平成26年版消費者白書

第2部 消費者政策の実施状況

第1章 消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援

第1節 消費者の安全・安心の確保

4 . 消費者の安全・安心の確保のためのその他の施策

( 1 ) 消費生活用製品の分野におけるリスクアセスメントの普及啓発

経済産業省では、事業者が安全な製品を市場に供給するために、事前に製品安全に関するリスクの把握と評価を行い、製品の設計・開発・製造の各段階で反映させるリスクアセスメント手法について解説したリスクアセスメントハンドブックを作成(基礎知識編(2010年5月公表)と実務編(2011年6月公表))し、リスクアセスメントの普及・定着を図っています。具体的には、各工業会を通じた周知を実施するとともに、関連団体の説明会等において当該ハンドブックを紹介し、また、企業の品質管理担当者向けのセミナーで当該ハンドブックをテキストとして使用しました。さらに、同省ウェブサイト「製品安全ガイド」にダウンロード可能な形式で掲載しました。

また、販売事業者の販売形態、取扱製品、事業規模等の特色を踏まえた効果的なリスクアセスメント等の取組を促進するため、同省では、各業界団体が自業界の実情を調査・分析し、業界ごとの製品安全に関する指針・ガイドラインを作成・公表する作業を支援しました(2013年度、中小家電、通信販売、ホームセンターの取組を対象とした。)。

他にも、販売事業者のリスクアセスメント等を含む製品安全の自主的な取組を促すことを目的とし、国内3か所(東京、大阪、名古屋)において、製品安全に関する流通事業者向けガイドの内容を紹介するセミナー(計215人参加)を開催しました。

( 2 ) 家庭用品の安全確保の促進

厚生労働省では、家庭用品に使用される化学物質による健康被害を防止するため、家庭用品規制法に基づいて規制基準を定めており、2014年1月時点で、20物質について、物質ごとに対象製品(繊維製品、洗浄剤等)の基準を設定しています。

また、1995年7月のPL22)法の施行に伴い、事業者自らによる製品の安全確保レベルのより一層の向上を支援するため、家庭用品メーカー等が危害防止対策を推進する際のガイドラインとなっている「家庭用化学製品に関する総合リスク管理の考え方」を踏まえ、各種製品群につき、事業者が製品の安全対策を講じるために利用しやすい「安全確保マニュアル作成の手引き」を作成しています。1998年に防水スプレーについて手引きを作成したのを皮切りに、2011年の洗浄剤・漂白剤まで5種類の手引き(10製品群)を作成しました。

現在、防水スプレー安全確保マニュアル作成の手引きについては、改訂を検討しており、有識者12名から構成されている家庭用品安全確保マニュアル(防水スプレー等)検討会を2013年度に2回23)開催しました。

( 3 ) 合法ハーブ等と称して販売される薬物の取締り体制の強化

薬物乱用対策の実施に当たり、関係行政機関相互間の緊密な連携を確保するとともに、総合的かつ積極的な施策を推進することを目的として「薬物乱用対策推進会議」(2008年12月閣議決定)を設置しています。現在は、薬物乱用の根絶を図るため、「第四次薬物乱用防止五か年戦略」(2013年8月策定)に基づき、関係行政機関が連携した対応を行っています。

最近、合法ハーブ等と称して販売される薬物を使用した者が、二次的な犯罪や健康被害を起こす事例が多発しています。その中で、取締りの強化を図るため、厚生労働省では、指定薬物への指定の迅速化のため、薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会の開催頻度を上げるとともに、現在、我が国での流通が確認されていないものであっても、海外の流通実態や危険情報を基にして指定を行っています。

また、化学構造が類似している特定の物質群を指定薬物として包括的に指定する「包括指定」について、2013年12月13日付けで495物質を指定薬物として指定する省令を公布し、2014年1月12日付で施行しました。これらの結果、指定薬物数は1,360物質となっています(2014年3月31日時点)。

販売事業者に対する取締りについては、都道府県警察と都道府県等の衛生主管部局が連携し、販売実態の把握に努め、指導・警告を実施しており、また、2013年10月に施行した薬事法の改正で麻薬取締官(員)に指定薬物に対する取締権限を付与するとともに、2013年12月13日に公布された薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律(平成25年法律第103号)により新たに指定薬物の所持、使用等が禁止される(施行は2014年4月1日)など、指導・取締りを強化しています。指定薬物に関しても、関係府省庁間で必要な意見交換や情報提供を促進し、港湾や空港等の水際における対策を含め、摘発に当たっての一層の連携強化を図り、取締りを実施しています。

