平成26年版消費者白書

「各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織を発足」「国民の意見や苦情の窓口となり、政策に直結させ、消費者を主役とする政府の舵取り役になる」との理念の下、2009年9月に消費者庁が設置されてから今年で5年目を迎えました。「小さく産んで大きく育てる」とのコンセプトの下、当初定員202名で発足した消費者庁は、2013年度末には定員289名となり、この間、政府全体の消費者政策の体系的取りまとめ、消費生活に関わる基本的な制度作り、消費者の安全の確保、悪質事業者への対処、不当な表示・広告の排除、食品表示ルールの整備、消費者への普及啓発・消費者教育の推進、地方消費者行政の取組の支援、物価政策、公共料金の適正化など、様々な分野での取組により、関係府省庁や地方公共団体、独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)、消費者団体等とともに消費者行政を形にしてきました。

また、消費者庁は出来たばかりの新しい組織ですので、まだ予算も人も少なく、その職員は関係府省庁や民間からの出向者が大半を占めており、消費者庁設置当初の職員は今ではほとんどが出向元へ戻り代替わりしています。こうした人事異動による人の入れ替わりや、組織の拡大に伴い、ともすれば設置当初の理念が忘れられがちであったり、あるいは出身母体を異にする職員同士で十分な意思疎通が図られなかったりといった弊害があったことも否めません。こうした状況に対して、消費者庁設置当初の理念を再認識し、またお互い顔を知らないことも多い職員同士が消費者行政の明確なゴールを共有する必要があることから、2013年9月、全職員から意見を募り「消費者庁の使命」と「消費者庁職員の行動指針」を策定し、職員全員で共有しています。さらに、2013年度からは消費者庁独自の職員の新規採用も始まり、将来の消費者行政を担う人材の育成も始めています。

一方で、消費者庁設置以降も、消費者の安全・安心を脅かすような消費者事故の発生、あるいは消費者に多大な財産的被害を与える詐欺的な悪質商法の横行など、消費者問題は依然として深刻であり、高齢者、障害者、未成年者など弱い立場にある消費者が次々と被害に遭っている現状はなかなか改善されません。こうした消費者被害に関する報道等を通じて消費者庁の取組が徐々に認知されていく一方、消費者の権利を守る立場に立つ消費者庁、消費者行政には厳しい視線も向けられており、様々な批判に対し、我々は消費者目線に立ち、真摯に対応していかなければなりません。

「消費者政策の実施の状況」(消費者白書)は、2012年の消費者基本法改正を受けて2013年度から作成・報告しているものであり、今回が2回目の報告となります。本白書中、第1部「消費者行動・意識と消費者問題の現状」では、昨今の消費者被害・トラブルの状況を相談情報や意識調査等を用いて客観的に整理・分析し、また第2部「消費者政策の実施状況」では、消費者庁及び関係府省庁の取組状況を分野別に整理しています。なお、2013年度までは消費者安全法に基づき「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告」を別途作成していましたが、今回からは両者の内容を合冊して併せて報告することとし、より充実した報告として取りまとめています。

また、消費者白書では、その時々の主要な政策課題を「特集」として取りまとめ、詳細に分析することとしています。前回の白書では「劇場型勧誘」など高齢者を狙った悪質商法による被害が増加していること等を踏まえ「高齢者の消費者トラブル」を特集しており、今回は2013年度に食をめぐる消費者トラブルが大きな話題となったことを踏まえ「食をめぐる消費者問題」を第1の特集とし、また、情報化社会の進展に伴いインターネットや携帯電話といった情報通信に関連する消費者トラブルが増加していることを踏まえ「情報通信の発達と消費者問題」を第2の特集としています。

第1部の構成としては、第1章の特集「食をめぐる消費者問題 ~食への信頼の回復と安心の確保に向けて」では、2013年に大きな社会問題となったホテル・レストラン等におけるメニュー表示の問題とその対応、また、2013年に成立した食品表示法など、食品表示をめぐる最近の動向、2013年度に発生した冷凍食品への農薬混入事案や食品中の放射性物質の問題といった食の安全・安心をめぐる状況、近年大きな課題となっている食品ロスの問題と、食をめぐる最近の話題について記述しています。

第2章の特集「情報通信の発達と消費者問題 ~ネット社会に消費者はどう向き合うか」では、情報化社会の進展を背景として生じている様々な情報通信関係の消費者トラブル、特に、インターネット回線やスマートフォン等の情報通信サービスの契約・解約に伴うトラブル、中国関連を中心として詐欺的なトラブルが増加しているインターネット通販の問題、未成年者を中心として多くの相談が寄せられるオンラインゲームへの高額課金の問題等について記述しています。

