平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第3節 地方消費者行政の充実・強化

●地方消費者行政の基盤強化に向けた消費者安全法改正

消費者安全法の改正法が2014年6月に成立しました(以下同法による改正後の消費者安全法を「改正消費者安全法」という。)。改正消費者安全法は、消費生活相談体制の充実・強化を図るとともに、地域社会における高齢者等の見守りネットワークの整備を図ることを主な内容としています(図表4-3-1)

消費生活相談体制の充実・強化としては、市町村支援のための都道府県の役割の明確化や、広域連携等の活用による消費生活相談体制の整備について規定するとともに、消費生活相談等の事務を民間委託する際には、内閣府令で定める要件を満たす者に委託することや、消費生活センターを設置する地方公共団体が消費生活センターについての条例を整備すること等を定め、消費者が「どこに住んでいても、質の高い相談・救済が受けられる体制」を構築するために必要な改正を行っています。

また、地域のネットワークによる見守り体制の構築を図るため、地方公共団体が「消費者安全確保地域協議会」を設置できることや、地域で活動する民間の団体・個人の方を、「消費生活協力団体」又は「消費生活協力員」として委嘱し、消費者安全の確保のための活動等を行うことを定めています。

消費者庁では、改正消費者安全法の施行に向け、2015年3月27日には、「消費者安全法施行規則等の一部を改正する内閣府令」等を公布し、民間委託をする際の具体的な基準や条例を制定する際に参酌すべき基準等を定めました。併せて、改正消費者安全法が円滑に施行され、また施行後も地方公共団体において改正消費者安全法の趣旨にのっとって事務が実施されるよう、ガイドラインを作成し、公表しました。

●消費生活相談員資格試験制度の創設

消費者が不幸にして消費者事故やトラブルに見舞われた場合、まずは直接の取引相手に対応を申し入れることが多いと考えられますが(第2章第2節参照)、消費者と事業者の間には、情報の量や質、交渉力に格差があり、中には泣き寝入りしてしまう消費者もいます。しかし、このような事故やトラブルに巻き込まれた場合は、各地方公共団体に置かれている消費生活センター等を利用することができます。

消費生活センター等では、消費生活相談員が消費者からの事業者に対する苦情の相談に応じており、必要に応じて、消費者自身では対応困難な個別事案の解決に向けて、消費生活相談員が直接事業者と消費者の間に入り、あっせんを行うことによりトラブルの解決を図っています。なお、消費生活センター等があっせんを行った場合の解決率(契約の解約、返金、交換・修理、損害賠償などが行われた件数の割合)は、おおむね9割となっています(図表4-3-2)

このように地方消費者行政の核となる消費生活センター等は消費生活相談員によって支えられていますが、その法的位置付けは明確ではありませんでした。

改正消費者安全法では、地方公共団体における消費生活相談員の人材確保や質の向上のため、消費生活相談員の職を法律に位置付けるとともに、消費生活相談員に関する試験資格制度を創設し、登録試験機関の実施する新しい資格試験に合格した者等から任用することとしています。

新たな資格試験制度の具体的な内容を検討するため、2014年7月から10月にかけて、消費者庁において、「消費生活相談員資格試験制度等に関する検討会」を開催し、同年11月12日に報告書が取りまとめられました。

消費者庁では、報告書の内容を受け、関係内閣府令及びガイドラインを策定し、資格試験制度の具体的内容を定めました。具体的には、改正消費者安全法で定められた①「商品等及び役務の特性、使用等の形態その他の商品等及び役務の消費安全性に関する科目」、②「消費者行政に関する法令に関する科目」、③「消費生活相談の実務に関する科目」に、④「消費生活一般に関する科目」、⑤「消費者のための経済知識に関する科目」を加えた計5科目から出題することや、出題される問題数の下限を定めることとしました。

また、現行の3資格(消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント)の保有者に対する経過措置の要件を定めました。具体的には、改正消費者安全法の施行時に、地方公共団体における消費生活相談等の事務又はそれに準ずる事務に1年以上従事した経験を有する者については、新たな資格試験の合格者とみなされることとしています。さらに、現職の消費生活相談員や既に消費生活相談員として働くことが決まっている方に対する試験の一部免除措置の具体的な内容についても定めています。