また、厚生労働省、文部科学省、警察庁、消費者庁、内閣府、財務省がそれぞれ消費者への情報提供・啓発活動を行っています。

厚生労働省では、合法ハーブ等と称して販売される薬物(いわゆる脱法ドラッグ)を使用した者が二次的犯罪や健康被害を起こす事例が多発していることから、指定薬物や麻薬を指定する際など、機会を捉えて脱法ドラッグに関するポスターの作成・配布をしています。また、麻薬・覚醒剤乱用防止運動等における啓発実施の徹底、関係機関等とも連携した広報・啓発の実施、情報を一元的に収集・提供するための、「あやしいヤクブツ連絡ネット」の運用を行っています。あわせて、小学校6年生保護者向け、高校3年生等に配布する心と体を守る啓発資材に当該薬物の危険性が理解できるような記載を充実させ、配布を行っています。

文部科学省では、全ての中学校と高等学校で、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師等を講師とした薬物乱用防止教室を年1回は開催するよう促すとともに、薬物乱用防止啓発のための啓発教材等を作成し、全ての小学5年生、中学1年生、高校1年生及び大学1年生等に配布するなど、学校等での薬物乱用防止教育の充実強化を図っています。

警察庁では、規制薬物はもとより、合法ハーブ等と称して販売される薬物の危険性・有害性等について理解させるなど、薬物乱用防止に関する啓発活動を効果的に行うためのパンフレットを作成し、学校等に配布しているほか、薬物乱用防止教室、学校警察連絡協議会等を通じて、健康被害事例についての情報提供を積極的に行っています。また、「薬物乱用防止広報強化月間」を設定するなど、関係部門、関係機関・団体等との連携を強化し、薬物乱用防止のための広報啓発活動を推進しています。

消費者庁では、合法ハーブ等と称して販売される薬物に関する啓発ポスターやチラシを消費生活センター等の協力を得て配布を行うなどして予防啓発の強化に取り組んでいます。

内閣府では、政府広報オンラインにおいて、短編マンガを用いた広報啓発活動を実施するなど、青少年に訴求力の高い広報媒体等を活用して、合法ハーブ等と称して販売される薬物等の危険性の周知を図っています。また、関係省庁と連名で、都道府県・指定都市等に対して、卒業・進学・新入学等の時期における合法ハーブ等と称して販売される薬物等、新たな乱用薬物に係る広報啓発の強化について依頼し、この種薬物の危険性・有害性の周知徹底、訴求対象に応じた広報啓発活動の推進、関係機関の相談窓口の周知徹底等を図っています。

財務省では、合法ハーブ等と称して販売される薬物に関する輸入規制及び当該薬物の危険性・有害性等について、税関見学会等の機会を利用し、注意喚起を行っています。

( 4 ) 製造物責任法に関連する事例収集、公表

製造物責任法は、製品の欠陥によって生命、身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合に、被害者は製品の製造業者等に対して損害賠償を求めることができる、円滑かつ適切な被害救済に役立つ法律です。

具体的には、製造業者等が、自ら製造、加工、輸入又は一定の表示をし、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、製造業者等の過失の有無にかかわらず、これによって生じた損害を賠償する責任があることを定めています。同法は、1994年7月1日に公布され、1995年7月1日より施行されています。

消費者庁では、消費者が消費者被害を未然防止・拡大防止するために必要な知識を得る環境を整備するために、同法に関連する判例等を収集・公表しています。消費者庁及び国民生活センターが連携・協力して、同法に関連する判例、同法に基づき提訴された訴訟等の情報を収集し、その概要について、国民生活センターのウェブサイト(消費者庁のウェブサイトからリンクを設定。)で公表しています。

2013年度は、判例(全166件うち第一審103件、控訴審50件、上告審13件)や、同法に基づき提訴された訴訟情報(197件)等を公表しました(2014年3月末時点の累計件数。うち2013年度収集分の公表件数は、判例9件、同法に基づき提訴された訴訟の情報6件。)。

( 5 ) 美容医療サービス等の消費者被害防止

美容医療ではない施術を行ういわゆるエステティックについては、公益財団法人日本エステティック研究財団24)において、エステティック営業施設における衛生基準を作成し、事業者等に対する周知を図るとともに、衛生基準に関する知識の習得のため、2010年12月よりe-ラーニングを実施しており、2013年度は10月1日から実施しました。

同財団では、消費者の安全を確保するための知識等の向上のため、毎年、エステティシャンを対象に学術会議を開催し、最新の衛生管理の知見等について周知しています。さらに、2010年からは厚生労働科学研究を実施しており、フェイシャルエステ等について安全性の検証を行うとともに、施設の衛生管理の実態把握を行った上で、衛生管理導入の手引等を作成し、2013年3月からウェブサイトで公開しています。

医療従事者から患者に対し、丁寧に説明しなければならない事項については、「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(2003年9月12日通知)において定めており、厚生労働省から各都道府県に周知していましたが、最近、美容医療サービス等の自由診療について、患者の理解と同意が十分に得られていないことに起因するトラブルが発生しています。「診療情報の提供等に関する指針」では、「代替的治療法がある場合には、その内容及び利害得失(患者が負担すべき費用が大きく異なる場合には、それぞれの場合の費用を含む。)」を医療従事者が患者に対して丁寧に説明しなければならない事項として定めており、緊急性がそれほど高くない美容医療サービスの提供に当たっては、こうした事項について特に丁寧な説明が求められます。

