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記者会見要旨
(平成28年8月30日(火)16:50~17:45 於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

畑村委員長

本日の会議の概要をお話しします。
本日の委員会では、エレベーターの事案に関する調査結果の取りまとめを行いました。この審議に私は参画しておりませんので、後ほど持丸委員長代理に説明していただきます。
本日は、このほかに体育館の床から剝離した床板による負傷の事案、それから、新規案件の候補等について議論をしました。
まず、体育館の床から剝離した床板による負傷の事案についてお話をします。本件事案は、昨年9月に調査対象として選定したものであり、来月で調査開始から1年が経過しようとしております。消費者安全法第31条第3項では、1年以内に調査完了が困難な場合等は経過報告を行わなければならないと規定されておりますので、本日は事務局から経過報告案について説明を受け、議論を行いました。今後、本日の議論を踏まえて内容を精査し、期限までに経過報告を公表する予定です。
私からは以上です。
続いて、持丸委員長代理から説明していただきます。

持丸委員長代理

代わりまして委員長代理の持丸です。
まず部会の報告です。今月開催いたしました部会での議論ですが、工学部会では今、話のありました体育館の床から剝離した床板による負傷、それから、この後、御報告申し上げますエレベーターの2件の事案について事務局から説明を受け今日の委員会審議に向けた議論を行いました。
続きまして、食品・化学・医学部会です。こちらは注目すべき事案に関する情報収集及びその結果等について事務局から報告を受けて、今後の進め方について議論を行いました。
以上が部会の報告でございます。
続きまして、本日公表いたしますエレベーターの事案について、私、持丸のほうから報告を申し上げます。
本件事案につきましては、消費者安全調査委員会では平成24年11月に本件事案を調査対象に選定し、平成25年8月に公表した国土交通省の調査報告に対する評価を経て、現在まで調査を重ねてまいりました。これまでの調査結果を取りまとめ、国土交通大臣に対して必要な対策を求めることといたしました。まずはその上で今回の報告書のポイントを3点申し上げたいと思います。
まず第1、消費者の視点に立ちまして機械の安全を確保するための考え方に基づいて分析し、結論を得た。これが第1のポイントです。エレベーターは建築構造物の一部として安全管理されてまいりました。我々はエレベーターは建物の中にあっても機械であるということを重視して、機械の安全を確保するための考え方というものが一般的にあるわけですが、これを重視して本質安全、制御安全といった観点から分析を行い、消費者視点と機械安全視点というもので今回の報告書をまとめました。これが第1点のポイントです。
第2です。エレベーターの安全確保について一義的には製造業者、保守管理業者が対応すべきとしたポイント。これが2番目のポイントです。エスカレーターの事案というものを少し前に報告を申し上げました。両者はすごく似た機械なのですが、エレベーターとエスカレーターの大きな違いは、エレベーターの場合は所有者・管理者が例えばマンションの組合だったりする場合は、所有者・管理者自身が消費者と言えなくもないケースがある。こういうことです。したがって、十分な知識と経験を持たない所有者・管理者に全ての対応を押しつけるのでは、これは再発防止につながらないだろうと考えまして、保守管理業者選定のための国交省の指針というものも知識を補う有効な手段の1つでありますが、やはり元来、豊富な知識を持っている製造業者、保守管理業者がお互いに連携、協力してエレベーターの安全確保を担うこと。これが再発防止に重要だという結論になりました。これが2点目のポイントです。
3点目です。制御安全という中に戸開走行保護装置というものがありまして、この設置の促進が重要である。これには所有者・管理者自身の意思決定というものがどうしても不可欠になってまいります。そこで報告書によって、エレベーターの安全確保について社会的な理解が深まるということも期待をしております。
以上、3点でございます。
なお、このエレベーターの事案につきましては、本委員会に選定されて以来、本日の公表まで3年10か月という膨大な時間がかかりました。ここまでかかりました理由を2点申し上げます。
全体のうち、3年を超える時間が調査そのものにかかっております。エレベーターの機械的な側面のみならず、保守管理も含めた業界全体に対して幅広く調査をする必要があったということ。それから、裁判が係争中であって原因関係者からのヒアリング調査に時間を要したこと。それから、事故発生から6年半後の調査開始ということで、特に機械系その他に関しては十分な証拠が取りにくかったことなどがその要因でございます。
さらに、実は最後数箇月がこの調査報告書の取りまとめそのものにかかっております。これは委員長代理の私も大きく責任を感じているところでございますが、膨大な調査内容を初めに申し上げました機械安全視点、本質安全、制御安全という観点で疎漏なくまとめていくということに時間がかかりました。専門が異なる委員の多様な視点の意見を聞きながら、誰が読んでも誤解なく私どもの趣旨が伝わるように構成と表現を仕立てていくことに、今までの案件よりもはるかに長い時間がかかってしまいました。
私のほうからは以上です。

