平成26年版消費者白書

第2部 消費者政策の実施状況

第2章 地方公共団体、消費者団体等との連携・協働と消費者政策の実効性の確保・向上

第4節 行政組織体制の充実・強化

( 1 ) 消費者庁の所管法律の執行状況の点検・評価

2012年度の消費者庁の政策評価については、「消費者庁政策評価基本計画」(2010年3月31日消費者庁長官決定、2011年11月4日改定。)及び「平成24年度消費者庁政策評価実施計画」(2012年10月3日消費者庁長官決定)に基づき、2013年8月にその評価書を公表しました。この中で、2012年度中に実施した、食品表示の一元的な法体系の在り方の検討や、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の導入に向けた取組などに関する課題を盛り込みました。

この2012年度の政策評価を踏まえた上で、2013年度には、消費者庁が所管する法律の執行体制の強化、効果的に機能する仕組みの構築及び法制化に向けた検討などに取り組むこととし、予算要求及び機構・定員要求並びに改正法案の成立につなげたところであり、消費者行政に係る体制の更なる整備等に有効に結び付けることができました。

具体的には、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設するための食品表示法案を2013年4月5日に閣議決定し、同年6月21日に成立しました。また、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案を2013年4月19日に閣議決定し、同年12月4日に成立しました。

また、消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的とする消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案を2013年3月22日に閣議決定し、同年6月5日に成立しました。同法は、2013年10月1日に施行されました。

さらに、2014年3月11日には、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案を閣議決定、同日国会に提出し、同年6月6日に成立しました。この法律案は、①不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に係る調査権限を事業所管大臣等に委任すること、措置命令権限及び合理的根拠提出要求権限を都道府県知事に委任することなどを内容とする景品表示法の一部改正、②消費生活相談員資格試験の国家資格化などを内容とする消費者安全法の一部改正、③法律の施行後1年以内に課徴金に係る制度の整備について検討を加え必要な措置を講じるとすることを内容とする政府の措置などから構成されています。

加えて、2014年9月に消費者庁が創設5周年を迎えることを踏まえ、2014年3月25日に、他省庁からの所掌事務の引継ぎや業務の運営を全般的にレビューすることを発表しました(衆議院消費者問題に関する特別委員会における大臣答弁)

( 2 ) 国家公務員向け研修の実施

「昇任時相談窓口等体験研修」は、「生活安心プロジェクト「消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて」(2008年4月国民生活審議会意見)に対するアクションプラン(工程表)」(同年7月23日生活安心プロジェクトに関する関係省庁局長会議決定)に基づき、各府省庁の審議官級職員を対象に2009年度に人事院と内閣府の共催により、試行的に開始されました。その後、「消費者基本計画」(2010年3月30日閣議決定)において継続的に実施することとされ、以後、人事院と消費者庁の共催により実施しています。

具体的には、国民生活センターや消費生活センター、行政相談所、日本司法支援センター(法テラス)、公共職業安定所、児童相談所、福祉事務所、年金事務所の協力を得て、消費者・生活者の声に触れる業務を体験する研修(業務体験研修)を実施しています。

また、業務体験研修の前に、研修に臨むに当たっての問題意識を明確化し、研修効果のより一層の向上を図るため、全研修対象者に対し、消費者問題等に造詣の深い有識者による講演及び意見交換を行う「事前研修」を、業務体験研修の後に、同研修で得られた経験や気付き、行政や公務員の在り方等について、参加者間で討議するとともに、幹部行政官経験者による講話及び意見交換を行う「事後研修」を実施しています。

2013年度は、3回実施し、計82名が研修に参加しました。

研修終了後に実施したアンケートでは、参加者の92.7%から有益、同じく90.2%から満足との回答を得るなど、高い評価を得ています。

( 3 ) 他の相談機関との連携

消費者庁では、注意喚起等の情報提供を行う際、地方公共団体の消費者行政部局に対し、高齢者担当や教育担当を始めとするその他の関係部局等にも情報が共有されるよう、協力を依頼しています。

2014年3月には、消費者問題に関する地域ネットワークにおける情報共有を円滑に行うための消費者安全確保地域協議会の設置等を盛り込んだ不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案を第186回国会に提出し、2014年6月6日に成立しました。

