平成27年版消費者白書

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援

第1節 消費者の安全・安心の確保

1.迅速・的確な情報の収集・発信の体制整備

( 1 )相談情報、事故情報の集約

ア.相談情報の集約

PIO-NETは、全国の消費生活相談業務の円滑な実施を支援するために1984年に運用を開始したシステムであり、国民生活センターと地方公共団体の消費生活センター等がオンラインネットワークで結ばれ、全国に寄せられた消費生活相談情報が集約されています。

近年では、消費者被害が多様化、複雑化する中で、消費生活相談業務の支援に加えて、法執行等を担当する行政機関等からの利活用の需要が高まっています。

2011年4月には消費者庁が「国の行政機関等におけるPIO-NET情報の利用指針」を策定し、中央省庁や独立行政法人といった関係機関による閲覧に加えて政府共通ネットワークが利用できる中央省庁等に対して、PIO-NET利用のためのアカウント発行を行っています。さらに、適格消費者団体のPIO-NET端末への接続に向けた検討を行っています。

他方、現行のシステムは、消費生活相談員(以下「相談員」という。)による相談情報の入力作業の負担の大きさや、キーワード方式の採用により複雑な検索式を組み合わせないと相談情報を正確に検索できないといった点が課題となっています。こうした点を踏まえ、相談員や関係機関にとって使い勝手の良いシステムとするため、2011年12月から、相談員や地方公共団体職員、学識経験者等を構成員とする「PIO-NET刷新に関する検討会」において、PIO-NET刷新について検討を行い、2012年7月に中間報告を取りまとめました。その後、PIO-NETに関する業務やシステムの分析を行い、その分析結果を踏まえ2014年1月に国民生活センターにおいて「全国消費生活情報ネットワーク・システムの業務・システム最適化計画」を策定し、同最適化計画及び地方公共団体からの意見や要望を踏まえ、2015年度のPIO-NET刷新に向けた作業を進めています。

イ.事故情報の集約

消費者庁及び国民生活センターでは、関係機関の協力を得て、生命・身体に関する事故情報を広く収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システムである「事故情報データバンク」1)を2010年4月1日から運用しています。

事故情報データバンクでは、国民向けに開示する範囲からは個人を特定することのできる情報を除くなど、個人情報保護に配慮しつつ、登録された生命・身体に関わる消費生活上の事故情報を簡単に閲覧・検索できるようにしています。事故情報データバンクには、「重大事故等」や生命・身体に関わる「消費者事故等」、PIO-NET情報(「危害情報」及び「危険情報」)、「重大製品事故」を始め、参画機関から2014年度(2015年3月31日時点)には2万8864件の事故情報が登録され、2015年3月31日時点で登録されている情報は累計で14万1178件となっています。

また、消費者庁ウェブサイトのトップ画面にバナーを設定する等により、国民からの利用が可能な運用を行っており、2014年度(3月31日時点)の事故情報データバンクへのアクセス件数は、11万7665件となっています。

( 2 )事故情報の報告、公表、注意喚起

消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保するため、省庁横断的な緊急の対応が必要な場合には、「消費者安全の確保に関する関係府省緊急時対応基本要綱(2012年9月28日関係閣僚申合せ)」等に基づき対処することとしています。

2013年12月末に発覚した株式会社アクリフーズ群馬工場が製造した冷凍食品への農薬混入事案に関して2014年1月14日及び3月14日に消費者安全情報総括官会議を開催し、事案への対応のために関係府省庁間の緊密な連携及び情報の共有を図り、関係府省庁局長申合せとして、本事案の再発防止に向けた「冷凍食品への農薬混入事案を受けた今後の対応パッケージ」(以下「対応パッケージ」という。)を取りまとめました。具体的には、①食品等事業者に対する食品安全に関する情報提供、②食品等事業者から保健所への届出・相談、③リコール情報周知の推進、④緊急時対応について、検討するとともに、関係府省庁が連携してこれらの取組を実施することとしています。

なお、消費者庁は、「消費者安全の確保に関する関係府省緊急時対応基本要綱(関係閣僚申合せ)」及び対応パッケージを踏まえ、緊急時対応訓練を実施することとしており、2014年12月25日に食品安全委員会、厚生労働省及び農林水産省と連携し、訓練の詳細を当日まで明かさないブラインド方式で行う等、実践的な緊急時対応訓練を実施しました。

