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岡村消費者庁長官記者会見要旨(平成29年7月12日(水))

日時:平成29年7月12日(水)14:00~14:27  於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室

1.発言要旨

本日は、夏期の子どもの事故防止に関する取組について申し上げます。
7月中旬頃から幼稚園などの教育機関では本格的な夏休みが始まります。消費者庁では、水の事故や花火でのやけどの事故をはじめ、幾つかの、夏に起こりやすい子どもの事故の防止をテーマに、保護者など、子どもの周囲の方々に向けた直接的な情報発信を強化します。
まず、本日7月12日から20日までの平日の6日間、「子ども安全メール」と、「子どもを事故から守る!ツイッター」で、事故防止のための情報を集中的に発信します。
夏に起こりやすい事故の例ですが、海や川などにおいて、子どもが溺れる水難事故は、夏に最も多く発生します。
平成22年から平成26年までの5年間分の「人口動態調査」の調査票を、消費者庁が分析した情報によると、海・川といった屋外での死亡事故が189件起きており、7月・8月に多くなっています。
また、夏は花火を楽しむことが多い季節ですが、花火をしているときに子どもがやけどをする事故も起きています。消費者庁には、医療機関から14歳以下の子どもが花火で遊んでいるときにやけどをしたとの事故情報が、平成29年3月までに、約90件報告されています。8月を中心に夏に集中しており、年齢別では6歳以下の子どもが8割を占めています。
こうした事故を防ぐために、「子ども安全メール」と「子どもを事故から守る!ツイッター」では、次のようなメッセージを発信します。

  • (1)海・川・プールなどで遊ぶときは、
    • 「危険な場所がないか確認し、危険な場所で子どもを遊ばせないようにしましょう。」
    • 「子どもだけで遊ばせず、必ず大人が付き添い、子どもから目を離さないようにしましょう。」
  • (2)花火で遊ぶときは、
    • 「必ず大人が付き添い、子どもから目を離さないようにしましょう。」
    • 「花火のパッケージなどに記載された注意事項を読み、安全に正しく使いましょう。」
といったメッセージを発信します。
7月27日から8月中においても、「子ども安全メール」と「子どもを事故から守る!ツイッター」において、夏に起こりやすい子どもの事故防止に役立つ情報を適宜発信いたします。
報道各位におかれましても、子どもの事故防止のための周知にご協力をお願いできれば幸いです。
消費者の皆様へのメッセージとしては、子どもの事故防止のポイントにご注意いただき、事故なく子どもたちと楽しく夏を過ごしていただきたいと思います。

 

2.質疑応答

日本消費者新聞の相川です。
機能性表示食品の健康被害の情報の扱いについてお教えいただきたいのですが、7月6日に「食の安全・監視市民委員会」が、消費者庁に公開質問状を出したというプレスリリースを行いました。
この中で、東京都が4月に公表した目のピントを調節する機能性表示食品による健康被害情報事例は、消費者庁が1月に健康食品による重大事故として公表していたものと、同一だったという事実が明らかになりました。これについては事実でしょうか。
また、この1月6日の重大事故ですが、これをなぜ機能性表示食品と、しなかったのか、その理由について教えてください。

ご指摘の公開質問状については拝受しておりますので、現在、対応を検討中でございます。ただ、個別の案件でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

消費者委員会でも取り上げられていて、この事案について事業者から届出があったのかという質問が、河上委員長からあった際に、消費者庁は個別の案件だからと言って全く回答していません。これについてはいかがお考えでしょうか。

個別の案件については、これまでもお答えを差し控えております。その理由をもう一度ご説明いたしますと、消費者安全法の対応としては、事業者の権利・利益・適正な事業活動を過度に制約しないようにするという観点から、因果関係が明確である場合等において、被害の発生または拡大の防止を図るため、消費者に注意を喚起する必要があると認めるときを除いて、個別案件についてのお答えは差し控えています。

健康食品とトクホと機能性表示食品は別の類型になり、その類型ができた時点で、消費者安全法の分類の体系を機能性表示食品とするべきではないのでしょうか。それは個別案件ではないですよね。