【事例】「車座ふるさとトーク」(消費者の安全・安心のための地域作り)

大臣、副大臣、政務官が地域に赴き、現場の方々と少人数での車座の対話を行う「車座ふるさとトーク」を実施しています。

消費者庁でも、地域で活躍する様々な方々の生の声をつぶさに聞き、今後の消費者行政に活かしていくため、2014年度に2回、2015年度に入ってからは1回119)開催しました。

○車座ふるさとトーク(佐賀市)

日時:2014年4月19日

森大臣(当時)は、佐賀市にて、消費者の安全・安心のための地域づくりをテーマに「車座ふるさとトーク」を開催し、地域の見守りネットワークや消費者教育など地域力を高めるための取組等について現場の声を伺いました。

車座ふるさとトーク(佐賀市)

○車座ふるさとトーク(静岡市)

日時:2014年9月17日

有村大臣(当時)は、静岡市にて、高齢者の見守りネットワークをテーマに、第2次安倍改造内閣で初めてとなる「車座ふるさとトーク」を開催し、増加する高齢者の消費者被害防止のヒントとなる取組等について現場の声を伺いました。

車座ふるさとトーク(静岡市)

○車座ふるさとトーク(船橋市)

日時:2015年4月18日

松本大臣政務官は、船橋市にて、地域の連携による高齢者の見守りをテーマに、「車座ふるさとトーク」を開催し、高齢者の消費者被害防止に向けた地域社会全体での取組等について現場の声を伺いました。

車座ふるさとトーク(船橋市)

政府広報オンライン(車座ふるさとトーク)
http://www.gov-online.go.jp/topics/furusato/index.html

●「地方消費者行政活性化交付金」の活用・「地方消費者行政強化作戦」の推進

前述のとおり、消費者が消費者事故やトラブルに巻き込まれた際に、各地方公共団体に置かれている消費生活センター等を利用することができます。消費者事故・トラブルを未然に防ぎ、また、被害回復を図る上では、これまで見たような制度等の充実に加え、地方公共団体の消費生活センター等、消費者行政の「現場」である地域で消費者に接する地方消費者行政の充実・強化が必要です。その観点から、これまで消費者委員会が3回の建議を提出しており、直近では2013年8月に「地方消費者行政の体制整備の推進に関する建議」を内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)に提出しています。

地方消費者行政の充実・強化に関しては、これまで地方消費者行政活性化基金(2008~2014年度で約363億円)等を活用し、消費生活センター・相談窓口の設置、消費生活相談員の配置・養成、消費者教育・啓発など地方公共団体の様々な取組を支援してきました。

さらに、2013年1月に「地方消費者行政強化作戦」を定め、相談窓口のない地方公共団体(市町村)の解消や、消費生活センターの設立を促進する等の目標を掲げ、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる地域体制を全国的に整備することを目指してきました。また、第3期基本計画を踏まえ、2015年3月に「地方消費者行政強化作戦」を改定し、新たに消費者教育の推進、「見守りネットワーク」(改正消費者安全法の規定に基づく消費者安全確保地域協議会)の構築に関する目標を定めました(図表4-3-3)