しかし、患者の理解と同意が十分に得られていないことに起因すると考えられるトラブルが生じていることを踏まえ、同省では、事前説明の内容やその方法を具体的に示した指針として「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」を定め、各都道府県等へ通知しました25)

また、2011年11月から「生活衛生関係営業等衛生問題検討会」において、まつ毛エクステンションの施術に係る安全性の確保等について検討を重ね、2013年6月に教育プログラムを取りまとめました。この教育プログラムの作成を受けて、公益社団法人日本理容美容教育センターにおいて当該プログラムに沿って美容師養成施設における2014年度の教科書の作成が行われ、教育の充実が図られました。

また、消費者への情報提供の在り方等についても、施術の安全性の確保について検討し、これを踏まえ、地方公共団体に対して、「まつ毛エクステンションに係る教育プログラムと情報提供等について」(2013年6月28日通知)を発出し、健康被害のリスク等に関する情報提供等の取組の徹底について、営業者に対する周知や指導監督を求めました。

( 6 ) 民間サービス事業者に対する第三者認証制度の普及促進

民間サービス業の中でも、エステティック産業や結婚相手紹介サービス業は、市場として高い成長が期待されている分野ですが、その反面、多くの消費者相談が寄せられている現状にあり、当該産業の健全な成長・発展にはサービス品質の確保等により消費者の信頼を得ることが不可欠となっています。

そのため、経済産業省では、サービス品質や信頼性向上の観点から、エステティック産業及び結婚相手紹介サービス業の第三者認証制度について、運用上の課題を把握するとともに、当該認証機関や事業者からの相談、一般の消費者からの各種問合せ等に対応しました。また、同制度が運用されておらず、消費生活センター等に寄せられる苦情相談件数が増加している業界を中心に、制度導入の可能性・必要性等について検討を行っています。

( 7 ) 障害者の消費者としての利益の擁護及び増進

消費者庁では、2013年6月に「第8回高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会」を開催し、「高齢者、障害者の消費者トラブル防止のため積極的な情報発信を行う」、「多様な主体が緊密に連携して、消費者トラブルの防止や「見守り」に取り組む」こと等を同協議会の構成員と申し合わせました。その後、同年12月に開催した第9回同協議会において、申合せ事項に関するフォローアップの状況を報告しました。

また、消費者トラブルの防止及び被害からの救済について、各都道府県に造成されている「地方消費者行政活性化基金」により、被害に遭うリスクの高い消費者(障害者、高齢者、被害経験者等)を効果的・重点的に地域で見守る体制を構築し、消費者トラブルの防止及び早期発見を図る取組等を支援するとともに、障害者の特性に配慮した消費生活相談体制整備を図る取組等を促進しました。

加えて、「地方消費者行政の体制整備の推進に関する建議(2013年8月6日消費者委員会)」を踏まえ、消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会を開催し、報告書を取りまとめました。これを踏まえ、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案を国会へ提出し、2014年6月6日に成立しました。同法案では、地方公共団体が、障害者を始めとする消費生活上特に配慮を要する消費者への見守り活動等を目的とした「消費者安全確保地域協議会」を組織することができることとしています。

( 8 ) 小規模社会福祉施設等におけるスプリンクラー設備等の整備に向けた取組

2013年2月8日に長崎県長崎市において死者5名が発生した認知症高齢者グループホーム火災を踏まえ、消防庁主催で「認知症高齢者グループホーム等火災対策検討部会」及び「障害者施設等火災対策検討部会」を開催し、認知症高齢者等が入居する施設における火災対策の在り方について検討を行いました。

この検討結果を踏まえて、自力避難困難な方が入居する高齢者施設及び障害者施設等については、原則として全ての施設にスプリンクラー設備を設置することを義務付ける消防法施行令(昭和36年政令第37号)の改正を行うとともに、自動火災報知器と火災通報装置の連動を原則義務化する消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)の改正を実施しました(2013年12月27日公布)。

なお、新築建築物には2015年4月、既存建築物には2018年4月から適用されます。

( 9 )乗合バスにおける転倒防止対策

乗合バスにおける車内事故は、バスの発進時に多く発生しており、事故による負傷者は65歳以上の高齢者が半数以上を占めています。

国土交通省では、このような事故を防止するため、2010年度に「乗合バスの車内事故を防止するための安全対策実施マニュアル」を作成し、関係団体及び事業者等に対しチラシや通知文での周知を行いました。また、2013年度には、消費者庁とともに利用者等に転倒防止の注意喚起を行うなど、車内事故の防止を呼び掛けています。


22)

Product Liabilityの略

23)

第1回(2013年12月17日)、第2回(2014年3月25日)。

24)

1992年5月22日設立:2013年4月1日より公益財団法人へ移行。

25)

2013年9月27日通知。

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