2.質疑応答

朝日新聞の四倉です。
国交省への意見なのですけれども、(3)にあります戸開走行保護装置の設置の促進をもっと頑張りなさいよということだと思うのですが、例えばこの事故の遺族の方などは、既存の平成21年9月以前に製造されたエレベーターについても、設置を促すだけではなくて義務付けるべきだという御意見があったと思うのですけれども、義務付けということが盛り込まれなかったというのは、どういう議論があって、どういうことに配慮して見送られたのか。見送られたという表現が正しいか分からないのですけれども、促進という表現になったということをお聞かせいただければと思います。
持丸委員長代理

3点回答することになりますでしょうか。
まず1つは、古いエレベーターによっては戸開走行保護装置の設置がそもそもテクニカルに難しいというケースがございます。もちろんコストもかかるもので、特に小さなマンションなんかで持っている場合は、コスト負担をどうするかという議論が当然出てまいります。これが難しさの1点目です。
これと関わることですが、2点目として、義務化した場合、それが備わっていないものは、例えば動かすことができないというようなことも当然、我々としては想定をしなくてはいけません。そうすると急病人が発生したとき、実は搬出できないという別のリスクがそこで発生してくることも考えなくてはいけない。これがこのエレベーターという機械が非常に広く普及していて、それそのものが我々の安全を担っているという側面がそこにはあるということで、その部分がもう一つの懸案でございます。
3番目なのですけれども、さは言いながらというところもありまして、我々もこれの中で、これは義務化するべきなのではないかという議論は正直かなりございました。今、言った2点ももちろん踏まえた上でです。
そこで我々としては、この機能としてフォローアップというものをやってまいります。実際にこの戸開走行保護装置が既設エレベーターにどれだけ入っていくかというのは、この後、我々のほうでフォローをしていきまして、いくら促進策がいくつか御検討いただけた、あるいは実施しても、結果的にそれが十分でない場合には、我々としては新たなアクションを起こさなければならない。それぐらいのつもりで今回の答えをお出ししていると理解いただければと思います。

NHKの阿部と申します。
建物の中にあって、建築基準法の範囲でありながらも、機械としての安全として見るということですけれども、であれば建築基準法で位置付けて所有者が責任を持つという制度自体がなかなか知られてもいないし、実際に難しいような感じもするのですけれども、そのあたりの制度を変えるとか、そういうことの提案まで至らなかった何か理由はあるのですか。
持丸委員長代理

逆を返すと、その制度を変えたら効果があるのかどうかということも踏まえて我々の中では議論いたしました。
まず1つは、別に委託をすることが義務を手放しているわけではないです。つまり、例えばマンションの管理人になる人が我々消費者の一部であったときに、その方自身が保守をするということは実際には考えられないのです。どこか委託をするわけですが、そのときにやはりどういうところを選定するのか、そこがどうであったのかということは、専門ではないなりにもある程度認識していただかなくてはいけない。それぐらいのことはお互い担っていくべきだろう。これは一般消費者が何かを使うときに、もうそれは製品に任せておけば安全だからではなくて、我々自身も気をつけていかなければいけないところと同じ部分だと思います。
そういう意味では、私どもの考え方としては、この保守管理をやらなければならない所有者・管理者の義務というものをどこまで捉えるかということですけれども、我々は少なくとも選定を指針に従ってやりましょう。そして、それに対して最低限のチェックや何かはできるにようにする意識を持っていきましょうという点は、やはり残していくほうが社会安全としてうまくいくだろう。ただし、その中で、言葉を選んでしまいますが、建築基準法というのは、私は法律の専門家ではないですけれども、建物の構造物、看板とか階段とか、そういうあまり動的ではないものを中心に成り立っている中に、同じ建物の中ですからこれもその中で扱わなければならないのですが、やはり人が乗っかってモーターが駆動してという部分ですから、その部分については従来の機械安全を持ってきたアイデアをそちらに持っていってくださいよと。建築基準法から何も引き離して、いろいろな法律にまたがせる必要はないので、そちらのほうに新しいアイデアを持っていって、法律自身が変えにくいのであればその運用の仕方であるとか、ガイドラインであるとか、さまざまな形で対応してほしいというのが我々からの提言でございます。

日本消費者新聞の丸田と申します。
今の質問の関連なのですけれども、意見の中では国交省だけの意見もあるのですけれども、今の所有者・管理者というのは、仮にマンションであれば住民であったりとか管理組合、理事会であったりとか、そうなるわけですが、例えばその義務とか何かについて、そういうものがあるんだということを周知徹底というか、そういうものに対しては国交省というか、要するにそういうものは高齢者施設にもあるわけで、つまり消費者庁が本来、司令塔機能を発揮しながら各省庁の横断的な働きかけを周知するようにという、そういうものが国交省だけではなくて消費者庁も意見として出せなかったのかなという感じがするのですけれども、どうでしょうか。
持丸委員長代理

