平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 【特集2】情報通信の発達と消費者問題 ~ネット社会に消費者はどう向き合うか~

第3節 安全で快適なネット社会の構築に向けた取組

( 3 )個人情報保護への対応と不正アクセス防止

現代の消費社会では、事業者は膨大な顧客データを保有・活用し、また消費者は各種の商用・非商用のサイト上でID・パスワードを用いて自分の個人情報を管理しています。こうした情報は電子商取引を含むインターネット上のやりとりを円滑に進める上では今や不可欠なものとなっており、また個人や事業者がこれらの情報を適切に活用することにより、利便性が大きく向上するものでもあります。一方で、個人情報は一旦誤った扱いをされると個人に取り返しのつかない被害を及ぼすおそれがあるものであり、これらの情報を事業者が不適切な形で利用したり、漏えいさせたり、あるいは悪意のある第三者の不正アクセスにより盗用されたりということがあっては、情報通信社会での消費経済は成立しません。

個人情報を保護するため、2003年に個人情報保護法が成立し、事業者が消費者等の個人情報を取得・利用する際の義務等が規定されました。同法により、個人情報の取扱いに対する意識も高まったものと考えられますが、一方で、必要以上に情報提供を控えることにより、本来必要な業務に支障を来すなど、いわゆる過剰反応による弊害も見られるようになってきました70)。消費者庁では、こうした状況も踏まえ、全国各地で個人情報保護法の説明会を開催するなど、法律・制度の内容に関する情報提供及び啓発を行っています。

また、事業者等が保有する膨大な情報(ビッグデータ)に関して、個人が特定できないよう匿名化した上でマーケティング等に利活用するための研究が進んでいます。ビッグデータは住所・氏名・電話番号等の明らかに個人情報を特定できる部分を削除しても、他の複数の項目を結合することにより個人の特定が可能になる場合もあり、事業者が個人情報保護法上の義務を遵守していたとしても、プライバシーに関する社会的な批判を受けるケースも見られます。さらに、企業活動のグローバル化や情報通信技術の進歩により、クラウドサービス等を介して国境を越えた情報流通が極めて容易になっており、制度の国際的な調和を図る必要性も指摘されています。こうした状況を踏まえ、政府は「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」(2013年12月20日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)に基づき、個人情報保護制度の見直しを行い、2015年通常国会に法案提出を目指すこととなっています。

個人情報の取扱いルールを決めるだけでなく、不正アクセスから情報その他を守ることも必要です。不正アクセス防止の観点からは、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成7年法律第128号)に基づき、フィッシング事犯の取締りや注意喚起、フィッシング対策のためのガイドライン等による啓発活動、電子メールの送信ドメイン認証技術等の技術的対策の普及促進等を関係府省庁において実施しています。


70)

例えば、防災の分野では、東日本大震災においても、災害時要援護者名簿等の作成・活用にあたり、高齢者や障害者等に関する個人情報の利用・提供が個人情報保護条例によって制限されていることから、部局間で必要な個人情報の共有や、外部の避難支援者への情報提供を一律に控えてしまうという問題があったところである。これを踏まえ、2013年の災害対策基本法改正において、避難行動要支援者名簿の作成・活用について法的に位置付け、個人情報保護法制との関係を整理している。

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