平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 【特集2】情報通信の発達と消費者問題 ~ネット社会に消費者はどう向き合うか~

第2節 情報通信の発達に伴う消費者意識の変化、消費者被害・トラブル等の状況

( 4 )デジタルコンテンツの普及とそれに伴う消費者トラブル

第1節でも取り上げたように、消費者は様々な商品・サービスに加え、音楽、画像、映像、書籍、ゲームなどの様々な教養娯楽サービス等を、インターネットを経由してデジタルコンテンツとして直接自分のテレビ、パソコン、携帯電話等に取り込み、楽しむことができるようになっています。しかしながら、それらのデジタルコンテンツの普及に伴う消費者トラブルも発生しています。

ここでは、デジタルコンテンツのうち、主に消費者トラブルの多い分野であるオンラインゲームとアダルト情報サイトに関するトラブルや消費者の意識について見ていきます。

①オンラインゲームに関する消費者トラブルや消費者意識

●未成年者のオンラインゲームに関するトラブルが急増

オンラインゲームとは、インターネットに接続して利用するゲームを指します40)。ゲームの基本部分は無料で、ゲームをより有利に進めるための多くのオプション(アイテム等)が有料で提供される形式のものが一般的となっています。

「オンラインゲーム」に関する消費生活相談は近年増加傾向にあり、2013年度の総数は5,827件でした。このうち、未成年者に関する相談件数は、2010年度以降、毎年度約2倍のペースで増加しており、2013年度は2,439件と全体の約4割を占めています(図表2-2-28)

未成年者に関する相談の詳細を見ると、2012年度から2013年度にかけて未就学児の相談が約3.6倍、小学生(低学年)の相談が約2.4倍、小学生(高学年)の相談が約2.1倍、中学生の相談が約1.8倍と増えており、低年齢化が進んでいることがうかがえます。一方、高校生以上の相談は横ばいとなっています。また、女子より男子の相談が圧倒的多数を占めています(図表2-2-29、図表2-2-30)

●未成年者のトラブルは契約購入金額も高額化

2013年度の「オンラインゲーム」に関する相談の全体の平均契約購入金額は、約21.3万円であったのに対し、未成年者の場合は約23.3万円であり、未成年者の方がやや金額が大きくなっています。

また、契約購入金額が10万円以上の相談の割合を見ると、全体では2009年度の12.6%から2013年度は33.6%と約2.7倍の増加ですが、未成年者の場合は2009年度の15.6%から2013年度は54.4%と約3.5倍に増加しており、未成年者の契約購入金額がより高額化していることがうかがえます(図表2-2-31)

●クレジットカード決済に関する相談が多数

2013年度の相談の内容41)を見ると、「契約・解約」に関するものが非常に多く、全体では81.9%、未成年者では95.0%を占めています。以下、「販売方法」(全体53.1%、未成年者56.9%)、「価格・料金」(全体26.7%、未成年者35.7%)と続きます。

具体的な事例としては、「中学生の息子が親のクレジットカードを無断で利用し、ゲームのアイテムを高額購入していた」「子どもに頼まれオンラインゲーム上でカード番号と暗証番号を入れた。一度限りではなくその後も有効で高額な費用を請求された」等といった課金に関する相談、特にクレジットカード決済をめぐる相談が多く見られます。

また、「オンラインゲームで事業者側からアカウント停止された。身に覚えが無く、調査を依頼しても具体的な理由も教えてくれない」「相次ぐ仕様変更によるバグやサーバーダウンが多く、苦情への対応も悪い」「パソコンのオンラインゲームで特定のアイテムを入手するため電子くじを購入したが、一定の確率で出るはずのアイテムが入手できない」といった相談も寄せられています。

ここからは、特に相談が急増している未成年者のオンラインゲーム利用について、利用実態や保護者の意識を見ていきます。

●どの年齢の子どもを持つ保護者でも、半数以上が何らかの利用ルールを定めている

消費者庁が行った「消費生活に関する意識調査」によると、未成年者の子どものいる家庭では、どの年齢の子どもを持つ保護者でも、半数以上が子どもとの間で何らかの利用ルールを定めており、年齢別に見ると、未就学児(4~6歳)、小学生(低学年)の子どもの場合は「利用時間を制限する」、小学生(高学年)以上の子どもの場合は「課金が必要なオンラインゲームを行わせない」が最も多く設定されているルールです(図表2-2-32)

