平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者行動・意識

第1節 消費者を取り巻く社会経済情勢

( 2 )消費生活を取り巻く環境変化の動向

●情報化の進展で、インターネットを利用する取引は増加

経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によると、我が国の消費者向け電子商取引の市場規模は増加しており、2005年の3.5兆円から2013年に11.2兆円となり、8年間で約3倍となりました(図表2-1-20)

この拡大の背景には、情報通信機器の普及率の高まりがあるとみられます。総務省「通信利用動向調査」によると、パソコン、携帯電話・PHS等の情報通信機器は、1990年代後半から2000年代前半にかけて急速に普及しました。このうち、携帯電話・PHSの世帯普及率を見ると、2003年には、9割に達しました(図表2-1-21)。中でもスマートフォンの普及は近年急速に進んでおり、2010年末に9.7%であった普及率は2013年末には62.6%と6倍以上となっているほか、タブレット型端末も2010年末に比べて約3倍の普及率となっています。こうしたスマートフォンやタブレット型端末の普及が進むなかで、近年では固定電話の世帯普及率が減少傾向にあります。ただし、世帯主の年齢が60歳以上の世帯では、固定電話の世帯普及率は9割を超えています。

内閣府「消費動向調査」により、2014年3月から2015年3月までの1年間のスマートフォン世帯保有率の変化を見ると、一般世帯(2人以上の世帯)において、世帯主が60歳代の世帯で44.1%から55.1%と11ポイントの増加、50歳代の世帯で75.4%から81.8%と6.4ポイントの増加と、世帯主が60歳代及び50歳代の世帯でスマートフォンの保有率が急速に高まっています。

また、総務省「情報通信利用動向調査」によると、個人のインターネット利用率は全年齢層で年々高くなっています。また、2013年末には60歳代後半の68.9%が、70歳代でも48.9%がインターネットを利用しています。高齢層での利用率の高まりは、インターネットが生活に幅広く浸透してきていること、インターネット利用に慣れている世代が年齢を重ねていることの両方によるものと考えられます(図表2-1-22)

●家計のインターネット利用に関連する支出は年々増加

インターネット利用率の高まりに伴い、家計におけるインターネット利用に関連する支出額は年々増加しています。総務省「家計消費状況調査」によれば、パケット通信料等を含めたインターネット利用料は2014年には1世帯当たり月平均で11,400円と2005年の8,383円の1.4倍になり、インターネットを利用した1世帯当たり月平均支出額は2005年に2,182円だったものが2014年には6,000円と2.7倍となっています。両者の支出額を合わせると2014年は1世帯当たり月平均で17,400円となり、支出総額の5.9%を占めています(図表2-1-23)

なお、2015年1月から3月までの1世帯当たりのインターネットを利用した支出は平均8,520円でその内訳を見ると、旅行関係費が20.0%と最も多くなっており、次いで食料の14.4%、衣類・履物の11.3%と続きます(図表2-1-24)。幅広い商品やサービスでインターネットを利用した支出がなされるようになっており、1か月の支出総額に占める割合は2.7%程度となっています。

●インターネットで購入する際の決済手段はクレジットカードが多い

総務省「通信利用動向調査」によると、インターネットで商品・サービスを購入する際に利用される決済手段として、「クレジットカード払い」を利用する割合は、前年よりも増加して6割を超え、購入時の決済手段で最も多くなっています(図表2-1-25)

一方で、インターネットでの購入時の決済手段として、コンビニエンスストアでの支払が増加しており、また「電子マネーによる支払」も一部見られます。

●買い物等での電子マネーの利用も拡大

電子マネーはインターネットでの購入時の決済手段としても利用されるようになってきましたが、その他の日常的な利用はより拡大しています。総務省「家計消費状況調査」によると、電子マネーの1世帯当たりの1か月間の平均利用額は年々増加しており、2014年には11,410円となりました(図表2-1-26)。また、電子マネーを利用している世帯員がいる世帯の割合は2008年には18.0%でしたが、2014年には40.4%となるなど増加してきました。電子マネーを利用している世帯におけるその主な利用先は、交通機関が最も多く、次にスーパーマーケット、コンビニエンスストアと続きます。2012年までは利用している世帯の過半数が主な利用先として交通機関を挙げていましたが、2014年には、スーパーマーケットとコンビニエンスストアの合計が交通機関を超えるなど、交通費の支払に加え、店頭での利用が拡大してきました。

●高齢化の下で高齢単独世帯の増加傾向は続く

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」により我が国の年齢別人口構成の長期的な推移を見ると、1980年には9.1%だった高齢化率は2014年には26.1%となり、2060年には39.9%まで上昇すると見込まれるなど、高齢化が進展しています。また、厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、1世帯当たりの平均世帯人員は減少しており、1980年には1世帯当たり3.28人、1992年には2.99人と3人未満となり、2000年には2.76人、2013年には2.51人となっています。

こうしたなかで、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」により家族類型別に世帯数の割合の推移を見ると、単独世帯の割合は1980年の19.8%から2010年には32.4%に増加しており、さらに、2035年には37.2%まで増加することが見込まれています。中でも65歳以上の高齢者の単独世帯が1980年の2.5%から2010年には9.2%とほぼ4倍となり大きく増加しています。さらに、2035年には15%を超えると見込まれています(図表2-1-27)

世帯人数が減り、高齢者の一人暮らしの世帯が増えていくということは、家にいてトラブルに巻き込まれたときに、家族や周囲の目が届かない可能性が高く、すぐに誰かに相談することができない状況が増加することを意味します。

●高齢層の貯蓄は多いが、収入は低い

総務省「家計調査」(2014年)により1世帯当たりの貯蓄額を見ると、世帯主が30歳未満の世帯では平均貯蓄額が268万円、持家率は30.4%となっていますが、年齢層が上がるにつれ貯蓄額と持家率が増加しています。一般的に引退し始める年齢層でもある60歳代の世帯では、平均純貯蓄額(貯蓄額から負債額を引いた額)は2271万円と2000万円を超え、持家率も94.0%となり、また、70歳以上の世帯においては平均純貯蓄額が2374万円、持家率は93.9%となるなど、高齢層ほど資産が多くなっていることが分かります(図表2-1-28)。高齢者は、平均的に見ると、家も含め資産を多く保有していますが、こうした資産は、高齢者にとっては生活の資金、また病気等への備えに重要です。また、金融資産の内訳を見ると、どの年齢層でも有価証券の割合は低く、「安全性」の高いいわゆる預貯金の割合が高くなっています。

図表2-1-20 消費者向け電子商取引の市場規模の推移

図表2-1-21 情報通信機器の普及率の変化

図表2-1-22 年齢層別インターネット利用状況

図表2-1-23 1世帯当たりのインターネット利用に関連する支出の推移

図表2-1-24 インターネットを利用した支出の内訳

図表2-1-25 インターネットでの購入時の決済手段

図表2-1-26 1世帯当たりの電子マネー月平均利用額と利用場所

図表2-1-27 家族類型の構成比の推移

図表2-1-28 世帯主年齢層別世帯平均貯蓄・負債額と平均世帯年収、持家率

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