消費者安全法の対応についてのご意見として承ります。

一連の質問状が出たりして、東京都の公表内容が変更されています。消費者から見て、この機能性表示食品によって肝障害が起きたという情報が東京都から発信され、何もないまま消費者庁が何を聞いても何も答えず、消費者庁は何もしないままこの情報が削除され、こういう意見書が出ている状況が続いていることについては、どのようにお考えですか。

個別の案件ですので、お答えは差し控えます。

個別の案件ということではなくて、機能性表示食品の健康被害の情報を消費者庁がどう扱うのかということではないのかと思うのですが、今のままでいいと長官はお考えでしょうか。

今回の件を契機に変えるべきだというご示唆でしょうか。

実は、水面下でも取材をしていて、本来なら消費者庁が調査をしていないはずもなく、医者や専門家に聞き取りしていると思います。
でも、それが全く消費者に伝わらないまま、この状況ということについて、どのようにお考えです

個別のことについては、お答えは差し控えます。あくまで一般論ですが、消費者安全法では消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保することが求められておりますから、私どもも常にこの消費者安全法第1条の立法目的のために取り組んでいるところでございます。
他方で、その目的を達成するのに必要な範囲において、事業者の権利・利益、適正な事業活動を過度に制約しないよう配慮する必要があると定められています。これは消費者安全法第3条2項でございます。
食品表示法上の対応としても、機能性表示食品の安全性についての科学的根拠に基づかないことが明らかになった場合には、事業者に対し撤回届の提出を促すこととなります。
また、事業者により撤回届が行われないのであれば、食品表示法に基づく指示を行うこととなりますが、指示または命令を行う場合を除いて、法律上明示的に公表するとされていない個別事案のお答えは差し控えております。消費者庁の公表に関する方針というものは決まっておりますので、それに沿った対応をさせていただいております。

これは個別案件としてではなくて、こういう情報が来たときにどのように対応をして、この件に対しては問題がなかったので撤回をさせないなど、そういったことを消費者庁は知らせるべきなのではないのでしょうか。
一般的に今後、機能性表示食品でこういう健康被害情報が自治体から重大事故として報告があったときに、全くそれについて知らん顔で健康食品で出して、その後、何の対応もされないのでしょうか。
消費者委員会から質問をされたときに、個別案件だからと言って、届出があったかどうかも答えないというのは、いかがでしょうか。

そのようなご意見を相川記者が表明されたと受け止めました。

共同通信の老田です。
今の相川記者の質問の関連ですが、事故情報の開示について、歴代の長官がどのようなお考え方をお持ちだったのか、私も全部把握できておりませんが、2010年に長官を務めていらっしゃった福嶋さんは、製品や食品が危険であり、原因が特定できなくても、可能性があるという段階でも情報を出し、原因を確認中の段階でも判明している事実関係を全て公表することが消費者の利益につながるというご発言をされておりましたが、岡村長官は原因が明確でなければ事故情報は、例えば1件とか2件だけの報告しかない事故であれば、製品の調査については伏せて公表するのが事業者の権益を守る上で正しい運用だとお考えだということでしょうか。

いいえ、消費者安全法の対応として、まず重大事故情報として公表しております。その上で因果関係が明確であって、被害の発生または拡大の防止を図るために消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは発表しておりますから、今回の場合については、現段階では通常どおりの個別案件についてのお答えは差し控えているというところでございます。

毎日新聞の曹です。
関連ですが、過去の発表された重大事故の中で、健康食品を食べてお腹をくだしたなど、重大事故の発表分で健康食品とされているものの中で、トクホや機能性表示食品、栄養機能食品の管理をされているという理解ですが、所管する3種類のものでこれまでに何件あったのか確認したいのですが、分かりますでしょうか。
消費者安全課

消費者安全課長の野田です。
曹記者のご質問のとおり、我々は収集した重大事故を受けて公表を行っております。公表に際しましては、先程、長官からのご説明にありましたとおり、機能性表示食品、トクホなどの分類は、これまでもしていなかったと思います。その点については、我々は分類して公表しないという実務でずっと通しておりますので、その質問にはお答えしにくいということがお答えになります。