ただし、消費者トラブルの主な原因となっている課金に関するルールの設定割合を見ると、「課金が必要なオンラインゲームを行わせない」は最も多く設定されている小学生(高学年)で57.2%、「保護者向けのメッセージを保護者に確認させる」は小学生(高学年)で19.9%、「課金額を制限する」は高校生で9.6%となっており、必ずしも割合が大きいとは言えません。

●小学生高学年では約2割、低学年以下でも約1割の子どもが課金等に必要なパスワードを把握

課金等に必要なパスワードの管理については、子どもが中学生以下の場合は保護者のみが管理している割合が最も大きく、高校生以上の場合では子どものみが管理している割合が最も大きくなっています。一方、小学生(高学年)では約2割、小学生(低学年)や未就学児(4~6歳)でも約1割の子どもがパスワードを把握しており、課金トラブルにつながる可能性が懸念されます(図表2-2-33)

●クレジットカードの管理を厳密に行っている保護者は約4~5割

クレジットカードの管理については、「全てのカードやカード番号が分かりそうなものを、子どもが一切触ることができないようにしている」と回答したのは、中学生の保護者が52.8%と最も多くなっていますが、どの年齢の子どもを持つ保護者でも約4~5割程度にとどまっており、クレジットカードの管理があまり厳密にされていないことがうかがえます(図表2-2-34)

●請求明細は必ず確認していても、課金の都度課金状況を確認している保護者は少ない

オンラインゲームへの課金に関し、クレジットカード等の請求明細を発行される都度必ず確認している保護者は全体の約8割を占めます(図表2-2-35)。一方、子どもがオンラインゲームで課金されるプレイを行った後に必ず課金状況を確認している保護者は3割強にとどまっています(図表2-2-36)

●ゲーム会社が行う未成年者保護の取組はあまり知られていない

未成年者によるオンラインゲームへの課金が社会問題化していることを受け、複数のゲーム会社では未成年者保護の取組として「月々の課金上限額設定」42)や「課金制限機能(ペアレンタルコントロール等)」43)を導入していますが、消費者庁が行った「消費生活に関する意識調査」によると、この「月々の課金上限額設定」を子どもに必ず利用させている保護者は2割以下にとどまっており、また、「課金制限機能(ペアレンタルコントロール等)」は約1割程度の保護者しか設定していません。いずれも保護者が男性である方が知っている割合が大きく、対応している傾向があります(図表2-2-37、2-2-38)

●小学生(高学年)の子どもを持つ保護者を中心に、教育へのニーズは高い

オンラインゲームに関する何らかの教育に対するニーズはどの年齢の子どもを持つ保護者においても高く、中でも小学生(高学年)が76.4%と最も高くなっています(図表2-2-39)。教育の内容としては、「課金に関する注意事項」を希望した保護者の割合が77.2%と最も大きく、以下「セキュリティに関する注意事項」68.0%、「他のプレイヤーとのコミュニケーションに関する注意事項」57.7%、「トラブルが発生した場合の対処方法」57.6%となっています(図表2-2-40)

以上から、オンラインゲーム利用に関するトラブルを未然に防ぐためには、保護者がオンライゲームの仕組みを理解し、子どもと話し合った上で特に課金に関する利用ルールを定めること、課金に必要なパスワードやクレジットカードの管理を厳重に行うこと、ゲーム会社が提供する未成年者保護のための機能を活用すること等が肝要です。また、ゲーム会社やクレジットカード会社等の事業者側からも、未成年者保護のための取組の更なる整備や、それらの普及・啓発を行うことが必要です。

②アダルト情報サイトに関するトラブル

2013年度の消費生活相談件数を商品・サービス別に見ると、2012年度同様「アダルト情報サイト」は79,286件と、依然として上位にあります。そのような中、最近ではスマートフォンの普及を背景にして、スマートフォンからアクセスしてトラブルに巻き込まれるケースが増加し、2012年度の18.7 % から2013年度は35.2%へと大きく増えています(図表2-2-41)

スマートフォンからアクセスするものについての相談内容は、「有料の認識がないままタップしたところ、料金の請求画面が表示された」といったもので、パソコン等と大きな違いはありませんが、いわゆる公式マーケットで無料アプリをダウンロードしたのに、突然、料金を請求されたといったトラブルも寄せられています。