消費者庁では、消費者安全法の規定に基づき通知された生命・身体被害に関する消費者事故等について、(原則として)週1回定期的に公表しており、2014年度においては、重大事故等約1,200件の事故の概要等の公表を計50回行いました。

また、消費生活用製品安全法の規定に基づき報告のあった重大製品事故については、週2回定期的に公表しており、2014年度においては、約900件の事故の概要等の公表を計114回行いました。その際、リコール対象品の事故について報告があった場合は、当該リコールの内容についても併せて公表し、周知を図っています。

同庁が収集した事故情報のうち、被害の重篤性や拡大性が予想される事案については、未然防止・再発防止を図るため、消費者への注意喚起を実施しました(2014年度13回)。

消費者被害の発生の動向については、PIO-NET情報や消費者安全法第12条第1項及び第2項の規定に基づく通知情報等を的確に分析し、関係機関等に対し情報提供するとともに、消費者安全法第38条第1項の規定に基づき、消費者等に対し、2014年度において11件の注意喚起を実施しました。また、国民生活センターにおいて64件の情報提供(商品テスト情報を含む。)を実施し、これらの情報等について、2014年6月に消費者安全法第13条の規定に基づき、「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果」を公表し、国会に報告しました。

消費者行政が高齢化や情報化、国際化といった消費者を取り巻く状況の変化に柔軟に対応していくためには、消費者行政の検証・評価を行うための数値指標が必要となりますが、その一環として、「消費者意識基本調査」結果及びPIO-NET情報等を活用した消費者被害額・トラブル額の推計を行いました。

( 3 )リコールに係る情報収集及び関連情報の提供

これまで担当省庁等が個々に公表していた「リコール情報」について、消費者庁がこれらの情報を一元的に収集した上で、消費者が分野横断的にリコール情報を確認できる「消費者庁リコール情報サイト」2)の運用を2012年4月1日より開始しました。また、同サイトにおいて、消費者の特性のうち年齢層に着目して、「高齢者向け」、「子供向け」等のメール配信サービスも開始しました。さらに、リコール情報をより分かりやすく消費者に伝えるとともに、利便性が向上するよう、サイト上の検索機能の充実や掲載情報の拡大等を行いました。

また、リコール情報の周知強化を図るため、リコール情報に接する機会の少ない高齢者等に対するリコール情報の周知の在り方等を調査・検証するとともに、製品が国境を越えて多く流通している現状を踏まえ「OECD GlobalRecalls portal」3)向けに我が国のリコール情報を提供し、国際的な情報共有に努めました。

国土交通省では、自動車のリコールの迅速かつ着実な実施のため、自動車メーカー等及びユーザーからの情報収集に努め、自動車メーカー等のリコール業務について監査等の際に確認・指導するとともに、安全・環境性に疑義のある自動車については独立行政法人交通安全環境研究所において現車確認等による技術的検証を行っています。

また、ユーザーからの不具合情報の収集を強化するため、「自動車不具合情報ホットライン」4)について周知活動を積極的に行いました。

さらに、同省に寄せられた不具合情報や事故・火災情報等を公表し、ユーザーへの注意喚起が必要な事案や適切な使用及び保守管理、不具合発生時の適切な対応を促進するために必要な事項について、ユーザーへの情報提供を実施しました。特に、「ブレーキ・ペダルの戻り不良による火災事故にご注意を!(中・大型のトラック・バス)」について報道発表等を行ったほか、「オートマ車での誤った使用によるエンストに注意‼」等について、インターネットでの動画配信等を通じ、ユーザー等への注意喚起を行いました。

なお、2014年度のリコール届出件数は355件及び対象自動車台数は955万7888台でした。

( 4 )子供の事故防止のための情報発信

長年にわたり、0歳を除く1~14歳の子供の死因の上位が不慮の事故となっており5)、この傾向は変わっていません。

消費者庁では、子供の不慮の事故を防止するための取組として、2009年12月より、「子どもを事故から守る!プロジェクト」を実施しています。

具体的には、同プロジェクトのウェブサイトにて、全国の先進的な取組事例等を紹介しているほか、子供の事故予防等に関する情報を提供しています。2012年10月には、「あなたのお子さんは安全?」をリニューアルし、事故が起こりやすい状況ごとに事故事例等を紹介しています6)

