平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第1章 【特集】グローバル化の進展と消費者問題

第2節 グローバル化に関連した消費者問題

( 4 )越境消費者センターに寄せられた相談の概況

●越境取引に関する相談はインターネットでの取引に関するものが多い

これまで見たように、グローバル化が進む下での消費者トラブルは、消費者がインターネット経由で気軽に海外事業者と取引できるようになったことで、より一層増加しています。

そこで消費者庁では、消費生活センター等における相談受付機能を補完するため、2011年11月から2015年3月まで「消費者庁越境消費者センター(CCJ:Cross-BorderConsumer Center Japan)」を開設し、海外事業者と国境を越えて行う、越境取引でトラブルに遭った消費者からの相談を専門的に受け付けました(2015年4月より国民生活センターに事業移管し、「国民生活センター越境消費者センター(CCJ)」と名称変更)。

2014年度に受け付けた相談は4,068件で、取引類型別で見ると、「電子商取引」が4,011件で98.6%、「現地購入」が51件(1.3%)、「その他」22)が6件(0.1%)で、ほとんどが「電子商取引」、つまりインターネット取引におけるトラブルです(図表1-2-22)

また2012年度からの3年間の推移を見ると、2012年度は2,490件でしたが、2013年度には4,508件と大幅に増加し、2014年度はやや減少しています。

前年度からの減少の理由としては、CCJが行う研修等を通じて越境取引に伴うトラブル対応のノウハウが消費生活センター等に蓄積されつつあることも一因と考えられます。消費生活センター等での消費者へのアドバイスも、クレジットカード会社、金融機関、警察へ相談すること等が中心になることから、消費者へCCJを案内することなく、相談が終了しているケースが増えているためと考えられます。

●模倣品・詐欺関連が半数以上

トラブルを内容別に類型化し、その構成比を見ると、2014年度は模倣品・詐欺関連(「模倣品到着」23)及び「詐欺疑い」24))が2013年度の59.4%よりは下がっているものの、52.8%と半数以上を占めています(図表1-2-23)

その内訳を見ると、2013年度に35.4%と、前年度より大幅に増加した「詐欺疑い」(「通販サイトで洋服を購入し、代金を銀行に振り込んだが、事業者から連絡がなく、商品も未だに到着しない」等、商品が届かないまま連絡が途絶える)が更に増加し、2014年度では38.5%と4割近くになっています。

一方、「模倣品到着」は2013年度の23.9%から2014年度の14.2%へと大きく減少しています。これは、模倣品ではあるものの、少なくとも消費者へ実際に現物を送付していた悪質事業者が、最近では送付に係る労力すら惜しみ、消費者から代金を受け取りながらも、商品は一切送付しないという手口を採るなど、悪質性が増しているとも考えられます。

この模倣品・詐欺関連の相談については、CCJで事業者サイトを確認したところ、「模倣品到着」、「詐欺疑い」にそれぞれ分類される事業者サイトは、日本語の文章が稚拙、住所や電話番号の記載がない、問合せ先がフリーメールアドレスのみである等のサイト構成等、共通の傾向が見られました。また、実在するサイトを模倣したり、連絡先等を偽ったサイトの、いわゆる“なりすましECサイト”25)によるトラブルも多く見られました。

その他のトラブル類型では、「解約」の割合が2014年度に26.1%と、前年度の20.4%と比べ増加しています。これは、化粧品販売サイトによる不当請求についての相談が一時的に集中したことや、パソコンの操作中にウィルスやエラーメッセージが表示され、その場でソフトウェアの購入に誘導されるといった、国内事業者でも見られる、ソフトウェアのダウンロードに関する相談が数多く寄せられたことが主な要因です。

●海外著名ファッションブランドを購入する際にトラブル

商品・サービス別に割合を見ていくと、2014年度はアパレル商品(「衣類」、「履物」、「身の回り品」)に関する相談が最も多く、47.5%を占めています。これは、いわゆる海外著名ファッションブランド品をインターネット通販で購入する際に、多くのトラブルが生じていることを意味しています。偽ブランドのアパレル商品が届いたというケースが多く見られますが、2013年度の61.5%に比べれば、2014年度は47.5%と減少しています(図表1-2-24)

ほかには、旅行サービスやオンラインゲーム、電子書籍、動画配信、SNS等のインターネットサービスを含む「役務・サービス」が、2013年度の9.0%から2014年度は13.1%と増加しています。

