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記者会見要旨
(平成29年5月29日(月)15:45~16:56 於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

宇賀委員長

本日の調査委員会では、体育館の床板の剝離による負傷事故の調査報告書の取りまとめを行いました。
本件事案は、平成27年9月に調査を開始したものです。今般、これまでの調査結果を取りまとめ、文部科学大臣に対して必要な対策を求めることといたしました。
本調査では、事故の発生した体育館の現地調査や、全国の学校や公共施設を対象としたアンケート調査を行い、事故原因を究明することといたしました。
本事案は、事故前の床板の状態を示す記録が残されていないこと、事故時点の床板の不具合や被害者の動きが確認できないことに加えまして、木材は自然素材であり、また、体育館の設置環境や使用状況が異なることなど、関係する要素も多岐にわたることから、事故を類型化して分析したり、再現実験によって事故原因を究明すること、それに基づく再発防止策を導き出すことは困難でした。
しかし、事故の再発防止のため、床板の不具合を生じさせた要因と、事故の発生を未然に防ぐことができなかった要因を、可能な限り検証し、それに対する再発防止策を示すことといたしました。
床板の不具合を生じさせた要因としては、木製床の使用に伴う劣化のみならず、設計、施工、維持管理及び利用の各段階における床板の過度な水分の吸収や、その乾燥の影響等が考えられます。
また、事故の発生を未然に防ぐことができなかった要因といたしましては、点検がなされていても、それが有効でなかった可能性が考えられます。点検につきましては、点検の重要性が認識されておらず、点検がなされていないというアンケート調査結果も得られました。
このように要因を整理した上で、再発防止策といたしましては、計画的な改修の必要性、水分やその他の影響を最小限にすることの重要性、利用者も含めた関係者間における清掃や有効な点検方法などの維持管理に関する情報提供の必要性を示しました。
また、今回の調査では、特に消費者事故情報の一元化に関し、体育館の床板の剝離による負傷事故について、事故が発生した場合の現場の写真等も含む詳細な情報提供につきましても、再発防止策に含めるとともに意見といたしました。
本件については、以上です。
続きまして、部会の動きにつきまして、委員長代理から説明していただきます。

持丸委員長代理

委員長代理の持丸です。
まず、今月「サービス等事故調査部会」は、開催されませんでした。
「製品等事故調査部会」では、家庭用コージェネレーションシステム事案と、レポートの案件1件について審議を行いました。
部会の報告は以上ですが、既に委員長からコメントがありましたとおり、本日、体育館の床板の剝離による負傷事故に関する報告となっておりまして、これは私が部会長を務めます「サービス等事故調査部会」で議論してきたものです。
今も委員長から話がありましたとおり、実は事故情報がなかなか手に入らなかったということが、この案件の原因究明、要因分析のすごくつらいところです。事故があったという情報は手に入っているのですけれども、例えば、現物が残っていない、もしくは現場写真が残っていない。こうなると、なかなか物理的な原因を追求していくことが難しいということで、もちろんその中で最善の努力をして、こういう要因が、可能性が高かろうというところで、本日の報告に至っているわけですが、繰り返しますが、今後、事故が不幸にして起きてしまった場合、ぜひ現場の写真を残してほしい、それをぜひ上げてほしいということを意見の中へ加えさせていただいたのは、そういう経緯でございます。
私からは、以上です。

2.質疑応答

NHKの阿部です。お願いいたします。
床板なのですけれども、再発防止策として結構たくさん項目があるかと思うのですけれども、まず、現場の体育館の関係者、学校の関係者とかからすると、こういう事故が起きていること自体が驚きだったり、こういう原因で起きているということとか、そもそも水拭きしてはいけないとか、認識のギャップがかなり大きいのかなと思うのですけれども、このあたりは、どういうところからまず取り組んでいくことが重要だと思われるでしょうか。
宇賀委員長

おっしゃるとおり、今回、報告書で指摘したことは、意外と学校関係者に知られていないことだと思います。
計画的な改修とか、水分、その他の影響を最小限にすること、それから利用者も含めた関係者間における清掃や有効な点検方法などの維持管理、こうしたことについての情報共有の必要性を、再発防止策として示しております。
こうした情報が、これまで十分に共有されていなかったということですので、今回の報告書を契機に、こうした情報の共有がしっかり行われることが大切だと考えています。