2つお答えしたいと思います。
まず最初に司令塔的な意味という意味では、実はこれも正直なところ議論がございまして、例えば消費者庁はもちろんですが、この施設が入っている中には当然文部科学省が管轄しているところもありますし、厚生労働省が管轄しているところもあります。ただ、さまざまな省庁に分けてしまったときに、何となく責任が分散してしまうのではないか。中核的に国土交通省さんに見ていただきましょうというのがまず1つです。
消費者庁がもちろんその意味で司令塔になることはやや当然ですが、先ほど言いましたように、この消費者、我々の委員会でもその後フォローアップをしていきますので、その機能は十分そこで満たせるだろう。これがまず1点目の課題です。
2点目ですが、実はもう一個議論がありましたのは、所有者・管理者は消費者であるケースもあるのだから、所有者・管理者に対して先ほど私が回答いたしました若干の義務の意識というものを持っていただくという観点では、それは消費者庁からアクションしたほうがよいのではないかという議論も正直ございました。ただ、今回もその点も含めて我々のほうから最終的には国土交通省宛てにまとめてメッセージを出しながら、最終的に所有者・管理者の意識の変革については、これがうまく進まないようであれば消費者庁自身でこれに対応していくことも次の矢として考えなければいけない。このように認識しているという状況です。

毎日新聞の鳴海です。よろしくお願いします。
先ほどの朝日さんの質問に関連するのですが、戸開走行保護装置の義務付け云々の話があったのですけれども、これは資料にあるとおりで、ほとんど設置が進んでいないというお話があったのですが、いろいろ設置が進まない理由を挙げていらっしゃるのですけれども、さはさりとてというか、この理由が至極真っ当だとしても、それにしても進み具合があまりにも遅過ぎるのではないかという気がするのです。
この理由というのは業者寄りというか、設置が進まない至極当たり前の理由として受け入れやすい理由ではありますけれども、裏を返せば業者がこれをまだ進めなくてもいいというふうに見えなくもないわけです。この進み具合があまりにも遅いことを見ると思うわけですが、その辺を含めてもう少し強い提言というか、もう少し強いトーンが必要だと思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。
持丸委員長代理

これも2つお答えをしたいと思います。
まず1つですが、私どもとしては、すみません、国土交通省ではないので消費者庁の我々の委員会としては、今日お出ししたメッセージが初めて戸開走行保護装置を既設エレベーターにつけなさいというメッセージです。したがって、これからそれに対して各所有者・管理者、さらにはそれを進めなければならない国土交通省さんがどういうアクションをして、この後どれだけ加速的にそれが進んでいくかというのを注視したい。まずこういうところが1点目です。
もう一つは直接の質問ではないのかもしれないのですが、少しその質問を分解しますと、そもそも進まない理由というものをもう少しちゃんと考えないといけないのではないかということも御質問の中に含まれているのではないかと思うのです。実は我々は、確かに消費者庁の今回の委員会の中で、なぜ戸開走行保護装置の設置が進まないかということについて、様々な調査をしたわけではございません。それは言ってはなんですが、我々の中の調査の結果、つまり事故原因の調査の結果から分かってきたことから整理をしている段階です。
ある意味ではまた先ほどの話になりますが、提言をして、その結果として国土交通省がある意味では我々のに沿ってある種のアクションをしたのだが、やはり進まないということになった場合に、例えば1つは消費者庁自身で今ありましたなぜ進まないかということを調査する、もしくは調査指示を改めて専門家のいる国土交通省に出して、それに対してもう少し促進するための施策の立案をお願いする。このようなステップを考えております。

実は国交省のほうにお話を伺ったところ、とりあえず2012年に当初予算と補正予算で上限400万と300万の3分の1を補助している。それで今は自治体に交付金を下ろして自治体に進めてもらうようにしている。あと、港区では本年度から全額補助。エレベーターの改修費は2分の1なのですけれども、その全額補助をしているのだけれども、3,600あるマンションのうち50戸だけしか申請が来なかった。要するに向こうとしては補修をするのだけれども、巻上機などは改修するのだけれども、あまりにお金が高いのと、1週間、2週間止めることができないということを言っていて、そのぐらいの状況が分かっている中で、国交省にどういう手段でこれを促進しろということを求めているのか。
持丸委員長代理

