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記者会見要旨
(平成28年7月22日(金)17:54~18:29 於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

畑村委員長

本日の調査委員会では、ハンドル形電動車椅子を使用中の事故について、調査結果を取りまとめました。
電動車椅子は、高齢者を中心に移動手段として広く利用されています。これまでJISの改正により安全対策が施され、事故の件数は減少していますが、引き続き、死亡、重傷事故が発生しています。事故の再発防止のため、電動車椅子は高齢者が利用するものということも勘案しながら、更にできることはないかという観点で調査を行いました。
調査の結果を踏まえて、長期的には事故を防止する機能を持った製品の開発が望まれますが、まずは現時点で可能な製品の改善、利用者の運転適正の確認や訓練の実施の強化が行われるよう、経済産業省や厚生労働省などに対して必要な対策を求めるとともに、消費者庁には消費者安全に関する司令塔として、関係省庁の施策の実効性を高めることを求めることにしました。
最後に、調査に携わった専門委員や熱心に審議していただいた部会の委員の皆様の努力に、委員長として感謝したいと思います。
本日の委員会で議論したエレベーターの事案や他の事案の調査等の状況は、持丸委員長代理に説明していだきます。

持丸委員長代理

まず、エレベーターの事案ですが、本日、報告書素案について事務局から説明を受けまして、最終的な報告書の詰めの議論をいたしました。かなり詰まってまいりましたので、できるだけ速やかに公表してまいりたいと思っております。
続いて、今月の工学部会の議論です。
こちらでもハンドル形電動車椅子とエレベーターの2件の事案について議論を行いました。ハンドル形電動車椅子は、今、委員長から報告がありましたとおり、事前に開催した工学部会において報告書案の最終報告を受けてそれについて議論を行い、それを基に本日の委員会で議論したということでございます。エレベーター事案も同じような状況でございます。
私からは以上です。

2.質疑応答

NHKの阿部といいます。お願いいたします。
電動車椅子ですけれども、今までもJISの改正とか安全対策が取られてきたと思うのですが、調査をされて、今までの対策はどういうところに不十分な部分があって、今後はどういうところに力を入れていくべきなのか、改めてお聞かせいただけますか。
畑村委員長

