平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第3章 消費者問題の動向

本章では、まず、第1節において、高齢化や情報化等の環境変化の下での消費生活相談の状況について、年齢別や性別に見た相談の動向、相談の多い商品やサービス等を概観します。また、第2節では、消費者安全法、消費生活用製品安全法等の規定に基づき消費者庁に報告される情報における事故の動向、危害・危険に関する相談、2014年度の主な事故の事例、子供に関する事故等について取り上げます。第3節では、最近顕著な増加が見られる消費生活相談の内容等、新しい消費者問題を取り上げます。特にインターネットの利用者層が広がっていること等により増加している情報化に関連するトラブルや、主に高齢者が巻き込まれる詐欺的なトラブル等を紹介します。

第1節 消費生活相談の概況

( 1 )2014年度相談の全体的な概況

●全国の消費生活相談は前年度に続き増加

全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談件数は、2004年度の192.0万件をピークに減少傾向にありましたが、2013年度は9年ぶりに増加となり、2014年度においても94.4万件と、前年度を上回る相談が寄せられ、2年連続して増加しています(図表3-1-1)

なお、2004年度のピーク時は、消費生活相談件数192.0万件のうち、架空請求に関する消費生活相談が67.6万件と、35.2%を占めていました。その後、架空請求に関する相談は、ピーク時と比べると大きく減少しましたが、2014年度は6.7万件寄せられ、最近5年間では最も多くなっています。

2014年度の消費生活相談件数は、2013年度と同様、この数年では高水準となりました。その主な要因の一つは、第2章でも紹介したように、情報化が高齢者層も含めて一層浸透し、インターネット通販で商品やサービスを購入する機会が増えたことによる相談、インターネットサイトを利用したデジタルコンテンツに関連した相談や、インターネット接続回線等の通信サービスの相談等、様々な観点でのインターネットに関する相談の増加と考えられます。

前述した架空請求に関する相談でも、従来の主に高齢者を対象としたはがきによる請求に加え、身に覚えのないデジタルコンテンツの利用料や会費等について、請求メールを受信したといった相談内容が増えています。

一方で、2012年度から2013年度にかけて消費生活相談件数の増加に大きく影響した「健康食品の送り付け商法」によるトラブルの相談は、2014年度は減少しています。このトラブルのターゲットは高齢者であったことから、2014年度の65歳以上の高齢者に関する相談件数は2013年度をやや下回っていますが、近年の相談件数の推移で見ると、人口の伸び以上に相談件数が増えていることには変わりがありません(詳細は本節「高齢者に関する消費生活相談件数は依然として高水準」参照)。

そして、「健康食品の送り付け商法」の相談を除くと、2014年度の高齢者に関する相談件数はむしろ2013年度を上回っています。したがって、高齢者に関する相談が依然として多い状況も、相談件数全体が増えていることに影響を及ぼしている二つ目の要因と考えられます。

そのほか、消費生活相談件数が高水準にある理由として、消費者被害の広がりという側面だけではなく、消費者の意識と行動の変化や、消費者行政による相談体制の強化や消費者への普及啓発、情報提供等の効果が徐々に表れている可能性も考えられます。

消費者の意識や行動、消費者行政に関する点で見ると、消費生活相談の増加は、消費者が消費者として取るべき行動を認識し始めているという意味で、前向きな傾向を示しているともいえます。例えば、消費生活センター等への相談が寄せられる時点で、消費者が「契約を既にしている、又は申込みをしている」割合は減少傾向にあり、契約する前に相談する方が増えています。これは、早目にトラブルに気付き、消費生活センター等へ相談するという行動が増えていることの表れです。また、消費者自身が消費者被害と捉える意識が高まっていることも考えられます。

第2章で紹介した消費者への意識調査結果でも、消費者被害・トラブルに巻き込まれた際に、「行政機関の相談窓口に相談、申出をする」回答割合が増えており、これも消費者の意識や行動の変化を裏付けるものの一つとして、挙げられます(詳細は第2章第2節参照)。

