「震災に関連する悪質商法110番」の受付状況 (開設後2カ月のまとめ)

平成23年6月10日
消費者庁
(独)国民生活センター

2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災により、被災地では消費生活センター等も被害を受けた。この震災の影響によって、消費生活相談を実施できない地域を支援するため、国民生活センターでは3月27日(日)より「震災に関連する悪質商法110番」(以下、「震災関連悪質商法110番」 フリーダイヤル:0120-214-888)を開設した。

当初、「震災関連悪質商法110番」では、岩手県、宮城県、福島県の3県を対象地域として相談を受け付けていたが、4月11日(月)から茨城県も対象地域に加えた。開設から2カ月が経過したため、1カ月のまとめに続き、これまでの受付状況を速報として取りまとめた。

※「震災関連悪質商法110番」にて受け付けた相談内容は、PIO-NETに登録・整理され、消費者庁から関係省庁へ情報提供されている。

1.相談の概況

(1)相談件数

3月27日から5月26日までの2カ月間で「震災関連悪質商法110番」で受け付けた4県からの相談件数1 は646件で、1日平均約11件の相談が寄せられた。10日ごとにみた相談件数の推移は図1のとおり 2。開設当初は、1日平均19件の相談が寄せられていたが、その後、直近の1カ月では約6~8件と推移している。なお、相談内容としては、“悪質商法”だけでなく、生活に関連する相談も依然多く寄せられており、弁護士や建築士の助言を受けながら相談対応を行っている。

<図1>10日ごとにみた相談件数の推移

10日ごとにみた相談件数の推移

    1
    相談の動機となる消費生活上の行為をした当事者の居住地域が、震災関連悪質商法110番の対象地域4県の相談件数。本資料では、この当事者を「相談者」とする。
    2
    10日ごとの集計は3月27日から10日ごとに区切り、5月26日受付分は含まない。

    相談者を県別にみると、宮城県が344件(約53%)、福島県が171件(約27%)、茨城県が78件(約12%)、岩手県が53件(約8%)だった(図2-1参照)。直近の1カ月では、宮城県の割合が減り、その他3県の割合が増加している(図2-2参照)。

    <図2-1>相談者の県別割合(3/27~5/26) <図2-2>相談者の県別割合(4/27~5/26)
    相談者の県別割合(3/27~5/26) 相談者の県別割合(4/27~5/26)

    ① 商品別件数

    商品別にみると、賃貸アパートや借家等の「不動産貸借」が84件(13.0%)で最も多く、次に、屋根工事等の「工事・建築」が62件(9.6%)と続く。以下、住宅や車、墓等の「修理サービス」の相談、公的な支援制度や罹災(りさい)証明についての問い合わせなどの「他の行政サービス」が寄せられている(図3-1参照)。

    直近の1カ月では、出会い系サイトなどの「デジタルコンテンツ」、放射能測定器などの「保健衛生品その他」などの相談が多く寄せられている(図3-2参照)。

    <図3-1>商品別割合(3/27~5/26) <図3-2>商品別割合(4/27~5/26)
    商品別割合(3/27~5/26) 商品別割合(4/27~5/26)

    ※「相談その他」は労働相談やボランティアの依頼など消費者問題に当たらない相談。

    宮城県、茨城県の相談者からの相談は概ね同様の傾向が見られた。また、福島県からは「他の行政サービス」の相談が上位に上がったが、これは原子力発電所の事故にともなう計画避難や生活支援に関する相談が多い(表1参照)。

    10日ごとの推移をみると、直近の1カ月では「デジタルコンテンツ」、「保健衛生品その他」、中古車などの「四輪自動車」の相談などが入っていることがわかる(表2参照)。

    <表1>相談者県ごとの上位商品別件数(3/27~5/26)

    岩手県 宮城県 福島県 茨城県
    商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数
    1 火災保険 5 不動産貸借 57 他の行政サービス 17 工事・建築 12
    2 不動産貸借 4 工事・建築 36 不動産貸借 16 不動産貸借 7
    3 フリーローン・サラ金 3 修理サービス 20 修理サービス 14 修理サービス 6
    4 リースサービス 3 他の行政サービス 18 工事・建築 13 デジタルコンテンツ 4
    5 四輪自動車 3 相談その他 15 相談その他 9 他の行政サービス 4
    5 他の行政サービス 3

