平成27年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第1章 【特集】グローバル化の進展と消費者問題

第2節 グローバル化に関連した消費者問題

( 2 )在外邦人や外国人に関わる消費生活相談

●在外邦人の消費者トラブル

海外にいる日本人から日本の消費生活センター等に消費生活相談が寄せられる例もあります(図表1-2-13)

2005年度以降、2008年度までは減少傾向にありましたが、その後は横ばいの状況が続いており、2014年度は409件となっています。2014年度の相談のうち、本人からの相談は179件で、約4割を超えています。本人からの相談割合は2005年度、2006年度には約25%でしたが、最近は増える傾向にあります。2014年度は、「アダルト情報サイト」や「携帯電話サービス」に関する相談が主なものとして挙げられます。

●在留外国人の消費者トラブル

一方、日本に在住している外国人の消費生活相談も見られます。この10年間で、「外国人」の相談は2009年度の556件を除き、毎年300~400件台で推移しています(図表1-2-14)

このうち、本人からの相談は4~5割であり、これは、言語の問題や、そもそも消費生活センターという機関の存在を知らない等によるものと考えられます。なお、消費生活相談全体では本人からの相談は約8割ですが、高齢者、障害者の場合も、トラブルに気付きにくく、本人からの相談比率は低くなっています(第3章第1節参照)。

2014年度の相談のうち、上位にある商品・サービスの主なものは、「携帯電話サービス」、「賃貸アパート」、「アダルト情報サイト」で、日本人と大きな違いはありませんが、例えば、「携帯電話サービス」は日本人でも契約が複雑で分かりづらいケースが多い上に、外国人では帰国するために途中解約しようとして、高額の解約料が掛かることに気付くケースも見られます。

また、「賃貸アパート」も退去時、原状回復費用を請求されたが高額すぎ、さらに敷金も返金されないのに、交渉するほど日本語が堪能ではない、というものなどがあります。

なお、消費生活相談の多くは電話によるものであるため、仮に外国人からの相談であっても流暢な日本語で、自らが外国人であると申し出ない場合は、消費生活センター等が外国人と認識しないケースもあります。また、長くその地域に在住する場合は、外国人と認識しても、外国人として識別しておく必要はないと考えて、記録にその地域を登録する消費生活センター等もあるので、ここでの外国人の相談件数は、実態より少ない可能性に留意する必要があります。

コラム1

外国人住民のための契約トラブル防止研修会開催 ―三重県消費生活センター―

三重県消費生活センターでは、三重県環境生活部多文化共生課と連携して、2015年1月及び2月の計2回、県内初の取組である「外国人住民のための契約トラブル防止研修会」を企画・開催しました。三重県には約43,000人と多数の外国人住民が暮らしており(法務省「在留外国人統計」(2014年6月末)都道府県別総数第14位、人口比率第3位)、消費生活センターへの相談はあまりないものの、多文化共生課が(公財)三重県国際交流財団に委託して実施している多言語による相談窓口などに寄せられる情報から、潜在的な外国人住民の契約トラブルが多いことが分かったためです。

開催に当たっては、市町の外国人住民担当窓口や(公財)三重県国際交流財団等による周知のほか、地域でグループを形成している外国人のリーダー的存在の方々等に情報提供を行ったところ、1回目には18名(うち母国語がポルトガル語の方7名、中国語の方2名、ベトナム語の方1名)、2回目には27名(うち母国語がフィリピノ語の方11名、ポルトガル語の方4名、英語・中国語・スペイン語の方各2名、ベトナム語の方1名)が参加されました。

研修会では、DVDの上映のほか、逐次通訳を入れる形で、消費生活センターの職員が契約、クーリング・オフ制度についての説明や契約トラブルの事例紹介を行い、日本語に不慣れな外国人住民にも、契約トラブルの防止と対策法について情報を提供しました。

質疑応答も活発に行われ、参加者のコメントから、マルチ商法や訪問販売の契約トラブルに遭う外国人が多いこと、契約の意味が理解できていないケースや契約トラブルに遭っているという認識がないケース、困ってもどう対処してよいか分からない、またどこへ相談してよいか分からないといったケースが数多くあることが分かりました。

この研修会での成果を受け、2015年度も同様の研修会を実施する予定です。また、契約トラブルに対する注意喚起を目的とした5か国語(英語・中国語・スペイン語・ポルトガル語・フィリピノ語)のパンフレットを、三重県内の市町の外国人相談窓口等で継続して配布する予定です。

こうした取組により、三重県では引き続き外国人住民の契約トラブルの防止を図っていくこととしています。

研修会の様子は、「三重県情報提供ホームページ」の以下のURLで見ることができます。

http://mie.portalmie.com/ja/video-jp/kyouiku-video/keiyaku-toraburu-nitsuite/index.html

5か国語のパンフレット
5か国語のパンフレット

研修会の様子
研修会の様子

●訪日外国人観光客の消費者トラブル

消費生活相談は、地方公共団体の住民サービスの一つというのが原則です。一方、外国人観光客による日本での消費に関連する相談が消費生活センター等に寄せられるケースも、数は少ないものの、見られます。

最近では、「観光ツアーでガイドに連れて行かれたお店で健康食品を大量に買わされた。効果がないので返品したい」といったものや、「日本語が一切できない外国人が日帰りバスツアーの申込みをしたら、緊急時に対応できないことを理由に参加を断られた」という相談、「外国人がデパートで買い物をして消費税を還付されたが、還付の際に手数料を取られた」等が寄せられています。

中国人観光客が春節に合わせて訪日し、日本の商品に対して活発な消費意欲を示していました。また2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向け、今後我が国にはますます訪日外国人観光客が増える見込みです。今後、日本で外国人観光客が消費する機会が増えることで、消費者トラブルに巻き込まれる例も増加することが予想されます。

●その他の外国人の消費者トラブル

ほかには、件数は少ないものの、海外に在住している外国人のトラブルについて、消費生活センター等に相談が寄せられることもあります。

例えば、「海外の友人がメールで勧誘された日本の事業者に投資したが、連絡が取れなくなった」、「海外在住の外国人の知人がインターネット通販で、日本の事業者から買った品物が注文品と違っており、返品したがその後連絡がない」等、日本の消費者が海外事業者との取引でトラブルに遭う越境取引の逆のケースで、海外の消費者が日本の事業者との取引でトラブルに巻き込まれた内容が見られます。

図表1-2-13 在外邦人の消費生活相談件数

図表1-2-14 外国人に関する消費生活相談件数

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