平成26年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第1章 【特集1】食をめぐる消費者問題 ~食への信頼の回復と安心の確保に向けて~

第1節 食品表示の適正化

( 1 )食品表示等問題

●実際の食材と異なった食品表示等問題

食品包装や外食メニューにおける表示と異なる食材を使用した問題は、近年では2007年の食肉偽装事件1)等がありましたが、2013年には多数の事案が明らかになり、いわゆる「食品偽装」や「食品表示等問題」等として社会問題化しました(図表1-1-3)

2013年は、まず、5月から6月にかけて一部ホテルにおいて、メニュー表記と異なる食材を使用し提供していたことが判明しました。

さらに、同年10月22日、株式会社阪急阪神ホテルズは、独自に行った社内調査に基づき、グループ内の複数のホテルにおいてメニュー表記と異なる食材を提供していたことを発表しました。同社の場合、例えば、メニュー表記には「芝海老とイカの炒め物」として「シバエビ」を使用しているかのように表示していた料理は実際には安価で取引されている「バナメイエビ」を使用し、またメニュー表記に「若鶏の照り焼き九条ねぎのロティと共に」として「九条ねぎ」を使用しているかのように表示していた料理では、実際には安価で取引されている「青ネギ」又は「白ネギ」を使用する等していました。

株式会社阪神ホテルシステムズは、同社が運営するホテルにおいて、例えば、メニュー表記は「車海老のチリソース煮」としていたところを実際には「ブラックタイガー」を使用する等していました。近畿日本鉄道株式会社は、同社が運営するホテル等において、例えば、メニュー表記は「牛ロース肉のステーキ」としていたところを実際には「牛脂その他の添加物を注入した加工食肉製品」を使用し提供していました。

これら3社の発表以降、全国各地のホテル、百貨店、レストラン等でもメニューの表記と実際に提供していた食材が異なっていたことが発覚しました。

これら一連の問題は、景品表示法が禁止する優良誤認の表示(商品又はサービスの品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のもの又は競争事業者のものよりも著しく優良であると誤認させる表示)に当たるものとして問題となり得るものでした。

●食品表示等問題に対する消費生活相談の動き

2013年10月22日の株式会社阪急阪神ホテルズの発表以降、全国各地で続いたホテルや百貨店、レストランでのメニュー表記の問題を受け、これらに関連する全国の消費生活センター等に寄せられる消費生活相談も急増しました。

2013年度の月別件数の推移を見ると、一連の問題以前は月に平均20件前後の相談が寄せられていましたが、10月22日を機に10月は101件、11月は318件と急増し、12月に入ると71件、1月には56件と減少していきました(図表1-1-4)

急激に相談が寄せられた10月22日以降の10、11月の相談について見ると、性別では男性が約6割を占めており、年代では60歳代、70歳代を中心に、40歳代以上が多かったことが特徴として挙げられます。

この間に寄せられた相談としては、「報道にあるホテルで食事をした。返金されるか」、「大手企業の食品虚偽表示問題が話題になっているが、消費者として何を信用すればよいのか」、「以前、鉄板焼き店で食べたサーロインステーキは成形肉だったのではないか」「結婚式を挙げたホテルで食品の表示偽装があった。対応が納得できない」等がありました。

●一連の問題に対する消費者庁の対応

消費者庁では、一連の問題を受け、「景品表示法の不当表示の考え方及びメニュー表示等の食品表示に係るこれまでの違反事例」を取りまとめるとともに、2013年11月6日にはホテル関係団体(全日本シティホテル連盟、日本ホテル協会、日本旅館協会)に対し、同月8日には全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会及び日本百貨店協会に対し、上記の考え方及び事例集の周知並びに適正化に向けた取組状況等の報告を要請しました。

また、同年12月19日、近畿日本鉄道株式会社、株式会社阪急阪神ホテルズ及び株式会社阪神ホテルシステムズの3社に対し、景品表示法第6条の規定に基づき、「景品表示法に違反するものである旨を、一般消費者へ周知徹底すること」、「再発防止策を講じて、これを役員及び従業員等に周知徹底すること」等を内容とする措置命令を発出しました。

●政府としての施策パッケージの策定

さらに、政府一丸となった取組について協議するため、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)の下に「食品表示等問題関係府省庁等会議」を設置しました。

