平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 【特集2】情報通信の発達と消費者問題 ~ネット社会に消費者はどう向き合うか~

第2節 情報通信の発達に伴う消費者意識の変化、消費者被害・トラブル等の状況

( 3 )インターネット通販等に関するトラブル

●約10人に1人が過去3年間にインターネットでの取引のトラブル経験あり

情報通信の発達により私たちの消費生活は大きく変貌してきていますが、中でも大きな変化の一つは、インターネット通販が一般化し、自宅のパソコンや携帯電話などを使ってインターネット経由で簡単に注文し、それまで自分で店舗に行って買っていたようなものでも自宅で受け取ることができるようになったことでしょう。こうしたインターネット経由の取引は今やあらゆる商品・サービス分野に及んでおり、大抵のものはインターネットで買えるようになったと言っても過言ではありませんが、それに伴って様々な消費者トラブルが発生するようになっています。

第1節で見たように、インターネット取引が全体として増加傾向にあるため、当然消費者トラブルも増加する傾向にあると考えられますが、インターネット通販等では、表示された商品と実物が異なるといったトラブルや、返品・解約に関するトラブルも生じやすくなっています。また、一部のインターネット販売事業者による不当な二重価格表示が問題になったように、インターネット上の不当表示により、消費者が不利益を被ることがあります。さらに、近年ではインターネットの特性を悪用した詐欺的な通販サイトや、実在するサイトを模倣したいわゆるなりすましサイトによるトラブルも発生しています。

消費者庁が2014年3月に実施した「消費生活に関する意識調査」によると、過去3年間にインターネットでの取引においてトラブルに遭った経験のある方は、全体の12.0%でした(図表2-2-16)。また、トラブルに遭った経験のある方に対し、それがどのようなトラブルかを尋ねたところ、「偽物や粗悪品が届いた」が52.8%と最も回答が多く、次に「サービスの内容が著しく劣っていた」が20.0%と続きます。性別で見ると、女性は「サンプルを申し込んだら定期購入扱いにされた」、「注文をキャンセルしたのに代金が引き落とされた」等が男性に比べ多く見られます。

●インターネット通販の消費者トラブルが急増

次に全国の消費生活センター等に寄せられた「インターネット通販」に関する消費生活相談情報により、最近のインターネット通販におけるトラブル内容等を見ていきます。

「インターネット通販」31)の年度別推移を見ると、2009年度の相談件数は1万6,890件でしたが、2013年度は5万364件で約3倍、前年度の2012年度の2万9,667件に比べても1.7倍と、大幅に増加していることが分かります(図表2-2-17)

そのうち、「外国」に関連するものは2009年度の1,200件から2013年度の1万983件と9倍以上に増加を続けており、前年度に比べても2倍以上に急増しています。特に「外国」に関連するもののうち、支払方法に注目すると、「前払い」が非常に増加していることが分かります。これは、後ほど見るように海外の通販サイトではいわゆるブランド品の偽物を送る、あるいは最初から商品を送るつもりがないなど悪質なものが増加しており、こうした悪質事業者では、詐欺的行為が発覚する前に代金を確実に手にすることができるよう銀行振込等の前払い方式を多用しているものと見られます。

次に、2013年度の相談を見ていくと、商品別の構成では洋服、履物、かばん、アクセサリー等の「被服品」が41.4%と最も大きな割合を占めています。それに、腕時計、スポーツ用品等の「教養娯楽品」が25.5%と続きます(図表2-2-18)

更に商品の分類を細かく見ると、上位には「商品一般」32)のほか、「財布類」、「ハンドバッグ」、「腕時計」等、主にいわゆるブランド品に関するものが並びます(図表2-2-19)

性別や年齢別に見ると、男性が44.4%、女性が53.2%で女性の割合が大きく、それぞれ平均年齢が40.4歳、37.4歳となっています。性別年齢別で見ると、30歳代女性の相談件数が7,925件と最も多く、40歳代女性がそれに続いています(図表2-2-20)

50歳代以上は相談件数が大きく減少し、年代が上がるほど件数は少なくなっています。また50歳代は性別に見るとほぼ同程度、60歳代以上は男性の方が多くなっている点も他世代とは異なります。