後で事務局からも回答をいただきますが、私からお答えできることは、若干一般的になりますけれども、1つは今、補助金がありましたように、補助金的なもので支援をしてバリアを下げるというのが1つです。
もう一つは、バリアを乗り切るためのリスク感を上げる。実はこれも結構大事な仕事でして、これが我々及び国土交通省で一緒にやっていかなければならないことで、なぜこの戸開走行保護装置が重要なのか。制御安全というものをなぜもう一個その上に加えなければならないのかというところを、ちゃんと理解をしていただかなければいけない。これが2つ目です。
3つ目は少し長期的になるのですけれども、今ちょっと話が出ましたように、止めることができないとか、そういうものは非常に大きな問題で、これは技術開発によってできるだけ短期で取り付けられる、安全が担保できるといったようなところもぜひ見ていただきたくて、産業的に言えばこれだけの数のものに戸開走行保護装置が付くというのは、私から言うとそれなりにビジネスチャンスでもあるので、ぜひ低価格で短納期でできるというものができれば、非常に競争力が高くなる。そのあたりももう一つの施策として動かしていっていただきたいというのが我々からの答えですが、何か事務局から、いいですか。

関連で、報告書の日本エレベーター協会の調べで、エレベーターの台数が73万台、そして、戸開走行保護装置が設置されているのは約15万台と説明していて、消費者庁の事前レクと数字があまりにも違うのですが、どのように理解すればいいのでしょうか。
事務局

事務局からお答えします。
結局それが現状といいますか、結局、何も分かっていない。戸開走行保護装置が幾つついているかというものが分かっていないのが現状なのですけれども、私たちも事前レクのときに御説明したのですが、それにいろいろなものが入り組んでいる。例えばホームエレベーターの分とか、エレベーター協会に属していない独立系の保守管理会社のものは上がってこないとか、結果的に我々の数値というのは、そのエレベーター協会のものしかとれないので、それで計算をしてみたのですが、どうも数字が合わないということで、今分かっているのはもしかしたら訂正になるかもしれませんが、既設エレベーターは70万台、そして戸開走行保護装置の設置台数は既設エレベーターの1割に満たない。これしか言いようがないということです。

あと、この機械が保全性を欠いた機械であるとおっしゃられていて、そして、保全性の低くない設計は求めている。国センで詳細を説明していただいたので、どういうところが保全性が低いかということは分かったのですが、こういう保全性が低い機械というのは、まだ世の中にいっぱいあるというふうに捉えていいのでしょうか。
持丸委員長代理

これは難しい質問ですね。私は人間工学ですので、あっては困ると思っておりますが、あり得ると思っています。一般論ですので、私が今データを持っているわけではないので、さは言いながら半分の専門家としての回答と思っていただければいいですが、非常に長く使っている機械というのは、ある意味では保全性に関する意識がさほど高くないころに設計されたものを使っているというケースもあります。これがまず1点です。個別のものは避けたいと思いますが、もう一つは保守管理をするところと、設計・製造したところが割と一体になっているようなケースです。そのケースというのは要するにちょっと作りにくく作ってあるけれども、このほうがコストが安いんだよとか、何とかが部品の交換がしやすいんだよとか、そのようなところの何かの理由でなっていて、しかし、少し面倒だけれども、このようにやればいいからという形でやっていたケースというのは、やはり保全性が低いままになっている可能性はあると思います。
それをなぜ今回問題にしているかと言いますと、今回日本のエレベーターですけれども、さまざまなものがすぐ次々買いかえる時代ではなくて、保守をして長らく使っていく時代になっていく中で、必ずしも最初に買ったところだけが保守をするわけではなくて、いろいろ競争があってさまざまな自由化がいくわけです。その中できっちりと安全化、保守を担保していかなければならないときには、1つはちゃんと保守の情報が伝わるということはもちろんです。
しかし、元来やはり一生懸命苦労して注意しなくても、保守で安全が担保できるような設計になっているべきである。これがもう一つの理屈で、その意味での保全性ということを今回書いて、まだ残念ながら、個別に何とは申し上げられませんが、そういうものは潜んでいる可能性があるとは思っております。

それから、要するに保守案件では不具合情報をきちんと確認できていなかったところがすごく問題なので、ちゃんとやりなさいとは書いているのですが、国交省の指針を拝見すると、これで十分とはとても思えない。ですが、そこに対してどこまで踏み込めと。どういう装置をとれということがすごく曖昧で、まだ周知すればかなり対応できるのではないかというふうにも読める。市川さんたちはずっと安い保守業者に走らないように現状にちゃんと切り込んでほしいと言っていらしたのですけれども、本当にこれが切り込めたのか。どこまで求めているのか。
持丸委員長代理

