平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者問題の動向

第2節 生命・身体に関する消費者事故等

( 1 )事故情報の収集

●生命・身体に関する事故情報は様々なルートで消費者庁に集約

死亡事故のような重大な消費者事故が発生した場合、被害の拡大や同種・類似の被害の発生を防止することが必要です。このため、消費者安全法では、重大事故等が発生した旨の情報を得た場合、関係行政機関、地方公共団体等は、それを直ちに消費者庁に通知することとなっています。また、重大事故等以外の消費者事故等が発生した旨の情報を得た場合であって、被害が拡大し、同種・類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるときにも消費者庁に通知することとなっています。

さらに、消費生活用製品安全法では、消費生活用製品の使用に伴い生じた事故(消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故以外のもの)のうち重大なもの(以下「重大製品事故」96)という。)について、事業者は消費者庁に報告することとなっています。

このほかにも、医療機関利用者から事故情報を収集する「医療機関ネットワーク」事業による情報や、生命・身体に関する事故のデータ収集・提供システムである「事故情報データバンク」の参画機関から寄せられた情報、PIO-NETに収集された消費生活相談情報等、消費者庁には多くの事故情報が集約されており、これらの情報を活用して安全対策に取り組んでいます。

●消費者安全法に基づき2013年度に通知された「生命身体事故等」は3,511件

消費者安全法に基づき2013年度に消費者庁に通知された「消費者事故等」のうち「生命身体事故等」は3,511件あり、前年度の2,813件から24.8%増加しています。このうち、「重大事故等」は、1,317件あり、前年度の1,322件から0.4%減少しています(詳細は図表4-1-22参照)。

事故内容別に見ると、「火災」の通知が1,066件(前年度1,038件、2.7%増)と最も多く、自動車等の車両・乗り物と電子レンジ、エアコン等の家電製品に関するもので約7割となっています(図表4-2-1)。次いで「転落・転倒・不安定」が77件(前年度115件、33.0%減)となっており、大半は乗合バス等で転倒して怪我をする事案が通知されており、2013年度は前年より減少しましたが、依然として多く見られています。「化学物質による危険」は(株)カネボウ化粧品等による白斑問題により増加しています。

「重大事故等」を除く「生命身体事故等」は、2,194件あり、前年度の1,491件から47.1%増加しています。事故内容別に見ると、「発煙・発火・過熱」が672件(前年度368件、82.6%増)と最も多く、次いで「中毒」が661件(前年度704件、6.1%減)となっています(図表4-2-2)。具体的には、「中毒」の大半が「食中毒」に関するもので、「店舗・商業施設」で調理・提供された料理や弁当によって発生する事案が多くなっています。また、ノロウイルスが流行し、多くのウイルス性食中毒事案が通知されました。また、「発煙・発火・過熱」では、風呂釜の発火や過熱によりケーシング(カバー)が変形した事案や電気ストーブやテレビ等の家電製品から発煙や発火した事案が多く発生しています。さらに、2013年度は、化粧品による事故が発生し、「化学物質による危険」の件数が前年度より増加しました。

●消費生活用製品安全法に基づき2013年度に報告された重大製品事故は941件

消費生活用製品安全法に基づき2013年度に報告された「重大製品事故」は、941件あり、前年度の1,077件から12.6%減少しています(図表4-2-3)。製品別に見ると、「ガス機器・石油機器」に関する事案が246件(前年度275件、10.5%減)、「電気製品」に関する事案が573件(前年度604件、5.1 % 減)、「その他」が122件(前年度198件、38.4%減)となっています。具体的には、「ガス機器・石油機器」ではガスこんろや石油ストーブ等が、「電気製品」ではエアコンや電気ストーブ等が、「その他」では自転車や脚立・踏み台・はしご等が多く報告されています。

●PIO-NETに収集された2013年度の危害・危険情報は2万226件

2013年度にPIO-NETに収集された消費生活相談のうち、生命・身体に関する危害・危険情報は2万226件です。このうち、危害情報の件数が2004年度以降、増加傾向にあり、2013年度は2004年度に比べて約2.4倍に増加しています(図表4-2-4)

危害情報97)について危害内容別に見ると、「皮膚障害」が最も多くなっています(図表4-2-5)。2013年度に「皮膚障害」が3,999件(前年度2,684件、49.0%増)と増加したのは、主に(株)カネボウ化粧品等3社が製造した化粧品による、いわゆる白斑問題をうけて、化粧品に関する相談が急増したことによります。「消化器障害」についても1,981件(前年度1,032件、92.0%増)と増加しています。これは主に(株)アクリフーズの農薬混入事案を受け、冷凍食品に関する相談が多く寄せられたことによります。