    <表2>10日ごとの上位商品別件数(3/27~5/25)

    3月27日~4月5日 4月6日~4月15日 4月16日~4月25日
    商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数
    1 不動産貸借 22 不動産貸借 17 工事・建築 23
    2 ガソリン 18 修理サービス 11 不動産貸借 20
    3 工事・建築 17 工事・建築 8 他の行政サービス 13
    4 他の行政サービス 13 火災保険 6 火災保険 7
    5 修理サービス 9 相談その他 5 修理サービス 5
    4月26日~5月5日 5月6日~5月15日 5月16日~5月25日
    商品・役務名 件数 商品・役務名 件数 商品・役務名 件数
    1 不動産貸借 10 工事・建築 7 不動産貸借 10
    2 修理サービス 7 四輪自動車 6 修理サービス 6
    3 デジタルコンテンツ 6 不動産貸借 5 他の行政サービス 6
    4 相談その他 5 相談その他 4 デジタルコンテンツ 5
    5 他の行政サービス 5 インターネット接続回線 3 工事・建築 4
    5 修理サービス 3
    5 他の行政サービス 3
    5 保健衛生品その他 3

    ②相談内容別(複数回答項目)

    受け付けた主な相談内容の上位5位を挙げると、「契約・解約」に関する相談が379件で最も多い。以下、「販売方法」が147件、「品質・機能、役務品質」が137件、「価格・料金」が107件、「接客対応」が104件となっている(表3-1参照)。直近1カ月でも概ね同様の傾向が見られた。

    <表3-1>相談内容上位件数(3/27~5/26)

    相談内容 件数 割合
    1 契約・解約 379 58.7%
    2 販売方法 147 22.8%
    3 品質・機能、役務品質 137 21.2%
    4 価格・料金 107 16.6%
    5 接客対応 104 16.1%

    <表3-2>相談内容上位件数(4/27~5/26)

    相談内容 件数 割合
    1 契約・解約 126 57.5%
    2 品質・機能、役務品質 52 23.7%
    3 販売方法 49 22.4%
    4 接客対応 48 21.9%
    5 価格・料金 28 12.8%

    (2)相談者の属性(不明・無回答等は除く)

    ①年代別

    年代別にみると、60歳代が113件(20.8%)、40歳代が110件(20.3%)、30歳代が102件(18.8%)、50歳代が90 件(16.6%)だった。

    ②性別

    性別でみると、男性351件(57.7%)、女性257件(42.3%)で、男性がやや多い。

    (3)主な相談事例

    ① 賃貸アパート等の被害

    【事例1:不動産貸借】

    震災で住んでいた賃貸マンションの部屋の壁が落ち、ドア枠もゆがんだ。早く修繕してほしいのに家主が対応してくれず不満だ。管理会社が室内の様子を写真に撮って行ったが、未だに修復作業をしてくれない。納得がいかない。

    (相談者:30歳代 女性 宮城県)

    ②修理サービス

    【事例2:墓の修理】

    震災で墓石が落ちて土台にヒビが入った。業者に修理の見積もりを依頼したら、6万3千円だった。高いと思ったので、複数の他業者に聞いたら5千円から3万円位だと言う。昨日、見積もりをお願いした業者から請求書と修理後の墓の写真が届いた。支払いたくない。

    (相談者:60歳代 男性 宮城県)

    ③住宅の修繕

    【事例3:住宅リフォーム】

    震災で実家の石垣が崩れた。現在改築工事中だが値段が高すぎると思う。訪問販売業者の見積もりが1200万円と高額であったため、別の建築業者の下請業者に相談し、600万円で請け負ってもらった。現在工事中だが、これでも値段が高すぎると思う。妥当な値段かどうか知りたい。

    (相談者:70歳代 女性 宮城県)

    ④生活支援

    【事例4:生活支援】

    原発事故の影響を受けた地域の専門学校に通う娘が避難をしたため、臨時の支出が重なり生活資金が不足している。国による融資等があれば知りたい。

    (相談者(娘):10歳代 女性 福島県(親は他県))