さらに性別年齢別に、2013年度の相談をそれぞれ5位までの上位商品を見ていくと、性別や年代の特徴が分かります。

男性では、20歳未満は「電子ゲームソフト」が最も多く、その他主にいわゆるブランド品の「財布類」や「履物」が上位に挙がっています(図表2-2-21)。成人では20歳代から40歳代は、「腕時計」が上位で、ほかに「履物」もそれぞれ多くなっています。50歳代、60歳代は「腕時計」のほか、「テレビジョン」、「ノートパソコン」等の電気機器の「教養娯楽品」が見られます。70歳以上は、身に着ける商品ではなく、「健康食品」が上位に挙がっています。

女性では、20歳未満は約2割が「財布類」となっており、「ハンドバッグ」、「腕時計」と続いています。20歳代から40歳代では「財布類」や「ハンドバッグ」、「婦人靴」や「ジョギングシューズ」等の「履物」、「腕時計」等、主にいわゆるブランド品関連の商品が中心であることが分かります。年代が上がると、サプリメント等の「他の健康食品」が見られるようになります。

●越境取引に関する相談は増加傾向

企業活動がグローバル化し、また消費者がインターネット経由で気軽に海外事業者と取引ができるようになったことにより、海外事業者と国境を越えて取引(越境取引)する経験や、それに伴うトラブルの経験が増えています。国民生活センターが2013年9~10月に実施した「国民生活動向調査」によると、インターネットでの購入経験者のうち、この3年間に、インターネットを使った海外通販で、海外から直接商品やサービスを購入した経験がある場合は13.9%という結果でした(図表2-2-22)。性別年代別では、女性は30歳代が21.6 %、男性では40歳代が18.3%と最も高くなっています。インターネットでの海外通販の購入経験者のうち「トラブルを経験した」割合は8.6%で、約1割近くがトラブルに遭っているという結果となりました。

消費者庁では、2011年11月より「消費者庁越境消費者センター(CCJ:Cross-Border Consumer Center Japan)」を開設し、海外ショッピングでトラブルに遭った消費者からの相談を受け付けています。2013年度に受け付けた相談は4,508件となり、2012年度の2,490件を大幅に上回っています(詳細は第4章第1節参照)。取引類型別で見ると、「電子商取引」が4,383件となっており、2012年度の2,363件から約1.9倍、2千件以上増加し、構成比に占める割合でも94.9%から97.2%へと大きくなっています。

そこで、以下では「電子商取引」に関するCCJへの相談について、相談の傾向を様々な角度で見ていきます。まず、2013年度の相談について、相談者の性別に見ると、男性が48.8%、女性が50.6%でほぼ半々でした。相談件数を性別年代別に見ると、30歳代女性が最も多く、男性では40歳代が最も多くなっています。また、40歳代までは女性が男性を上回っていますが、50歳代以上は男性の方が女性より多くなっています(図表2-2-23)

商品・サービス類型別の構成比を見ると、2013年度は「衣類」、「履物」、「身の回り品」33)といった被服品が2012年度同様、約6割を占めています。そして、2013年度は2012年度に比べ、「履物」や「身の回り品」、「ソフトウェア」の割合が大きくなっています。一方、「衣類」や「趣味用品」34)の構成比は前年度に比べ小さくなっています(図表2-2-24)

●中国の事業者のインターネット通販トラブルが急増し全体の1/3を占める

2013年度の相談における事業者について、その所在国/地域別に見ると、「中国」、「アメリカ」の2国で全体の半分を占めています。前年度からの動きとしては、2012年度2位であった「中国」の割合が大幅に増えて第1位となり、第1位であったアメリカの割合が小さくなっていることが確認できます(図表2-2-25)

トラブル類型別構成比では、2012年度は「模倣品到着」35)が22.9%で、「商品未到着」、「解約」に関するトラブルがそれに続いていましたが、2013年度は「詐欺疑い」36)が36.3%と大幅に増え、「模倣品到着」と合わせると6割を占めるに至っています。一方「商品未到着」37)の割合が小さくなっています(図表2-2-26)

2013年度のトラブル類型で大きな割合を占める「模倣品到着」、「詐欺疑い」について、事業者の所在国/地域別に見ると、「模倣品到着」のうち75.1%、「詐欺疑い」のうち40.4%と、所在国/地域が不明のものを除くとほとんどが中国の事業者であり、「模倣品到着」、「詐欺疑い」ともに中国が他国に比べ突出していることが分かります。

さきに見た図表2-2-25 と合わせて見ると、2013年度に相談件数が大幅に増加した主な要因は、中国の事業者による「模倣品到着」、「詐欺疑い」に代表されるトラブル類型に関する相談が増えたものと言えます。