相談体制の強化という点では、消費者庁発足後、消費生活センターの設置数は増加しており、2013年度の745か所(2013年4月1日時点)から2014年度(2014年4月1日時点)は763か所へと18か所の増加となっています(詳細は第4章第3節参照)。

また、消費生活相談窓口のある地方公共団体も増えています。2009年度は消費生活相談窓口が未設置の市町村は95でしたが、2014年度末には0となり、相談の受け皿が広がっています。

さらに、消費者への意識調査において、問題があれば事業者に申立てを行うことや、トラブルに備えて対処方法を準備・確認しておくという回答割合も増加しており、これは消費者が消費活動を行うに当たって積極的な行動を心掛けようとする等の意識の高まりと考えられます(詳細は第2章第2節参照)。

●情報通信に関する相談件数が突出

2014年度の消費生活相談を、相談件数と実際に支払った相談1件当たりの金額(平均既支払額)の関係で見たところ、デジタルコンテンツやインターネット接続回線等の「運輸・通信サービス」が27万件を超えて最も相談件数が多く、2番目の「金融・保険サービス」を3倍近く上回り、他の商品・サービスの相談と比べ突出しています(図表3-1-2)

なお、「運輸・通信サービス」の9割以上が通信サービスに関する相談です。また、このうちの相談1件当たりの平均既支払額は2.6万円となっており、前年度の2.9万円から下がっています。

相談件数が2番目に多い「金融・保険サービス」は、9.5万件と相談が多く、平均既支払額も60.7万円と高額ですが、2014年度は前年度から件数は約1万件減、平均既支払額は前年度の96.8万円から2014年度は大幅に減少しています。

相談件数が3番目である「教養娯楽品」には、新聞や携帯電話、パソコンソフトやパソコン関連用品、インターネット通販でトラブルが多い腕時計等、様々な商品が含まれています。

また、相談の対象商品が具体的にどのようなものか不明なケースや、複数の商品・サービスにまたがる内容、架空請求等を含む「商品一般」が約5万件と、2013年度と比べ約2割、件数が増加しています。具体的には、対象商品が分からないものの、怪しい電話勧誘があった等の劇場型勧誘と考えられるものや、覚えのない架空請求等が挙げられます。

●相談1件当たりの平均金額は減少傾向

相談1件当たりの平均金額を、請求された又は契約した金額である「契約購入金額」と実際に支払った金額である「既支払額」とでそれぞれの推移を見ると、全体、65歳以上の高齢者、65歳未満の全てにおいて、近年は減少傾向にあり、2014年度は1件当たり契約購入金額が約122万円で、既支払額は約42万円となっています(図表3-1-3)

高齢者は、65歳未満と比較して平均契約購入金額及び平均既支払額が共に高額である傾向は変わりませんが、2014年度は平均契約購入金額が約166万円で前年度と同水準、平均既支払額は約71万円で前年度の約87万円から大きく減少しています。これは、金融商品等の高額商品に関する相談が減少傾向にあることや、全体の傾向とも共通していますが、平均金額が比較的低いインターネット関連の相談が増加したことによる影響と考えられます。

また、契約購入金額及び既支払額それぞれの総額を見ると、2014年度の契約購入金額総額は5572億円、既支払額総額は1701億円と前年度を下回りました。このうち高齢者に関するものは、契約購入金額では1764億円と全体の31.7%を占め、既支払額では690億円と全体の40.6%を占めています(図表3-1-4)

●属性別に見た2014年度の相談状況

2014年度の消費生活相談について、属性別での状況を見ると、年齢別では65歳以上の高齢者が27.7%を占め、高齢者の割合が大きいことが分かります(図表3-1-5)。10歳ごとの区分では40歳代が16.0%と最も大きな割合を占め、次いで60歳代、70歳代、50歳代の順となっています。