これらの取組の結果、消費生活相談窓口が未設置の地方公共団体数は95市町村(2013年4月1日時点)から0市町村(2015年3月末時点)となり、相談体制の空白地域は解消され、目標を達成しました(図表4-3-4)。また、消費生活センターは、501か所(2009年4月1日時点)から763か所(2014年4月1日時点)へ262か所増加し(図表4-3-5)、消費生活相談員など消費者行政担当職員数は8,067名(2009年4月1日時点)から8,608名(2014年4月1日時点)へ541名増加しました(図表4-3-6)。しかし、特に小規模な地方公共団体を中心に、消費生活センターの設置や消費生活相談員の配置が進んでいない状況にあります(図表4-3-7①及び図表4-3-7②)。「地方消費者行政強化作戦」の進捗状況を見ると(図表4-3-8①)、例えば消費生活センターの設立促進について、人口5万人以上の地方公共団体(全市町村に消費生活センターを設置する目標)については19府県、人口5万人未満の小規模市町村(半数以上の市町村に消費生活センターを設置する目標)については10道府県が目標を達成しているのにとどまっています(図表4-3-8②)。このほか、市町村の50%以上に消費生活相談員を配置すること、消費生活相談員の資格保有率や研修参加率を向上させること、適格消費者団体の空白地域を解消すること等、「地方消費者行政強化作戦」(2015年3月に改定120))に掲げられた目標の達成に向けて、引き続き地方公共団体の取組を促進する必要があります。

なお、地方消費者行政の予算規模は2008年度の約101億円(最終予算額) から、2014年度は約148億円(当初予算額)となっています(図表4-3-9)

国は、地方消費者行政推進交付金として2014年度補正予算に20億円、2015年度当初予算に約35億円(一般会計30億円、復興特別会計4.8億円)を措置し、地方公共団体への支援を継続しています。

コラム11

「Web会議システム」の導入で、地域の相談員に弁護士が直接アドバイス―京都府消費生活安全センター―

京都府消費生活安全センターでは、京都弁護士会と連携し、府及び市町村の消費生活相談員・行政職員の相談業務等を支援しています。特に、ITを活用し、消費生活相談に役立つ様々な情報をファイルベースで蓄積したデータベースシステムである「京都府消費生活センターリアルタイムシステム」の構築・運用、そしてWeb会議システムを活用した「Web弁護士相談」は特徴的な取組です。

今回は、このうち「Web弁護士相談」を御紹介します。これは府の出先機関及び市町村の消費生活センター等や消費生活相談窓口をインターネット経由で結ぶ「Web会議システム」を導入し、府及び市町村の消費生活相談員が、困難案件について、システム上で直接弁護士に相談をする仕組みです。

相談員は、PC上の画面で弁護士の顔を見ながら、資料を共有しつつ、法的見解を尋ねたり、解決の糸口を教えてもらったり、文書のリーガルチェックを受けたりするなど、様々な形で「Web弁護士相談」を活用しています(2014年度の利用件数は、約500件)。

また、弁護士だけでなく、他の複数の消費生活センター等の相談員とも知恵を出し合い、意見交換もできるなど、京都府内全体で、同時に情報と知恵が共有できるため、市町村相談員にも好評です。

「Web会議システム」1

インターネットを通じて助言する弁護士(写真左)とシステム操作するセンター職員(写真右)
PC端末にウェブカメラ、マイクスピーカーとプロジェクターを接続し、白壁にシステム画面を投影している。

(於:京都府消費生活安全センター)

「Web会議システム」2

システム上の画面には、複数の市町村消費生活センター等の相談員が集合している。インターネット経由で、相談員が弁護士に相談するだけでなく、消費生活センター同士での情報交換も行うことができる。

(於:京都府消費生活安全センター)

実際に「Web弁護士相談」を利用している府内市町村の消費生活相談員の感想を紹介しますと、

● 「Web弁護士相談」は、センター内に居ながら、弁護士相談を受けられるので大変心強いです。一つの事例を何人かの弁護士に相談できる機会が増え、困難な相談が早期解決につながっており、相談員だけでなく相談者にとってもメリットが生じているものと感じています。」

(府北部の消費生活センター 相談員)

● 「このシステムのおかげで、法律相談を受ける機会が増えて助かっています。また、普段接する機会のない複数の弁護士と画面越しとはいえ、話す機会があるのも良いです。また、他センター相談員の考え方、対応方法もWeb会議を通じて知ることができ、相談対応をする上で大いに参考になっています。」

(府南部の消費生活センター 相談員)

「Web会議システム」

弁護士相談だけでなく、京都府内市町村の消費生活センター及び消費生活相談窓口との研修会や会議をWebで開催。幅広く消費生活センター同士での情報交換も行うことができる。
PC端末にウェブカメラとヘッドセットを接続し、インターネット経由で意見交換をしている。