2つお答えしなければいけないような気がします。
まず1つは、安い保守業者に走らないようにする歯止めということと、もう一つは保守情報のきちんとした伝達ということの2つです。
前者に関しては、実はこれは国土交通省さんが指針を出してくれました。これが私としてはかなり大きな歯止めになるだろうと思っています。何でかと申しますと、例えば私は国立の研究所にいるわけですが、私どものところでは必ず競争入札をかけて一番安いところに落札しなければいけません。そのとき特定のメンテナンス会社を絞り込むような仕様は当然認められません。ということは一般的な仕様を出して一番安いところに、その一般的な仕様として何が一番大事なのかということに対して、ガイドラインが出てくるということは非常に重要なことです。
したがって、この部分を保守、我々みたいな国立のところではなくても、民間で持っている所有者・管理者もこれに沿っていただければ、ある一定以上の中で競争が行われるということで、ここはまず大きな一歩になるだろう。国土交通省の施策ではありますが、我々は評価をしております。
もう一方が、それはそれでどこか正しいところがやったとして、そこを信頼しないわけではないですけれども、いずれにしても業者が変わる可能性はあるわけです。業者が変わったときに、前の業者でやっていたときの例えば履歴であるとか、マニュアルであるとか、そういったようなものをきちんと伝達していかなければいけない。それをどうやって担保するのかというのが御質問だと理解しているのですが、これも相当議論いたしました。
テクニカルには、やはり消費者の素人である所有者・管理者が間に入って、前の人から受け取って次の人に渡さなければならないということそのものがリスクなのではないか。ですからそれは製造業者からメンテナンス業者へ下りたり、メンテナンス業者からメンテナンス業者に渡るような仕組みをこの中で提言してしまったらどうかというような話も正直出ておりました。
ただ、契約ということを考えますと、前のメンテナンス業者と次のメンテナンス業者の間には何の契約もなくて、残念ながら契約上は常に間に入っているのが所有者・管理者なのです。そこで所有者・管理者の指示の下、前のところから次のところへ移すような体制をつくりなさいと、そのような表現になっているのは、そういう契約等の実態を備えた上でと御理解いただければと思います。

共同通信の平田です。
調査の選定から3年10か月かかった点については、どのように評価しているのか。
持丸委員長代理

理由は冒頭に申し上げましたが、これは申出者の方々に対しても、もちろんそれだけではなくて国民の皆様に対しても、非常に時間がかかったことは大変申し訳なく思っております。
さりながら、結局、私は今ここで言い訳を申し上げるわけですけれども、今回、我々はある1つの機械の安全と消費者視点という観点で、相応に時間をかけて分析し直したことに、それなりに意義があったと思っています。今回、最後に数箇月をかけて全体のストーリーを直したというのも、皆さんからするとさっさと答えを出せよというところもあるかもしれませんが、私たちはこれがエレベーター事案としてこの案件に対する答えだけではなくて、こういうような装置に対する安全性というものをその先も考えていくための考え方も含めたメッセージとしてしっかり出していくことのほうに意義を感じておりまして、特に今日そういう厳しい御質問は残念ながらあまり入っていないのですが、国土交通省から出ていることと大して変わらないではないかという御意見もあろうかと思います。
これも元々我々は新しいことを発見しなければならない、事故原因の新しいことを発見しなければならないのが消費者庁の仕事ではないと理解していて、もちろん発見する必要があれば発見しますが、大事なことは消費者中心の切り口でちゃんと安全に対する視点を主張できるかどうかというところにあります。したがって、この最後の数箇月をかけた文章と章立ての構成というのは、まさしく消費者視点の中心というメッセージをしっかり打ち出していくための時間であって、時間がかかったことはおわびを申し上げますが、プロセス上は必要であったと認識しております。
今後、調査の時間もできるだけ効率化して、議論もスムーズにすることで、今後の案件はできるだけスムーズにお答えを出してまいりたいと思いますが、全体として時間がかかっているのはそのようなことで、私としては申し訳ないと思うと同時に、御理解をいただきたいというのが率直な感想でございます。

追加なのですけれども、今の関係で、例えば今後、調査の時間を効率化していきたいというところは、今の体制で効率化を図ろうと思えば図ることはできるということですか。
事務局

そうですね。今回時間がかかったことについては、事務局の資料などの出し方が遅かったというのも事務局として非常に反省しているところでありますが、体制という意味ではなくて、体制も含めて考えていきますけれども、事務局の職員の知識なり事故調査の考え方等を学んでいきたいと考えております。