性別では、女性が49.6%、男性が46.5%とやや女性が多くなっています。職業等別では、給与生活者が37.0%と最も多く、次いで無職が24.9%となっています。無職の割合が大きいのは、高齢者の相談が多いことと連動しています。

さらに性別、年齢層別に商品・サービスで区分して見ると、相談件数は男性、女性ともに40歳代が最も多く、40歳代男性に関する相談は7.4万件、40歳代女性に関する相談は7.7万件となっています(図表3-1-6)。その他、男性では60歳代、女性では70歳代の相談件数がそれぞれ7万件を超えています。

商品・サービス別では、性別を問わず幅広い年齢層で「運輸・通信サービス」が共通して大きな割合を占めていますが、これはウェブサイトを利用したデジタルコンテンツや、インターネット接続回線、携帯電話サービス等の通信サービスに関する相談が多いことによるものです。また、60歳代、70歳代の女性で「金融・保険サービス」の相談が多いのは、主にこの年齢層が金融商品への投資勧誘等のターゲットとなり、トラブルに巻き込まれていることを物語っています。

次に、商品・サービスを更に詳細に区分して、年齢層別に相談の多いものを挙げると、前述したように、アダルト情報サイト等の「デジタルコンテンツ」、「インターネット接続回線」等が多くの年齢層で確認できます(図表3-1-7)。他には、賃貸アパート等の「不動産貸借」、融資関連の「フリーローン・サラ金」等も幅広い年齢層で相談が多くなっています。

年齢層別には、20歳代、30歳代で「エステティックサービス」が上位にあり、60歳以上では「ファンド型投資商品」が多いこと等が特徴です。

●高齢者に関する消費生活相談件数は依然として高水準

2014年度の65歳以上の高齢者に関する消費生活相談は26.1万件で、2013年度の27.1万件をやや下回りました(図表3-1-8)。これは、2013年度の高齢者に関する相談件数の増加に大きく影響した「健康食品の送り付け商法」に関連した相談が減少したためです。この相談を除いた高齢者に関する相談件数で見ると2014年度は25.7万件となり、2013年度の24.5万件に対し、むしろ増加していることとなります。いずれにしろ、高齢者に関する相談件数が依然として高水準にあることに変わりがありません。

2009年度の消費生活相談件数を基準としてこれを100とすると、65歳以上の高齢者に関する相談件数は152.7と、5年前と比較し52.7%増加しています(図表3-1-9)。同時期の65歳以上に関する高齢者の人口は13.8%増にとどまることから、人口の高齢化以上に、高齢者に関する相談が増加していることが分かります。

一方で、相談件数全体は2012年度までは減少傾向にありましたが、2013年度に104.2へと増加し、2014年度は104.6と同水準となっています。65歳未満の相談件数は、相談件数全体と同様、2012年度までは減少傾向にありましたが、2013年度は88.6とやや前年度を上回り、2014年度は90.8と更に増加しています。

また、高齢者に関する相談の件数を5歳刻みで区分して2009年度以降の推移を見ると、85歳以上では2014年度は2009年度の86.7%増となるなど、年齢が高いほど以前と比べて相談が増加していることが分かります(図表3-1-10)

高齢者に関する相談のうち上位商品を2013年度、2014年度で見ると、2013年度は「健康食品の送り付け商法」の影響で、健康食品が多いことが確認できますが、2014年度は「アダルト情報サイト」、「光ファイバー」等とインターネットに関連した相談が増加してきていることが読み取れます(図表3-1-11)

●高齢者・障害者等に関する見守りの強化は重要

高齢者に関する消費生活相談が多い中で、特に周囲の見守りが必要な認知症等の高齢者に関する相談49)は、高齢者全体と同様、増加傾向にあります(図表3-1-12)

認知症等の高齢者に関する相談では、相談が本人以外から寄せられることが多く、また、販売購入形態別に見ると「訪問販売」の割合が高齢者全体より大きいことが特徴です(販売購入形態別の相談については後述)(図表3-1-13)。「訪問販売」のうち、具体的には新聞や修理サービス、屋根工事等が主な商品・サービスとなっています。

