平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第2章 【特集2】情報通信の発達と消費者問題 ~ネット社会に消費者はどう向き合うか~

第2節 情報通信の発達に伴う消費者意識の変化、消費者被害・トラブル等の状況

( 2 )情報通信機器・サービス等の契約・利用等に伴う被害・トラブル

●通信サービスの普及に伴い、トラブルも増加傾向に

近年の情報通信技術の発達に伴い、通信サービスの普及が進むと同時に、サービスの高度化・複雑化も進展しており、これらのサービスに関する相談も増加傾向にあります。全国の消費生活センター等に寄せられた電気通信サービスに関する消費生活相談の状況を見ると、2009年度には約2.4万件でしたが、2013年度には約1.7倍の約4万件へと増加しています。また、その内訳を見ると、光ファイバーやADSL等の「インターネット接続回線」や、「モバイルデータ通信」28)に関する相談が大きく増加しています。このほか、「携帯電話サービス」に関する相談も増加傾向にあります(図表2-2-2)

●インターネット接続回線に関する相談が増加、中でも年代が高い層の相談が多い

電気通信サービスの中でも、特に「インターネット接続回線」に関する相談件数の増加が目立っており(図表2-2-2)、消費者庁が実施した「消費生活に関する意識調査」(2013年度)によると、通信サービス29)の契約や利用に際してのトラブルとしては、強引な勧誘によるもの、機能・性能の不足によるもの、説明不十分によるものが目立っています(図表2-2-3)

また、消費生活センター等に寄せられた「インターネット接続回線」に関する相談の内訳を年齢別に見ると、2009年度には65歳以上の割合は約15%でしたが、2013年度には26%以上へ増加しており、高齢者の相談の割合が増えていることが分かります(図表2-2-4)

また、「インターネット接続回線」に関する相談を販売購入形態別に見ると、2009年度以降は「通信販売」の割合が大きく減少する一方で、「電話勧誘販売」と「訪問販売」の割合がそれぞれ増加傾向にあり、販売購入形態にも変化が見られます(図表2-2-5)

電気通信サービスの勧誘は、サービスを提供する電気通信事業者ではなく、「代理店」が行っているケースがほとんどです。契約先となる事業者と勧誘に関わる事業者が別で、多くは、電気通信事業者と代理店契約を結ぶ1次代理店が、更に他の事業者と代理店契約を結び、実際の勧誘はこの2次代理店が行うことで、より幅広い勧誘を行っているという仕組みとなっています。中には、3次、4次と何層にも多階層化している場合があり、消費者側からは誰と契約を結んでおり、誰からサービス提供を受けるのか、複雑で分かりにくくなっています(図表2-2-6)

また、勧誘事業者は契約を獲得すると、サービスを提供する事業者(電気通信事業者)から手数料を得ており、「安くなる」、「お得」であることを強調した勧誘により、不要な契約を含んだ複数の契約を同時に結びトラブルとなるケースも見られます。

消費者は1つの勧誘事業者に申し込むだけで様々なサービス・商品を同時に契約することができますが、契約先となる事業者はサービスごとに異なる場合が多く、解約はサービスごとにそれぞれ異なる契約先との手続が必要になる場合もあり、それも分かりにくいものとなっています(図表2-2-7)

電気通信サービスの申込・契約に際しては、電話や訪問販売による迷惑な勧誘が繰り返されたり、契約先や契約内容を記した書面が交付されず、消費者の理解が不十分なまま、口頭での契約となっていることや、店舗での購入であっても、不意打ち性の高い勧誘や説明不足、広告表示による誤解が生じているケースがあり、こうしたことがトラブルの原因になっています。

トラブルに遭わないためには、勧誘されてもすぐに事業者へ返事をせず、契約内容等をよく確認し、また、必要がなければきっぱりと断ることが重要です。あわせて、価格のみではなく、自身の利用環境や目的に照らして必要性を十分に検討することも大切です。

●携帯電話サービスに関するトラブルは、「契約・解約」に関するものが多い

「携帯電話サービス」に関する相談は増加傾向にあり(図表2-2-2)、相談内容としては「契約・解約」に関するものが全体の約8割と最も多く、次いで「販売方法」、「接客対応」、「価格・料金」に関するものが続いています(図表2-2-8)

携帯電話(スマートフォンを含む。)の利用料金には、端末自体の割賦料金、通信サービスの料金や映像配信サービス等のオプション契約の料金等が合算されていることがあり、また、それらをまたいだ割引システムも存在するなど、消費者にとって理解しにくい内容であることがあります。こうした複雑な料金体系や、それによる消費者の理解不足が、利用中や解約時のトラブルの要因の一つになっているものと思われます。

また、回線の混雑状況や通信環境により、パンフレット等に表示されている通信速度が実際には担保されていないことや、提供エリア(通信可能なエリア)と示されていても、電波の届かないところ(山間部、トンネル、地下など)で通話できない場合があることによるトラブルも存在しています。