持丸委員長代理

委員長代理の私からも、一つ。
この案件を取り上げたときに、皆様にも少し記事として出していただいたのです。それが、今も御質問がありましたように、そんなに太いとげが刺さるのかということは、ちょっと想像しにくいことです。実は、事故というのは大体そういうものでして、想像しにくいことが、実は意外といろいろな場所で繰り返し起きていて、そちらでも起こる可能性がある。まずは、これを認識いただくということです。
今、委員長から話がありましたのが、まさしく我々が報告書で言っていることですが、まず、そういう事故があるのだということと、だから体育館を使うなと言っているわけではなくて、ちょっと体育館を見てくださいと。そういう剝離しそうなところがあるかないかということを見ていただくだけでも、相当違ってくると思います。その部分は、気をつけて使うということも一つの手段ではないかと思っている。
先ほど申し上げたのは短期的な話です。中長期的には、しっかりと改修計画を立てたり、水分を使うようなメンテナンスを変えたり、認識が変わってきているので、そちらも共有してほしいということになります。

朝日新聞の末崎と申します。
今回、水分の影響を避けるということが、提案として出されていらっしゃるのですけれども、この点について、フローリングの施工会社とか、メンテナンスの会社さんからヒアリング等をされていらっしゃるのかどうか。もしされていらっしゃるのであれば、その方たちがどういう御認識でいらっしゃるのか。
水拭きは、恐らく一般的に行われていることなのではないかと想像するのですけれども、もし、そういう専門の業者の方からヒアリングなさっていらっしゃる場合に、なぜ水拭きはしないほうがいいのかということが、現場に広がっていないのかとその方たちがおっしゃっているのか、そのあたりの御意見を、もしヒアリングされていらっしゃるようだったら教えてください。
事務局

随所に出てくると思うのですけれども、公益財団法人体育施設協会の屋内施設フロアー部会というのがあります。そちらが、メンテナンスとか施工会社の集まりということで、そこではそういう周知はなされているということで、その方たちはわかっているのでしょうけれども、現場の人たちにそこまで浸透していないということと、特に掃除する人とかは、アンケートでもありましたけれども、学生ですとか学校の先生とかですから、そこの情報の共有がなされていないということかと思っております。
施工会社、メンテナンス会社はわかっていることだとは思っています。

つまり、それがなぜ現場で広がっていないと施工会社の方たちはおっしゃっていたのか。
事務局

そこまでは聞いていないです。その方々が言っていたことまではわからないです。

持丸委員長代理

一つの推測なのですけれども、実は、非常に年数の長い施設ではあるのです。私の子供のころからも当然あるわけなのですけれども、随分、施工の仕方が変わってきているようで、最近のものは、木そのものの上にそもそもコーティングがなされている状態になっているらしいのです。そういうものがなされてからのメンテナンスの仕方と、そうではなかった時代のメンテナンスの仕方が、どうも違っているようです。
人の頭の中はなかなか変わらないので、自分が子供のころは雑巾がけをして、学生がみんなでワックスをかけていたのだという方が、そのまま指導者として現場のことをやっている場合、実は20年ぐらい前からコーティングになっていて、ワックスも油なのですけれども、実は大半が水分なのです。ですから、そもそもコーティングをしている状態で、ワックスをかけているということは、むしろ水分を与えてしまっているような感じになっていて、そういうあたりの認識のずれがあるのではないかということが、我々の部会のほうでの考え方です。
いずれにしても、この中でも、最近こういうコーティングがなされていて、ワックスがけをして、下手をしてそれを今度剝がそうとすると、コーティング剤まで剝がれてしまいますよとかいうことを申し上げたりとか、そもそもそういうもののメンテナンスの仕方について、既にガイドラインが協会などからも出ているので、多分そういうものに変わっているので、ぜひ見ていただいて、皆様の施設に合ったメンテナンスの仕方をぜひしてくださいということを、まさしく先ほどの掃除ではないですが、意識を変えていただくことが大事なところかなと思っています。

ありがとうございます。