平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第2節 消費者政策の主な展開

( 6 )公共料金の適正化、消費税率引上げへの対応

●公共料金の適正性の確保

政府が規制する料金又は価格である公共料金等の新規設定及び変更に係る決定、認可などを行うに当たっては、消費者基本法116)の趣旨を踏まえ、消費者利益の擁護の観点から対応することが重要です。

2011年3月の東日本大震災を契機として、電力会社各社から電気料金値上げ認可申請が相次いでおり、2013年度の東北電力、四国電力及び北海道電力に引き続き、2014年度は中部電力及び北海道電力(再値上げ)、また、2015年度初めには関西電力(再値上げ)の料金認可の手続が行われました。これらの料金については、経済産業省による審査の後、消費者庁との協議を経て、物価問題に関する関係閣僚会議の了承を得た上で、料金改定を認可しました。この過程において、経済産業省の「電気料金審査専門小委員会」に消費者の代表が委員として参画するほか、公聴会(経済産業省主催)や消費者との意見交換会(消費者庁、消費者委員会主催)の場の設定、消費者委員会からの意見聴取など、消費者参画の実質的な確保のための取組を行いました。また、消費者庁において、消費者利益の擁護の観点から重要であると考えられる事項を取りまとめたチェックポイントを作成・公表し、消費者庁と所管府省(経済産業省)との協議に活用しました。なお、消費者委員会では、「家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会」を開催し、各電力会社から値上げ申請に関するヒアリングを行い、消費者庁によるチェックポイント作成に向けて審議を行ったほか、経済産業省の査定方針案に対する意見の取りまとめ等を行い、その結果が協議にも活用されました。これらの取組の結果、各電力会社の値上げ幅はそれぞれ申請時に比べ圧縮されています(図表4-2-16)

また、その他の公共料金等の新規設定及び変更の際にも、消費者利益の擁護の観点から、所管府省が認可等をするに当たり、事前に消費者庁と協議を行っています。2014年度は、輸入製造たばこの小売定価の新規設定(財務省)、三重交通のバス運賃改定及び北陸新幹線の特急料金設定(国土交通省)のほか、消費税率引上げに伴う運賃改定についての協議を行い、2015年度は、輸入製造たばこの小売定価の改定(財務省)についての協議を行いました(2015年5月20日時点)。

さらに、2010年度から2014年度を対象とした第2期消費者基本計画に掲げられた「公共料金等の決定過程で開催される公聴会や審議会における消費者参画の実質的な確保」及び「据え置きが続いている公共料金等を含め料金の妥当性を継続的に検証する具体的方法の検討と実施」117)については、2014年8月及び同年12月に開催された消費者委員会の公共料金等専門調査会(座長:古城誠上智大学法学部教授)において、公共料金問題に係る論点整理を行い、今後の審議において、料金適正性の確保を目的とした電気料金値上げ後のフォローアップのほか、中長期的課題についての検討を行うこととしました。

●消費税率引上げへの対応

商品・サービスの取引に対して広く公平に課税される消費税(地方消費税を含む。)の税率は、2014年4月に5%から8%へ引き上げられました。さらに、2017年4月には10%へと引き上げられることが予定されています。この消費税率引上げに際して、消費者行政の分野では、公共料金の改定、便乗値上げ対策、転嫁対策などが課題となりました。

公共料金の改定に関しては、2013年8月の物価担当官会議申合せ「消費税率引上げに伴う公共料金等の改定について」により、公共料金において消費税転嫁をどのように行うべきかについて、各公共料金に共通する基本的な考え方を整理しました。この申合せに基づき、重要な公共料金等で消費税率引上げに伴う料金改定申請等がなされたものについては、消費者委員会からの意見聴取や物価問題に関する関係閣僚会議の了承を得た上で、料金改定を認可等しました。

便乗値上げ対策に関しては、2013年10月に消費者庁に便乗値上げ情報・相談窓口(03-3507-9196)を開設しました118)。この窓口では、2013年10月から2015年3月までの間に計4,297件の消費者及び事業者からの情報・相談を受け付け、このうち、便乗値上げ関連の情報・相談は2,932件となりました。そのうち、消費者からの情報は2014年4月に1,104件となり、また、事業者からの相談は2014年2月に203件となり、それぞれ1か月の件数としては窓口を開設してから最も多くなりました(図表4-2-17)

消費者からの情報の件数が最も多かった2014年4月について、その内容を見ると、例えば、「消費税率引上げ前は税込200円だった商品が、引上げ後、税込220円になった」といった、消費税率の引上げ以外の要因による本体価格値上げと便乗値上げの関係についての照会や、「消費税率引上げ前は税込100円だった商品が、引上げ後、本体価格が100円となり、税込108円になった」といった、これまでの税込価格が税抜価格となっていることについての照会が大半を占めました(図表4-2-18)

また、情報の内容を関連する産業別に分類すると、スーパーなどの各種商品小売業、レストランやコーヒースタンドなどの飲食店業、理髪店や入浴施設などの洗濯・理容・美容・浴場業といった分野が多く、これらの分野の合計で消費者からの情報のおよそ半分を占めました。次いで、コンビニエンスストアやホームセンター、ドラッグストア、高速道路、CD・DVDレンタルといった分野が多く、これらの分野まで含めると消費者からの情報のおよそ7割を占めました(図表4-2-19)

本体価格が値上がりする場合、事業者は、合理的な理由があることについて消費者に丁寧に説明する必要があります。また、消費者が値上げの要因について事業者に確認することも大切です。

また、消費者庁では、消費者から寄せられた情報の内容について、関連する産業を所管する府省にも情報提供を行っています。

消費税の転嫁対策に関しては、2013年6月に消費税転嫁対策特別措置法が制定され、2018年9月までの間、事業者間の消費税の転嫁拒否等の行為を規制するほか、「消費税還元セール」のような消費税を転嫁していない旨の表示等の禁止、総額表示義務の特例(現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば、税込価格を表示することを要しない)等の措置がなされています。特に「消費税還元セール」等の表示規制に関しては、具体的にどのような表示が問題となるのかに関して流通業界の懸念があり、2013年9月に消費者庁が「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」を取りまとめ、禁止される具体的な表示例等を提示しました(図表4-2-20)

これを踏まえ、事業者団体等が行う講習会への講師派遣等を通じて、消費税分を値引きする等の宣伝や広告を禁止する消費税転嫁対策特別措置法第8条の規定に違反する行為の未然防止を図るとともに、違反行為を行っている事業者に対しては指導を行うなど、消費税転嫁対策特別措置法の普及・啓発、執行を行いました。

図表4-2-16 各電力会社の家庭用電気料金における値上げ幅等の比較

図表4-2-17 便乗値上げ情報・相談窓口の受付件数

図表4-2-18 消費者から寄せられた情報事例

図表4-2-19 便乗値上げ情報・相談窓口に消費者から寄せられた情報(2014年4 月)

図表4-2-20 消費税の転嫁を阻害する表示の具体例


116)

消費者基本法第16条第2項では、「国は、国民の消費生活において重要度の高い商品及び役務の価格等であってその形成につき決定、認可その他の国の措置が必要とされるものについては、これらの措置を講ずるに当たり、消費者に与える影響を十分に考慮するよう努めるものとする」と規定されている。

117)

第2期「消費者基本計画」(平成22年3月30日閣議決定)施策番号67-2、具体的施策②、③

118)

このほか、価格転嫁等に関する政府共通の相談窓口として内閣府に「消費税価格転嫁等総合相談センター」を設置したほか、関係府省庁でも転嫁対策、総額表示等に関する相談窓口を設けて対応している。

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