今回3年10か月かかったのは、今の体制に限界があってこれだけかかってしまったんだというよりも、まだ見直すべきところがあるという考え方ですか。
事務局

そうですね。そのように考えております。

2点あります。
私も国土交通省に聞いたのですけれども、その前提として私の考えでは私もバイクに乗って30年ぐらいたつのですが、人の命を乗せて動くものという点では似たような概念があって、車やバイクの場合は他人を傷つける、乗員以外を傷つける可能性があるからかなり厳しい車検登録制度などがありますけれども、エレベーターも所有者・管理者以外の方がお乗りになるという点では似たようなところがあると思うのですが、国土交通省にそれこそ車の車検並みの厳しい点検制度が必要なのではないかと聞いたところ、現状としては所有者・管理者が保守管理業者に委託して年に1回点検して、その報告を都道府県に上げるだけなのだと。これで現行の点検制度で十分であるのかどうかという議論があったのかということが1点。
あと、先ほどの義務付けに関するお尋ねなのですけれども、フォローアップということを言われましたが、今後、具体的にどのくらいの間で御覧になって、このフォローアップが必要という危機感というか、スケジュール感みたいなものなりをもしお持ちであればお聞かせいただければと思います。
持丸委員長代理

前半については私からお答えします。フォローアップの件は後で事務局からお答えします。
まず保守点検そのものについてどうするべきかというのは、実は中で相当議論がございました。今、御質問にありましたように、実は1年に1回義務化されたものがあると同時に、実態としてはもっと短期の間に保守みたいなものが必ず入っているわけです。そちらは必ずしも義務化されているわけではないのですけれども、実態としては行われている。
我々の特に工学系の中で議論された中で、もちろん今回の報告書を読んでいただくと、極めて短時間にすり減ったという可能性も否定はできないのですけれども、記録も残っていなくて、短期間にすり減ったかどうかもチェックし切れないということを考えると、きちんと数値データの記録が残って保守管理がされていれば、これは当然発見できた可能性が高いというのが我々の1つの認識でもあります。したがって、今の点検制度の何かを考えるよりも、むしろ保守のやり方、例えばきちんと数字を残すであるとか、先ほど言った保守業者をきちんとある一定水準以上にするための指針といったようなもののほうがまず効果的である。これが第1です。
次に議論がありましたのが、では業者の水準とプロセスの基準以外に、人の水準というものを担保すべきかどうかということなのです。つまり保守点検をする人に対して資格認定みたいなものをするべきなのかどうかという議論は、我々の中でもかなりございました。ただ、これについてやったら必ず効果が上がるというのが、やることのコストあるいはさまざまな当面そんな資格を取っていないものですから、どうするかということも含めて議論がありまして、今回はこの中には明示的には入ってございません。「など」とかいう中に、何となく暗黙的にそういう育成もしていってほしいというのが入っておりますけれども、資格とかいうことに関して際立ってその中で言及しなかった。だから議論があったというのは事実でございます。これが保守点検に関することです。
ちょっと余談になって、2番目のお答えをする前に私から余計なことを少し申し上げますが、先ほどバイクの話がございましたけれども、実は我々の建物の中に入っている大きなモーターが入って可動部があるものというのが、次々この委員会の案件になってございます。エレベーター、エスカレーター、立体駐車場、その前にはこの委員会の案件ではありませんけれども、例えば回転扉であるとか、まだ取り上げられてはおりませんけれども、電動シャッターとか、こういう類いのものがございます。
これらに1つ共通している、エスカレーターはちょっと違うのですけれども、実はもともとプロが操作していたのです。立体駐車場もそうですし、エレベーターもプロが操作していたのが、それが自動化になっていろいろな所に入ることによって、非常に便利になって良くはなったのですけれども、そのプロが操作して、プロが管理していたというところの、先ほどどなたかの質問でも申し上げましたが、設計上のあれがまだ多少残っているのではないかというのが私が少し思っているところでありまして、自動車やバイクは最初からそういう意味では本人が操作するという形になっていたところで、そのための安全設計というのと、出だしが少し違っていたところは歴史的にあるのかもしれません。その現状を許容してよいというわけではありませんけれども、ちょっと余談も申し上げましたが、私からは以上です。

事務局

フォローアップの時期なのですけれども、通常ですと1年ぐらいでフォローアップするということを決めておりますので、そのようにやっておりますが、今回の場合なのですけれども、先ほどの御質問にもあったとおり、戸開走行保護装置の設置状況というのは実際、現状は分かっていないという点がありますので、そのことが1つ。
もう一つは、先ほどから話が出ている維持管理指針が2月に出ております。これの活用状況等も、利用者が本当に使いやすいものかどうかということも報告していただきたいと思っておりますので、具体的にというのはありませんけれども、できれば年度内を目途にフォローアップという形でやっていきたいと思っております。

読売新聞の岩崎と申します。
1つ前の質問で、3年10か月かかったことについて関連してなのですけれども、この案件は刑事訴訟と並行して調査をしたということになると思うのですが、その辺の情報共有というのはどの程度できていたのかというところです。
といいますのは、報告書の前半部分にあります事故原因、異常摩耗のところなのですけれども、これは刑事裁判の判決で指摘されたものを超えるものは何もないわけでございます。通常考えますと、刑事裁判で認定された事実、これはある程度科学的根拠に基づいて認定されているものだと思いますので、その調査をまたゼロからやり直したということをもしされていたら、これは効率的ではないなと思ったのですけれども、その辺は例えば証拠を見られるとか、検察側が収集した情報だとか結論だとかをそのまま借りてくるという言い方はあれかもしれませんけれども、借りてそれを前提にそれ以上の調査をすることができたという状況だったのかどうかというところを教えていただけますでしょうか。
持丸委員長代理

