平成26年版消費者白書

第2部 消費者政策の実施状況

第3章 経済社会の発展等の環境変化への対応

第2節 高度情報通信社会の進展への的確な対応

( 1 ) インターネット取引の安全・安心の確保

高度情報通信社会の進展により、インターネットを活用した取引が増加して利便性が向上する一方、それに関連する様々な消費者問題も数多く発生しています。

消費者庁は2010年8月から「インターネット消費者取引研究会」を開催し、消費者の視点に立った事業者や行政の取組の在り方について検討を行い、2011年3月に報告を取りまとめました。同報告では、①決済代行業者の名称、連絡先等の分かりやすい表示の仕組み(「登録制度」)を作ること、②インターネット取引に係る表示について事業者が守るべき事項を提示すること、③広告表示に対するネット上の監視活動を強化すること、④越境取引に関する消費者トラブルの解決に向けて各国消費者相談窓口間のネットワークを作ること、⑤関係事業者、消費者団体等の参加を得て、関係者の実務的な連携・協力の場としての連絡会を開催することが提言されました。

消費者庁では、同報告を受け、①に関しては2011年7月から、任意の決済代行業者登録制度の運用を開始し(平成25年度末時点で30社が登録)、今後の制度の在り方について継続的に検討しています。②に関しては、2011年10月に「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表しています(2012年5月9日に一部改定)。また、③のインターネット上の広告表示については、引き続き景品表示法や特定商取引法の厳正な執行、健康増進法による健康食品の虚偽・誇大広告の防止に向けた取組を行うとともに、インターネット・サービス・プロバイダ等に対する情報提供を通じて違法なウェブサイトの削除を促しています(2013年度には、景品表示法の観点から、119事業者による126のサイトの表示について啓発メールの送信を行い、改善を促しました。また、健康増進法による健康食品の虚偽・誇大広告の防止に向けた取組としては、健康増進法第32条の2第1項に違反するおそれのある文言等があった166事業者による185商品の表示について、改善を要請しました。)。

なお、④に関しては、2011年11月より、越境取引に関する消費者相談窓口である「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」を開設し、海外ショッピングでのトラブル等について消費者からの相談を受け付けており、また、相談から得られた情報等に基づき、悪質な海外ウェブサイトに関する情報を消費者庁のウェブサイト上で公表しています(2013年度末時点で80サイトを公表)。

また、⑤に関して、関係行政機関・事業者団体等の参加を得て「インターネット消費者取引連絡会」を2013年度中に4回開催しています。

なお、上記の取組以外にも、二国間会議、UNCITRAL73)の作業部会も活用した越境電子商取引のトラブル解決の在り方について継続的に検討しています。

インターネットの普及に伴い、電子商取引や情報財取引は幅広い消費者に活用され、重要な取引手段の一つとなっています。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」74)によれば、2012年の我が国のB to C75)電子商取引の市場規模は9兆5,130億円(前年比12.5%増)にまで達しており、今後も一層拡大していくことが予想されています。

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(以下「準則」という。)は、このような電子商取引、情報財取引等のIT活用の普及に伴って発生する様々な法的問題点について、民法を始めとする関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、経済産業省が2002年3月に策定したものです(策定時の名称は「電子商取引等に関する準則」)。

IT分野の環境変化は急速であるため、同省では、市場の要請等に応じて、ほぼ毎年、準則の見直しを行っています。2013年は、①「インターネットと肖像権・パブリシティ権等」等における新たな裁判例の追加、②「インターネット上の著作物の利用」等における著作権法改正に伴う修正等を行い、2013年9月6日に10回目の改訂版の準則を公表したところです。

総務省では、国、消費生活センター、電気通信事業者等の関係者による継続的な意見交換を行い、消費者関係施策の一体的推進に取り組むことにより、電気通信分野における消費者利益を向上させることを目的として、「電気通信消費者支援連絡会」(以下「消費者支援連絡会」という。)を開催しています。11の地方支分部局(総合通信局等)において、消費者支援連絡会を年度毎に2回ずつ開催しており、2013年度は、同省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の下で開催された「スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の在り方に関するWG」における議論、同WGが取りまとめた「スマートフォン安心安全強化戦略」を踏まえた各電気通信事業者等による取組、電気通信サービス向上推進協議会策定の「電気通信事業者の営業活動に関する自主基準」の遵守状況、高齢者が安心して電気通信サービスを利用するため、高齢者等の消費トラブルの防止・利用環境整備等のテーマや、電気通信サービスの苦情・相談事例等について意見交換、情報共有等を行いました。

