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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成29年11月22日(水))

日時:平成29年11月22日(水)14:00~14:29  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

まず、平成29年度「地方消費者行政の現況調査」について申し上げます。
消費者庁において、「平成29年度地方消費者行政の現況調査」を実施しましたので、本日、公表いたします。
消費者庁では「地方消費者行政強化作戦」を策定しており、本調査でその達成状況が明らかとなります。今回の調査では、昨年に引き続き、全ての自治体に相談窓口が設置されていることが確認されたほか、消費生活センターが設置された市区町村が増えており、また、消費生活相談員を配置する市区町村が増加していることが確認されました。
一方で、都道府県別に見ますと、消費生活センター設置率の低い地域や消費生活相談員の配置が進んでいない地域もあります。
次に、消費者行政予算については、前年に比べて増加しており、「自主財源」については平成24年度以来の前年比増となっております。
また、消費者安全確保地域協議会の設置については、「地方消費者行政強化作戦」で掲げた人口5万人以上の全市町での設置に対し、29府県では人口5万人以上の全市町で未設置となっており、全国的な設置が今後の重点課題となっています。
消費者庁としては、「一般財源の確保」のために、地方公共団体の長宛てに通知を発出するなど、体制整備に一層取り組んで頂くよう、様々な機会を通じて都道府県等に働きかけるとともに、地方消費者行政推進交付金等を通じて支援してまいります。詳しくは、この後、担当課から説明を行います。
次に、健康食品に関する意見交換会の開催について申し上げます。
消費者庁は、関係府省と連携しつつ、食品安全に関するリスクコミュニケーションの実施に取り組んでいます。このたび、本年12月13日に、東京、日本教育会館にて、「健康食品」をテーマとするシンポジウム形式の意見交換会を開催することといたしました。
本意見交換会では、消費者庁が作成した「健康食品Q&A」の監修者である国立健康・栄養研究所の梅垣先生から、このQ&Aに沿って説明していただくことや、行政担当者より健康食品の表示の見方や安全性確保の体制等の説明を行うこととしております。
また、消費者、有識者、食品事業者等も交えたパネルディスカッションでは、「健康食品との付き合い方」をテーマとして、それぞれの立場のご意見を頂きながら議論を進めたいと考えております。
本意見交換会によって、参加された皆様が、健康食品に対する疑問や不安を解決したり、理解を深めていただくことを期待しております。
報道各位におかれましては、意見交換会の開催について、消費者の皆様への周知にご協力頂きますよう、お願い申し上げます。そして、開催当日の内容についても報道していただけるなら大変ありがたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

データ・マックスの木村です。
20日の日に規制改革会議のワーキングで、食薬区分の運用見直しで、食品についての機能性表示食品の運用の見直しの話がまとまったのですが、それを受けて、今後、消費者庁の取組予定などについてお願いします。

ご指摘のとおり、11月20日の規制改革推進会議医療・介護ワーキングでは、食薬区分のうち、昭和46年の当時の厚生省薬務局長通知でございますが、その食薬区分の運用見直しについて、機能性表示食品制度との関係も踏まえて、議論が行われたことと承知しております。
消費者庁といたしましては、機能性表示食品制度の運用及び改正に当たって、機能性表示食品の対象となる食品の範囲について、厚生労働省に協議する仕組みづくりの検討も含め、厚生労働省と引き続き連携をとりつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

例えば届出ガイドラインやQ&Aの改正などのご予定についてはいかがでしょうか。

そういったことも含めまして、厚生労働省としっかり連携をとって、機能性表示食品の対象となる食品の範囲について、しっかりした協議の仕組みを作ることも検討の対象として、適切な対応を図りたいと考えております。

共同通信の老田です。
先週処分があったジャパンライフの件で2点質問があります。
1点目、ジャパンライフ社がホームページに掲示した書面で、今回の処分対象となった契約書面の不交付や勧誘目的の不明示といった内容について、いずれについても反論や否定しているような主張ですが、これについての受け止めをお願いします。
もう1点、かなりたくさんの方が契約されている中で、どうやって実際に現在契約している方に呼びかけていくのか、また、どうすれば被害を減らせるのか、お伺いできますでしょうか。

ご質問前段の当該事業者のホームページでのコメントということについては、私どもが正式に会社から伝達されているわけではございませんので、ここでのコメントはいたしません。
ご質問後段の現在の契約者の方々のご相談、また、そういった契約の状況、解約されたいというご希望、そういったことは大変重要なことだと考えておりますので、消費者庁は本件の処分に関連いたしまして、全国の消費生活センターと連携して情報提供を行っております。
この会社との取引等について、ご相談がある消費者は「消費者ホットライン188」にお電話頂き、具体的なご相談をして頂ければと願っております。
消費者庁としては、引き続き本件のような全国的な広がりがある重大事案に重点的に取り組み、法と証拠に基づき法律の違反行為には厳正に対処してまいります。
そのことにより、消費者被害の防止のため、より一層積極的な努力を重ねていきたいと考えている次第です。

