平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第1章 【特集1】食をめぐる消費者問題 ~食への信頼の回復と安心の確保に向けて~

第1節 食品表示の適正化

( 2 )食品表示に関する制度の見直し

①食品表示の一元化

●これまでの食品表示の概要、問題点

食品表示は消費者が食品を購入するとき、食品を適切に選択したり、安全に食べたりするため、食品の内容を正しく理解する上で重要な情報源です。また、万一、事故等が発生した場合には、その製品回収や原因究明等の措置を迅速かつ的確に行うための手掛かりとなります。

これまで、食品一般について、その内容に関する情報の表示ルールを定めた法律として、食品衛生法、JAS法、健康増進法の三法があり、三法それぞれに基づき複数の表示基準が定められ、用語の定義が異なる等、分かりにくいものとなっていました。

その結果、消費者にとって分かりにくい制度となっていたばかりか、事業者にとっても、同じ一つの食品に複数の法律が定める基準に従って表示を行わなければならない状況が生じていました。

●食品表示法の制定

2009年の消費者庁発足に伴い、三法に基づく表示規制に係る事務を消費者庁が一元的に所管することとなり、2010年3月に閣議決定された消費者基本計画において、食品表示に関する一元的な法律の策定が盛り込まれました。これに基づいて、2011年9月から2012年8月にかけて消費者庁において「食品表示一元化検討会」を開催しました。その報告に基づいて、三法の食品の表示に関する規定を統合して、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設する「食品表示法案」を国会に提出し、同法案は、2013年6月に国会で可決・成立しました(図表1-1-8)

●食品表示法の概要

食品表示法は、食品に関する表示が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し重要な役割を果たしていることに鑑み、基準の策定その他の必要な事項を定めることにより、その適正を確保し、もって一般消費者の利益の増進を図るとともに、食品衛生法、健康増進法及びJAS法による措置と相まって、国民の健康の保護及び増進並びに食品の生産及び流通の円滑化並びに消費者の需要に即した食品の生産の振興に寄与することを目的としています。

具体的には、以下のような規定等が設けられています(図表1-1-9)

・ 食品表示基準の策定

・ 食品表示基準に違反した事業者等に対する是正措置

・ 適格消費者団体による差止請求、内閣総理大臣への申出

●施行に向けた動き

食品表示法は、公布の日(2013年6月28日)から起算して2年を超えない範囲内において施行することとされており、それまでの間に、現行の三法に基づく食品の表示基準を統合した新たな表示基準を策定する必要があります。

また、食品表示法は栄養表示3)について義務化が可能な枠組みとなっており、新たな表示基準の策定の一環として、表示の対象となる栄養成分等についても検討が必要です。

消費者委員会では、「食品表示部会」の下に、「栄養表示に関する調査会」、「生鮮食品・業務用食品の表示に関する調査会」及び「加工食品の表示に関する調査会」の三つの調査会を設け、これらの課題を検討しています。

②機能性表示

●現行制度の概要

食品は栄養や味覚等様々な機能を持っていますが、近年では身体の調子を整えること等の「食品の3次機能4)」が注目されています。

この「食品の3次機能」は、文部省(現文部科学省)の「食品機能の系統的解析と展開」(1984年~1986年文部省特定研究)において初めて提唱されたものであり、このような機能を持つ食品として、「機能性食品」の概念が生まれました。

その後検討が進められ、1991年には特定保健用食品が制度化されました。さらに、2001年には栄養機能食品が制度化されました(図表1-1-10)

●特定保健用食品とは

特定保健用食品(トクホ)とは、体調調節機能を有する成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示5))をする食品です。特定保健用食品は、健康増進法第26条第1項に基づき、個別の食品ごとに、消費者庁がその保健の用途に関する科学的根拠が明らかであるかどうか等を審査し、表示できる内容を許可しています。許可に当たっては、その安全性及び効果について、食品安全委員会(安全性に関する点に限る)及び消費者委員会の意見を聴き、薬事法(昭和35年法律第145号)による表示規制の抵触の有無につき厚生労働省の意見を聴くこととなっています。

●栄養機能食品とは

栄養機能食品とは、栄養成分の機能を表示した食品で、食生活において特定の栄養成分の補給を目的として利用されます。栄養機能食品の対象となる栄養成分は、2014年4月時点で17種類6)です。

栄養機能食品として販売するためには、個別の許可申請等の必要はありませんが、国が定めた規格基準(1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が、定められた上限値・下限値の範囲内にあること等)に適合し、食品の包装部分に定められた表示7)をしなければなりません。

●食品の新たな機能性表示制度に関する検討

規制改革実施計画(2013年6月14日閣議決定)及び日本再興戦略(2013年6月14日閣議決定)において、食の有する健康増進機能等に着目し、いわゆる健康食品を始めとする保健機能を有する成分を含む加工食品や農林水産物に関し、企業等の責任において科学的根拠をもとに機能性を表示できる新たな方策について、2013年度中に検討を開始し、2014年度中に結論を得た上で実施することとされました。

これらの閣議決定を受けて、消費者庁は2013年12月より「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」を開催し、検討を行っています。

同検討会における検討に当たっては、①安全性の確保、②機能性表示を行うに当たって必要な科学的根拠の設定、③適正な表示による消費者への情報提供に配慮し、消費者の誤解を招かない、自主的かつ合理的な商品選択に資する表示制度とすることを、新たな制度の基本的な考え方としています。また、「食品の機能性表示に関する消費者意向等調査」を実施し、その中で「米国のダイエタリーサプリメント制度に関する課題等調査」と「機能性表示に対する消費者の読み取りに関する実態調査」を行い、検討に活用していくこととしています。

図表1-1-8 食品表示に関する制度

図表1-1-9 食品表示法の概要

図表1-1-10 食品の現行の食品の機能性表示制度


3)

たんぱく質、脂質、炭水化物等の栄養成分や熱量(カロリー)に関する表示。

4)

食品には、生命維持のための栄養面での働きである「1次機能(栄養機能)」、食事を楽しもうという味覚等の、感覚面での働きである「2次機能(感覚機能)」、身体の調子を整えること等の働きである「3次機能(体調調節機能)」の3つの機能があるとされている。

5)

保健の用途の表示としては、「お腹の調子を整える」「コレステロールの吸収を抑える」「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」等の表示が挙げられる。

6)

ビタミン12種類(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、 ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸)、ミネラル5種類(亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム)。

7)

「栄養機能食品」の表示や「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」(栄養機能表示)等の表示。

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