さらに、2013年度の相談の事業者の所在国/地域の中で、「中国」、「アメリカ」、「欧州」を取り上げ、それぞれのトラブル類型別に構成比を見ると、国によって明らかな違いが見られます。「中国」では、「模倣品到着」が52.9%と最も大きな割合を占め、「詐欺疑い」41.9%を合わせると9割を超えていて、中国の事業者に関するほとんどのトラブルがこれらに該当しています。

「アメリカ」で最も大きな割合を占めるのは「解約」で53.0%となっており、「商品未到着」が24.1%と続きます。「解約」の主な内容は、アメリカ発のインターネットサービスやダウンロードソフトウェア、旅行予約サイト等に関する相談で、サービスに関するものです。

「欧州」では、「商品未到着」が36.4%で、いわゆる通常の海外通販サイトでの商品購入時のトラブルが中心です。それに次ぐ31.6 % の「解約」は、2012年度の12.5%から大幅に増加していますが、これはダウンロードソフトウェアの解約に関する相談が増加したことが大きな要因です。

●海外通販サイトでは銀行振込からトラブルにつながることが多い

決済手段別に構成比を見ると、「クレジットカード」が2012年度の51.8%から2013年度は39.3%へと割合が減少しており、代わりに「金融機関振込」の割合が2012年度の40.0%から2013年度は55.8%と、大幅に増加しています(図表2-2-27)

トラブル類型別では前述のとおり「模倣品到着」、「詐欺疑い」が増加していますが、これらの多くは、模倣品・詐欺関連サイトとは知らずに商品を申込み、「銀行振込のみを支払い手段として指定されているため銀行振込をしたが、商品が届かない(又は模倣品が届いた)」といったケースです。そのため、これらの「模倣品到着」及び「詐欺疑い」に用いられた決済手段では、2013年度は「クレジットカード」が14.9%、「金融機関振込」が83.7%となっており、このようなトラブルの増加が決済手段の構成比の変化にも影響していることが分かります。

●海外通販サイトでトラブルに遭わないために

以上見てきたように、ここ1~2年で海外通販サイト、特に中国の事業者に関する相談が急増しています。これらのトラブルになっている事業者の中には、模倣品を送るもの、最初から商品を送るつもりのないものなど詐欺的なものも多く、また一度代金を支払ってしまうと取り戻すのが難しく、連絡先が分からずに交渉もできないようなケースが多く見られます。したがって、特に前払いで契約するような場合には、その事業者が信頼できる事業者なのか、消費者一人一人が見極める必要があります。

このような詐欺的な海外通販サイトの特徴として、「事業者の住所・電話番号等の表記がない」、あるいは「表記が不完全」、「事業者の実態が不明で、連絡手段が電子メールのみで相手からの返信がないと連絡が取れない」、「正規販売店の販売価格よりも極端に値引きされている」、「サイトの日本語の表記に不自然な点が見られる」、「支払い手段が銀行振込のみとなっており、クレジットカードが利用できない」、「銀行口座の名義が屋号やネットショップ名を含まない個人名だけになっている」などの傾向が見られます。

消費者は怪しいと思ったら利用を避け、また既に振り込んでしまった後で詐欺と気付いた場合は直ちに警察等へ相談するといった対応が被害の未然防止・被害回復のために重要です。また、少しでも分からないことや不安なことがあれば、消費生活センター等へ相談してください。

●サービス分野等におけるインターネット予約・契約等のトラブル

また、インターネット通販による商品の購入のみならず、サービスの分野でもインターネットを通じた予約・契約が普及しています。例えば鉄道や飛行機などの交通機関の予約や、ホテル等の宿泊施設の予約、映画・コンサートなどのイベントチケットの購入は今やインターネットで行うことが当たり前になっており、株式取引や外国為替証拠金取引といった金融取引もインターネットで行うことも一般化してきています。さらには、こうした取引を簡単・便利に行うためのウェブサービスも充実しています。一方で、インターネット通販同様に、これらの取引は非対面で行われるものであり、それに伴い従来にないトラブルも発生するようになっています。