日本消費経済新聞の相川です。
ジャパンライフへ3度目の行政処分が出されたのですが、結果的には同様の契約で名目を変えて業務提供誘引販売として販売したことで、約2,000人の新規契約者及び約120億円の新たな契約をさせてしまったという実態があるのですが、これについて対応が遅かったなど、長官自身どのようにお考えになっているか、お聞かせください。

私ども行政庁は、事業者の法違反行為については適正な手続に基づき証拠を収集し、そして、法律の適用を検討し、然るべき時期に行政処分を発動しております。
私どもとしては、このような努力を重ね、消費者被害の拡大防止に引き続き努めていきたいと考えております。

実は、業務提供誘引を8月末に中止したというふうにジャパンライフは言っておりまして、これは最近顧客に届いたペーパーなのですが、リース債権譲渡契約に11月1日から変更したというものが出ているのですが、これは特商法で対象になりますでしょうか。

個別の案件については、これ以上この場で申し上げることは差し控えます。

このペーパーは入手されていますでしょうか。契約内容の概要については把握されていますでしょうか。

個別の事業者の活動についてですので、この場での、ご報告は差し控えさせていただきます。

体系的にこういう契約が特商法の対象になるかどうかは、後でいいので、少しご説明を頂ければありがたいです。

情報提供をありがとうございます。担当課において対応させていただきます。

それから、特商法が改正されて、12月1日からは罰則が強化されるとのことで、法執行の強化と罰則強化が目玉の改正なのですが、これで業務停止命令違反の罰則は懲役2年又は300万円以下の罰則から、懲役3年又は300万円以下の罰則になりますけれども、結局こういうものが使えないということであれば、改正しても絵に描いた餅ではないかと思うのですが、業務停止命令違反について刑事告発などをされる考えはあるのでしょうか。

そのことにつきましても、個別の案件でございますので、この場での行政庁としての意見表明は差し控えます。

改正特商法の通達やガイドラインが11月1日に出ていますけれども、事業者の説明や地方自治体への説明会はどのようになさっていらっしゃるのでしょうか。

改正につきましては、昨年の国会で成立したものですから、これまでも機会を捉えて周知・広報してまいりましたが、12月に備えまして分かりやすいパンフレットを作成するなど、担当課においても工夫を凝らしております。
これも具体的なことについて、どの時期に何をどのように消費者庁がするかということについての確認であれば、担当課と直接お打合せください。

パンフレットを拝見しましたが、全く分かりません。あれでは何がどう変わったのか、全く分かりませんし、説明会もあまり行われていないようなので、もう少し検討を頂ければと思います。

そういったお声があることは認識いたしました。ご意見ありがとうございます。

日本消費者新聞の丸田です。2点お願いします。
消費者安全確保地域協議会の設置が少ない理由については、一般財源との関連で、先ほどおっしゃったような感じがしますが、長官はどのようにお考えなのかということが1点です。
それともう1つが一昨日の消費者安全調査委員会が意見を消費者庁に対して出されたことについて、その中の意見の1つが玩具の誤嚥のことですが、玩具の構造の特質であるとか、保護者のヒヤリハットであるとか、実際の軽微な事故を含めた事故の情報であるとか、こういった一連の流れの中で情報の収集・共有をして、それを関係機関や関係者との間で共有していくという仕組みを作るようにという意見だったと思います。
そうなると、一連の流れの中の情報ということになりますので、現在の情報の収集・分析・発信のあり方を変えていく、またはそれを抜本的に見直すような意見もあると思いますが、長官のお考えをお伺いできますでしょうか。

まず、地方消費者行政推進に関連しまして、消費者安全確保地域協議会の設置について、残念ながら、まだ29府県では人口5万人以上の全市町でも未設置という状況にありますが、現在のところ、この消費者安全確保地域協議会は全国の5万人以上の自治体数が550自治体ありますところ、設置済みは51自治体でございます。そのうち、人口5万人以上の自治体が34の自治体でございます。
丸田記者からは一般財源との関係かといったご意見も承ったように思いますが、これは各地域で様々な事情があると思います。
特に安全確保のための地域全体の協議会ということですから、福祉関係者、警察の方々、また既に存在している地域の見守りネットワークの担い手の方々、それぞれの地域の状況に応じて取り組んでくださることにより、少しでも早く実現していただけるよう、消費者庁としても支援を続けたいと考えております。消費者庁ができることとしては、良い事例・成功例を全国に知らせていくこと、また通常の仕事の一環ではありますが、財政的な支援については限られた範囲で、できることはやっていきたいと考えておりますので、工夫を凝らさなければと痛感しているところでございます。
もう1つの11月20日に公表されました消費者安全調査委員会の玩具による乳幼児の気道閉塞事故の調査報告書に示された意見については丸田記者のご発言のとおり、再発防止策及び消費者庁長官への意見として、いくつかのコメントを頂いております。具体的には、子どもの事故防止に関する司令塔として内閣府・消防庁・文部科学省及び厚生労働省と連携しながら事故のリスクを消費者に対して周知すること、事故に関する情報の収集・蓄積・関係者間での共有、さらには気道閉塞時の正しい対処法を専門家から学ぶことを保護者だけでなく、周りの大人全員、そして社会全体に学ぶことを促すこともご意見として頂いたと認識しております。
こういったご意見は、これまでの消費者庁が子どもの事故防止のために取り組んできました活動の流れと全く軌を同じくするものでございますので、我々としては、今までの活動により一層力を入れて、関係省庁との連携を強化し続けてまいります。
ただいまご指摘頂きました、次の段階にということにつきましては、私どもがこれまで続けている注意喚起、様々な媒体での啓発についてですが、違った世代にも届かせたいと願っておりますので、この機会に、また気持ちを新たに、一層努めていきたいと思いますので、是非メディアの方々にも発信を頂けるとありがたいです。また、若い保護者の方々におかれましては、テレビ・新聞よりもネットから情報を得ることを期待している人も大変増えておりますので、ネットでの啓発・啓蒙にも力を入れたいと思っております。何卒よろしくご協力のほど、お願い申し上げます。