    ⑤火災保険

    【事例5:地震保険】

    地震で自宅が被災。保険会社からは一部損と言われたが、自治体からは半壊と言われた。保険会社に再度調査してもらいたい。余震がたびたびあり、ひびが広がっているようだが、そのために半壊となったかどうかは不明である。

    (相談者:60歳代 男性 福島県)

    ⑥デジタルコンテンツ

    【事例6:出会い系サイト】

    震災後、避難所で生活しており、ストレスがたまり誰かと話したいと思った。携帯電話に届いた迷惑メールにアクセスして、出会い系サイトを利用した。メール交換するためのサイト利用料や直接相手とメール交換するための費用など、合計で200万円支払ってしまった。だまされたと思うので、お金を取り戻したい。

    (相談者:40歳代 男性 岩手県)

    ⑦放射能関連

    【事例7:浄水器】

    インターネットで「放射性物質が除去できる」という家庭用浄水器を見た。 浄水器のメーカーのホームページには「被災地の放射性物質を含む水を弊社浄水器でろ過し、その水を他の分析会社に検査を依頼したところ、ヨウ素131等を不検出だった」と載っていた。本当に放射性物質が除去できる浄水器なのか。

    (相談者:50歳代 女性 茨城県)

    【事例8:放射能測定器】

    子供の通っている保育園では砂場の放射能の測定をしないので、自分で測ろうとインターネットで放射能測定器の購入を申し込んだ。放射能測定器は品薄商品なのでキャンセルは不可とあったが、申し込んだところ、業者の電話番号等の記載がなく、不安になった。ホームページには代金の振り込みを確認したら商品を発送すると書いてある。まだ振り込んでいない。

    (相談者:30歳代 女性 茨城県)

    ⑧その他

    【事例9:パソコン内職】

    震災で仕事を失っていたところにパソコン内職のDM広告が届いた。最初に就職支度金が必要と言われ、60万円払った。後日必ず返金するという書面をもらっているが、業者と連絡がとれなくなった。

    (相談者:40歳代 女性 宮城県)

    【事例10:水晶のしつこい訪問販売】

    震災と原発事故の被害はともに少なかったため自宅にいるが、宗教まがいの水晶のしつこい訪問販売がある。地震などの被害に見舞われたのはエネルギーが落ちているためなので、水晶パワーで運気をアップさせるというセールストークで、断っても再三訪問してくる。水晶を断ったら、2万円以上のお札を勧められた。

    (相談者:30歳代 男性 福島県)

    (4)相談の傾向

    ○ 不動産貸借や住宅などの補修、生活支援を求める相談が、今なお目立つ

    「賃貸アパートの修理を家主がしてくれない」、「業者に高額な修理代金を請求された」、「自宅を訪ね、強引に修理勧誘する業者がいる」、「見積りを依頼したら勝手に修理された」、「震災で支出が重なったが、生活支援策について教えてほしい」、「保険会社の損害認定に納得がいかない」など、震災後2カ月半が経過したが、これまで同様、生活に関連する相談が今なお目立っている。

    ○ メール交換サイト等のデジタルコンテンツに関するトラブルが増加し始めている

    出会い系サイト等のメール交換に料金がかかるサイト(以下「有料メール交換サイト」という。)など、デジタルコンテンツに関わるトラブルの相談が増加している。気軽な気持ちで有料メール交換サイトでメール交換を始めたことがきっかけとなり、サイト利用料や、会員料金などをサイト業者に入金してしまうトラブルが寄せられている。

    ○ 放射能を除去するなどとうたった商品に関する相談がみられる

    放射能の除去や測定等をうたった商品・サービスや広告に関して、効果の根拠や販売会社の信頼性を問う相談がみられた。

2.消費者の皆さんへの助言

相談が寄せられた各分野についての助言は、以下のとおり。

※なお、消費者庁と国民生活センターでは、被災地における相談体制の強化を図るため、法律などの専門家派遣を行っている。

○ 生活に関連する相談

(1)不動産賃貸借

建物の損壊の内容にもよりますが、修繕が必要であり、修繕が可能な場合には家主に修理を請求することができます。家主が修理をしてくれない場合、使用できない部分について賃料の支払いを拒むことができると考えられます。