●携帯電話・スマートフォン等の契約時に付けられるオプションサービス30)を不満に思う消費者が多い

消費者庁が実施した「消費生活に関する意識調査」によると、携帯電話・PHS、スマートフォンを契約した消費者のうち、約4割がオプションサービスを付けられ、後日自身で解除するように求められた経験を有していますが、そのうち約6割強は実際にはそうした条件を付けられることを望んでいません。また、約6割強が複雑な解除方法や解除忘れによる料金請求等、契約時にオプションサービスを付けて困った経験をしています(図表2-2-9~2-2-12)

●パソコンや携帯電話などの情報通信機器に関する相談が増加

パソコンや携帯電話などの情報通信機器に関する相談件数は、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル専用端末機器の急速な普及とも相まって、近年は増加傾向にあります(図表2-2-13)

●スマートフォンに関する相談は増加傾向

中でもスマートフォンに関する相談は2011年度以降増加傾向が顕著です。「スマートフォン」そのものに関する相談は2010年度以降目立つようになり、2011年度で4,762件寄せられました。その後も、2013年度は9,405件となっていますが、半期ごとの推移を見ると徐々に横ばい傾向になってきています(図表2-2-14)

一方、スマートフォンから「アダルト情報サイト」や「出会い系サイト」等のデジタルコンテンツを利用した「スマートフォン関連サービス」の相談は、2011年度下半期に急増し、その後「スマートフォン」そのものの相談件数を大きく上回り、2013年度は上半期で1万8,479件、下半期は更に増えて2万4,434件、2013年度全体では4万2,913件となりました。

2013年度の相談を年代別で見ると、「スマートフォン」、「スマートフォン関連サービス」とも40歳代が最も大きな割合を占めています。平均年齢は2010年度から徐々に上昇しており、「スマートフォン」は2010年度には38.0歳でしたが、2013年度は41.5歳となっています。「スマートフォン関連サービス」は、2010年度は33.6歳でしたが、2013年度は35.3歳となっており、「スマートフォン」より平均年齢は低い傾向にあります。

●スマートフォンの充電端子の焼損や機器本体の発熱等に関する相談が急増

スマートフォンは、従来の携帯電話の持つ通話やメールの機能に加えて、パソコンのように様々なソフトウェア(アプリ)をインストールできる携帯電話機であり、その機能性や利便性の高さから、近年急速に普及が進んでいますが、普及とともに機器の不具合によるトラブルも増加し、中には充電端子の焼損や本体の発熱といった、重大事故につながりかねないトラブルも発生しています。

「スマートフォンの充電端子の焼損や本体の発熱等」に関する相談件数は、2011年度以前にはそれほど見られませんでしたが、2012年度には524件、2013年度には497件となっており、スマートフォンの普及とともに急増しています。また、相談件数全体のうち、危害・危険に該当する相談の割合も増加傾向にあります(図表2-2-15)

これらの相談には、充電中に充電端子が焼損してしまった事例や、使用中や充電中に本体が発熱した事例などがあり、中にはやけどを負った事例も見られます。

こうしたトラブルから身を守るためには、スマートフォンを充電する際は、毎回充電端子の取扱いに注意し、異常を感じた場合は直ちに充電を中止する、また、やけど防止のため、スマートフォンを使用する際や充電する際は、長時間肌に密着させないようにするなどの注意が必要です。

図表2-2-2 通信サービスに関する相談は増加傾向

図表2-2-3 通信サービスのトラブルは、販売方法や機能・性能、説明不十分に関するものが目立つ

図表2-2-4 「インターネット接続回線」に関する高齢者の相談の割合が増加

図表2-2-5 「インターネット接続回線」に関する相談は、「電話勧誘販売」や「訪問販売」によるものが増加

図表2-2-6 電気通信サービスの勧誘の仕組み(例)

図表2-2-7 電気通信サービスの勧誘事業者が行うセット販売と契約先(例)

図表2-2-8 「携帯電話サービス」に関する相談のうち、約8 割は「契約・解約」に関するもの

図表2-2-9 42.4%があらかじめ付けられていた経験あり図表2-2-10 65.2%があらかじめ付けられることを望んでいない図表2-2-11 63.0%があらかじめ付けられていて困った経験あり図表2-2-12 35.8%が自分で解除する方法に困る

図表2-2-13 情報通信機器に関する相談件数は、近年は増加傾向

図表2-2-14 スマートフォンに関する相談は、関連サービスの増加が目立つ

図表2-2-15 スマートフォンの充電端子の焼損や機器本体の発熱等に関する相談が急増


28)

データ通信専用の移動端末を使ったインターネット通信や、パソコンを持ち運んで、外出先でインターネットを 利用するためのデータ通信専用の通信契約。

29)

消費者庁「インターネット調査「消費生活に関する意識調査」」(2013年度)では、携帯電話、PHS、スマートフォン、インターネット回線、インターネット接続サービスを合わせて「通信サービス」としている。

30)

例えば、スマートフォン等の本体機器を購入する際などに、映像配信サービスやセキュリティサービス等を同時に契約すること。こうしたオプションサービスを契約することにより、本体価格の割引やキャッシュバック等を受けることができる場合がある。

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