また、2014年2月から新たに「ICTサービス安心・安全研究会」を開催し、「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」において高齢者等を含む利用者が安心・安全に電気通信サービスを利用できるために必要な消費者保護ルールの見直し・充実について制度的な検討を行うとともに、法令、ガイドライン及び自主基準等の徹底等、電気通信サービスにおける利用者利益の確保のための取組を促進しています。

( 2 ) 医療機関のウェブサイトによる情報提供

医療に関する広告は、国民・患者保護の観点から、医療法により限定的に認められた事項以外は、広告が禁止されてきましたが、インターネット上の表現については、これまで何の基準もありませんでした。

一方で、美容医療サービス等の自由診療を行う医療機関のウェブサイトに掲載されている治療内容や費用と、受診時における医療機関からの説明・対応とが異なるなど、ウェブサイトに掲載されている情報の閲覧を契機としてトラブルが発生していました。

このため、「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」の意見を踏まえ、引き続き、原則としてウェブサイトについては、医療法の規制対象と見なさないこととするものの、ウェブサイトの内容の適切なあり方について、2012年9月28日に医療機関ウェブサイトガイドラインを作成し、引き続き周知徹底しています。また、バナー広告等は従前から医療広告として法規制の対象でしたが、2013年9月27日には、消費者委員会の指摘等を踏まえ、医療広告ガイドラインを改正し、医療機関のウェブサイトのうち、バナー広告等にリンクするものは医療広告として法規制の対象となることを明確化しました。

( 3 ) 迷惑メールへの対応

総務省及び消費者庁では、有識者による検討の場である「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」において取りまとめられた「迷惑メールへの対応の在り方に関する提言」を踏まえ、2011年8月、簡便なオプトアウト76)の方法の例を追加するなど、「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」を改正しました。また、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)について、法違反が疑われる送信者に対する警告メールの送信(2013年度:約4,000件)や措置命令(2013年度:7件)を実施するなど、厳正な運用に努めています。

このほか、総務省では、2005年2月より、官民協力の下で迷惑メールの追放を目的とした「迷惑メール追放支援プロジェクト」を実施しており、調査端末で受信した迷惑メールの違法性を確認し、当該メールに関する情報を送信元プロバイダに通知(2013年度:約1万5,000件)することにより、送信元プロバイダにおける、迷惑メール送信回線の利用停止措置等の自主的な取組を促しています。

( 4 ) インターネットオークション詐欺の取締り

インターネットオークションに関する犯罪について、取締りを推進した結果、2013年中のインターネットオークション詐欺に関する検挙件数は158件でした。

警察庁では、都道府県警察による情報セキュリティに関する講演やウェブサイト等を通じ、インターネット利用者に対する注意喚起を推進しました。

( 5 ) フィッシング被害の防止

金融機関(銀行やクレジットカード会社)等を装った電子メールを送り、住所、氏名、銀行口座番号、クレジットカード番号等の個人情報を詐取するいわゆる「フィッシング」行為や、それによる被害を防止するため、関係省庁では、下記の取組を実施しています。

① フィッシングに係る不正アクセス事犯への対策の推進

フィッシングに係る犯罪について、都道府県警察の実施する情報セキュリティに関する講習等を通じ、フィッシングに関する注意喚起を行いました。また、2012年に改正された不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)を適用した「フィッシング」行為の検挙件数は、2013年中1件でした。

② 電子メールの送信ドメイン認証技術等の技術的対策の普及促進

総務省では、フィッシング対策にも有効な技術的対策の一つとして、受信者が受け取った電子メールについて、当該電子メールの送信者の情報が詐称されている(送信者になりすましている)か否かを確認可能とする「送信ドメイン認証技術」の普及促進に取り組んでおり、迷惑メール対策に関わる関係者が幅広く参画し、関係者による効果的な迷惑メール対策の推進に資することを目的として設立された「迷惑メール対策推進協議会」と連携し、「送信ドメイン認証技術導入マニュアル」を策定・公表しているほか、各種業界団体や地方公共団体等に対して、送信ドメイン認証技術等の導入を推進するための説明会を開催(2013年度は6回開催)するなど、送信ドメイン認証技術等の技術的対策の普及促進を支援しています。