(写真は、府南部の一部事務組合消費生活センター相談員)

このように「Web会議システム」を活用して、「Web弁護士相談」を実施するだけでなく、インターネットを経由しての市町村との会議を実施しています。今後も、システムを更に活用し、府内の消費生活相談の対応力向上を図っていく予定です。

コラム12

オール但馬(たじま)で消費者の利益を守っています!―「但馬消費生活センター(県)」と「たじま消費者ホットライン(3市2町共同相談窓口)」―

兵庫県但馬消費生活センター(県)が所管する但馬地域は、兵庫県の日本海側3市2町(豊岡市・養父市・朝来市・香美町・新温泉町)で構成され、人口約17万人の県下で最も高齢化が進んでいる地域です。消費生活相談員は、県センターの2名と、3市2町の6名の計8名で、東京都に匹敵する広い地域をカバーしています。特徴として、各市町相談窓口のほか、県センターと同じ室内に市町の共同相談窓口「たじま消費者ホットライン」を開設し、市町相談員が交代で勤務し、県相談員や他市町相談員と相談現場を共有しています。

このたじま消費者ホットラインは、県の相談員が持つノウハウやネットワークを活用して、市町相談員の対応能力を高めること、また、地域がら人間関係が密で、身近な窓口では気まずく相談しにくいという住民感情に配慮し、2010年4月に開設されました。

相談員には「これはおかしいと感じること」と「一歩踏み込む勇気」の2つの能力が何よりも必要ですが、この能力は丁寧に相談を処理することで徐々に得られるものです。契約金額が小さくても相談員がおかしいと思った相談は消費者センターにしかできないことだと丁寧にあっせんしています。新手の被害が発生した場合、相談現場を共有する仕組みにより、例えば、2013年度は健康食品の送り付け、2014年度はプロバイダの遠隔操作トラブルでも、相談員同士が即座に情報共有し、2つの能力が見事に働き、地域内のどこの窓口でも良い解決に導くことができています。

  2011年度 2012年度 2013年度 2014年度
但馬全体救済額(円)と
救済件数(件)
2億6863万
479
2億887万
394
2億1365万
446
1億4784万
386
但馬全体あっせん率 20.8% 19.9% 22.9% 23.6%
救済額と救済件数:
相談することにより金銭的な救済が得られることもあることを示すために、未然防止額と回復額の合計を集計したものとその件数。
あっせん率:
相談のうち事業者と消費者との間に入り、解決に導いたものの割合。

消費者啓発でもアイデアを出し合い、工夫し、消費者センターの出前講座は「おもしろくてためになる」と好評です。8人の相談員が協力し、地域内の高校全てで毎年度実施しており、さらに中学校、小学校、幼稚園へと範囲を広げています。

相談員同士が日常的な接点を多く持つことで、互いに刺激を受け、切磋琢磨し、時には苦しみを分かち合い、相談現場に何より大切な「闘うパワー」を維持することで、開設後5年経過した今も着実に、新たな成果を出し続けています。相談員同士のチームワークが、互いの組織の連携へとつながり、着実にその輪は広がっています。 「県の持つ専門性」と「市町の持つきめ細やかさ」を最大限に発揮し、但馬地域の取組はこれからも続きます。

但馬消費生活センターとたじま消費者ホットライン

但馬消費生活センターとたじま消費者ホットライン

相談員の連絡会・研修

相談員の連絡会・研修会

出前講座

出前講座

●消費者団体等との連携

安全・安心な消費生活の実現のためには、消費生活相談体制の整備や、消費者自身の消費者問題解決力の向上に加え、地域全体の消費者問題解決力の向上が求められます。このためには、地域において多様な分野で活動する主体が、消費者の観点からそれぞれの分野で諸課題に取り組むとともに、各主体が情報を共有し、自らの取組の位置付けを理解しながら、地域自らの創意工夫により、相互に連携・協働を図っていくことが必要です。