基本的にはそのような情報が、そもそもこの委員会そのものが独自調査をやるのですけれども、各省庁等で調べたデータに基づいて、その上に必要なものをやっていくというのがあります。
ただ、1つ申し上げますと、少し誤解を招くと恐縮なのですが、法廷で出されて、それに対して被告と原告が承知したものが科学的に正しいかどうかは、こちらでもう一回見させていただくことになります。法律の世界では、それは裁判官と被告と原告の三者で合意したということで、三者はそれに対して特に異議を唱えなかったということで、一般的にはそれは科学的に正しいものが合意に至りやすいのだと思いますが、科学的に正しいということとイコールではないと我々は理解をしておりまして、裁判関係のデータを使うときには、そこだけは留意をして使わせていただくということになります。

何度もすみません。毎日の鳴海です。
既設のエレベーターの話なのですが、先ほどの戸開走行保護装置を含め、ないしは再発防止策の2にあるように保守管理の情報伝達についても、既設については保守点検マニュアルもどのようにして提供されるかとか、判然としていない。仕組みが明確でないとか、確実に情報伝達されることが担保されていないという言い回しで報告書にあるのですが、そのように考えると事故後、国交省が打ち出してきた対応、建築基準法の改正然りで、既設のものについて先ほどの戸開装置も含めて、保守管理の情報伝達もそうですが、既設のものに対してどうしても対策が甘かったのではないかというか、対策の促進が及び腰だったのではないかと捉えられなくもないのですが、それに関してはどのようにお考えですが。
持丸委員長代理

そうやって受け止められているところは残念ではありますが、実は我々も今回、ポイントの中で申し上げなかったのですが、既設のものに対するものをちゃんと出さなければいけないというのが今回の我々の1つのポイントです。というのは新設のエレベーターについては国土交通省さんが指針を出して次々変えていきましょう。ただ、法律というのは過去のものに遡及しないので既設のものがどうしても置いていかれてしまう。最初申しましたように、こういうものは長く使われるものですから、やはりいつまでもこれがリスクを抱えている。
そこで私たちとしては、保守管理に関連するところは既設も新設も差がないメッセージを出したつもりでいます。先ほど申しましたように戸開走行保護装置というものに関してはテクニカルな理由。コストも一部あるかもしれませんね。止めなければならないとか、意識が低いということで確かに進まないところがありますが、一方で保守は継続して行われていくわけで、次の保守業者を選定するとき、あるいはそのときに過去のデータをちゃんと引き継ぐ点については、これは既設も新設もなくできるはずである。ですから、我々としては、このメッセージは新設向けではなくて、既設の方々にも同じようにこれに沿っていただけるものと考えておりまして。

誤解です。そういった意味ではなくて、つまりこの報告書の指摘が国交省に対して、国交省が既設のエレベーターに対して及び腰だったのではないかと、そのように指摘しているように見えるのですが、そういう捉え方でいいのかどうか。
持丸委員長代理

それはなかなか答えにくい質問ですね。そうですね、多少我々の中ではそういうようなところは認識としてある。それは別に国交省の対応を理解しているというわけではないのですけれども、やはり新しいものに対してアクションをしていくというのがルール上はとりやすい。それに対して消費者視点でいくと、どうしても既設のものをまだ使っていかなければならないし、変わっていかなければならない。だから消費者庁としては、ここにも目を向けてくださいねというメッセージを強く出しているという意味では、裏からとるとそのような側面があるかもしれないです。

消防に通報されてから救出されるまで非常に時間がかかっている。そのことについては設計は問題なくて。
持丸委員長代理

何が問題だと。

救出に時間がかかっている。要するに手で何回も回してもなかなかできなかった。そこに関しては要するにちゃんと情報提供しなさいよというところで提言は止まっている。
持丸委員長代理

はい。
「はい」という答えでよろしいですか。

もう少し突っ込んで、そこのところを説明していただけますか。
持丸委員長代理

私個人のと言ってはあれですが、一応、委員会の意見だと思っていますけれども、まずとにかく第一義は事故を起こさない、あるいはそもそも環境とそういうメンテナンスも含めて、事故のリスクを低減するというところが第一義です。これは申し上げるまでもありません。ただ、それにしても不幸にして事故が起きたときに、その拡大を防ぐというところが今あった事故後の対応となります。
これは今回の事案からということになりますので、我々としてはおっしゃるように今回の事案を分析しますと、いくつか情報伝達が正しく行われていなかったところがあるということで、この部分に関してしっかりやっていきましょうというようなことをこの中では提言をしております。残念ながら、この部分についてさまざまな事案を調査したわけではありませんので、この中からはそこまでの提言ということになってございます。

