平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者行動・意識

第2節 消費者行動・意識の状況

( 3 )事業者の消費者対応に対する消費者の意識

●消費者対応への関心は、50~70歳代で高い

前述のとおり、消費者は、商品やサービスを選ぶ際に事業者の消費者対応について関心があることがうかがえます。2014年度では特に、50歳代、60歳代及び70歳代では、「苦情や要望に対する対応」を「よく意識する」(『常に意識する』+『よく意識する』)割合が5割以上となり、他の年齢層と比べ大きくなっています(図表2-2-10)

また、消費者として心掛けている行動として、「商品やサービスについて問題があれば、事業者に申立てを行う」ことを「心掛けている」(『かなり心掛けている』+『ある程度心掛けている』。以下同じ。)と回答する割合も20歳代は41.8%ですが、50歳代は56.2%、60歳代は53.4%、70歳代は56.1%となっており、商品購入後やサービス利用後の対応についての50歳代以上の消費者の評価は、若い年齢層に比べて厳しくなっているといえます(図表2-2-11)

「商品やサービスについて問題があれば、事業者に申立てを行う」ことを「心掛けている」という回答は、時系列では図表2-2-1で示したように、2012年度は46.1%、2013年度は46.4%、2014年度は50.9%となりました。年齢層別に2012年度から2014年度までの増減の推移を見ると、50歳代では9.3ポイント増、60歳代で4.5ポイント増、70歳代で8.9ポイント増、80歳以上では11.7ポイント増と、それぞれ2012年度の数値より2014年度の方が高くなっており、申立てを行おうと考える人の増加の要因は、この年齢層にあるといえます(図表2-2-12)。これは、いわゆる団塊の世代の消費者にとって商品やサービスを吟味するなどの自由な時間が増えたことも一因と考えられます。また、多くの事業者から、団塊の世代以上の消費者からのお客様相談窓口への連絡が増えているとの声が聞かれます。

他方、事業者への若年層からの問合せは他の年齢層と比較して少ない傾向にあるとの声が聞かれます。若年層は、商品やサービスへの疑問を持った際には、事業者へ連絡をとる前に、ウェブサイト等で必要な情報を検索することで解決方法を見付け、対象事業者に連絡するに至らない場合があることも一因となっているとみられます。問合せが少ない代わりに、若年層では商品やサービスの選択時に「評判」を意識する人の割合が、10歳代から50歳代までではいずれも6割以上と、60歳代以上に比べて大きくなっています。

●消費者とのコミュニケーションの充実はこれから

「消費者意識基本調査」(2014年度)で、事業者による消費者対応に関する取組への意識について聞いたところ、「安全性の高い商品・サービスの提供」について最も回答が多く、65.5%となりました(図表2-2-13)。次に「商品・サービスの説明や表示」と「修理などアフターサービスの実施」がどちらも42.6%と続きます。それに対し、「消費者とのコミュニケーションの充実」(11.8%)や「クレームや要望の活用」(10.9%)についての回答は低くなりました。

「商品・サービスによる事故やトラブル発生時の対応」が27.4%、「クレームや要望への対応」が25.5%となっていることからうかがえるように、消費者対応や「消費者の声」の活用といった、消費者とのコミュニケーション分野については、まだ事業者は積極的に取り組んでいないと消費者が捉えているといえます。

一般財団法人経済広報センター「第18回 生活者の“企業観”に関する調査」(2014年度)によると、「企業が社会からの信頼を今後さらに勝ち得ていくための重要事項」としては、「安全・安心で優れた商品・サービス・技術を適切な価格で提供する」(85%)、「雇用を維持・創出する」(49%)、「社会倫理に則した企業倫理を確立・順守する」(40%)に続き、「経営の透明性を確保し、情報公開を徹底する」が35%となっています。

既に消費者の声を経営に活用している事業者もありますが、消費者とのコミュニケーションの充実など、情報を消費者に的確に届ける仕組みについて、事業者団体や事業者内での検討が今後必要となりそうです。

2015年3月に閣議決定された消費者基本計画では、消費者基本計画として初めて「消費者志向経営」について明記されました42)。一般社団法人経済団体連合会(経団連)が2010年に策定した「企業行動憲章―社会の信頼と共感を得るために―」では、第1項に「社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する。」とあります。既に示したように、消費者が商品・サービスを選ぶ際に「安全性」を重視していることからも、消費者の意識が反映されているといえます。また、同憲章には、「株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公正に開示する。」、「社内外の声を常時把握し、実効ある社内体制を確立する。」と掲げられており、消費者との対話や情報開示、消費者の声の把握など、消費者を重視した事業活動、すなわち消費者志向経営が経済界でも重要視されていることがうかがえます。

事業者が消費者から高く評価される消費者志向経営をするためには、顧客対応や品質管理部門など、一部門の従業員の意識の徹底にとどまらず、経営層、ひいては企業全体としての消費者志向が徹底されるような意識改革と仕組みが必要となります。消費者の声が事業者内部で企業トップまで共有され、その声が活かされる商品開発、改善、そして消費者対応が行われるために、事業者、さらには事業者団体の自主的な取組が重要となります。

事業者による「消費者志向経営」の促進には、消費者の声が的確なものであるよう、消費者自身が合理的な意思決定を行い、被害を認識し、危害を回避し、被害に遭った場合に適切に対処する能力を身に付けた「消費者市民」となることが求められます。事業者と消費者は、よりよい消費生活の実現のために対話し、共に成長していくことが、「経済の好循環」を実現するためにも必要となってきます。

図表2-2-10 商品やサービスを選ぶときに、苦情や要望に対する対応を意識する割合(年齢層別)

図表2-2-11 商品やサービスについて問題がある場合、事業者への申立てを行うことを心掛けているとする割合(年齢層別)

図表2-2-12 商品やサービスについて問題がある場合、事業者への申立てを行うことを心掛けているとする割合の推移

図表2-2-13 事業者による消費者対応の取組のうち、事業者が積極的に取り組んでいると消費者が思っているもの


42)

消費者基本計画第4章4(3)「事業者・事業者団体も、事業者が消費者を重視した事業活動、すなわち消費者志向経営を行うことが健全な市場の実現につながるという意味で、消費者政策を推進する上で重要な主体である。」

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