平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第2節 消費者政策の主な展開

( 4 )消費者教育の推進

●消費者教育推進法の規定に基づく消費者教育の推進

第1節でも見てきたように、第3期基本計画において、消費者一人一人が、個々の消費者の特性や消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費行動が将来の社会経済情勢や地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正で持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会を目指すことが求められています。

このような社会において、消費者は、消費生活に関する知識の習得・情報収集等に努め、消費者自身が合理的な意思決定を行い、被害を認識し、危害を回避し、被害に遭った場合に適切に対処する能力を身に付けることが重要であり、さらには、社会の発展と改善に積極的に参加することが期待されています。

消費者教育の推進に関する法律(平成24年法律第61号。以下「推進法」という。)は、消費者教育について「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育(消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画することの重要性について理解及び関心を深めるための教育を含む。)」と定義するとともに、基本理念や国、地方公共団体の責務、基本方針の策定、各種施策、消費者教育推進会議等について定めています。

推進法の規定に基づき、2013年6月には、「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(以下「基本方針」という。)が閣議決定され、これに基づいて、国、地方公共団体は消費者教育の施策を推進するとともに、消費者団体や事業者団体は、消費者教育について自主的な活動を行っています。

消費者庁では、「消費者教育ポータルサイト」113)を設置し、地方公共団体や事業者団体等が作成した教材や各地域で行われる講座情報を掲載するなど消費者教育の推進に資する各種の情報の収集提供を行っているほか、学校教育や社会教育で活用できる各種パンフレット、事例集の作成など様々な取組を進めています。また、今後は、2015年3月の 「消費者教育推進会議取りまとめ」を受けて、「消費者教育ポータルサイト」の更なる充実を図るほか、地方消費者行政推進交付金を活用して、各地域における様々な取組を支援します。

●消費者教育推進会議

消費者教育推進会議(以下「推進会議」という。)は、前述のとおり、推進法の規定に基づき、2013年3月に設置されました。推進会議では、前述の基本方針に関する議論(2013年3月~6月)を行い、基本方針が2013年6月に閣議決定された後、2013年8月に3つの小委員会(消費者市民育成小委員会、情報利用促進小委員会、地域連携推進小委員会)を設置し、以降、基本方針に掲げられた今後検討すべき課題について議論を行いました(図表4-2-13)

2015年3月、3つの小委員会の議論を基に、今後の消費者教育の推進についての考え方や提案、消費者教育の担い手への期待を推進会議として取りまとめたほか、3つの小委員会の取りまとめについても公表しました114)

この取りまとめでは、推進会議が今後検討すべきテーマとして、家庭や地域における子供に対する消費者教育、大学等における消費者教育、消費者の自主学習への取組支援等を挙げており、2015年以降議論される予定です。

ア 推進会議取りまとめ

小委員会の議論を基に、推進法の意義と消費者教育の理念の整理を行うとともに、消費者市民社会の形成に参画する多様な主体の活動への期待を示しました。

消費者教育については、推進法ができるまでは、消費者被害に遭わず、豊かな生活を送るための、契約に際しての被害防止や商品安全に関する知識を提供することなど、消費者個人の安全・安心を確保することに特に重点が置かれて実施されてきました。

推進会議では、推進法の大きな意義の一つは、消費者教育の対象として、消費者市民社会の形成への参画に視野を広げたことにあると整理しました。これは、推進法において、消費者教育を「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育」と定義することで、消費者基本法の基本理念を踏襲しつつ、「消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画することの重要性について理解及び関心を深めるための教育を含む。」とあることを受けたものです。

この整理に基づき、消費者市民社会において求められる消費者像を改めて整理し、消費者市民社会における消費者の行動には、

  • 自ら情報収集し、理解し、実践する
  • 身近な周囲の人にも情報提供やサポートを行い、その実践を促す
  • 課題解決に向けて、社会(行政機関、団体、事業者等)に働き掛ける

などの特徴が挙げられることを示しました。

また、地域における消費者教育の取組では、多様な主体がそれぞれの強み・特長を活かしながらそれぞれの活動を行うことが効果的であることから、様々な主体に対する期待を示しました。例えば、消費者団体には、消費生活に関する情報収集・提供、意見表明等の活動に加え、消費生活センターとの連携を強化して、消費者教育の教材の開発、出前講座等を担うこと、事業者・事業者団体に対しては、従業員向けの教育に加え、外部講師として地域、大学、学校等で講座を行ったりすることです。

最後に、今回の推進会議において十分に議論できなかった点、すなわち①家庭や地域における子供の消費者教育、②小学校、中学校、高等学校等における消費者教育、③大学等における消費者教育、④社会教育との連携等について今後の課題として示しました。

イ 消費者市民育成小委員会

本小委員会においては、上記の推進会議取りまとめに示したように、推進法で消費者の消費者市民社会の形成への参画に視野を広げた消費者教育と消費者像はどのようなものかについての検討を行ったほか、消費者教育の担い手が消費者市民社会の形成を目指すために参考となる消費者教育実践事例を「消費者教育の担い手向けナビゲーション」(以下「ナビゲーション」という。)として整理しました。このナビゲーションは、消費者教育の担い手である教育関係者等が対象者に対してどのようなことを教えるかといった観点から事例を示しています。学校関係については、学習指導要領との関係も明示しました(図表4-2-14)。さらに、事例については、「消費者市民育成プログラム(実践事例集)」として、実施内容、工夫、成果及び課題について別途取りまとめています。