また、消費者庁に集約される事故情報を基にした注意喚起や事故予防の豆知識等を含む「子ども安全メールfrom消費者庁」を毎週木曜日に配信しており、2014年度においては、事故情報を踏まえ、ボタン電池の誤飲や抱っこひもからの転落等の事故防止の情報等を配信しました。これまで、第231号まで配信し、登録者数は2万7143人となっています(2015年3月31日時点)。

さらに、より親しみやすい啓発活動を行っていくため、同プロジェクトのシンボルキャラクター7)を連れて、全国の地方公共団体等主催の子供関連イベント等に参加し、チラシ・冊子等の配布やテーマソングの披露をするなど、積極的な啓発活動を行っています。

経済産業省では、子供の安全・安心と健やかな成長発達につながる生活環境の創出を目指したデザインである「キッズデザイン」の開発・普及を推進しています。昨年第8回を迎えた、キッズデザインに優れた製品や取組等を表彰する「キッズデザイン賞」では、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」、「創造性と未来を拓くデザイン」、「子どもたちを生み育てやすいデザイン」を表彰し、受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められます。

政府では、一昨年の第7回から、経済産業大臣賞、少子化対策担当大臣賞、消費者担当大臣賞に加えて、最優秀賞として「内閣総理大臣賞」を創設し、政府を挙げ、推進しています。

また、子供を安全かつ安心して生み育てられる生活環境の整備に向けて、子供の事故予防に配慮された設計・デザインによる製品の開発を、産業界が積極的かつ持続的に推進する体制を構築し、キッズデザインによる製品市場の拡大を目指して「キッズデザイン製品開発支援事業」を実施しました。具体的には、より安全・安心な製品を開発する上で必要となる、子供の事故情報の分析データ、子供の身体寸法や行動特性データ等を、業種の異なる企業・業界団体等に広く提供しました。この事業で得られた成果をウェブサイト「キッズデザインの輪」8)において公開しています。

( 5 )化学製品の危険有害性に関する情報提供

「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(以下「GHS」9)という。)とは、国際連合の主導による、人の安全・健康及び環境の保護を目的として、全ての化学品について、危険有害性(引火性などの物理化学的危険性、急性毒性や発がん性などの健康有害性、環境有害性)を国際的な統一基準で分類し、共通のラベル等により、化学品を譲り渡す者から譲り受ける者に分かりやすく伝達する仕組みであり、化学品の適正な管理に役立つものです。

我が国では、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号)、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)において、化学品の取引の際に、対象化学物質及びこれを含有する製品及び製剤については、その危険有害性情報等をSDS(安全データシート)の交付やラベルの表示によって、情報提供することが規定されています。

経済産業省では、2012年度に作成したGHS分類作業を正確かつ効率的に実施するための手引である「GHS分類ガイダンス」を2013年7月に公開しました。また、経済産業省及び厚生労働省はGHS分類に関するJIS(JIS Z7252)を国連GHS文書改訂第4版と整合させるために改訂し、2014年3月25日に公示しました。

さらに、経済産業省は事業者が混合物に含まれる化学物質を入力することで、GHSに基づく混合物の危険有害性分類とラベル表示の出力を行うことができるツール(GHS混合物分類判定システム)を2013年度に開発し、2014年9月に公開しました。このツールは、JIS Z7252、GHS分類ガイダンスと国連GHS文書改訂第4版に基づいて開発されており、さらに、厚生労働省、経済産業省及び環境省が実施した約2,800物質の分類結果が搭載されています。


1)

http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/

2)

http://www.recall.go.jp/

3)

http://globalrecalls.oecd.org/

4)

http://www.mlit.go.jp/RJ/

5)

厚生労働省「平成25年人口動態統計」

6)

2012年3月に、事故が起きた際の対処方法等を追加した。

7)

一般公募を経てシンボルキャラクターとして「アブナイカモ」を採用し、消費者庁職員がテーマソング「おしえてね アブナイカモ」を制作した(2013年1月23日公表)。

8)

http://www.kd-wa-meti.com/index.html

9)

Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicalsの略。

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