また、障害者等に関する相談50)においても、本人以外から寄せられることが多く、本人が十分に判断できない状態にもかかわらず、事業者に勧められるままに契約したり、買い物や借金を重ねるといったケースが見られます(図表3-1-14)

トラブルの未然防止や被害の拡大防止には、周囲の気付きが不可欠です。家族のみならず、近隣住民や福祉事業者、行政等が協力して、見守りを強化していくことが重要です。

また、本人に代わって財産管理を行ったり、判断を助けたり、本人が行った不利な行為を取り消したりして、本人を守る役割を持つ成年後見制度の活用も、判断能力の不十分な方々の保護や支援に有用です。

【解説】成年後見制度とは

成年後見制度には、大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。

法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じた制度を利用できるようになっています。法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。成年後見人等には、家庭裁判所が適任と判断した方が選任されます。本人が必要とする支援の内容などによっては、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職や、法律又は福祉に関わる法人などが選任されます。また、成年後見人等を監督する成年後見監督人などが選ばれることもあります。最近は、本人に一定額以上の財産がある場合には、本人の財産を適切に管理するため、専門職が成年後見人等に選任されたり、後見制度支援信託(本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組み)が利用されたりするようになっています。

任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自分が選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思に従った適切な保護・支援をすることが可能になります。

後見開始の審判がされたときや、任意後見契約の公正証書が作成されたときには、家庭裁判所や公証人からの嘱託によって、成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などが東京法務局後見登録課のコンピュータ・システムに登記され、本人、成年後見人等の一定の者からの請求により、登記官が登記事項を証明した登記事項証明書(登記事項の証明書、登記されていないことの証明書)を交付することによって登記情報を開示しています(成年後見登記制度)。

 

(備考)消費者庁「消費者ハンドブック2014」より抜粋

コラム5

聴覚障害者からの相談への対応―札幌市消費者センター―

通常、消費者からの消費生活センターへの相談は電話によることが多いですが、聴覚障害者の場合、窓口で手話や筆談によって相談しなければならず、聴覚に障害のない方に比べて相談は難しい状況にあります。

札幌市消費者センターにおいても以前は、聴覚障害者が相談する場合、手話通訳者同伴で来所しなければなりませんでした。また、札幌聴覚障害者協会に手話通訳者の派遣を申し込む場合、相談者は1週間前までに申し込まなければならないことから、来所した聴覚障害者の相談に瞬時に対応できない状況となっていました。

このような状況を解消することを目指し、札幌市消費者センター、札幌消費者協会及び札幌聴覚障害者協会との間で情報交換会を行い、2011年度、札幌市消費者センター相談室に手話相談システムを設置しました。

手話相談システムの概要

札幌市の保健福祉局では、区役所等を訪れた聴覚障害者への対応のために、区役所等と札幌聴覚障害者協会をテレビ電話による手話相談システムで接続する「手話相談ネットワーク」を運用していました。札幌市ではこのネットワークを拡張して、消費者センターにも手話相談システムを設置することにより、消費者センター(又は札幌聴覚障害者協会)に来訪した聴覚障害者が、テレビ電話回線を通じて、その場で手話通訳者を介して消費生活相談ができるようにしました。

相談件数

手話相談システムを設置した2011年度以降、手話相談システムを利用して受理した相談は6件で、健常者と同様に多岐にわたる相談が寄せられています(相談件数は、2011年度1件、2012年度1件、2013年度1件、2014年度3件。)。

相談事例

【事例1】

インターネットでパソコンのプリンターのインクを購入した。そのうち、一部のインクが取り付けるとすぐにエラーとなり警告表示になる。インクを交換してほしい。電話で交換に応じてくれるか確認したいが、私は聴覚に障害があり、電話を掛けることができない。

(契約当事者 50代 男性)

(処理結果)