消費者庁では、地域で活躍する多様な主体が交流・連携する場としての「地方消費者グループ・フォーラム」を、全国8ブロックで、各ブロックの実行委員会との共催で開催しています。2014年度は、札幌市(北海道ブロック)、仙台市(東北ブロック)、宇都宮市(関東ブロック)、静岡市(中部ブロック、文部科学省との共催)、富山市(北陸ブロック)、大津市(近畿ブロック)、徳島市(中国・四国ブロック)及び熊本市(九州・沖縄ブロック)で開催し、消費者安全法の改正等を踏まえ、消費者教育や高齢者等の見守り活動を進める上での課題等について議論を深めました。

また、2014年度は、5年目の節目として、更に多様な主体との連携を目指し、消費者団体のみならず、事業者、金融関係者、教育関係者など多様なセクターによる実践事例の報告や大学と連携した円卓会議の開催等、企画内容の充実を図り、全国8ブロック延べ1,647名が参加しました。

さらに、消費者教育の一層の推進を図るため、2014年度は、静岡県で「消費者教育推進フォーラムin静岡」を文部科学省との共催で実施し、文部科学省「消費者教育アドバイザー」や教育委員会が企画の段階から参加し、検討した連携企画により、消費者団体、教育関係者や大学生、事業者の参加が増加したほか、開催地以外の都道府県からの多数の参加につながりました。

全体会の様子

全体会の様子

分散会の様子

分散会の様子

消費者教育推進フォーラムin静岡大会

消費者教育推進フォーラムin静岡大会
(右端はアブナイカモ)

●消費者月間における教育・啓発

1988年から毎年5月を「消費者月間」とし、消費者団体、事業者団体、行政等が一体となって、消費者問題に関する教育・啓発等の事業を集中的に行っています。

「平成27年度消費者月間」では、「みんなでつくろう! 消費者が主役の社会!!」を統一テーマとし、消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成に向けた取組の促進を図りました。このテーマは、今後の消費者政策の推進には、消費者庁や地方公共団体の消費者行政担当部局、消費者団体だけでなく、事業者団体、様々な公益に資する活動を行う団体、ボランティアなども含め社会経済の全ての主体が消費者の利益の擁護・増進を意識して活動することが重要であることを踏まえ、選定しました。

消費者月間期間中は、全国様々な地域で、講演会や意見交換会、パネル展示などの消費者月間行事が行われました。こうした行事を通じて、国、地方の様々な場で、様々な主体による横の連携・協働に向けた機運が高められました。

消費者庁では、2015年5月25日に消費者月間シンポジウムを開催し、テーマに沿ったパネルディスカッション等を行いました。また、翌26日には、安倍内閣総理大臣出席の下、総理大臣官邸で「平成27年度消費者支援功労者表彰」の内閣総理大臣表彰及び内閣府特命担当大臣表彰の表彰式を行いました。消費者支援功労者表彰は、消費者利益の擁護・増進のために各方面で活躍されている方々を表彰する制度として、1985年より実施してきたものです。今年度は、内閣総理大臣表彰5件、内閣府特命担当大臣表彰18件、ベスト消費者サポーター章48件でした。

「平成27年度消費者支援功労者表彰」表彰式
「平成27年度消費者支援功労者表彰」表彰式

●高齢者・障害者の見守り

高齢化、単身世帯化などの消費者をめぐる社会経済状況の変化や悪質商法の手口の巧妙化などを踏まえ、高齢者等の消費者被害に遭いやすい人を把握し、地域のネットワークによる「見守り」を実施し、消費者被害の早期発見と防止につなげていくことが喫緊の課題となっています。

特に、高齢者の消費者被害の背景には、生活困窮や社会的孤立、認知力の低下などが潜んでいることも多く、また、高齢者本人からの相談が少なく、対応が遅れることで被害が拡大している面があることから、地域社会で取り組むことが求められる課題です。

