「震災に関連する悪質商法110番」の受付状況 (開設後3カ月のまとめ)

平成23年7月21日
消費者庁
(独)国民生活センター

2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災により、被災地では消費生活センター等も被害を受けた。この震災の影響によって、消費生活相談を実施できない地域を支援するため、国民生活センターでは3月27日(日)より「震災に関連する悪質商法110番」(以下、「震災関連悪質商法110番」 フリーダイヤル:0120-214-888)を開設した。

当初、「震災関連悪質商法110番」では、岩手県、宮城県、福島県の3県を対象地域として相談を受け付けていたが、4月11日(月)から茨城県も対象地域に加えた。開設から3カ月が経過したため、1カ月、2カ月のまとめに続き、これまでの受付状況を速報として取りまとめた。

※「震災関連悪質商法110番」にて受け付けた相談内容は、PIO-NETに登録・整理され、消費者庁から関係省庁へ情報提供されている。

1.相談の概況

(1)相談件数

3月27日から6月26日までの3カ月間で「震災関連悪質商法110番」で受け付けた4県からの相談件数1 は831件で、1日平均約9件の相談が寄せられた。10日ごとにみた相談件数の推移は図1のとおり 2。開設当初は、1日平均19件の相談が寄せられていたが、その後、直近の1カ月では約5~7件と減少している。なお、相談内容としては、“悪質商法”だけでなく、生活に関連する相談も依然多く寄せられており、弁護士や建築士の助言を受けながら相談対応を行っている。

<図1>10日ごとにみた相談件数の推移

10日ごとにみた相談件数の推移

1
相談の動機となる消費生活上の行為をした当事者の居住地域が、震災関連悪質商法110番の対象地域4県の相談件数。本資料では、この当事者を「相談者」とする。
2
10日ごとの集計は3月27日から10日ごとに区切り、6月25日、26日受付分は含まない。

相談者を県別にみると、3月27日から6月26日までの3カ月では、宮城県が425件(約51%)、福島県が227件(約27%)、茨城県が111件(約13%)、岩手県が68件(約8%)だった(図2-1参照)。直近の1カ月では、宮城県、岩手県の相談の割合が微減し、福島県、茨城県の相談の割合が微増した(図2-2参照)。

<図2-1>相談者の県別割合(3/27~6/26) <図2-2>相談者の県別割合(5/27~6/26)
相談者の県別割合(3/27~6/26) 相談者の県別割合(5/27~6/26)

① 商品別件数

商品別にみると、3月27日から6月26日までの3カ月では、賃貸アパートや借家等の「不動産貸借」が101件(12.2%)で最も多く、次に、屋根工事等の「工事・建築」が95件(11.4%)と続く。以下、住宅や車、墓等の「修理サービス」に関する相談、公的な支援制度や罹災(りさい)証明についての問い合わせなどの「他の行政サービス」に関する相談が多く寄せられている(図3-1参照)。

直近の1カ月では、「工事・建築」に関する相談が最も多かった。また、放射線測定器などの「保健衛生品その他」や、出会い系サイトなどの「デジタルコンテンツ」に関する相談が多く寄せられている(図3-2参照)。

<図3-1>商品別割合(3/27~6/26) <図3-2>商品別割合(5/27~6/26)
商品別割合(3/27~6/26) 商品別割合(5/27~6/26)

※「相談その他」は労働相談やボランティアの依頼など消費者問題に当たらない相談。

相談者の県別にみると、各県で順位の違いはあるものの、概ね相談全体と同様の傾向がみられた(表1参照)。

10日ごとの推移をみると、直近の1カ月では「デジタルコンテンツ」、「保健衛生品その他」に関する相談などが入ってきていることがわかる(表2参照)。

<表1>相談者県ごとの上位商品別件数(3/27~6/26)

岩手県 宮城県 福島県 茨城県
商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数
1 他の行政サービス 6 不動産貸借 67 不動産貸借 23 工事・建築 21
2 デジタルコンテンツ 5 工事・建築 51 工事・建築 21 修理サービス 10
3 火災保険 5 修理サービス 27 他の行政サービス 20 不動産貸借 7
4 四輪自動車 4 他の行政サービス 21 修理サービス 17 デジタルコンテンツ 6
5 修理サービス 4 火災保険 17 保険衛生品その他 11 保険衛生品その他 5
5 不動産貸借 4 相談その他 17