ただし、個別の事情によって異なりますので、契約書などを持って、弁護士会や行政の法律相談に相談してください。

(2)修理サービス及び住宅の修繕

請求金額が高額な場合には、業者に請求内容の明細を求めてください。契約した覚えのない施工については支払い義務がないと考えられます。また、勧誘の際に修理の必要性についてうその説明をされている場合などには、契約の取消しができる可能性があります。

業者の説明をうのみにしてその場で契約しないことが重要です。契約をする際には、複数の業者から見積もりをとり、十分検討した上で契約してください。

また、強引に金銭を要求された場合には、警察に相談しましょう。

(3)生活支援

政府は、災害により住宅が全壊するなど著しい被害を受けた方々に、「被災者生活再建支援金」を支給します。まず基礎支援金として1世帯あたり最大100万円(単身世帯については75万円)を、その後、住宅の再建方法に応じて加算支援金を支給します。

また、災害により死亡された方のご遺族に「災害弔慰金」を、災害により重度の障害を受けた方に「災害障害見舞金」を支給します。

これらのほかに無利子で融資する「災害援護資金」も準備しています。

その他、支援制度については「被災者支援に関する各種制度の概要(東日本大震災編)[PDF:1,976 KB]」を参照してください。

(4)火災保険(地震保険)

地震保険では、各保険会社共通の「損害認定基準」に基づき、保険の対象である建物及び家財について、その損害の程度に応じ、全損、半損、一部損の3段階に区分して保険金が支払われます。支払われる保険金は、全損であれば契約金額の100%、半損であれば50%、一部損であれば5%となります。なお、損害の程度が一定の基準を下回る場合は、保険金支払の対象外となります 3。また、自治体の認定基準や区分は保険会社とは異なります。

保険会社の損害認定に不服がある場合には、当該保険会社の保険金支払いに関する相談窓口へお問い合わせください。また、(社)日本損害保険協会が運営する「そんがいほけん相談室」や「そんぽADRセンター(損害保険紛争解決サポートセンター 0570-022808」で相談することができます。

3
(社)日本損害保険協会HP参照

○ 有料メール交換サイト等に関連する相談

有料メール交換サイトは、利用してしまうと返金が難しい場合があります。一時の気持ちに任せて利用しないようにしましょう。

またパソコン内職については、収入を得るための支度資金、情報を継続的に得るための月額更新料など、事前に説明のなかった費用を求められたり、これらを支払った後、記載されている販売者の電話番号やメールアドレスに連絡しても一切連絡が取れない等のトラブルが生じる可能性があります。パソコン内職を行うにあたっては、インターネット上などの広告に注意して慎重に検討するようにし、返金保証があるからといって、安易に契約しないようにしましょう。また、支度金や更新料などを支払う前には必ず販売者の連絡先等を確認するようにしましょう。

○ 放射能に関連する相談

(1)放射性物質を除去する浄水器や食品の効果

浄水器は機種の機能により放射性物質の除去の効果が異なりますので、一概に効果があるとは言えません。また、放射性物質の除去等、食品について薬事的な効果をうたうことはできません。広告をうのみにせず、購入する前に十分に検討してください。

なお、消費者庁では、放射能や食品等の安全に関し、消費者の皆さんが疑問や不安に思われていることを「食品と放射能Q&A[PDF:2,389 KB]」としてとりまとめ、説明しています。

(2)放射能測定器、測定サービスのインターネット通販

通信販売にはクーリングオフ制度はありません。事前に、返品条件や業者の連絡先などの確認が重要です。購入前に、商品の性能・機能などを十分確かめて必要性を検討してください。

なお、国や自治体などから放射性物質の測定値が公表されていますので、参考にしましょう。

「震災に関連する悪質商法110番」では、悪質商法かどうかにかかわらず、消費生活に関する相談全般を受け付けています。

生活の中で不安な点・疑問に思うことなどがあれば、遠慮なく「震災に関連する悪質商法110番」(フリーダイヤル:0120-214-888)まで電話してください。

【本件問い合わせ先】
・消費者庁 消費者情報課
・独立行政法人国民生活センター 相談情報部

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