また、2013年度の相談を性別年齢別で見ると、男性は「アダルト情報サイト」全体では40歳代、60歳代、50歳代の順で大きな割合を占めますが、スマートフォンからアクセスするケースになると、大きな割合を占めるのが40歳代、30歳代、20歳未満の順になり、スマートフォンの利用率と連動していると思われます(図表2-2-42)

一方、女性の場合は、「アダルト情報サイト」全体で30歳代、40歳代、20歳代が大きな割合で、50歳代以上はわずかとなります。これは、スマートフォンからアクセスするケースで見ても同様の傾向です。

③その他のデジタルコンテンツに関するトラブル

近年、パソコンを操作中に、使用中のパソコンの危険などを知らせる警告表示が現れて不安になり、セキュリティソフトやパソコンの性能を改善するソフトなどをインターネット経由でダウンロードしてしまったが、解約したいというような相談が増加44)しており、特に2013年度は大幅に増えて1,585件の相談が寄せられています(図表2-2-43)

この種のトラブルでは、パソコンの画面上に、自分のパソコンの状況を知らせているかのような警告を突然表示して不安をあおったり、様々な表示方法により、ソフトの購入手続き画面に誘導するケースなどが見られます。

2013年度の相談を年代別に見ると、60歳代が最も多く、70歳代前半でも多くの相談が寄せられています(図表2-2-44)

また、これまでは消費者が商品として購入していた音楽(レコード、CD等)や書籍等がデジタルコンテンツとしてオンラインで販売されるようになっています。音楽CDや紙の書籍の購入が所有権の売買であるのに対し、デジタルコンテンツとしての音楽や電子書籍は一般には利用権として提供されており、事業者が事業から撤退した場合や事業者自体が破綻した場合の取扱いについての問題も指摘されています。さらに、消費者自身が既存の商品を簡単にデジタル化したり、購入したデジタルコンテンツや自らデジタル化したものを、インターネット上で気軽に他の消費者と共有できるようになっており、著作権上の問題も生じています。

図表2-2-28 未成年者のオンラインゲームに関するトラブルが急増している

図表2-2-29 小学生(高学年)・中学生のトラブルが大幅に増加

図表2-2-30 女子より男子の相談が圧倒的多数を占める

図表2-2-31 未成年者のトラブルは契約購入金額も高額化

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図表2-2-32 どの年代の子どもを持つ保護者でも、半数以上が何らかの利用ルールを定めている

図表2-2-33 小学生(高学年)では約2 割、小学生(低学年)以下でも約1 割の子どもが課金等に必要なパスワードを把握

図表2-2-34 クレジットカードの管理を厳密に行っている保護者は約4 ~ 5 割

図表2-2-35 請求明細を発行される都度必ず確認している保護者は約8 割

図表2-2-36 課金されるプレイを行った後に必ず課金状況を確認している保護者は3 割強

図表2-2-37 「月々の課金上限額設定」を必ず利用させている保護者は2 割以下

図表2-2-38 「課金制限機能」を設定している保護者は約1 割程度

図表2-2-39 小学生(高学年)の子どもを持つ保護者を中心に、教育へのニーズは高い

図表2-2-40 課金やセキュリティに関する教育へのニーズが高い

図表2-2-41 スマートフォンからアクセスする「アダルト情報サイト」に関する相談が増加

図表2-2-42 「アダルト情報サイト」は性別年代別で傾向が異なる

図表2-2-43 「警告表示をきっかけにソフトをダウンロード」するトラブルは2013 年度急増

図表2-2-44 「警告表示をきっかけにソフトをダウンロード」するトラブルは60歳代に多い


40)

パソコンや携帯電話など、機器を問わず、インターネット回線を通じたゲームすべてを含む。ソーシャルゲーム、アプリ型ゲーム等を含む。ゲームをする際にインターネット接続が必要なものを指し、単にインターネット経由でダウンロードしただけのものは含まない。

41)

1件の相談について複数種類の分類を行っており、合計は100%を超える。

42)

オンラインゲーム利用時に正しい生年月日を入力することで、未成年のユーザーに対してゲーム会社が定めた「月々の課金上限額」が自動的に適用される仕組み。

43)

決済のタイミングごとやゲームごとに保護者しか知らないパスワード等を用いて、課金の上限額を設定できる機能。

44)

国民生活センター「突然現れるパソコンの警告表示をすぐにクリックしないこと!」(2014年4月24日公表)。

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