安倍内閣総理大臣は、2015年5月26日に行われた消費者支援功労者表彰の表彰式において、高齢者の消費者被害が深刻化していることを踏まえ、「地域でのつながりを強化し、高齢者を見守る仕組みを作ることが必要です。政府としても、こうした地域の連携ネットワークを今後5年間で全国に整備してまいります。」と述べました。

改正消費者安全法では、地域社会における高齢者等の見守りネットワークの整備を促進していくことが盛り込まれました。改正消費者安全法では、地方公共団体の関係機関を構成員として、消費者安全確保地域協議会を設置できることとするとともに、地域で活動する「消費生活協力団体」、「消費生活協力員」を育成確保する等、地域の見守りネットワークの構築を進めていくこととしています(図表4-3-10)

消費者庁としては、2015年3月27日に公表した「改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン」において、地域における見守り活動を一層促進するための指針を示しています。同ガイドラインでは、消費者安全確保地域協議会を地方公共団体が設置する際の組織や運営の在り方について、雛形を示しているほか、構成員の間で情報をやり取りする際の具体的な方法についても示しています。

地域における見守りネットワークの例として、警察、福祉、教育等の関係機関が一体となった取組(北海道)(図表4-3-11)、地域包括支援センター、民生委員、介護保険事業者などとの連携による取組(静岡市)(図表4-3-12)、住民、商店街、町会・自治会等の地域のちからを結集したネットワークづくりの取組(東京都足立区)(図表4-3-13)が挙げられます。消費者庁としては、今後とも、先行事例等を収集して情報提供を実施するとともに、地域において、消費者安全確保地域協議会と他の見守り活動等との有機的な連携を促進するため、関係府省庁や関係機関に対して、連携の強化の働き掛けを行うなどの取組を実施することとしています。これらの取組により、見守りの現場での活動が円滑に行われるよう支援していく予定です。

コラム13

地域での消費者活動に取り組む、くらしのサポーターと消費生活コーディネーター ―徳島県―

徳島県では、「くらしのサポーター」及び「消費生活コーディネーター」という2つの制度により、県民が主体となって地域の消費者活動を行う仕組みを作りました。

「くらしのサポーター」は、消費者と行政をつなぎ、消費者に役立つ情報を広め、地域の情報、消費者のニーズを行政に取り次ぐといった活動の担い手であり、「阿波の助っ人」という愛称で呼ばれています。2006年度に県内で個人単位で参加者を募って発足しました。当初は登録制度でしたが2010年度から認定制度に移行し、市町村と連携を深めながら活動の場を広げています。2011年度からは、個人以外に、地元で活動する高齢者団体、生協、地域包括支援センター、大学関係などの団体単位での参加も始まり、現在は約360人の個人と13団体が「くらしのサポーター」として活動しています。

ライフスタイルに応じて無理なく取り組める4種類のサポーター活動を用意

サポーターの活動は次の4つの種類に分けて示されます。実際に取り組む活動は一つでも複数でもよく、以下で説明している内容は、サポーター活動の一例です。

(1)「伝えるサポーター」

家族に携帯電話に関するトラブルについて話したり、近所の寄り合いの場で消費者問題を話題にすることなどにより、情報を周りの方に伝えていきます。

(2)「学ぶサポーター」

徳島県が開催する研修会、「消費者大学校」(市民講座)や、「消費者まつり」などの交流の場において、消費生活に関する知識を身に付けていきます。

(3)「活動するサポーター」

街頭啓発活動、振り込め詐欺防止寸劇等の発表を行ったり、高齢者の依頼に応じて訪問販売業者の訪問時に付き添い、その後の見守りを行うこともあります。

(4)「教えるサポーター」

消費者団体のメンバーを対象とする講義や、地域の消費生活に関する学習グループを主宰するなど消費者啓発を行います。

サポーター活動の支援

県からは、毎月「くらしのサポーター通信」を送り、新たな悪質商法の手口や製品事故に関する注意喚起など暮らしに役立つ情報を伝えています。また、効果的な啓発の手法を始め、活動を行っていく上で必要な力を高める研修会を開催しています。

