平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第1章 【特集1】食をめぐる消費者問題 ~食への信頼の回復と安心の確保に向けて~

第3節 食品ロスの現状と削減への取組

( 1 )食品ロス

●食品ロスの現状

「食品ロス」とは、本来はまだ食べられるのに捨てられる食品のことを指します。

日本国内の年間食品廃棄量は約1,700万トンといわれています。これは国内及び海外から調達された農林水産物のうち食用に向けられた約8,400万トンの2割に相当します。

このうち、いわゆる「食品ロス」は年間約500万~800万トンと試算されており、これは、我が国における米の年間収穫量(2011年産水稲の主食向け約813万トン)に匹敵します。また、食品ロスの約半分に当たる年間約200万~400万トンは家庭から発生しています。

世界に目を向けると、年間約13億トン(世界の食料生産量の3分の1)の食料が廃棄される一方で、開発途上国を中心に世界人口の約8人に1人が栄養不足の状態にあります。

●食品ロスの発生要因

食品ロスは食品メーカーや卸、小売店、飲食店、家庭等、「食」に関わる様々な段階で発生しています。

家庭における食品ロスの発生要因としては、過剰除去(野菜や果物の皮を厚くむきすぎる等、食べられる部分まで除去して廃棄すること)、食べ残し、手付かずのまま捨てられる食品(以下「手付かず食品」という。)が挙げられます(図表1-3-1)

実際に、家庭から出される生ごみの中には、手付かず食品が2割もあり、さらに、その4分の1は賞味期限前にもかかわらず捨てられているという調査結果もあります(図表1-3-2)

また、食品関連事業者(食品メーカー、卸、小売店)においては、業界における商慣習等に起因して、流通・調理・販売の過程で発生する過剰在庫品や破損品、売れ残り等が食品ロスとなっています。

レストラン等の飲食店においても、客が残した料理(特に野菜や穀類)が食品ロスとなっています。特に、宴会、結婚披露宴、宿泊施設で提供した料理の食べ残し割合が約10~15%程度となっており、一般の食堂・レストランの約3%程度よりも大きくなっています。

●食品ロスに関する消費者の認知度

2014年1月に消費者庁が実施した「消費者意識基本調査」では、食品ロス問題について知っている方の割合が64.5%(「よく知っている」11.6%と「ある程度知っている」52.9%との合計)、知らない方の割合が35.3%(「あまり知らない」24.4%と「ほとんど・全く知らない」10.9%との合計)となっています(図表1-3-3)

また、同調査において、食品関連事業者が取り組んでいる商慣習である「3分の1ルール13)」について質問したところ、「取組内容を含めて知っている」との回答が5.1%、「見聞きしたが取組内容は知らない」との回答が32.9%、「知らない」との回答が61.8%でした(図表1-3-4)

さらに、食品ロスを削減するために取り組んでいることについて聞いたところ、「『賞味期限』を過ぎてもすぐに捨てるのではなく、自分で食べられるか判断する」、「残さず食べる」、「冷凍保存を活用する」等が多く挙げられ、食品ロス問題について「知っている」人の方が食品ロスを削減するために取り組んでいる割合も高いことが分かりました(図表1-3-5)

以上の結果からも、消費者一人一人が自ら食品ロスについて学び、日常生活の中で行動に移していくことが大切です。

●消費者に対する普及啓発

食品ロスの約半分は家庭から発生していることから、実際に食品を購入して食べている消費者を抜きにして、食品ロスの削減は望めません。

また、食品関連事業者における食品ロスの背景として、消費者が小売店に品切れを起こさないよう求める傾向があることや、消費者の過度な鮮度や品質に対する意識が指摘されることもあり、消費者が食品ロス削減に対する認識を深められるような普及啓発が必要です。

このため、消費者庁では、2012年より消費者向けの普及啓発として、「食べもののムダをなくそうプロジェクト」というウェブサイト14)を開設したほか、啓発パンフレットの作成、啓発動画の配信等を行っています。

また、事業者・消費者双方の意識改革等を進めるため、2012年7月に「食品ロス削減関係省庁等連絡会議」(以下「連絡会議」という。)を消費者庁に設置し、関係府省庁が連携を図ることとしました。関係府省庁の取組は、2013年10月以降、「食品ロス削減国民運動(NOFOODLOSS-PROJECT)」という名称で展開しています。さらに、本運動のロゴマーク(ろすのん)を作成して、行政のみならず消費者団体や企業で活用されています(図表1-3-6)

●食品ロス削減に関する意見交換会

さらに、消費者に対する普及啓発を進めるため、2013年10月、有識者による「食品ロス削減に関する意見交換会」(以下「意見交換会」という。)を消費者庁に設置しました。

意見交換会には、学識経験者、消費者団体、食品関連事業者、広報関係者、地方公共団体等幅広い分野から13名の委員が参加しました。また、連絡会議を構成する関係府省庁もオブザーバーとして参加しました。

意見交換会は3回にわたり、消費者に対する効果的な普及啓発の方策等について活発な議論を行い、2014年3月26日に意見交換会の取りまとめを公表しました(図表1-3-7)

●今後の食品ロス削減国民運動の展開に向けて

日本は「もったいない」という言葉の発祥地ですが、国内の食品ロスの発生状況を見ると、非常に「もったいない」状況が生じています。

食品ロスの削減は、事業者任せにするのではなく、消費者と事業者が問題意識を共有し、それぞれが主体的に取り組む「国民運動」として進めていくことが不可欠です。

また、消費者が食品ロスの削減に取り組むことは、「消費者市民社会」(消費者自らの消費行動が、現在及び将来にわたる内外の社会経済情勢や地球環境に影響を及ぼすことを消費者が自覚し、公正で持続可能な社会の形成に参画する社会)の実践事例ともなり得ます。

消費者庁では、引き続き、関係府省庁と連携しながら、食品ロス削減国民運動を展開していくこととしています。

図表1-3-1 家庭から出される生ごみの内訳(京都市の調査結果)

図表1-3-2 廃棄された手付かず食品の賞味期限の内訳(京都市の調査結果)

図表1-3-3 食品ロス問題について知っていると答えたのは64.5%

図表1-3-4 3 分の1 ルールを知らないと回答したのは61.8%

図表1-3-5 食品ロス問題について「知っている人」の方が削減に取り組んでいる

図表1-3-6 関係府省庁が連携して「食品ロス削減国民運動」を展開

図表1-3-7 食品ロス削減に関する意見交換会の取りまとめ概要


13)

例えば、製造日から賞味期限までの期間が6か月の場合、①食品メーカー・卸から小売店までの納入までを2か月(納品期限)、②小売店から消費者に販売するまでを2か月(販売期限)、③消費者の購入から賞味期限までを2か月、というように製造日から賞味期限までの期間を3分の1ずつ区切るもの。①の納品期限や②の販売期限が過ぎた食品は、その時点で返品や廃棄されることがあり、食品ロス発生の要因の一つとも言われている。

14)

http://www.caa.go.jp/adjustments/index_9.html

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