( 4 ) 消費者政策担当部局間の連絡、情報交換

個別事案に応じて関係府省が集中的に議論する場を設けることに重点を置き、消費者基本計画の見直し等に向けて消費者政策担当課長会議を2013年度に1回開催しました。

また、食品ロス削減関係省庁等連絡会議を同年度に1回開催しました。

( 5 ) 公正取引委員会の体制強化及び機能拡充

公正取引委員会では、独占禁止法の違反行為について、2013年度に延べ210名の事業者に対して18件の法的措置を採り、また、延べ181名の事業者に対して総額302億4,283万円の課徴金の納付を命じ、価格カルテル、入札談合等の独占禁止法の違反事件に厳正かつ積極的に対処しました。

また、264件の届出のあった企業結合計画について、迅速かつ的確に審査を行いました。このうち、1件については、報告等の要請を行い、詳細な審査を行った結果、独占禁止法上の問題はないと判断しました。届出会社に報告等を求める必要がないと判断した案件については30日の禁止期間(企業結合を実行してはならない期間。第1次審査)内に審査を終了するとともに、届出会社から禁止期間の短縮の申出のあった案件について当該期間を短縮しました。

なお、近年、公正取引委員会には、競争環境を積極的に創造し、市場監視の機能・体制を充実させるなど、競争政策を強力に実施することが求められており、そのための体制の整備・充実が進められてきています。

具体的には、2013年度に、消費税転嫁対策部門、下請法運用部門及び審査部門を中心に体制の強化が図られました。また、即戦力を有する職員を確保する観点から、民間実務経験者及び任期付職員を採用しました。このほか、職員に対し、業務上必要とされる知識・スキルを付与する各種研修を実施しました。

( 6 ) 消費者委員会事務局体制の充実・強化

消費者委員会は独立した第三者機関として、消費者の声を踏まえつつ自ら調査審議を行い、消費者庁を含む関係府省の消費者行政全般に対して建議等を実施するとともに、内閣総理大臣、関係各大臣等の諮問に応じて調査審議を行います。消費者行政が直面する諸課題に適切に対処するためには、消費者委員会が様々な消費者問題について調査審議を行い、積極的に建議等を行うことが重要であることから、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則や国会の附帯決議、消費者基本計画において、委員の常勤化について検討を行うことや事務局体制の充実・強化を図ることなどが求められています。

このうち、委員の常勤化については、2010年夏の2011年度概算要求に際して検討が行われ、委員の常勤化よりも事務局体制の強化を急ぐべきとの判断が下されました62)。このため、内閣府において、事務局体制の充実・強化を図るための予算・定員要求を着実に行うとともに、民間の多様な専門分野における人材を任期付職員や非常勤職員等として任用し、委員会活動をしっかりと支えることとしています63)

また、消費者委員会が調査審議を進めるために、関係府省への資料要求やヒアリング等を頻繁に実施しています。この結果、消費者委員会は2009年9月の発足以降、数多くの意見表明64)を行ってきており、消費者基本計画への反映、法令の改正・執行強化等を通じて、消費者行政の推進に活かされています。

( 7 ) 国民生活センターの在り方に関する検討

国民生活センターは、消費者行政における中核的な実施機関であり、①消費者行政の司令塔機能の発揮、②地方消費者行政の推進、③消費者への注意喚起のいずれにとっても必要不可欠な存在です。

国民生活センターの在り方については、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)の下で開催される「消費者行政の体制整備のための意見交換会」等において検討が進められるとともに、行政改革推進会議独立行政法人改革等に関する分科会においても議論が行われ、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定。)において、独立行政法人の新たな類型の一つである「中期目標管理型の法人」(国民向けサービス等の業務の質の向上を図ることを目的とし、中期目標管理により高い自主性・自律性を発揮しつつ事務・事業を行う法人)とすることとされました。

今回の見直しは、国民生活センターが行政措置(行政処分、有権解釈の提示)を行う国の機関から業務運営・人事面で独立し、柔軟性・機動性を持って消費者問題に対応することが重要であることから、独立行政法人とすることが適当であるとの結論に至ったものです。

また、国民生活センター相模原事務所研修施設については、同方針の閣議決定において、「相模原研修施設の再開については、施設の利用見込み、長期を含めたコスト等を総合的に勘案した上で、平成26年夏までに結論を得る」こととされました。これを踏まえ、消費者庁において、「国民生活センター相模原事務所研修施設の活用に関する懇談会」を開催し、研修施設の再開について検討を行っています。


62)

ただし、第3次消費者委員会の10人の委員(非常勤)のうち、3人については、常勤的に勤めることが可能になるように人選されている。

63)

2013年度の消費者委員会事務局の予算額は255百万円(当初)、定員は11名となっている。

64)

2013年度末までの主な成果は、建議13件、提言11件、意見等41件となっている。

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