●共同購入型クーポンサイトに関するトラブルが増加

共同購入型クーポンサイトは、昔からある「共同購入」の仕組みをクーポンに応用しており、ユーザーが他のユーザーと共同でクーポン券を購入すれば、通常よりも安い料金で商品やサービスの提供を受けることができます。クーポンの販売数量や販売時間が限定されており、時間内に一定の人数がクーポンを購入すれば契約が成立しますが、一定時間内に最低販売数に購入枚数が届かなければ契約は成立しないシステムとなっています38)。また、一般に「通常価格」と「割引価格」の「二重価格表示」が行われています39)

2010年頃からこうした共同購入型クーポンサイトが急速に増えており、それに伴って、様々な消費者トラブルが起きています。記憶に残る事例としては、2011年の正月に発生したおせち問題があり、消費者庁は同年2月におせちを販売した株式会社外食文化研究所に対し景品表示法違反で措置命令を出すとともに、クーポンを販売したグルーポン・ジャパン株式会社にもサイト運営上留意するよう求めました。また、同年10月に公表された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」において、事業者が留意すべき点を取りまとめました。このような表示と実際のサービスの相違に関するトラブルのほか、「予約が一杯と言われ、クーポンが利用期限内に利用できなかった」「クーポンの発行元が倒産した」「1人1枚限りしか使えないクーポンを複数枚購入してしまった」といった相談も多く寄せられています。

こうしたトラブルに遭わないよう、消費者がサイトの仕組みを理解し、事前に返品等の条件をよく確認してからクーポンを購入することが必要です。また、事前に利用予定の店の評判を確認しておくことも重要です。

図表2-2-16 過去3年のインターネットでの取引のトラブル経験を有する割合は12.0%

図表2-2-17 「インターネット通販」に関する相談は2013 年度に大幅増加

図表2-2-18 2013 年度の「インターネット通販」の相談のうち、「被服品」が4 割を超える

図表2-2-19 2013 年度の「インターネット通販」のうち、「財布類」「ハンドバッグ」「ジョギングシューズ」等の「被服品」が上位

図表2-2-20 「インターネット通販」の相談は30歳代、40歳代に多い

図表2-2-21 性別や年齢で「インターネット通販」のトラブル対象商品は異なる

図表2-2-22 過去3 年のインターネットでの海外通販の購入経験は1 割強、トラブル経験はそのうちの約1 割

図表2-2-23 相談は女性では30歳代、男性では40歳代が最も多い

図表2-2-24 商品・サービス類型別では「履物」、「身の回り品」等が増加

図表2-2-25 事業者の所在国/地域別で見ると中国が大きな割合となり、アメリカは小さくなっている

図表2-2-26 「模倣品到着」、「詐欺疑い」が2012 年度に比べ大幅に増加しており、中国関連が多い

図表2-2-27 決済手段別で見ると「金融機関振込」割合が大きく増加している


31)

PIO-NETの「インターネット通販」は商品・サービス双方を含み、2013年度にはサービスが7割以上を占めている。その内訳を見ると「アダルト情報サイト」、「出会い系サイト」、「オンラインゲーム」といったものが上位を占め、一般的な「インターネット通販」のイメージとはかい離するため、本節では「インターネット通販」のうち「商品」に限定して分析している。なお、「商品」のうち「パソコンソフト」についてはオンラインで入手できるセキュリティソフト等に関するものが多く、同じく「インターネット通販」のイメージと異なるため、本節では除外している。

32)

何らかの商品に特定できない、あるいは複数種類に関する相談。

33)

バッグ、腕時計、装飾品等を含み、いわゆる有名ブランド品であることが多い。

34)

ゴルフ用品、釣り用品、モータースポーツ用品等の「スポーツ用品」や、カメラ、ヘッドフォン、DVD等の「音響/映像用品」、「スマホ/タブレット端末」等。

35)

広義には詐欺と考えられるが、模倣品到着に関する事実と傾向を把握するため、区別している。

36)

注文及び決済の事実が確認できるにもかかわらず、何も届かないまま事業者とのコミュニケーションが途絶え(又は事業者が合理的な応対をしない)、なおかつ事業者の実態が正確に把握できない相談を指す。

37)

事業者の存在実体が確認できる場合にこのカテゴリを使用しており、この点で「詐欺疑い」とは異なる。

38)

商品・サービスの価格を割り引くなどの特典付きのクーポンを、一定数量、期間限定で販売するビジネスモデルをフラッシュマーケティングと呼ぶ。

39)

ただし、後述のおせちのように、「季節もの」など極めて短期間に販売される商品については、「通常価格」というものは存在せず、二重価格表示を行った場合には景品表示法違反となる可能性がある。

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