平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

消費者政策は関係府省の連携の下、幅広い分野の施策が講じられています。本章では、2014年度1年間を中心として、最近の消費者政策の主な展開について取り上げます。第1節では、2015年3月に閣議決定され、今後5年間の消費者行政の指針となる「消費者基本計画」の重点を整理します。第2節では、最近の主な消費者政策の進展についてまとめています。また、第3節では、最近の主な消費者政策の進展のうち、消費者行政の「現場」である地方消費者行政の充実に関する取組を紹介します。

第1節 今後の消費者政策の推進に向けて─第3期消費者基本計画の策定─

●第3期消費者基本計画の策定

消費者政策の基本となるのは、消費者基本法の規定に基づいて策定される消費者基本計画です。消費者基本法では、消費者政策の計画的な推進を図るため、長期的に講ずべき消費者政策の大綱等を定めた「消費者政策の推進に関する基本的な計画」(消費者基本計画)を定めることとされています。

2005年と2010年にそれぞれ5年間を対象とした第1期、第2期消費者基本計画が策定された後、2015年度から2019年度までの5年間を対象とする第3期消費者基本計画(以下「第3期基本計画」という。)が2015年3月24日に閣議決定されました。

第3期基本計画の策定に当たっては、2014年4月の総務省「消費者取引に関する政策評価書」における勧告や同年5月の消費者委員会「消費者基本計画の改定素案(2014年5月)等に対する意見」を踏まえて検討を行いました。

また、長期的な展望を考慮しつつ、高齢化、情報化、国際化の進展など消費者を取り巻く環境の変化と課題を整理した上で検討を行い、消費者委員会の意見90)や国民からの意見募集の結果を踏まえ、第3期基本計画が策定されました。

●消費者政策の推進により目指すべき姿

第3期基本計画では、消費者の権利が尊重され、安全な商品・サービスを安心して消費できることに加え、消費の効用・満足度が高まり、豊かな消費生活を営めること、消費者一人一人が、自らの消費行動が将来の社会経済情勢や地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正で持続可能な社会の形成に積極的に参画することが目指すべき姿として掲げられています。

消費者政策を推進する上では、行政、消費者・消費者団体、事業者・事業者団体等との間で相互に連携し、消費者政策を全体として効率的・効果的に推進していくことが重要です。例えば、行政が制度や施策、情報の周知のほか、新たに生じた消費者問題を迅速に把握し、対応する、また、消費者向けの情報を消費者の特性に応じて迅速・確実に伝達するなどに当たっては、消費者・消費者団体及び事業者・事業者団体との連携が重要になります。また、消費者団体や事業者・事業者団体が消費者被害の未然防止、苦情処理や被害救済の取組を行うに当たって、行政との連携が重要になります。

さらに、具体的な消費者被害を未然に防止し、又は発生した消費者問題を解決・救済していくためには、消費者に身近である地域における取組が果たす役割が極めて大きいと考えられます。どこに住んでいても質の高い消費生活相談や被害救済を受けられる体制の整備や取組の充実を図るため、地域の特性や実情を考慮しつつ、市町村の地域間の広域連携や、都道府県の市町村との連携が求められます。その際、消費者行政部局だけでなく、教育、福祉、医療、保健、防災、警察等の部局・機関や、消費者団体、事業者団体、元気な高齢者を含むボランティアなど、幅広い関係者と連携が図られるよう取組を推進していくことも重要です。

このほか、規制改革の推進に当たっては、より効率的な手法で安全性を確保するという規制改革の基本的な考え方の下、消費者に与える影響を十分に考慮し、産業の発展と消費者の利益の擁護・増進が両立するよう適切に対応することが必要です(図表4-1-1)

●経済の好循環と消費者の安全・安心の確保に向けて

消費者政策を推進していくことは、消費者の安全や安心を確保することを通じて経済の好循環にも資するものです。日本経済の回復を持続的な経済成長につなげていくためには、企業収益の改善を雇用の拡大と賃金の上昇につなげ、それを消費の増加、そして更に企業収益の増加につなげるという「経済の好循環」を実現していくことが重要です。