同会議は、2013年11月11日に第1回を開催し、今後の対処方針として、①消費者庁の作成した「景品表示法の不当表示の考え方及びメニュー表示等の食品表示に係る過去の違反事例」について周知の徹底を図ること、②所管する業界における表示の適正化に向けた取組状況について徹底した把握を行うこと、等を決定しました。

また、同年12月9日の第2回会議では、関係府省庁より上記の対処方針に基づき実施した取組状況を報告すると共に、「食品表示等の適正化について」(対策パッケージ)を取りまとめました(図表1-1-5)

●「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」の策定

メニュー・料理等の食品表示に関する景品表示法上の考え方を整理し、事業者の予見可能性を高めるとともに、事業者における表示の適正化の取組を促進するため、2014年3月28日に「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」(ガイドライン)を策定し、関係団体等への幅広い周知を図っています(コラム1参照)。

●行政の監視指導体制の強化

景品表示法は、消費者庁がその執行を主に行っていますが、多数の事業者を対象とした監視指導を行うには、人員等の体制が充分ではありませんでした。

消費者庁は、景品表示法に基づくレストラン、百貨店等への監視指導のため、農林水産省の協力を得て、2014年2月26日、同省の食品表示Gメン2)等(表示・規格指導官及び米穀流通監視官)に対し、消費者庁の職員として併任発令しました。同年3月28日、ガイドラインの策定に併せ、消費者庁併任の食品表示Gメン等による巡回監視を開始しました。

また、一般消費者に身の回りの食品表示について監視をしてもらうことで、景品表示法の違反の疑いがある事例の情報収集を行う「食品表示監視システム(食品表示モニター制度)」を導入することとしました。

●景品表示法等の一部改正等法の成立

上記の施策に加えて、食品表示等の適正化に向けた体制の強化を図り、国内外の消費者の「日本の食」に対する信頼を回復するため、関係大臣等が連携し表示に関する監視指導を強化するための体制の確立、都道府県知事に対しても景品表示法に基づく措置命令権限を付与すること等を内容とする「景品表示法等改正等法案」を2014年3月11日に国会に提出し、同年6月6日に成立しました。

●景品表示法への課徴金制度の導入等の検討

2013年12月9日の第2回食品表示等問題関係府省庁等会議において取りまとめられた「食品表示等の適正化について」(対策パッケージ)において、景品表示法の不当表示事案に対する課徴金等の新たな措置について、総合的な観点から検討を行うこととされました。

これを受けて、同日、内閣総理大臣(消費者庁)より消費者委員会に対し、景品表示法上の不当表示規制の実効性を確保するための課徴金制度の導入等の違反行為に対する措置の在り方について諮問を行いました。

現在は、消費者委員会の本会議と「景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会」の合同会議において検討が行われています。

●一連の問題に対する消費者の意識

消費者庁が2014年3月に実施した「消費生活に関する意識調査」によると、「食品表示問題への感想」として、「食品表示は問題だが、事業者を処分することよりも今後の再発防止が重要である」と回答した人が40.7%と最も多く、次いで「問題を起こした事業者に対しては厳しい処分をしてほしい」と回答した人が22.6%でした(図表1-1-6)

また、「食品表示問題に関して、偽装や誤表示が報道で明らかになったレストラン等で、問題となった食材を含む料理を過去に食べた経験がありますか」と聞いたところ、「ある」と回答した人は6.0%、「はっきり覚えていないがあると思う」と回答した人は24.3%、「はっきり覚えていないがないと思う」と回答した人は34.2%、「ない」と回答した人は35.4%でした(図表1-1-7)

図表1-1-3 食品表示問題のこれまでの経緯

図表1-1-4 食品表示等問題に関する相談は10-11 月に急増

図表1-1-5 食品表示等の適正化対策の概要

図表1-1-6 食品表示問題について「今後の再発防止が重要」と回答した人は40.7%

図表1-1-7 食品表示問題で「被害を受けた」人は30.3%


1)

ミートホープ株式会社が主に豚肉を使った挽き肉を「牛ミンチ」として販売したこと等が明らかになった事案。

2)

食品表示Gメンとは、不適正な食品表示の調査・指導等を行うため、農林水産省、地方農政局及び地域センター 等の表示・規格課等に配置されている職員の通称である。

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