確認ですが、重大事故として上がってきたものは可能な限り、商品名や具体的なものを調査されているけれども、公表する段階で健康食品の中でこれがトクホや機能性表示食品であるという公表はしないスタンスだという理解で良いのでしょうか。
また、今回、質問状を私も読みましたが、その中でトクホや機能性表示食品は新しい制度だと思います。そうして制度ができていく中で、どうやって管理するのか、どのように信用性を担保するのかというのが今、議論されている段階で、消費者庁として事業者も把握しており、商品名も全て把握しているという3種類について、公表の仕方を変える可能性など検討の必要性についてはいかがお考えでしょうか。

繰り返しになりますが、本件の個別の案件について、お答えできません。
あくまで一般論でございますが、食品については国民の関心も高く、消費者庁が関与しております食品の安全性については、本当に重いものであるということは庁全体でしっかりと考えて常に対応しておりますので、消費者庁としては入手できる情報に基づいて、庁の目的であるところの消費者・生活者の役に立てる庁としての作業は、いたしておりますので、いろいろな事実が発表できる段階になれば速やかにお伝えしたいと考えております。今の段階ではご質問にありますような質問状の内容について、皆様方と個別に議論することは差し控えさせていただくということになります。

北海道新聞の大城と申します。
別件ですが、海外で普及している乳児用の液体ミルクについて、昨日、自民党の有志の議員と市民団体の代表が普及を進めてほしいということで政策提言を関係省庁の大臣にされ、消費者庁も含まれていると思いますが、数年前に業界団体の方からも国の方で基準づくりをしてほしいという要望があったと聞いております。それがどうして進んでこなかったのかということをお尋ねしたいのと、今後、普及を進めていくとすれば、どのような課題があるのか、お考えをお聞かせください。

ご指摘のとおり、昨日、自民党の「乳児用液体ミルクの普及を考える会」の発起人の先生方が、松本内閣府特命大臣に、「乳児用液体ミルクの導入・普及に関する提言」を手交されたと承知しております。
消費者庁としては、乳児用液体ミルクと乳児用調製粉乳との違いを踏まえて、摂取する際の品質の担保及び安全性の確保等を図るため、業界団体のヒアリング及び有識者からの意見聴取を行い、国際的な基準と整合性を図りながら、特別用途食品としての表示の許可基準を策定していく予定としております。なお、許可基準の策定については、厚生労働省等の検討と歩調を合わせながら、スピード感を持って必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

過去にも要望があったと思いますが、これまで進んでこなかったというのは、どのようなところに課題があったのかというのはお分かりになりますでしょうか。
食品表示企画課

平成21年、当時でございますが、特別用途食品制度自体も厚生労働省にありました。当時、業界団体から、まず食品衛生法の乳等省令上の位置づけとして液体ミルクを位置づけていただきたいというご要望があり、スタートした議論でございます。厚生労働省の当時の記録を確認しておりますが、厚生労働省の新たな規格をつくる場合については、事業者団体の方からデータの提出を求めており、平成21年にデータ提出を待つところまで審議会で決まっておりましたが、その後、業界団体の方からデータ提出がなかったため進んでいなかったのが現状と理解しております。

日本消費経済新聞の相川です。
機能性表示食品の見直しについてですが、規制改革実施計画に盛り込まれた大きな項目8項目で、小さな項目が4項目ありますが、そのうちの3つについては対応されたとのお話ですが、他の案件について、消費者基本計画に盛り込まれた消費者委員会が求めている見直しを、どのように進められていくか教えてください。
日本消費経済新聞の相川です。
また、多くの方が気にしているものとしては、軽症者データの活用の拡大が入っています。認知症とアレルギーと尿酸値についてはどのようなプロセスで検討をしてくのか、お教えいただけると有り難いと思います。

これまでに合意されたところに従って現在作業中でございます。

それから、教えていただきたいのですが、18歳、19歳のものを含むデータも対象にしているということを周知してガイドラインを変えるということですが、過去に一度も議論されたことはなく、規制改革会議の中で消費者庁が見解を示したにすぎないのです。その時、消費者庁はガイドラインを変える必要がないと答えており、規制改革会議でふたを開けてみると、ガイドラインも変えることになっていました。この消費者庁の見解の中で示されている18歳及び19歳のものを含むことについて、適切に考察されている場合は一律に対象外としていないという見解を示したのですが、この「適切に」とはどのような意味でしょうか。

専門家の先生方のご意見も参考にしながら検討を進め、行政庁として入手できる情報に基づいて適当であると判断する形で進めてまいります。