岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成30年5月23日(水))
日時:平成30年5月23日(水)14:00~14:14 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室
1.発言要旨
今週は子どもの事故防止週間でございます。私からも平成29年度子どもの事故防止調査の結果についてご報告申し上げます。
本日、子どもの事故防止に関する意識調査の結果を公表いたしました。昨年7月に徳島県に設置した消費者行政新未来創造オフィスは、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとする消費者行政の発展・創造の拠点として、徳島県を実証フィールドとしたモデルプロジェクトや調査研究事業を展開しています。この度、徳島県をはじめ、子どもや子育てに関わる関係者のご協力を得ながら、徳島県内の保護者を対象に本調査を実施し、成果を得ることができました。
本調査では、事故に関連する知識の習得、事故防止の対策を実施している割合は、父親に比べ母親の方が総じて高いという結果が得られております。さらに、事故を防ぎたいという意識についての配偶者間の比較を尋ねたところ、父親自身は「母親の方が高い」と感じ、逆に、母親自身は「父親の方が高い」と感じていることも分かりました。
父親、母親ともに事故防止への意識には向上の余地があると推測されますが、事故に関連する知識等が母親に比べて父親には不足していることから、消費者庁は今後、事故防止の知識などを父親に伝えていく取組を積極的に進めてまいります。
5月28日の消費者月間シンポジウムでも、本調査の企画立案に客員主任研究官として関わった鳴門教育大学の坂本准教授が本調査の結果の一部を紹介する予定です。
今後も本調査の結果の分析を進め、その成果を情報発信するとともに、子どもの事故防止に関わる施策に生かしてまいります。
私からは以上です。
2.質疑応答
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問
NHKの飯嶋です。
長官からもお話がありましたが、母親より父親の方が、知識や対策を実施している割合が少ないという結果になりました。もちろん母親たちへの情報提供も引き続き行われると思うのですが、改めて父親たちへの情報提供をどのように進めていかれたいか、もし具体的な案がございましたら教えてください。 -
答
母親の方たちは、ネットワークもおありだと理解しております。また、母親になる前の準備段階から意識高く準備をされている方が多いかと思います。
これから消費者庁としては、父親になる前の方も、少しずついろいろな情報に接していただけるよう、特に若い方々に向けては、こういった機会での発表だけでなく、ツイッターなどで呼び掛け、また、分かりやすい内容の、そして心に届くようなメッセージを、あらゆる機会に発していきたいと思います。
イベントにつきましても、以前よりはお父様方に参加していただけるようになっていますから、積極的に地域の方々と触れ合うイベントではお父様向けの呼び掛けも用意するようにいたしますし、そういったところに参加してくださったお母様たちからお父様に見せやすいような啓発冊子を工夫していきたいと思います。
特に夏の水の事故など、お父様たちもしっかりと勉強した上で気を付けていただきたいと思っています。 -
問
朝日新聞の滝沢です。
事故調査に続けて、今、水の事故についてのお話も出ましたが、調査の内容で、「ライフジャケットを川で遊ぶときに着けていますか」という項目があったかと思います。どの年齢層も、多くても3割弱ぐらいの結果だったと思うのですけども、今回、事故防止週間のテーマにもなっているかと思いますが、この結果、この数字、どのように受け止めていますか。 -
答
数字を高くするために、行政も努力していかなければと改めて感じているところでございます。
- 問 それはつまり、低いという意味でしょうか。
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答
万全とは言えないと思います。ただ、3分の1の方は分かってくださっているわけです。少しでも今の状況より高くするために、仕事をしたい、と改めて責任を感じているところでございます。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
父親に対する情報提供のあり方といいますか、昨日、池袋の子ども事故予防センターに同行取材させてもらいました。健診で保健所だということあり、母親が圧倒的に多く、保護者の方であってもなかなか父親として行く機会がないのではないかというふうに思いました。
父親に対する情報提供のあり方というのは、先程おっしゃったようにいろんなイベントもあってということなのですけども、自治体に対して何か具体的な提案はないものでしょうか。 -
答
それぞれの自治体も工夫してくださっていると思いますし、今回、特にお母様方が来てくださることが多い健診の機会に、体験型施設も見学させていただいた次第です。消費者庁から地方の方々には、それぞれの工夫をお願いするとともに、私どもとしても全国でよい取組があれば、それを紹介していくということは行っていきたいと思います。
また、仕事をしている人たちは、男女を問わず昼は仕事をしている方が多いわけですから、週末ないし夜の時間に見ていただけるような情報発信もしなければ、と思います。イベントを企画するとき、また、勉強会をするときなどには、なるべく多様な参加者の方にご関心を持っていただけるように、内容も、日程スケジュールも工夫していかなければと思うところでございます。
そういった中で、やはり動画であれば見やすい、分かりやすいということが最近の普通の感覚と思います。具体的に今の段階で地方への指示というようなところについて、ご報告できるわけではございませんが、我々からの発信を工夫することで、全国の方々にも工夫をしていただき、全国的な水準を高めていきたいです。
そこでは先程の滝沢記者のご質問にも答えることになりますが、まだまだ向上の余地があると感じるところが多い消費者側の意識ですので、私どもも努力をしなければと思っております。 - 問 もう一点質問があるのですが、水の事故と同時に、幼児用座席の自転車のことについても注意喚起をされていますが、その中には確か、定期点検、自転車の定期点検が推奨されていたと思うのですけれども、自転車の点検というのは、なかなか使用実態として行っていないのではないかということがあり、必要だということが書かれていますが、事業者団体への定期点検のお知らせや、あるいは便宜を図った定期点検のあり方、そういうことは要請されていらっしゃるのでしょうか。
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答
大変有り難いご指摘だと思います。日常生活では後回しにされがちな点検、整備といったことに関する注意喚起は、流通過程に関係している人たち、また製造しているメーカーなど、企業の側(がわ)が消費者のために工夫していただければ、消費者庁全体で進めております消費者志向経営の推進ともつながることでございます。行政も努力いたしますが、企業の方にも是非お力添えを頂きたいと思うところでございます。
そして消費者の安全に配慮した商品開発、またその後の整備状況などへの配慮も含む使い方についての、ガイドブックをつくる、といったメーカー側、また販売店側のご尽力により、子供たちの安全のため、よい循環を生み出す消費生活を目指したいと思います。