●決済の手段で多いものはクレジットカード

決済手段の割合を見ると、2013年度に比べ2014年度は、「クレジットカード」の割合が39.6%から56.3%へと大幅に増加し、「金融機関振込」が54.6%から37.1%へと減少して、2012年度と同じような構成比となりました(図表1-2-25)。これは、警察から金融機関に対して詐欺等の犯罪を行っている疑いのある事業者に関する口座凍結のための情報提供が積極的に行われていることなどから、悪質事業者が決済手段として金融機関振込を選択しづらい状況が起きていることが考えられます。

●円が決済に用いられ、ウェブサイトの言語は日本語

また、決済に用いられる通貨は、2014年度は日本円が82.6%を占めています(図表1-2-26)。これはCCJに寄せられる相談でのインターネット通販における事業者のウェブサイトで使用されている言語が、日本語が7割以上であることにも関係しています(図表1-2-27)。特に模倣品・詐欺関連で決済通貨を確認すると、95.8%が日本円で決済を行っています。相談で多く見られる模倣品サイトの場合、日本語で記載されたサイトが多数で外国語の要素が少なくなっています。そのため、多くの消費者が海外事業者との取引であることに気付かず、馴染みのある日本語及び日本円決済のウェブサイトを利用して、トラブルに遭遇していることがうかがえます。

また、CCJでは相談者に対して2014年度にアンケートを実施しています26)。同アンケートの結果によれば、相談者の1割にとっては、CCJに相談することになった取引が、初めての海外事業者との取引でしたが、インターネット取引の経験が20回を超えていた消費者も、相談者全体の約6割となっています。先に述べたように、事業者のウェブサイトで日本語が使われている比率が高いことや、円で決済できると表示されているサイトがあること等により、消費者が取引を行う際に、日本の事業者によって運営されているウェブサイトと誤解してしまうと考えられます。

●事業者の所在地により、トラブルの内容に違い

事業者の所在国/地域別に見ると、2014年度は「米国」が702件(相談件数に占める割合は17.6%、以下同じ。)と最も多く、次いで「中国」が543件(13.6%)、「英国」が227件(5.7%)という順になっています(図表1-2-28)。2014年度は中国の事業者に関する相談が2013年度の1,537件(34.5%)から大きく減少している一方で、所在国/地域が「不明」であるケースが、2013年度の1,273件(28.6%)から大幅に増加し1,914件(48.1%)と半数近くとなっています。

2014年度の事業者の所在国/地域別の相談の中で、「米国」のトラブル類型を見ると、「解約」が6割を占め、次いで「商品未到着」が多くなっています。他方、「中国」では、「模倣品到着」が68.5%で、次いで「詐欺疑い」が18.2%と、模倣品・詐欺関連が86.7%となっており、国によって内容が大きく異なることが見てとれます。そして、事業者の所在国/地域が「不明」のケースに目を向けると、「詐欺疑い」が75.2%、「模倣品到着」が10.0%で、あわせた模倣品・詐欺関連が85.2%となっています。

これは、先に述べたように何も届かないまま事業者との連絡が途絶え、さらに事業者の実態が正確に把握できないといった「詐欺疑い」の相談の増加と、事業者の所在国が分からないケースの増加がつながっていると考えられます。

図表1-2-22 消費者庁越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談(取引類型別)

図表1-2-23 消費者庁越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談(トラブル類型別)

図表1-2-24 消費者庁越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談(商品・サービス類型別)

図表1-2-25 2014年度に消費者庁越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談(決済手段別)

図表1-2-26 2014年度に消費者庁越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談(決済通貨別)

図表1-2-27 2014年度に消費者庁越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談(事業者ウェブサイト使用言語別)

図表1-2-28 2014年度に消費者庁越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談(事業者所在国/地域別)


22)

海外事業者からの身に覚えのない請求や、電話や郵便による勧誘等。

23)

広義には詐欺と考えられるが、模倣品到着に関する事実と傾向を把握するため、区別している。

24)

注文及び決済の事実が確認できるにもかかわらず、何も届かないまま事業者とのコミュニケーションが途絶え(又は事業者が合理的な応対をしない)、なおかつ事業者の実態が正確に把握できない相談を指す。

25)

正規のEC(Electronic Commerce)サイトの商号やデザイン、商品写真等を無断でコピーしたサイトを作り、代金支払後も購入者へ商品を送らなかったり、偽ブランド品を送付したりするサイト。

26)

2015年1月19日から2月1日までに、2014年度にCCJに相談した者のうち、電子メールによる連絡が可能な相談者2,948件を対象に実施。有効回答は295件。

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