③ フィッシング被害の防止に向けた情報収集・注意喚起等について

経済産業省では2013年度に、消費者向けにフィッシング対策サービスを提供している事業者に対するフィッシングサイト情報の提供を増やすことにより、フィッシング対策を強化しました。また、海外フィッシング対策啓発活動の取組の日本展開やフィッシング傾向をまとめたレポート作成、事業者及び消費者側のフィッシング対策のガイドラインの改訂、インターネットバンキングの不正送金に遭わないためのガイドライン作成などといった啓発活動を実施しました。

( 6 ) 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備

政府は、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」に基づき、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第2次)」(2012年7月6日子ども・若者育成支援推進本部決定)を決定しました。同計画においては、スマートフォンを始めとする新たな機器への対応や保護者に対する普及啓発の推進及び国、地方公共団体、民間団体の連携強化を今後重点的に推進することとしています。

この基本計画を踏まえ、関係府省庁では、青少年や保護者、教育関係者への分かりやすい周知啓発、2012年2月にOECD77)において採択された「オンライン上の青少年保護勧告」を踏まえた青少年のインターネットリテラシーを可視化するための指標策定等、スマートフォンを始めとする新たな機器に対応したフィルタリングの推進等に取り組んでいます。

また、2014年春に、多くの青少年が初めてスマートフォン等を手にする、卒業・進学・新入学の時期に特に重点を置き、関係府省庁・関係事業者等が協力して「春のあんしんネット・新学期一斉行動」として集中的に普及啓発活動を実施しました。

内閣府では、同法の施行状況について、「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」(2013年4月、8月、10月、12月、2014年2月)を開催し、有識者による検討を行いました。また、啓発活動については、関係府省庁や関係団体等と連携して、全国8か所において青少年のインターネット利用環境整備に関するフォーラムを実施するとともに2013年1月に「保護者向け普及啓発リーフレット」を公表しました。

さらに、調査研究については、「平成25年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(2014年3月公表)及び「アメリカ・フランス・スウェーデン・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査」(2014年3月公表)を実施しました。

このほか、国際協力については、OECD/情報・コンピュータ・通信政策委員会情報セキュリティ・プライバシー作業部会第34回会合及びOECD/情報・コンピュータ・通信政策委員第65回会合(2013年4月)に参加しました。

( 7 ) 電気通信分野における勧誘及び情報提供の適正化

総務省では、近年のインターネット、携帯電話の発展普及に伴う諸問題について、利用者視点を踏まえながら、関係者間で速やかに具体的な対応策を検討するため、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」を開催し、その下で開催された「スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の在り方に関するWG」において、2013年9月に「スマートフォン安心安全強化戦略」を取りまとめました。

同戦略においては、苦情・相談において高齢者等がトラブルに遭う事例が多く見られること等から、適合性の原則の考え方への配慮を求めるほか、勧誘の適正化、申込みの撤回等を盛り込んだ「電気通信事業者の営業活動に関する自主基準」(電気通信サービス向上推進協議会策定)等の遵守の徹底や継続的な見直し等を行うことを求めました。また、同戦略においては、サンキューレター及び重要事項説明などの書面の交付を徹底するとともに、電話勧誘時のチェックリスト等、有効なツールを活用し、キャンペーン条件等も含め、利用者にサービス内容等について分かりやすく説明し、利用者の意思を確実に確認する仕組みの構築が必要である旨の指摘がなされており、総務省においては電気通信事業者の取組を促進しています。

これを受け、各電気通信事業者等は、適合性の原則の考え方や自主基準に基づいた取組を推進しており、また、電気通信サービス向上推進協議会はアンケートを行い自主基準等の遵守状況を把握しました。