共同通信の平田です。
また戻ってしまうのですけれども、例えば国交省の維持管理指針、今年2月ですけれども、それよりももうちょっと早くこの提言を出していれば、もうちょっと事態は変わったのではないかという気はするところがあって、例えば報告書の中に所有者と管理者に対して保守管理の認識が薄かった。安全管理の重要性を十分に認識していなかった可能性がある。エレベーターの安全確保に主体的にかかわるべきだという指摘をしていて、これを例えば国交省の維持管理指針よりももう少し前に打ち出していれば、またちょっと違った展開もあったかもしれないなと思って、可能性、仮の話で恐縮ですけれども、その点については。
持丸委員長代理

2つの点でおっしゃるとおりです。我々もそう思っております。
まず第1点は、国土交通省さんが出したものが不完全だというわけではないのですけれども、国土交通省にしてみれば出したばかりで、今、何か消費者庁からメッセージが出てきたからといっていきなり本体を変える、指針を変えるというのはアクション上、非常に難しいだろう。つまり前後してしまうとそういうことになりやすいです。逆に先に我々のものが出ていれば、それに沿った指針が国土交通省さんとしても出しやすかった可能性があります。ただ、これについては普通、省庁はその後、指針の運用のマニュアルとか、そういうところで多分御対応いただけるだろうと我々は期待している。これが1点です。
もう一つは、確かに我々のほうの成果としても、向こうが出したものを大体よいものを出していただけましたねという形でここで報告しなければならないという観点からも、そこはできるだけ早くやりたかったというのは正直なところでございます。
ただ、これは逆にとっていただきたくなくて、我々が報告書を出すまで各省庁が事故の対応を待っていただく必要は全くなくて、各省庁さんは我々の報告書を待たずにできることはどんどんやっていっていただきたいというのは、申し上げるまでもありません。
繰り返しになりますが、今回事故の調査をしたのに1つ時間がかかりました、先ほどは申し上げなかったのですけれども、やはり最初に設計上の何か大きな問題がないだろうか。それから、どうしても先ほど私が答えたことと相反してしまいますが、もともと国土交通省さん等が調査していたときに見つけられなかった何か課題が見つけられないだろうかというところで、かなり機械的なところに随分掘り込んで調べたというところが正直ございます。
結論から言いますと、そこにおいてはあまり大きな要因になるものを新たに発見することができなかった。この行為そのものが私は無駄だったとは申しませんけれども、後から振り返りますと、ここにそれなりの時間がかかって、その後、保守の話に移っていったということで、全体として長くなったのはそのようなところがございます。

朝日の重政です。
また何で義務化できなかったのかというところに戻ってしまうのですけれども、大手エレベーター業者に聞いたら、巻上機の耐用年数というのは20年から30年だということで、これも市川さんの事故から10年たっているということを考えると、半分から3分の1は変わっていてもおかしくないという状況なのですけれども、数%にとどまっているというのを考えると所有者・管理者任せというのは幾ら今回、改善を求めても変わらないだろうというのは容易に想像がつく。その中でどうしてこういう対応になったかというのは非常に疑問が残る。これが本当に消費者目線での結論なのかなというのはどうしても言わざるを得ないのですが。
持丸委員長代理

なかなか手厳しい御質問ですが、私としても同じような答えを繰り返すことになるのですけれども、消費者はユーザーでもあって、止まったら困る人でもあります。うまく今、管理組合の中で対応し切れる、全部のところがコスト的な負担をしていただいているわけではない。
一方で、その中で行政としてそういう先ほど出たような補助も含めた動きが出て、消費者の中に変えなければならないという意識を起こしていくというところが、我々としてはまず最初のアクションとしてあるべきだろう。ここで何度もこういう記者会見のときに、とにかく義務化と規制を何とかしなさいというのはよく出てまいりまして、我々もそれは当然議論しております。ただ、ひたすら規制をして業法を作っていくことだけではなくて、いかに社会全体で安全の意識を高めていくかということも、我々にとって大事な使命だろうと思っています。もちろんそれができないときのフォローアップを我々はして、次の手段に出なくてはいけないのですが、我々としては、まずはここが第1のメッセージだと、繰り返しになりますが、思っておりまして、それを先ほど話がありましたようにしっかりデータを見て、半年、1年というサイクルで判断をして、その場合には御指摘のとおり、どうしてもこれは義務化、そのための何らかの措置が必要になってくるという判断にならざるを得ないケースもあると考えております。
きれいなお答えではない、繰り返しになりました。