2011年度には「くらしのサポーター功労者表彰制度」が設けられました。消費生活に関する情報を周りに伝えたり、地域で見守り活動や啓発活動などを行っている方が表彰され、これはサポーター活動のモチベーションの向上に役立っています。

くらしのサポーター・研修会の様子
くらしのサポーター・研修会の様子

消費生活コーディネーターの活躍

「くらしのサポーター」の活動は一人一人の活動が基本であり、相互連携した取組が難しいという課題がありました。そこで、県では2014年2月に「消費生活コーディネーター制度」を創設しました。

「消費生活コーディネーター」は、徳島県実施の市民講座である「消費者大学校大学院」121)の卒業者又は「くらしのサポーター」認定者でかつ、消費生活相談に関する資格を有している者122)又は「消費者力検定」123)応用コース1級認定者であることという要件を満たす方について、2015年5月末時点で25人を県が認定しています。

「消費生活コーディネーター」には、例えば、「くらしのサポーター」が協働で行う啓発活動の企画調整・取りまとめや、サポーター活動の効果を高めるためのサポーターへの情報提供や助言等、地域リーダーとしての活動をお願いしています。

「消費生活コーディネーター」は、市町村の行政担当者と消費生活センター、「くらしのサポーター」を対象とした研修会を開催するなど関係者の協力を得ながら、活動を広げつつあります。

また、地域の見守り機能の充実を図る取組として、「消費生活コーディネーター」がグループのリーダーとなり、「くらしのサポーター」や介護支援専門員、市町村行政担当者も参加するグループワーク研修を行い、地域で活かせる実践力の向上に努めています。

このように、裾野を拡げる役割を「くらしのサポーター」が担い、それを「消費生活コーディネーター」が有機的に結び付けるというそれぞれの役割により、地域の活動の効果が高まっています。

くらしのサポーター・消費生活コーディネーター交流会
くらしのサポーター・消費生活コーディネーター交流会

図表4-3-1 消費者安全法の改正

図表4-3-2 あっせん件数及びその解決件数

図表4-3-3 地方消費者行政強化作戦

図表4-3-4 消費生活相談窓口の未設置自治体の推移

図表4-3-5 消費生活センター数の推移

図表4-3-6 地方公共団体の消費者行政担当職員数の推移

図表4-3-7① 市区町村における人口規模別の消費生活センター設置自治体数

図表4-3-7② 市区町村における人口規模別、相談員数別の自治体数

図表4-3-8① 「地方消費者行政強化作戦」の進捗状況

図表4-3-8② 「地方消費者行政強化作戦」達成状況(消費生活センター設立促進)

図表4-3-9 地方消費者行政の予算額の推移

図表4-3-10 消費者安全確保地域協議会について

図表4-3-11 地域における見守りネットワークの事例(北海道)~警察、福祉、教育等の関係機関が一体となった取組~

図表4-3-12 地域における見守りネットワークの事例(静岡市)~民間事業者、地域で活動する主体との連携による見守りネットワーク~

図表4-3-13 地域における見守りネットワークの事例(東京都足立区)~地域のちからを結集したネットワークづくりの取組~


119)

2015年5月末時点。

120)

2015年3月改定により、新たに消費者教育の推進及び「見守りネットワーク」(改正消費者安全法の規定に基づく消費者安全確保地域協議会)の構築に関する目標を設定。

121)

消費者大学校大学院とは、徳島県が実施している市民講座で、消費者問題分野について基礎的知識を有する消費者又は地域の消費者活動を実践している消費者を対象に、消費者活動の指導者を養成するために開講されている。専門知識の習得を目指す専門教育コースと、地域活動のノウハウを学ぶ実践教育コースの2コース制となっている。

122)

消費生活専門相談員(独立行政法人国民生活センター)、消費生活アドバイザー(一般財団法人日本産業協会)、消費生活コンサルタント(一般財団法人日本消費者協会)の3資格のうちいずれかを有している者。

123)

一般財団法人日本消費者協会が実施している消費生活に関する検定試験であり、応用コース1級が最上位となる。

ページ上部へ


消費者庁 携帯サイト
携帯サイトQRコード