一方、消費者を取り巻く状況を見ると、我が国のGDPの約6割を消費が占めていますが、安全とされている商品・サービスであっても、その効用に対する不安感から消費者が購入に慎重になれば、消費が安定的に増加せず、個人消費が主導する持続的な経済成長や豊かな生活の実現も困難となってしまいます。

このため、経済政策と消費者政策は車の両輪として、並行して進めていく必要があります。

●目指すべき姿に向けた5年間の取組

第3期基本計画では、6つの分野にわたって5年間で取り組むべき施策を定めています(図表4-1-2)

具体的には、①事故の未然防止など消費者の安全の確保に向けて、消費者事故に関する情報収集体制の充実等を図るとともに、②表示の充実と信頼の確保に向けて、景品表示法の厳正な運用や食品表示の適正化等を図り、③高齢化、情報化、国際化の進展など消費者を取り巻く環境の変化を踏まえ、特定商取引法・消費者契約法を見直す等、取引の適正を図っていくこととしています。また、④消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成に向けて、ライフステージに応じた体系的な消費者教育の提供を行うほか、事業者による消費者を重視した事業活動、すなわち消費者志向経営の促進を行います。さらに、⑤消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整備として、グローバル化に対応するための外国人からの消費者相談に対応する体制の充実を行います。加えて、⑥消費者行政の体制整備を進め、高齢者等の消費者被害を防ぐため、地域で見守り活動を行う協議会の構築等を進めていきます。

●計画の効果的な実施

総務省の「消費者取引に関する政策評価書」における勧告では、「次期消費者基本計画について政府全体としての具体的な政策目標の設定、個別施策の体系化・構造化、効果把握のための指標の設定、実施工程の明確化等を行うべき」との指摘がなされました。

この指摘を踏まえ、第3期基本計画では、計画を効果的に実施するため、施策ごとに新たにKPI (重要業績評価指標:Key PerformanceIndicator)という指標を設定することで、取り組むべき施策の取組状況を継続的にフォローアップしていきます。

また、基本計画に加え、第3期基本計画を着実に推進するため、関係府省庁等が実施する具体的施策について、計画の対象期間中の取組予定を示した工程表を、消費者委員会の意見を聴取した上で、閣僚等で構成される消費者政策会議において策定しました。

当該工程表では、関係府省庁等の間で連携が必要な施策について、それらの関係を明確にするとともに、効果把握のための指標として、基本計画に示したKPIを可能な限り施策ごとに更に具体化しています。関係府省庁等は、工程表に示された施策を着実かつ積極的に進めていきます。

●消費者基本計画の検証・評価・監視

消費者基本計画を実効性のあるものとするためには、計画に基づく施策の実施状況について、十分な検証・評価・監視を行うことが重要になります。

このようなフォローアップを実施する観点から、消費者政策会議において、施策の実施状況の検証・評価・監視を行い、消費者委員会の意見を聴取した上で、1年に1回は工程表を改定し、必要な施策の追加・拡充や整理、実施状況に応じた施策の実施時期の見直し等を行うこととしています。また、消費者を取り巻く環境や課題、取り組むべき施策の内容等に大きな変化があると考えられる場合には、消費者委員会の意見を聴取した上で、必要に応じて計画の改定を行うこととしています。

消費者委員会は、消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ、計画に基づく施策の実施状況について、随時確認し、KPIも含めて検証・評価・監視を行うことにしています。

図表4-1-1 消費者政策の基本方針

図表4-1-2 5年間で取り組むべき施策の主な内容


90)

2015年1月、2月の消費者委員会本会議において、消費者基本計画の検証・評価・監視として、「地方消費者行政の体制整備の推進等」、「高齢者向け住まい」、「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題」をテーマとする関係省庁ヒアリングが実施された。ヒアリング等を踏まえ、2015年2月の消費者委員会「次期消費者基本計画の素案(平成27年2月)等に対する意見」が消費者庁へ提出された。

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