<表2>10日ごとの上位商品別件数(3/27~6/24)

3月27日~4月5日 4月6日~4月15日 4月16日~4月25日
商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数
1 不動産貸借 22 不動産貸借 17 工事・建築 23
2 ガソリン 18 修理サービス 11 不動産貸借 20
3 工事・建築 17 工事・建築 8 他の行政サービス 13
4 他の行政サービス 13 火災保険 6 火災保険 7
5 修理サービス 9 相談その他 5 修理サービス 5
4月26日~5月5日 5月6日~5月15日 5月16日~5月25日
商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数
1 不動産貸借 10 工事・建築 7 不動産貸借 10
2 修理サービス 7 四輪自動車 6 修理サービス 6
3 デジタルコンテンツ 6 不動産貸借 5 他の行政サービス 6
4 相談その他 5 相談その他 4 デジタルコンテンツ 5
5 他の行政サービス 5 インターネット接続回線 3 工事・建築 4
5 修理サービス 3
5 他の行政サービス 3
5 保健衛生品その他 3
5月26日~6月4日 6月5日~6月14日 6月15日~6月24日
商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数
1 工事・建築 9 工事・建築 12 工事・建築 11
2 修理サービス 8 修理サービス 7 不動産貸借 8
3 不動産貸借 5 他の行政サービス 4 保健衛生品その他 4
4 保健衛生品その他 4 保健衛生品その他 4 他の行政サービス 3
5 デジタルコンテンツ 3 デジタルコンテンツ 3 デジタルコンテンツ 2
5 商品一般 3 不動産貸借 3 モバイルデータ通信 2
5 携帯電話サービス 2
5 修理サービス 2
5 新築建売住宅 2

②相談内容別(複数回答項目)

受け付けた主な相談内容の上位5位を挙げると、「契約・解約」に関する相談が500件で最も多い。以下、「販売方法」が197件、「品質・機能、役務品質」が176件、「接客対応」が138件、「価格・料金」が135件となっている(表3-1参照)。直近1カ月でも概ね同様の傾向が見られた(表3-2参照)。

<表3-1>相談内容上位件数(3/27~6/26)

相談内容 件数 割合
1 契約・解約 500 60.2%
2 販売方法 197 23.7%
3 品質・機能、役務品質 176 21.2%
4 接客対応 138 16.6%
5 価格・料金 135 16.2%

<表3-2>相談内容上位件数(5/27~6/26)

相談内容 件数 割合
1 契約・解約 121 65.4%
2 販売方法 50 27.0%
3 品質・機能、役務品質 38 20.5%
4 接客対応 34 18.4%
5 価格・料金 28 15.1%

(2)相談者の属性(不明・無回答等は除く)

①年代別

年代別にみると、40歳代が150件(21.4%)、60歳代が140件(19.9%)、30歳代が127件(18.1%)、50歳代が119 件(17.0%)となっている。

②性別

性別でみると、男性453件(58.1%)、女性327件(41.9%)で、男性がやや多い。

(3)主な相談事例

① 賃貸アパート等の被害

【事例1:不動産貸借】

地震で賃貸マンションの窓の鍵が壊れて施錠できない。大家の連絡先は知らないので不動産屋に修理依頼をしているが、なかなか進まない。どうしたらよいか。

(相談者:20歳代 女性 宮城県)

②住宅の修繕

【事例2:屋根の修理】

震災により被害を受けた屋根や水回りの修理工事を業者に依頼した。しかし、部材が届かなかったり、業者が発注ミスをしたりした。契約書の修理終了予定日から1カ月過ぎているが、「作業員が体調を崩した」と言い、なかなか施工しない。契約を解除できるか。

(相談者:50歳代 女性 茨城県)

③修理サービス

【事例3:屋根の修理】

地震で屋根が破損し、自宅にあったブルーシートをかぶせてもらった。午前中で作業は終わったが、10万円以上の費用を請求された。高額で納得できない。知人は同じくらいのブルーシートをかけてもらう作業で1万5千円だったと聞いた。

(相談者:60歳代 女性 福島県)