テレビ電話の手話通訳者を介して相談者に状況を確認。相談室より販売会社に相談者の申し出を伝えたところ、当該社は商品の無償交換に応じるということであった。不具合品の確認等、以降の対応は当該社と相談者の間でメールのやり取りで連絡を取り合うことになり、相談者にそのことを伝えあっせん終了となった。

【事例2】

自宅のパソコンから間違ってアダルトサイトにアクセス。年齢確認ボタンをクリックしたら、登録完了となり99,800円の登録料金請求画面が出た。サイトに解約メールを送信したが返信がない。私は聴覚障害があるので自分で交渉するのは難しい。

(契約当事者 60代 男性)

(処理結果)

テレビ電話の手話通訳者を介して、法の規定に基づいて錯誤無効の主張が可能な場合があることを説明した上で、事業者に問い合わせることで個人情報が漏れるおそれがあるため、そのまま様子を見るよう助言した。

相談処理がしやすかった等の効果

相談室に手話相談システムを設置したことにより、手話のできない相談員との筆談によるやり取りよりも、正確でスピーディーな相談対応ができるようになりました。また、実際の相談に当たる相談員にとっては、手話相談システムを設置したことで、いざ聴覚に障害のある方が来訪された際にも、再訪をお願いすることなく、その場で札幌聴覚障害者協会と連携して対応に当たることができるという面で、心強く感じられるということです。

○手話相談システムを使用した相談の様子

手話相談システムを使用した相談の様子

●販売購入形態別では「通信販売」の割合が増加

どのような購入の経緯でトラブルとなっているか、消費生活相談を販売購入形態別に5年間の推移を見ていくと、全体では「店舗購入」の割合が2010年度の36.2%から徐々に減少し、2014年度は28.2%となっている一方で、「通信販売」が27.1 % から33.6%へと増加しています。そして、「通信販売」割合の増加は「インターネット通販」の増加によることが確認できます(図表3-1-15)

65歳未満に関する相談は、全体と同様、「店舗購入」の割合が減少していく一方で、「通信販売」が2010年度の33.1%から2014年度は42.2%へと大幅に増加しており、2014年度には特に「インターネット通販」が33.8%と「店舗購入」を上回る状況となっています。

65歳以上の高齢者に関する相談は、65歳未満と比べ「訪問販売」、「電話勧誘販売」の割合が大きいことが特徴です。5年間で「訪問販売」の割合はやや減っていますが、相談件数で見るとほとんど減っておらず、依然として高水準となっています。また、「電話勧誘販売」の割合が増加傾向にありましたが、2014年度は前年度多かった「健康食品の送り付け商法」のトラブルの相談が減少した影響等で、2013年度の23.8%から18.7%へと減っています。

そして、2014年度は65歳以上の高齢者に関する相談で、「通信販売」の割合が2割を超え、その内訳では「インターネット通販」がその他の通信販売を上回っています。先に紹介した2014年度の高齢者に関する相談の上位商品・サービスにインターネットに関連したものが挙がっていたように、最近では高齢者でも「インターネット通販」におけるトラブルが増えていることが分かります。

●「通信販売」の中では「インターネット通販」に関する相談が増加

相談件数の前年度からの増減率に対する、販売購入形態別の寄与度を時系列で見ると、先に述べたように2012年度を除き「インターネット通販」が増加に寄与していることが明らかです(図表3-1-16)。特に2014年度は、「通信販売」のうち、「インターネット通販」以外は前年度より減少していますが、「インターネット通販」が大きく増加したことにより、図表3-1-15のとおり「通信販売」全体で見ると2013年度を上回る構成割合となっていることが分かります。

そして、それを牽引している理由の一つとして考えられるのは、スマートフォンの普及によるインターネット利用者数の増加です。「スマートフォン」そのものについての相談と、スマートフォンから「アダルト情報サイト」や「出会い系サイト」等のデジタルコンテンツを利用した「スマートフォン関連サービス」についての相談を見ると、2011年度上半期はスマートフォンそのものについての相談がスマートフォン関連サービスについてのものを上回っていましたが、その後スマートフォン関連サービスのものが逆転し、2014年度は前年度に比べても大きく増加しています(図表3-1-17)

