、清掃業務を委託した会社における危険物の不適切な管理の事実を通報する場合などが考えられます。

Q11 自らの勤務先の法令違反行為について取引先事業者に通報した場合、本法の規定によって保護されるのでしょうか。
A

取引先事業者は本法第2条第1項第3号の規定により「労務提供先」となることがありますが、御質問の場合は、法令違反行為があった労務提供先に対する通報ではありませんので、原則として、労務提供先への通報としては保護されません(ただし、取引先事業者が勤務先に自らの業務の一部を委託しているような場合など、勤務先が取引先事業者の事業を行う場合における法令違反行為であって、通報者がその事業に従事する場合であれば、労務提供先への通報として保護される余地があります。)。

もっとも、取引先事業者に対して通報することが被害の発生・拡大を防止するために必要と認められる場合であれば、その他外部通報先(Q8参照)への通報として保護されます。

Q12 自らの勤務先と取引先事業者とが共謀して行っている法令違反行為について自らの勤務先に通報した場合、本法の規定によって保護されるのでしょうか。
A

この場合、自らの勤務先は本法第2条第1項第1号の定める「労務提供先」ですので、労務提供先への通報として保護されます。

Q13 取引先事業者の法令違反行為について自らの勤務先に通報した場合、本法の規定によって保護されるのでしょうか。
A

勤務先が取引先事業者に自らの業務の一部を委託しているような場合など、取引先事業者が自らの勤務先の事業を行う場合における法令違反行為であれば、労務提供先への通報として保護されます。

Q14 「信ずるに足りる相当の理由」(本法第3条第2号、第3号)とは、具体的にどのようなことでしょうか。
A

例えば、単なる憶測や伝聞等ではなく、通報内容を裏付ける内部資料等がある場合や関係者による信用性の高い供述がある場合などが考えられます。

Q15 「公益通報をすれば不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合」(本法第3条第3号イ)としては、どのような場合が考えられるのでしょうか。
A

「不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由」は、個別の事案ごとに判断する必要があり一概にいえないものの、例えば、

  • 過去に不祥事について事業者内部に通報をした従業員が不利益な取扱いを受けたケースが実際にあった場合
  • 社内規程に通報者に対する不利益な取扱いの禁止や通報者の秘密の保護について明記されていないなど、民間事業者向けガイドラインに準拠した、実効性のある内部通報制度が整備・運用されていない場合
  • 法令違反行為の実行又は放置について経営者の関与がうかがわれる場合
  • 社内の多数の者が法令違反行為に関与している場合
  • 既に発生している法令違反行為が重大であるため、それが明らかとなることによって、経営陣の処分につながるなどの事業者に対する極めて大きな影響がある場合

などの場合が考えられます。

Q16 「公益通報をすれば通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由」(本法第3条第3号ロ)としては、どのような場合が考えられるのでしょうか。
A

「通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由」は、個別の事案ごとに判断する必要があり一概にいえないものの、例えば、

  • 過去に事業者内部になされた通報について、証拠が隠滅されたケースが実際にあった場合
  • 法令違反行為の実行又は放置について証拠を保有している者や経営者の関与がうかがわれる場合
  • 社内の多数の者が法令違反行為に関与している場合
  • 既に発生している法令違反行為が重大であるため、それが明らかとなることによって、経営陣の処分につながるなどの事業者に対する極めて大きな影響がある場合

などの場合には、証拠隠滅等のおそれがあると信ずるに足りる相当の理由があると考えられるほか、

  • 重要な証拠が適切に管理されていないなど、証拠隠滅等を行おうとすれば容易に行い得る状況にある
  • 社内規程に通報処理に従事する者の利益相反関係の排除や通報に関する情報共有範囲の限定について明記されていないなど、民間事業者向けガイドライン等に準拠した、実効性のある内部通報制度が整備・運用されていない
  • 事業者に不利益な事実について、虚偽の報告・公表や不利益な部分を恣意的に伏せた報告・公表がなされたケースが実際にあった

などの事情は、証拠隠滅等のおそれがあると信ずるに足りる相当の理由の有無を判断する際の考慮事情になると考えられます。

Q17 「前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合」(本法第3条第3号ハ)としては、どのような場合が考えられるのでしょうか。
A

例えば、

  • 上司から、労務提供先の通報対象事実について、正当な理由なく、事業者内部の通報窓口又は権限を有する行政機関へ通報をすることを口止めされた場合
  • 社内規程で行政機関を含む事業者外部への通報が一律に禁止されている場合
  • 社内調査によって通報対象事実の存在が明らかになったにもかかわらず、正当な理由なく、会社の方針として権限を有する行政機関への報告及び公表を行わないことを決定した場合