第3章「消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者行動・意識」では、我が国経済に占める家計消費の動向や、消費者庁が実施している「消費者意識基本調査」から分かる消費者の行動・意識の状況等について記述しています。

第4章「消費者問題の動向」では、消費者安全法に基づく情報の集約・分析のほか、全国の消費生活センター等に寄せられた相談情報等を基に分析した2013年度の消費者被害・トラブルの概要や、高齢者を中心に多数の被害が生じている「健康食品の送り付け商法」、「劇場型勧誘」など最近の特徴的な消費者被害・トラブルの状況について記述しているほか、日本全国の1年間の消費者被害・トラブル額の推計等について解説しています。

第5章「消費者政策の展開」では、最近の消費者行政の主要な取組について簡潔に整理しているほか、特に高齢者・障害者の見守り、消費者教育の推進について事例等を交えて分かりやすく記述しています。また、諸外国の消費者政策の状況についても紹介しています。

第2部では、2013年度の消費者政策の実施状況について、消費者基本計画に規定された項目に沿って消費者庁及び関係府省庁が分担執筆しており、消費者行政の分野毎の取組が詳細に分かるようになっています。また、本稿が消費者基本計画の実施状況の検証・評価(フォローアップ)としての機能も兼ねています。

このほか、事例紹介や外部の有識者の執筆によるコラムを多数掲載し、様々な角度から消費者問題・消費者政策への理解を深められるよう工夫しています。

また、第2部の後に、消費者事故等の状況、消費者庁が行った法執行・行政処分・各種情報提供等についても詳細に記載していますので、2013年度1年間の消費者問題・消費者行政の記録集として御活用ください。

消費者庁の使命

消費者行政の「舵取り役」として、消費者が主役となって、安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現する。

消費者庁職員の行動指針

私たちは、消費者庁の使命を実現するため、以下の指針に則って行動します。

  • ○消費者・生活者の視点に立ち、国民全体の利益を考えます。

    国民は全て消費者です。日々の暮らしの最も基本的な活動が消費であり、それは一国の経済における総需要のうちの最大のものです。安全・安心な商品及びサービスが市場に供給され、仮に被害に遭っても円滑に救済されることになれば、消費の増加が期待されます。消費が増加すれば、事業活動も拡大し、国民経済全体が発展することになります。

    消費者庁職員は、消費者・生活者の視点に立つことが国益であることを認識し、一生活者としての「気づき」を仕事にいかすためにも、「ワーク・ライフ・バランス」を実現させ、何が「消費者のために」なるのか、「自分が当事者ならどう思うか」を心に置き、行動します。

  • ○自らの仕事に誇りを持ち、強い責任感と高い志を持って職務を遂行します。

    社会で生活していく限り、国民はあらゆる消費者問題に直面します。消費者庁職員は、そうした様々な問題への解決に向けた国民からの期待を自覚し、消費者行政の舵取り役の一員であることに誇りを持ち、強い責任感と高い志を持って職務を遂行します。消費者問題に正面から向き合い、あきらめずに努力し続けます。

  • ○ 便利で分かりやすい情報を提供するよう心懸け、コミュニケーションを重視します。

    消費者行政の推進には、消費者を始め、事業者、関係行政機関、地方公共団体など幅広い主体との連携・協力が不可欠です。そのため、コミュニケーションを重視し、特に情報発信に当たっては、受け手の立場に立ち、便利で分かりやすい内容を提供するよう心懸けます。

  • ○ 専門性を向上させるため、日々、知見の獲得・深化に努め、その成果を具体的な結果として示します。

    消費者庁職員には、職務上、安全・安心で豊かな社会を実現するための適切な制度設計及び法執行を行うことが求められます。そのため、日々、専門性を向上させるため、視野を広げ、知識を深め、また、その能力・経験をいかした成果を具体的な結果として示してまいります。

  • ○困難な課題であっても、できる方法を考え、挑戦し続けます。

    消費者庁は、消費者の立場から、各省庁の所管を越えた、新しい、多くの困難な課題に取り組まなければなりません。そのため、従来の行政の発想にとらわれるのではなく、前向きに、できる方法を考え、解決に向かって、全力で、積極果敢に挑戦し、一歩ずつでも前進し続けます。

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