続いて危険情報98)について危険内容別にみると、2013年度は「異物の混入」が2,790件(前年度482件、478.8%増)と最も多く、これは危害情報と同様に、主に(株)アクリフーズの農薬混入事案を受け、冷凍食品に関する相談が多く寄せられたことによります(図表4-2-6)

●2013年度の主な事故事例

2013年度にPIO-NETに収集された消費生活相談のうち危害情報及び危険情報を商品別に見ると、「調理食品」3,776件(前年度438件、762.1%増)、「化粧品」2,324件(前年度1,423件、63.3%増)、「医療」1,735件(前年度1,591件、9.1%増)、「理美容」1,118件(前年度1,086件、2.9%増)の順に多くなっています(図表4-2-7)

「調理食品」に関する相談については、前年度の約8.6倍と急増しています。これは2013年12月に明らかになった(株)アクリフーズの農薬混入事案を受け、冷凍食品に関する相談が多く寄せられたためです。

「化粧品」に関する相談が、前年度の約1.6倍に増加しています。これは2013年7月に、株式会社カネボウ化粧品並びに株式会社リサージ、株式会社エキップの製造販売する「有効成分ロドデノール」の配合された製品を使用した方に、使用中止のお願いと自主回収の呼びかけをした影響によるものです(詳細は●カネボウ「白斑」トラブルの影響は消費生活相談にも参照)。

「医療」と「理美容」に関する相談は前年度から大きな増加は見られないものの、依然として多くの相談が寄せられています。

件数は多くはないものの前年度と比較して相談が増加しているものとしては、「洗浄剤等」393件(前年度119件、230.3%増)、「電話機・電話機用品」279件(前年度203件、37.4%増)、「魚介類」276件(前年度177件、55.9%増)があり、「洗浄剤等」については、柔軟剤等の使用により周囲の人が、臭いにより体調不良を訴える等の相談が寄せられています。「電話機・電話機用品」については、「携帯電話機が充電中に発火し、本体とアダプターが変形した」や「約2年使用したスマートフォンが充電中に発火し布団や布団カバー等が燃えた」等の「発火・引火」に関する相談が寄せられています。「魚介類」については、基準値を超えるヒスタミンを含有する製品が市場に流通し、事業者がツナ缶を自主回収したことを受け、「メーカーが自主回収したツナの缶詰を食べて舌がひりひりした。メーカーに何度電話をかけても繋がらない」や「自宅にツナの缶詰がまとまってある。メーカーは大丈夫と言うが心配している。検査をしてくれるところを教えてほしい」等の相談が寄せられています。

●2013年度の子どもの事故に関する主な商品

2013年度の危害情報のうち、子どもの被害者年齢を分けて上位商品を挙げてみると、それぞれ特徴が見受けられます。

幼稚園等への就園前にあたる3歳未満、幼稚園児にあたる3歳以上7歳未満、小学生にあたる7歳以上13歳未満に年齢を分類したところ、上位商品5位までで共通しているのは「外食」が多いことです。

その他、それぞれの年齢別では、3歳未満は「ベビーカー」や「幼児用イス」がみられます。3歳以上7歳未満になると、2013年度の(株)アクリフーズの農薬混入事案の影響から「冷凍調理食品」が上位に位置しており、他には「遊園地・レジャーランド」等が見られます。7歳以上13歳未満でも「冷凍調理食品」が上位で、他に「一般用自転車」、「スポーツ・健康教室」も見られ、子どもの成長段階における行動範囲の拡大を反映するような、商品・サービスが危害情報にも出てきています。

●事故情報データバンクに収集された情報

「事故情報データバンク」は、生命・身体に関する事故情報を広く収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システムであり、消費者庁と国民生活センターが連携し、関係機関の協力を得て、2010年4月から運用しているものです(図表4-2-9)

「事故情報データバンク」には、生命身体事故等、PIO-NET情報(「危害情報」及び「危険情報」)、重大製品事故、さらに、参画機関99)から寄せられた生命・身体に関する事故情報が登録され、インターネット上で簡単に閲覧・検索することができます。2013年度、事故情報データバンクには2万9,801件の事故情報が登録され、このうち、消費者庁、国民生活センターを除く事故情報データバンク参画機関からの通知は1万3,334件となっています。また、2014年3月31日時点で登録されている情報は累計で11万2,314件となっています。