川口次長

ちょっと補足しますが、消費者安全確保地域協議会の設立に向けたいろいろな動きがあるわけですけれども、現在、地方自治体レベルになりますと、いろいろ事情がございます。担い手をしっかりどう確保できるかとか、既にある見守りの仕組みなどとの関係などありますが、この辺は徳島の消費者行政新未来創造オフィスで、いくつかのプロジェクトの中で重点プロジェクトの1つになっておりますので、県庁と一緒に基礎自治体を訪れて、実際に事情を聞きながら設立を働きかけているところでございます。
そういった経験なども踏まえて、抽象的にどういうところに問題があるのか、また、抽象的なことを超えて具体的にどういう問題があるのかということを把握しながら、全国展開に活かしていきたいとおっしゃっております。

日本流通産業新聞の古川です。
11月16日に国民生活センターで定期購入通販に対する注意喚起の2回目を出されておりまして、消費者庁にも情報提供だけでなく要望を出されているのですが、この件について、岡村長官からご意見頂けますでしょうか。

消費者にとって定期の購入であることとリンクした形の価格設定であることなどが分かりにくい広告がいまだに存在するということですので、国民生活センターからの注意喚起の機会に、改めて全国の消費者の方々にも「慎重に」とお願いする次第です。中には、広告の方法がスマホで見たときの画面の中で、かなり何回もスクロールをして、下の方でないと定期購入であることが分からないようになっているものもあります。
そういった、消費者にとって分かりにくい広告のまま物品を売りたいという態度自体が問題だと思っておりますので、消費者庁は法の適正な運用に心がけると同時に、事業者におかれては、消費者志向経営の一環として、消費者にとって分かりやすい広告を心がけていただきたいと改めてお願いする次第です。

総務課

長官のお答えのとおりですが、定期購入契約というのは2つ形態がございまして、最初に1年間などの契約をして、代金の支払いが1回目、2回目、3回目と複数回になっているものと、全体の期間が数年など一定の期間に及び、その間に契約が2回以上締結されるものと両方あります。前者については現行の特定商取引法の規律が及び、後者については改正特定商取引法の関連の省令でも手当てをしているということでもありますので、事業者には、しっかりと特定商取引法に基づく表示義務を遵守していただくということで、国民生活センターからもそういった要望が出ていたかと思います。
したがって、今の枠組みで対応できていますので、後はそれをしっかりと運用していくということが課題だと考えています。

日本消費経済新聞の相川です。
特商法政省令改正のポイントが4つあると思っていて、そのうちの大きな1つがこの改正だと思っているのですが、この改正の条文では、商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額契約期間、その他の販売条件を書くことになっているとあります。
ただ、これはスクロールされてしまう間に書かれています。ガイドラインには、最終画面のそばに書きなさいというふうに書いてくださっているのですが、積極的に処分して頂かないと、なかなか実効性がないというところがありますので、その辺の解釈について、ご意見頂けますでしょうか。
総務課

問題意識は承りました。個別の事案にもよりますから、追ってご説明させてください。

別件ですが、1番大事な問題だと思うのですが、相談員さんが今回39人も増えているのですけれども、相談員さんがいない市町村というのが4割近くあったと思うのですが、それがどのぐらい解消されたか分かりますでしょうか。
消費者教育・地方協力課

全国的にみれば消費生活センターの設置率自体は上がっております。

来年度の予算ですが、地方強化推進法に10億円と地方推進交付金の継続分ですね。今回から新規契約はできなくなるのですが、その予算確保が非常に厳しいのではないかという声が聞こえてきています。
その足りない分を補正で確保しなければならないということで、補正はどのように調整をされていますでしょうか。
消費者教育・地方協力課

予算については、大変申し訳ないのですが、現時点でお答えすることができないということで、ご了承頂ければと思います。

地方自治体から非常に心配する声が上がっていますので、そういう要望があるということを受け止め、是非、長官頑張っていただければと思います。よろしくお願いします。