平成26年版消費者白書

コラム11

地域との連携を中核に据えた政策展開を

消費者庁参与 千葉マリン法律事務所 弁護士 拝師 徳彦

消費者庁参与
千葉マリン法律事務所 弁護士

拝師 徳彦

創設から5年。この間消費者庁は、宿題だった立法課題を少しずつ実現し、存在感を増してきました。地方消費者行政についても、消費生活センターの増設など、量的な面での整備は一定程度進みつつあります。

しかし2013年度中に全地方公共団体に寄せられた消費生活の相談件数が約92.5万件に上るなど、消費者被害は相変わらず高止まりの状況を続けていますし、特に高齢者の消費者被害に限って言えば、増加の一途をたどっています。リコール製品が未回収のまま火災を発生させ死亡事故に至るなど安全面での課題も山積しています。

こうした現状を見ると、消費者行政はまだまだその役割を果たし切っていないと言わざるを得ません。

私は、消費者行政の飛躍的な発展のためには、地域(特に、消費者の生活圏レベルの地域)との連携を中核に据えた政策展開を行う必要があると考えています。

例えば消費者被害を予防するための情報発信を行う場合、行政による情報発信手段は、ウェブサイトや広報誌等ある程度限られています。これに対して地域では、回覧板、会報、口コミ等様々な団体がそれぞれ独自の情報伝達ツールを持っています。地域に協力してもらうことで、こうした様々なツールを活用した緊密で重層的な情報の伝達が可能となると考えられます。

このほかにも、地域の力を借りることで、リコール製品の回収を確実に行って安全性の向上につなげたり、早期に被害を発見して、迅速な被害救済・行政処分につなげたりといった様々な施策の実効性向上が期待できます。2013年度に行われた高齢消費者への悪質電話対策のモデル事業では、電話録音装置の事前警告機能で勧誘が激減するなどの成果が上がっていますが、こうした取組を広げるためにも地域の協力が不可欠です。

さらに、地域の方々がこうした様々な取組を実践しながら、その制度的背景、社会経済的意義等を学んでいくことで、自ら考え行動する「消費者市民」を育成することにもつながります。

このように、各消費者政策と地域との関係を眺めてみると、消費者行政と地域との連携は、今後の消費者行政の中核として位置付けられるべき重要なポイントだということが分かります。

現在、消費者庁では、地域の見守り活動に参加する消費生活協力員などの制度を整備したり、消費者教育推進法の枠組みを使って、「コーディネーター」「サポーター」といった地域の人材を育成し、地域連携を図りながら消費者教育を行っていく体制整備の検討を進めたりしています。しかし残念なことに、国も地方も、これらの制度をまだまだ断片的にしか捉えていないように思います。これらの制度は、消費者行政と地域との連携の要として位置付けられるものであり、ひいては消費者行政全体の向上につながるものです。国も地方も、まさにこれらの制度を消費者行政の中核に据えた上での政策展開が求められているのです。

今後、国、都道府県、市区町村、そして地域がこうしたイメージを共有しながら地域連携を実現していくことが喫緊の課題です。

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