商品やサービス、設備等により生命や身体に危害を受けた、又はそこまでは至っていないもののそのおそれがあるケース等、安全に関する消費生活相談は、消費生活センター等に寄せられる相談の中では契約トラブル等に比べ少ないですが、消費者行政ではそれらの情報を収集、分析して同様の事故等が起きないよう、注意喚起等に活用しています。その他、危害・危険に関する情報をきっかけに、「苦情処理テスト100)」、「商品テスト101)」を実施することもあり、重要な情報となっています。

●医療機関ネットワークに収集された情報

医療機関ネットワーク102)は、消費生活において生命・身体に被害を生ずる事故に遭い医療機関を利用した被害者からの事故の詳細情報を収集し、同種・類似事故の再発を防止するため、2010年12月より消費者庁と国民生活センターの共同事業として実施しているものです。

2013年度に医療機関ネットワークに収集された生命・身体に関する事故情報103)は、6,906件となっています。事故のきっかけと危害の程度を見ると、「転倒」(自転車等)が1,503件と最も多く、次いで「転落」(階段等)が1,464件となっています(図表4-2-10)

●カネボウ「白斑」トラブルの影響は消費生活相談にも

(株)カネボウ化粧品、(株)リサージ及び(株)エキップが製造販売する薬用化粧品のうち、「有効成分ロドデノール」104)の配合された製品(以下、「回収対象製品」という。)を使用された方に、「肌がまだらに白くなった」ケースが確認されたことから、2013年7月4日、3社は被害の拡大を防ぐため使用中止を呼び掛けるとともに、本製品について自主回収を開始しました。同日、消費者庁でも注意喚起を行っています。

その結果、事業者が2014年3月31日までに対象製品約69万個を自主回収しています。

消費者から寄せられた主な情報は、「薬用化粧品の美容液を利用したところ、顔と首に白斑が出た」、「薬用化粧品が原因で、顔と手にかゆみと発しんが出た。化粧品の使用を止めたところかゆみと発しんは良くなったが、目の下、頬、フェイスラインに白いブチができている」といったものです。

2013年7月4日以降の2013年度の(株)カネボウ化粧品等の回収対象製品に関する白斑トラブルについては、消費者庁にも関係行政機関より消費者安全法に基づく通知がなされました。通知件数は46件で、内訳としては重大事故等が36件、非重大事故が10件となっています。

また、医療機関ネットワークにも11件寄せられています。

その他、全国の消費生活センター等に寄せられた危害情報は427件となっています。

これらの危害情報427件について見ていくと、相談が寄せられたのは自主回収が始まった2013年7月に最も件数が多く、174件でした。その後、8月は103件でしたが、徐々に減少傾向にあります(図表4-2-11)

被害者の性別では女性が417件と圧倒的で、年代別に分けると40歳代から60歳代までで約6割を占めました(図表4-2-12)。

危害程度は、「1か月以上」が206件で、不明(無回答)を除くと、約64.8%を占めています(図表4-2-12)

●冷凍食品への農薬混入事案の影響は消費生活相談にも

2013年12月に発覚した(株)アクリフーズの農薬混入事案(詳細は第1章参照。)を機に「冷凍調理食品」に関する消費生活相談が急増し、2013年度は4,477件と前年度の約24倍となりました(図表4-2-13)。そのうち、危害に関するものは1,064件、危険に関するものは2,251件となっています。これは中国冷凍ギョウザ問題が発生した2007年度の相談件数をはるかに超えるものとなりました。

月別の相談件数の推移を見ると、事案の報道直後の2014年1月に4千件以上が集中し、2月には2桁に戻っています。

相談内容としては、「冷凍食品のグラタンを食べたら1日中下痢が続いた。後で農薬が検出されたため回収対象になっている商品と知った」や「報道されている農薬が検出された冷凍食品を返送したいが、ずっと電話がつながらない。方法を教えてほしい」、「回収中の冷凍コロッケを食べたかもしれない。不安」といったものが多く見られました。

なお、健康被害が疑われる事例について、全国の地方公共団体が公表した資料によると、マラチオンが検出された事例はありません。

●路線バスでの高齢者の転倒、骨折事故が多発

乗合バス(以下「路線バス」という。)の車内事故等であって、骨折等のけがが生じているものが2009年9月の消費者安全法の施行以降、2013年7月までに273件、消費者庁に通知されています。そのうち、270件(98.9%)が重大事故等となっています。