先の図表3-1-15で紹介した「通信販売」のうちの「インターネット通販」の相談については、インターネットサイトで消費者が購入したい商品を注文して、その商品が数日のうちに自宅に届く、又はサービスを利用するために予約をするといった、いわゆる通常のインターネット通販よりも広い概念を含んでいます。

これまでも何度か紹介した、アダルト情報サイトに代表される、インターネットサイトを利用したサイト利用料、オンラインゲーム等のデジタルコンテンツも、消費生活相談情報では「インターネット通販」に入るため、データの見方には注意が必要です。

そこで、2014年度の「インターネット通販」をいわゆるインターネット通販(商品、サービスでデジタルコンテンツ利用を除く。)と、デジタルコンテンツ、他の相談(商品、サービスのいずれにも分類されないもの)と分類してみると、いわゆるインターネット通販が31.7%、デジタルコンテンツが68.3%と、7割近くがインターネットサイト利用にまつわる相談であることが分かります(図表3-1-18)

相談の具体的な商品・サービスの主なものは、いわゆるインターネット通販においては、商品では財布類、ハンドバッグ等、サービスでは航空サービス、コンサート、ホテル・旅館等が多く、デジタルコンテンツではアダルト情報サイトや、占いサイト、出会い系サイトやオンラインゲーム等が多くなっています。

●テレビショッピング、カタログ通販の相談は高齢者が多い

先に見たように「通信販売」のうち、「インターネット通販」が大きな割合を占めるようになってきていますが、従来から見られる「テレビショッピング」や「カタログ通販」についての相談も、ここ数年は例年よりも高水準となっています。特にそれぞれについて高齢者の割合が増加しています(図表3-1-19図表3-1-20)。

●販売方法や契約・解約等、取引に関する相談は増加傾向

消費者と事業者との間で締結される商品やサービスの契約に関する相談の傾向を見ると、販売方法に関する相談件数、契約・解約に関する相談件数ともに増加傾向にあります(図表3-1-21)

このうち、販売方法に関する相談については、①消費者を誤認させる場合がある勧誘として虚偽説明や説明不足に関するものが上位を占めるほか、②消費者を困惑させる場合がある勧誘や③その他の不適切な勧誘に関する相談も一定の割合を占めています。また、契約・解約に関する相談については、解約料の相談などが見られます。

2014年度の相談について、販売購入形態別に主な相談内容を見ると、いずれの販売購入形態においても、契約・解約等に関するトラブルが中心となっており、また、訪問販売や電話勧誘販売等では「強引」等の販売方法に関する相談が多くなっていることが分かります。それぞれの販売購入形態における主な商品・サービスは図表3-1-22のとおりです。

また、特定商取引法関連の相談の長期時系列推移を見ると、図表3-1-23のとおり、2000年代前半において通信販売に関する相談件数が急増していますが、これは架空請求の増加(図表3-1-1)に伴い、通信販売における架空請求も増加したことによるものと考えられます。ここ数年は、架空請求以外の通信販売や電話勧誘販売に関する相談が増加傾向となっているほか、訪問販売に関する相談についても引き続き高水準で推移していることが確認できます。

●未成年者の相談はインターネット利用のトラブルが上位

2014年度の未成年者の相談を小学生、中学生、高校生、大学生等51)と分類してみると、インターネットを利用した、アダルト情報サイト、オンラインゲーム等のデジタルコンテンツ52)が最も多いという点は共通しています(図表3-1-24)

小学生の場合は、デジタルコンテンツのほかには「電子ゲームソフト」、「電子ゲーム玩具」といったオンライン以外のゲーム関係が多く、中学生では「携帯電話サービス」や「学習塾」、高校生ではインターネット通販を利用してのトラブル(「他の健康食品」、「財布類」、「運動ぐつ」等)が見られます。さらに、大学生等になると「テレビ放送サービス」、「インターネット接続回線」、「不動産貸借」、「新聞」といった、一人暮らしを始めた際に遭いやすいトラブルに関する商品・サービスが上位となる点が特徴的です。