ウ 情報利用促進小委員会

本小委員会では、消費生活に関する情報の流れの全体像、すなわち、消費生活に関する情報の発信者、受け取り手ともに多様であること、また、発信者、受け取り手を媒介する情報の伝達手段についても、従来の手段にとどまらず、若者のコミュニケーション手段として利用されるにとどまると考えられているものも消費生活に関する情報の伝達手段として有効であることを示しました。

そして、特に情報へのアクセスが困難な消費者、例えば、高齢者や障害者に、どのような情報を、どのような手段で届けるのか、すなわち適時かつ適切に確実な情報を提供する仕組みを検討しました。このような情報へのアクセスが困難な消費者に対しては、周囲の人々(いわゆる「見守り役」)の関与が不可欠であるとの結論から、「見守り役」への情報提供の仕組みを提案しました。また、「見守り役」の層を拡大していく必要性についても言及し、これまで消費生活に関する情報に関心の薄い人々の関心を呼び起こす方策についても示しました。

さらに、このような「情報提供」という観点からは、消費者庁の「消費者教育ポータルサイト」の有効活用についても検討してきました。

エ 地域連携推進小委員会

本小委員会は、多様な担い手の有機的な連携に向けて、地域における資源の活用及びネットワーク化等に関する事項を検討するために設けられました。

地域の住民に消費者教育の機会を提供するとともに、消費者教育の担い手を育成するための拠点を置くことで消費者教育を推進する必要があるとの観点から、地域ごとの消費生活センターを、消費者教育の拠点として活用することが有効です。また、既に消費者教育の活動を活発に行っている消費生活センターを活動モデルとして、そうした取組を参考としたり、発展させたりして各地域の消費生活センターが消費者教育の拠点としての機能を強化していくことが効率的かつ効果的です。そのため、消費者教育の拠点として期待される6つの機能を取りまとめの中で整理しました(図表4-2-15)

また、消費者教育を担う多様な関係者をつなぐためには、間に立って調整に当たるコーディネーターが重要な役割を果たします。現状において、コーディネーターが活動する地域は多くないので、各地でのコーディネーターの育成が必要です。そこで、コーディネーターの育成に向けて、コーディネーターがどのような役割を担うのか、どのような役割が期待されるのかを示すと共に、コーディネーター育成プログラムについても取りまとめの中で示しました。

コラム9

マスコットキャラクターへの消費者教育推進大使の委嘱

近年、ゆるキャラブームが続いており、全国各地でご当地マスコットキャラクターが活躍しています。

消費者庁では地域における消費者教育推進のため、消費者教育の推進及び消費者市民社会の概念の普及に関する活動を担う、地方公共団体公認のマスコットキャラクターに対して、消費者庁長官から「消費者教育推進大使」を委嘱する制度を設けました。

消費者市民社会を形成していくためには、より多くの人々に対する消費者教育や消費者市民社会の概念を普及していく活動が大切ですが、各地方で親しまれているマスコットキャラクターにもその普及に一役買ってもらおうというものです。

その第1号として、静岡県浜松市の公認マスコットキャラクターである「出世大名家康くん」が消費者教育推進大使に委嘱され、2015年1月18日に開催された「はままつ消費者教育フェア」において、板東久美子消費者庁長官から家康くんに委嘱状が授与されました。

  出世大名家康くんへの委嘱状の授与 委嘱状  
 

出世大名家康くんへの委嘱状の授与

委嘱状

 

2014年度には、他にも大阪府泉佐野市の「一生犬鳴(いっしょうけんめい)!イヌナキン!」、兵庫県加西市の「かさいこども未然奉行」、「かさいこども未然くノ一」及び「かさい未然くノ一SHINOBU」、東京都千代田区の「キッくん」、和歌山県紀の川市の「紀の川ぷるぷる娘」と4つの地方公共団体の公認マスコットキャラクターに大使を委嘱しました。

街頭活動中のかさいこども未然奉行
街頭活動中の
かさいこども未然奉行
一生犬鳴!イヌナキン!のイラスト入りの消費生活センターの車
一生犬鳴!イヌナキン!のイラスト入り
の消費生活センターの車
消費者教育イベントでのキッくん
消費者教育イベントでのキッくん
食育へ取り組む紀の川ぷるぷる娘
食育へ取り組む紀の川ぷるぷる娘

2015年度には、徳島県(すだちくん)、滋賀県草津市(クゥとかいな)、兵庫県(ふくタン、こうタン、はばタン)、愛知県名古屋市(コアラのハッピー)、福井県勝山市(チャマリン、チャマゴン)、大阪府藤井寺市(まなりくん)、大阪府(もずやん)、埼玉県(くらっしー)、山口県萩市(萩にゃん)と9つの地方公共団体のマスコットキャラクターに委嘱しました(5月末時点)。

図表4-2-13 3つの小委員会が検討した事項

図表4-2-14 消費者教育の担い手向ナビゲーション(高等学校等教職員の例)

図表4-2-15 消費者教育の拠点としての消費生活センターに期待される6 つの機能

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