路線バスが動き出すときや停車するとき等に特に事故が多く起きており、60歳以上のけがが213件(78.0%)に上っています。

性別で見ると女性が175件(64.1%)、けがの内容の内訳では236件(86.4%)が骨折によるものです。

発生年度別に見ると、2009年度54件、2010年度61件、2011年度59件、2012年度82件、2013年度17件(2013年7月末まで)となっています。

そのうち、けがをした時のバスの状況については「バス停から動き出すとき」の事故が最も多く、発進時に着席しようとした利用者の転倒が目立ちます(図表4-2-14)。中には、高齢者が完全に着席する前にバスが発車した場合も見られます。なお、「バス停へ停止するとき」の事故では、停車する前に席を立ったために転倒したケースが目立ちます。

走行中の事故では、急ブレーキや一旦減速してすぐに加速した際の転倒が多く見られ、「信号等から動き出すとき」の事故では、赤信号等で停車している間に座席を移動しようとした利用者が転倒したものが目立ちます。

乗り降りの際にも、バランスを崩したことによる転倒事故が発生しており、バスが停まっていても油断してはならないことが分かります。

図表4-2-1 2013年度の重大事故等の通知の約8割は火災によるもの

図表4-2-2 重大事故等を除く生命身体事案の件数

図表4-2-3 2013年度に報告された重大製品事故は941件

図表4-2-4 2013年度は危害・危険に関する相談ともに増加

図表4-2-5 危害情報は「皮膚障害」が多い

図表4-2-6 2013年度の危険情報は「異物の混入」が多い

図表4-2-7 危害情報及び危険情報 商品別件数

図表4-2-8 子どもの危害情報の件数の多い商品は、年齢によって違い

図表4-2-9 生命・身体に関する事故情報の集約

図表4-2-10 医療機関ネットワークに収集された事故情報は6,906件(2013年度)

図表4-2-11 (株)カネボウ化粧品等の回収対象製品に関する白斑トラブルの危害情報は、2013年7 月に集中

図表4-2-13 「冷凍調理食品」の「危害・危険」に関する相談は、2013年度に急増

図表4-2-12 (株)カネボウ化粧品等の回収対象製品に関する白斑トラブルの被害は女性が圧倒的で、危害程度は1か月以上が多い

図表4-2-14 路線バスでの事故は「バス停から動き出すとき」の状況で起きることが最も多い


96)

消費生活用製品事故の中でも、死亡や30日以上の治療を要するなど被害が重大であった事案や火災の発生があった事案を指しており、消費生活用製品安全法第2条6項に規定されている。

97)

商品やサービス、設備等により、生命や身体に危害を受けた相談。

98)

商品やサービス、設備等により、生命や身体に危害を受けるまでには至っていないが、そのおそれのある相談。

99)

2013年度末時点の参画機関は以下のとおり。消費者庁、国民生活センター、消費生活センター、日本司法支援センター、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、独立行政法人製品評価技術基盤機構、国土交通省、独立行政法人日本スポーツ振興センター。

100)

消費者からの消費生活に係る苦情相談について、原因を究明するもの。

101)

複数の商品について、品質・性能等、様々な角度から比較し、評価を行うもの。

102)

2013年度末時点の協力医療機関は以下の24機関。札幌社会保険総合病院(2014年4月1日より独立行政法人地域医療機能推進機構札幌北辰病院に名称変更)、医療法人渓仁会手稲渓仁会病院、独立行政法人国立病院機構仙台医療センター、社会医療法人財団石心会埼玉石心会病院、独立行政法人国立成育医療研究センター、立正佼成会附属佼成病院、社会医療法人河北医療財団河北総合病院、NTT東日本関東病院、日本赤十字社大森赤十字病院、日本赤十字社成田赤十字病院、国保松戸市立病院、社会福祉法人恩賜財団済生会横浜市東部病院、新潟医療生活協同組合木戸病院、長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院、地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院、社会医療法人名古屋記念財団名古屋記念病院、日本赤十字社京都第二赤十字病院、社会医療法人協和会加納総合病院、医療法人行岡医学研究会行岡病院、地方独立行政法人堺市立病院機構市立堺病院、鳥取県立中央病院、県立広島病院、国立大学法人佐賀大学医学部附属病院、独立行政法人国立病院機構長崎医療センター。

103)

「医療機関ネットワーク」から収集される事故情報は、24の医療機関を受診する原因となった事故のうち、各医療機関が重大性などの観点から選択して収集するものであり、各医療機関を受診する原因となった全ての事故を対象としているものではない。また、事故分類・件数等は、今後事故情報を更に蓄積・分析していく過程で変わる場合がある。

104)

ロドデノール:製品には、成分名として、4(- 4-ヒドロキシフェニル)-2ブタノールと記載されている。(株)カネボウ化粧品は、ロドデノールを有効成分として配合した製品について、メラニン生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ効果を有する医薬部外品として、2008年に厚生労働省の承認を取得している。

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