同省では、これらの取組を加速するため、自主基準の遵守等に係る要請を行うなど、勧誘の適正化を促しています。

また、同戦略において、「利用者からの苦情・相談の件数が高止まり傾向にあることからすれば、従来の延長線上にある自主的な取組だけでは足りず、電気通信事業法における消費者保護ルールを見直し、所要の規定を設ける等の制度的な対応の検討に着手すべきである」とされたことを受け、同省では、2014年2月から新たに「ICTサービス安心・安全研究会」を開催し、「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」において、利用者が安心・安全に電気通信サービスを利用できるために必要な消費者保護ルールの見直し・充実について制度的な検討を行うとともに、法令、ガイドライン及び自主基準等を徹底させ、消費者取引における情報提供の適正化を促進しています。

( 8 ) 個人情報保護

高度情報通信社会の進展に伴い、コンピュータやネットワークを経由して大量の個人情報が処理されるようになっています。

個人情報は、その取扱いを間違わなければ、様々な便益をもたらす有用なものですが、一旦誤った取扱いをされると、個人に取り返しのつかない被害を及ぼすおそれもあります。このため、個人情報保護法が2003年5月に成立し、2005年4月に全面施行されました。

消費者庁では、法の定め以上に個人情報の提供を控えるなど、いわゆる「過剰反応」が一部に見られることも踏まえ、全国各地で個人情報保護法の説明会を実施するなど、法律及び制度の内容等に関する情報提供及び啓発を行っています。2013年度の説明会では、前年度に引き続き、地方公共団体等が地域において個人情報の適切な共有に取り組んでいる事例の報告を行い、内容の充実を図っており、全国12会場で約2,500人の参加がありました。

また、2013年10月に消費者庁から「平成24年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」について、消費者委員会へ報告しました。

なお、2013年12月に、IT総合戦略本部において「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」が決定され、内閣官房をはじめ関係省庁と連携しつつ、2014年6月までに法改正の内容を大綱として取りまとめるための検討を行っています。

( 9 ) プライバシー保護等に配慮したパーソナルデータの利活用に向けた取組

① パーソナルデータの保護のための関連技術の活用に関し、プライバシー保護等に留意しつつ利活用の促進を図るために有用となる匿名化技術について、調査研究を行い、報告書を取りまとめました。

②2013年9月、アプリケーションにおける利用者情報の取扱いが適切かどうか、第三者が検証する仕組みを推進する「スマートフォン プライバシー イニシアティブⅡ」(SPIⅡ)を取りまとめ、同年12月には、SPI、SPIⅡに係る諸課題を検討する場を設置しました。

 2014年度当初予算においては、第三者検証の技術的課題等について実証実験を行うため、所要の予算を計上しています。

③ IT融合フォーラム・パーソナルデータワーキンググループにおける報告書に示した「分かり易さに関する手法・アプローチ」を実践しようとする協力事業者を募集し、有識者委員会を組織して、当該事業者による「実践案」を試行的に評価する取組を実施しました。この取組の成果として、試行的な評価から得られた知見を元に策定した「評価基準」及び評価の結果モデルとなるような事業者の実践を取りまとめた「ベストプラクティス集」を含む報告書「消費者に信頼されるパーソナルデータ利活用ビジネスの促進に向けた、消費者向け情報提供・説明の充実のための『評価基準』と『事前相談評価』のあり方について」を取りまとめ、2014年3月に公表しました。

④「パーソナルデータに関する検討会の開催について(2013年6月14日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部長決定)」に基づき、パーソナルデータに関する検討会をIT総合戦略本部の下に設置しました。2013年9月より当該検討会で検討を行い、2013年12月、IT総合戦略本部において「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」を決定しました。


73)

United Nations Commission on International Trade Law(国際連合国際商取引法委員会)の略。国際商取引法の段階的なハーモナイゼーション(調和)と統一の促進のため、1966年、国際連合総会によって設立された国際連合の組織(総会の補助機関)。経験を考慮した説明のこと。

74)

経済産業省「2012年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2013年9月27日)

75)

商取引の形態の一つで、企業(business)と一般消費者(consumer)の取引のこと。企業間の取引はB to B、一般消費者同士の取引をC to Cという。

76)

受信拒否の通知をした者に対する送信を禁止する方式。

77)

Organisation for Economic Co‒operation and Development(経済協力開発機構)の略。

ページ上部へ


消費者庁 携帯サイト
携帯サイトQRコード