などの場合が考えられます。

Q18 本法第5条で禁止される公益通報者に対する「不利益な取扱い」とはどのようなものでしょうか。
A

本法の規定によって禁止される不利益な取扱いは、解雇、停職、減給、戒告等の懲戒処分に限られず、

  • 従業員たる地位の得喪に関する不利益な取扱い(退職願の提出の強要、労働契約の更新拒否、本採用・再採用の拒否、休職など)
  • 人事上の不利益な取扱い(不利益な配転・出向・転籍・長期出張などの命令、昇進・昇格における不利益な取扱い、懲戒処分など)
  • 経済待遇上の不利益な取扱い(基本給・諸手当・一時金・退職金・福利厚生給付などにおける不利益な取扱い、昇給・一時金における査定の差別、損害賠償請求など)
  • 精神上生活上の不利益な取扱い(仕事を回さない、雑作業をさせる、会社行事に参加させない、個人情報・秘密の意図的な漏えいなど)

などの行為も禁止されます。

Q19 公益通報した労働者を、就業規則上の守秘義務違反により懲戒処分できるのでしょうか。
A

本法の要件を満たす「公益通報」(本法第2条第1項)については、労働者が労働契約上負っている守秘義務が解除されるため、守秘義務違反を理由とする懲戒処分はできません。

Q20 公益通報について、名誉毀損等を理由とする民事上の損害賠償責任は免責されるのでしょうか。また、公益通報について、刑事上の名誉毀損罪は成立するのでしょうか。
A

個別の事案ごとに判断する必要があり一概にはいえないものの、本法の要件を満たす「公益通報」(本法第2条第1項)については、通常、違法性が阻却され、通報者が、公益通報をしたことを理由に刑事責任、民事責任、服務上の責任等を負うことはないと考えられます。

Q21 通報するために、労働者が法令や内部規則に違反して、法令違反行為を証明する資料等を持ち出した場合、本法の規定により不利益な取扱いは禁止されますか。
A

通報者による通報が本法の「公益通報」(本法第2条第1項)に当たる場合、公益通報を理由とした解雇等の不利益な取扱いは本法の規定により禁止されます。

しかし、それとは別に、法令違反や内部規則違反を理由とした不利益な取扱いについては、事例ごとに判断されることとなります。

Q22 労働者が自ら行った法令違反行為を通報した場合、本法の規定により不利益な取扱いは禁止されますか。
A

労働者が自ら行った法令違反行為についての公益通報であったとしても、その公益通報を理由とした解雇等の不利益な取扱いは禁止されます。

しかし、それとは別に、通報者が行った法令違反を理由とした不利益な取扱いの当否については、事例ごとに判断されることになります。

なお、刑事責任については、刑法上の自首等の要件を満たす場合には、刑の減軽等が認められることがあります。

Q23 国際的な事案においては、本法の規定はどのように適用されるのでしょうか。
A

国際的な事案における本法の規定の適用については、法の適用に関する通則法(平成十八年法律第七十八号)の規定によることとなります。例えば、通報を理由とする解雇の有効性についての準拠法は、労働契約の効力についての準拠法を定める法の適用に関する通則法第12条の規定によって判断されることになります。

(参考)
法の適用に関する通則法(平成十八年法律第七十八号)

(当事者による準拠法の選択)

第七条
法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

(当事者による準拠法の選択がない場合)

第八条
前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。
  1. 2前項の場合において、法律行為において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地法(その当事者が当該法律行為に関係する事業所を有する場合にあっては当該事業所の所在地の法、その当事者が当該法律行為に関係する二以上の事業所で法を異にする地に所在するものを有する場合にあってはその主たる事業所の所在地の法)を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。
  2. 3(略)

(当事者による準拠法の変更)

第九条
当事者は、法律行為の成立及び効力について適用すべき法を変更することができる。ただし、第三者の権利を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない。

(労働契約の特例)

第十二条
労働契約の成立及び効力について第七条又は第九条の規定による選択又は変更により適用すべき法が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法以外の法である場合であっても、労働者が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を使用者に対し表示したときは、当該労働契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。
  1. 2前項の規定の適用に当たっては、当該労働契約において労務を提供すべき地の法(その労務を提供すべき地を特定することができない場合にあっては、当該労働者を雇い入れた事業所の所在地の法。次項において同じ。)を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。
  2. 3労働契約の成立及び効力について第七条の規定による選択がないときは、当該労働契約の成立及び効力については、第八条第二項の規定にかかわらず、当該労働契約において労務を提供すべき地の法を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。
Q24 行政機関以外の「その他外部通報先」向けの通報対応ガイドラインはあるのでしょうか。
A

「その他外部通報先」は多種多様であるとともに、行政機関がガイドラインを定めることが適当でない場合もあると考えられることから、ガイドラインは設けられていません。

Q25 行政機関以外の「その他外部通報先」の者が公益通報を受けた場合、どのような点に留意して対応するとよいでしょうか。
A

本法には、「その他外部通報先」が公益通報を受けた場合の対応についての規定はありませんが、通報内容に理由があれば、問題を是正するために適切な対応をすることが求められます。

また一般的に、公益通報は、事業者の社会的信用や営業秘密、通報者の個人情報等に関係することから、それらに十分配慮して対応することが求められます。

担当:消費者制度課