④生活支援

【事例4:生活支援】

震災で実家の空き家が床上浸水し半壊状態になった。相続手続きをしている最中のことだった。役所から罹災証明は出してもらったが、震災当日の住民登録がないため、支援金が支給されないと言われた。住宅の後始末にお金がかかるため不満。

(相談者:50歳代 男性 福島県)

⑤デジタルコンテンツ

【事例5:有料ポイントを買わせるサイト】

パソコンに見知らぬ業者から「新団体から300万円の支援対象に選ばれました」というメールが届いた。自分が被災者であることをどうして知ったのか不審。本文をよく読むと、「5千円のポイント購入後、事務局まで連絡するように」という記載があった。

(相談者:30歳代 男性 福島県)

【事例6:パチンコ攻略サイト】

震災に関連付けて「今が稼ぎ時」とうたうパチンコ攻略サイトの勧誘メールが携帯電話に入る。自分は申し込まないが、情報提供したい。

(相談者:40歳代 女性 宮城県)

⑥放射線測定器

【事例7:放射線測定器】

インターネットで放射線測定器を注文し、代金を振り込んだ。1~3営業日で届けるとメールが届いたが、商品が届かない。1週間が経ちメールで催促したが返事がないので心配だ。

(相談者:20歳代 女性 福島県)

【事例8:放射線測定器】

インターネット通販で購入したガイガーカウンターがエラー表示を繰り返すなどの不具合がある。業者は「出荷時に動作確認済み。使用済み商品は返品できない」と言う。さらに商品の検査も依頼したが、業者から商品に問題なく、納得いかなければ製造者と直接交渉するようメールがあった。

(相談者:60歳代 女性 茨城県)

⑦その他

【事例9:貴金属の訪問買い取り】

訪問してきた業者に「震災で大量の携帯電話機が流失し、プラチナや金などの貴金属が必要になっている」と説明され、貴金属などを買い取りたいと言われた。指輪などを出したところ、約2000円で買い取られ、言われるままに個人情報を伝えてしまった。新聞で同種のトラブルの記事を読んだ。個人情報を借金などに悪用されないか心配。

(相談者:50歳代 女性 茨城県)

【事例10:仏像の電話勧誘】

「震災にあった方をお守りする仏像を送りたい。今日が発送の締切りだ」と電話があった。「以前、パンフレットを送ってある」と言われたが記憶にないので断った。しつこく何度も会社名を聞いたが教えてもらえず、断ったら早々に電話が切られた。

(相談者:60歳代 女性 福島県)

(4)相談の傾向

○ 不動産貸借や住宅などの補修、生活支援を求める相談が、今なお目立つ

「賃貸アパートの修理を家主がしてくれない」、「業者と工事の契約をしたが、なかなか施工されない」、「屋根にブルーシートをかけてもらったら高額な費用を請求された」「実家の空き家が被害を受けたが、支援金が支払われない」など、震災後3カ月半が経過しても、これまで同様、生活に関連する相談が目立っている。

また、住宅の修繕については、「応急処置はされたが修理がなかなか進まない」という相談もみられた。

○ メール交換サイト等のデジタルコンテンツに関するトラブルが目立つ

メール交換に料金がかかるサイトなど、デジタルコンテンツに関わるトラブルの相談が目立っている。被災者を支援するためとうたい、有料のポイントを購入させるサイトや、震災に関連付けて「今が儲け時」とうたうパチンコ攻略法サイトの勧誘メールなど、震災に便乗した新たな手口もみられる。

○ 放射線測定器のインターネット通販に関する相談がみられる

放射線測定器のインターネット通信販売に関し、「納期が遅れた」、「販売業者と連絡しても連絡が取れない」、「故障しているように思うが販売会社が返品対応しない」などの相談が寄せられている。

○ 貴金属などの買い取りサービスに関する相談がみられる

震災による貴金属不足や被災者救済に役立てるため、として貴金属などを買い取るサービスに関する事例が複数件寄せられた。業者名が分かる書面が消費者に渡されないまま、個人情報を聞き取られるケースがあり、個人情報の悪用を心配する相談もみられた。