●美容医療サービスのトラブルは増加傾向

美しくなりたいという願望をくすぐる「プチ整形」、「レーザー脱毛」、「脂肪吸引」等に関する広告が、雑誌やテレビ、チラシなどで目に付くようになりました。それに伴い、全国の消費生活センター等に寄せられる美容医療サービス(医療脱毛、脂肪吸引、二重まぶた手術、豊胸手術、包茎手術、審美歯科、植毛などの「美容を目的とした医療サービス」)に関するトラブルの相談も増加傾向にあります(図表3-1-25)

相談内容からは、消費者の身体に関する悩みや美しくなりたいという願望に付け込み、美容医療の性質上、事業者と消費者の情報格差が特に大きい状況の下で、事業者が不安をあおったり、料金割引を強調したり、即日決断を迫ったりするなどの問題勧誘が見られます。さらに、広告に掲載されている施術が実際には受けられず、掲載されていない高いコースを勧められるなど、広告に関する問題もあります。こういった販売方法や広告に問題のあるもの以外にも、医師が行う美容医療施術において、皮膚障害や熱傷など危害を受けたという相談も寄せられています。これらの点から、美容医療サービスは様々な消費者問題の要素を含むトラブルとなっています。

美容医療サービスの施術には身体への危険が伴うため、広告等の情報をうのみにせず、施術内容、価格、リスクや施術結果の見通し等について、医師から十分な説明を受けた上で、慎重に判断をすることが重要です。

図表3-1-1 消費生活相談件数の推移

図表3-1-2 消費生活相談の商品・サービス別の件数・既支払額(2014年度)

図表3-1-3 平均契約購入金額の推移・平均既支払額の推移

図表3-1-4 契約購入金額総額・既支払額総額

図表3-1-5 属性別相談状況(2014年度)

図表3-1-6 性別・年齢層別の商品・サービス別相談件数(2014年度)

図表3-1-7 消費生活相談件数の多い商品・サービス(年齢層別、2014年度)

図表3-1-8 高齢者に関する相談件数

図表3-1-9 消費生活相談件数と人口の推移

図表3-1-10 高齢者の消費生活相談件数の推移( 5 歳刻み、指数)

図表3-1-11 高齢者に関する相談が多い商品・サービス(上位5 商品)

図表3-1-12 認知症等の高齢者に関する相談件数

図表3-1-13 認知症等の高齢者に関する相談の販売購入形態別割合(2014年度)

図表3-1-14 障害者等に関する相談件数

図表3-1-15 販売購入形態別相談割合の推移

図表3-1-16 相談件数の増加に対する販売購入形態別寄与度

図表3-1-17 スマートフォンとその利用に関連した相談件数

図表3-1-18 「インターネット通販」の商品・サービス別構成比(2014年度)

図表3-1-19 テレビショッピングに関する相談件数

図表3-1-20 カタログ通販に関する相談件数

図表3-1-21 商品やサービスの契約に関する相談の傾向

図表3-1-22 販売購入形態別の主な相談内容、上位商品・サービス(2014年度)

図表3-1-23 特定商取引法関連の相談件数

図表3-1-24 未成年者に関する相談が多い商品・サービス(2014年度)

図表3-1-25 美容医療サービスに関する相談件数


49)

トラブルの当事者が65歳以上で、精神障害や知的障害、認知症等の加齢に伴う疾病等、何らかの理由によって十分な判断ができない状態であると消費生活センター等が判断したもの。

50)

トラブルの当事者が心身障害者又は判断不十分者であると消費生活センター等が判断したもの。

51)

小学生、中学生、高校生以外の他の学生。

52)

他に漫画サイト、アニメサイト、占いサイト、内容不明の有料情報サイトに関する相談など。

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