2.消費者の皆さんへの助言

相談が寄せられた各分野についての助言は、以下のとおり。

※なお、消費者庁と国民生活センターでは、被災地における相談体制の強化を図るため、法律などの専門家派遣を行っている。

○ 生活に関連する相談

(1)不動産賃貸借

事例1のような場合には、建物を使用するために必要かつ可能な修繕の場合には、借主は、家主に修繕を請求することができます。家主が修繕をしてくれない場合、使用できない部分について賃料の支払いを拒むことができると考えられます。

ただし、個別の事情によって異なりますので、契約書などを持って、弁護士会や行政の法律相談に相談してください。

(2)修理サービス及び住宅の修繕

事例2のように、あらかじめ約束した予定日(履行期日)を過ぎても修理工事が終わらない場合には、業者に工事を完成させることを要求するか、契約を解除することができると考えられます。具体的には、相当の期間を定めて、その期間内に工事を完成させるよう業者に伝え(催告し)、それでも工事を完成させないときは、契約を解除することになります。また、予定日を過ぎても工事が終了しないために損害が生じている場合には、損害賠償を請求することができます。

事例3のように、請求金額が高額な場合には、業者に請求内容の明細を求めてください。また、業者の説明をうのみにしてその場で契約しないことが重要です。契約をする際には、複数の業者から見積もりをとり、十分検討した上で契約してください。

さらには、契約した覚えのない工事については支払い義務がないと考えられます。また、勧誘の際に修理の必要性についてうその説明をされている場合などには、契約の取消しができる可能性があります。また、強引に金銭を要求された場合には、警察に相談しましょう。

(3)生活支援

政府は、災害により住宅が全壊するなど著しい被害を受けた方々に、「被災者生活再建支援金」を支給します。まず基礎支援金として1世帯あたり最大100万円(単身世帯については75万円)を、その後、住宅の再建方法に応じて加算支援金を支給します。被災時に現に居住していた世帯が対象となりますので、事例4のように、空き家になっていた場合などは対象になりませんが、その他、支援制度については「被災者支援に関する各種制度の概要(東日本大震災編)」を参照してください。

また、政府は、災害により死亡された方のご遺族に「災害弔慰金」を、災害により重度の障害を受けた方に「災害障害見舞金」を支給します。

これらのほかに無利子で融資する「災害援護資金」も準備しています。

○ メール交換サイト等のデジタルコンテンツに関連する相談

有料メール交換サイト等のデジタルコンテンツは、利用してしまうと返金してもらうことが難しい場合があります。同情心や興味本位などの一時の気持ちに任せて利用しないようにしましょう。

また、被災者支援をかたるなど、震災に便乗した勧誘も見受けられます。利用する際には、十分に内容を確認しましょう。不審に思ったとき、被害に遭ったときは、各地の消費生活センター等や警察に相談しましょう。

○ 放射線測定器の通信販売に関連する相談

事例7のように、通信販売を利用して生じたトラブルは、販売業者と連絡が取れなくなるなど、解決が困難となる場合が多いので、申込む前に業者の連絡先などの確認が重要です。特に前払いの場合には注意してください。

また、事例8のように通信販売の場合にはクーリング・オフはありません。販売業者が記載している返品ルールを事前に確認しておく必要があります。しかし、返品ルールの記載が無い場合は、商品が到着した日から8日以内であれば消費者が送料を負担することにより返品することが可能です。

○ 貴金属などの買い取りサービスに関連する相談

突然訪問してきた業者の言うことが本当かどうか、その場で確かめることは困難です。業者の言うことをうのみにせず、慎重に検討しましょう。

不意に業者の訪問を受けても、買い取ってもらうつもりがなければ、きっぱりと断りましょう。いったん業者に渡った貴金属を取り戻すことは大変困難です。貴金属を買い取ってもらう必要があるかどうか、よく考えてから契約しましょう。

買い取りを断っても業者に居座られたり、買い取りを強く迫られて怖い思いをしたときには、すみやかに警察に連絡しましょう。

「震災に関連する悪質商法110番」では、悪質商法かどうかにかかわらず、消費生活に関する相談全般を受け付けています。

生活の中で不安な点・疑問に思うことなどがあれば、遠慮なく「震災に関連する悪質商法110番」(フリーダイヤル:0120-214-888。7月11日(月)以降は平日10:00~16:00の受付)まで電話してください。

【本件問い合わせ先】
・消費者庁 消費者政策課
・独立行政法人国民生活センター 相談情報部

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