今、この報告書でまとめているものというのは、それぞれの起こった事故がどんなふうに起こっていったか、そして、それのどこが改善すべきところというか、どういうところに考えが至っていなければいけないのかというのを、それぞれについて検討して結論を出しています。
私が感じていることを申し上げると、起こった事故について一生懸命調べたり、こういうところの改善が要るだろうと、例えば、ブレーキがどんなふうに効かなければいけないとか、どんな坂道を行っても大丈夫なようにするとか、本当にそういうことを考えていくと、もうちょっと違うことまで考えなければいけないということを示唆しているのではないかと思うようになっています。
それは、この報告書は報告書で本当に必要なことが書いてあるから、それが報告書から抜けているからいけないとか、誰が悪いからおかしいとかということが言いたいのではないのです。そうではなくて、みんなが高齢化していく中で、電動車椅子のようなものはとても強く求められるものだし、そういうものをどんな意識でどんなふうに動かしているか、それから、動かすほうの人はどんなふうに自覚するというか、自分が意識してそれを動かしているのだろうかという、運転をする人の頭の中の動きとか、体の動きとか、もうちょっと違う視点で見ると、電動車椅子は自動車ではないということね。ちゃんと中にエネルギーをためていて、ものすごく便利で使いたいものなのだけれども、それにどんな危なさがあるのかということを使う人が自覚していないといけないと思うし、それだけではなくて、周りの人もすごく便利で良いものなのだけれども、こういう危なさがあるぞというのをみんなが共有して、それを社会の中でちゃんと使い込んでいくような考え方をしないといけないのではないかと、私自身は思うようになっています。
そうすると、今の報告書はそんなふうになっていないではないかと仮に言われたとすると、はい、ごめんなさい、そうですと。調べて考えてやってきてみたら、今、私が言っているように考えないといけないのではないかということがようやくわかってきて、それでまとめてまた何かやるといったら、今日、報告書なんかは全然出せないよねとなってしまう。
だから、多分、本当に新しくて皆が頼りにしたくなるものが、私らがそういう製品という目で見ても経験していないことが多いし、足りない部分がたくさんあるし、そういうことを大事にしないといけないのではないかと思います。
だけれども、電動車椅子は自動車ではないのに、例えば、時速6キロで走ることができている。6キロは随分速いんだよね。そうすると、そいつが止まるまでに本当に時間がかかるし、距離も走ってしまうということを皆が取り込んで、それで本当に大丈夫なのか、と。それから、電動車椅子は自動車ではないから、人と同じところを通って良いし、通らなければいけないんだね。そうだけれども、実際には凹凸があるところだと、そんなものは嫌だからということで車道に出ていってしまうということがやりたくなる。そういうことまで考えると、本当に電動車椅子には、製品として私らが経験をしていないような事柄がたくさんあって、そういうものを取り込んでやっていかないといけないのではないかと思うようになっています。
そうすると、この電動車椅子の研究をしますという、そんなこととは違って、社会の中で電動車椅子が本当にたくさん入り込んでいて、それと全部共生するというか、一緒に生きていかなければいけないようなときに、どんな特性が要るかというのも電動車椅子には要るけれども、皆の頭の中にも、電動車椅子で動く人がいるぞと、その人はどんな特性を持っているかというのも皆で共有しているような、要するに、電動車椅子についての学習を皆がやるのでないと、社会全体として頼りにしてやっていくには不十分なのではないか。
それも、多くの人が技術の問題だというふうにだけ捉えるけれども、そうではなくて、人間が生きていることと機械とがものすごく密接になっていて、それをちゃんと取り込むような考え方ややり方ができていかないといけないのではないかということを非常に強く思うようになっています。
それの典型的な例は、この報告書の中でも取り上げることになっているけれども、踏切で脱輪して、それで回復できないで電車が来て亡くなったという例を見ると、私らが考えると、まず、踏切を脱輪しないような構造にしたくなるのね。だけれども、その次に、仮に脇に落ちてしまったとすると、元に戻れるようにしたいと考える。そうしたらば、踏切の踏み板のところを斜めにして、元に戻れるような構造にしないといけないのではないかということを考えてしまうね。
だけれども、もうちょっとすると、電動車椅子が踏切を通るというときには、あれが通っているのだったら、仮に脱輪してしまったら俺は助けるぞと皆が思って周りですれ違うとか後を通っていくとか、そういうことを考える社会を作っていくし、人間もそうならなければいけないのではないかということを思うようになった。
そうでないと、脱輪してしまったものが、踏み板の形をいろいろなふうにやれば戻れるようにできるかもしれないけれども、何をやったって、本当にそんなことがどこの踏切にも全部できるようになるかといったらそうはいかないね。
もう一つ思ったのが、都市の中で、すごく密度の高いところで電動車椅子に出会うかといったらまだそれほど出会わないけれども、これが都市の中心部でない山の中とか、もっと田舎の場所に行くようになったら、他の交通機関との関係とか、そういうことで考えると、人が動きたいと思ったら、嫌でも電動車椅子に頼らざるを得ないというのが起こると思うのね。
そうなると、今、問題にしていないけれども、多分電動車椅子と軽自動車との組み合わせとか、そういうものまで考えて、それをどう社会の中で取り込むのかまで考えないと、ちゃんとしたお年寄りの移動手段としての大事さを見損なってしまうのではないか。そんなふうに考えるようになってきた。そうすると、何だかとても大変なことに手をつけてしまったなという気がする。
だから、今日の報告書をまとめたとしても、それで終わりになんてならないよね。気がついてしまったのだから何かしなければならないということで、一体何をすればいいのかもよくわからない。でも、これでおしまいというのだけはやってはだめだなと思った。
ちょっと余計なことかもしれないけれども、言われたから言いたいことを言ってしまった。

司会

他に御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。

 相川です。
今、委員長の仰ったことですごく思ったのですが、踏切を介護者と一緒に渡りなさいと取扱説明書に書かれていても、現実的には渡らないといけない人たちもいる。その対策として、電動車椅子に大きなマークをつけなさいという提言が出されていて、でも、大きなマークをつけられても、渡らないといけないのにマークをつけても困るでしょうと私は思ったのですけれども、そこに、今、委員長が仰ったような、皆さんが守って、その人たちに踏切を渡らせてほしいという気持ちがあるということですね。
畑村委員長

皆でそいつを共有しているような社会をつくっていかないといけないのだろうと。だから、電動車椅子のハードウエアのところにどうしても関心が行ってしまうけれども、そこだけで止まって、メーカーの設計をこうすべきだとか何だとかということだけでやっているというのは、何かものすごく大事なことを見ないで、自分は正しいけれども何かがおかしいのだと、何かすごく変な感じがするのだよね。
だから、マークをつけなさいなどと言ったって、つけたってつけなくたって、電動車椅子の人が渡っているとしたら、脱輪するのではないかと思って周りが見ていて、本当にそうなったらすぐに助けにいくという考え方や、やり方を、皆で共有するようにならないといけないのではないか。だから、作った人とか、さもなければ、運転している人とか、介助している人のせいにして、自分は関係ないなどと思っていること自体が間違いなのではないかとすごく思うようになってしまった。

持丸委員長代理

ちょうど話が出ましたので、少し議論があったことを補遺しますと、報告書の中では2つ書いてあります。一つはマークをつけましょうと。もう一つは、そうはいっても実際に渡るわけですから、それに関して若干長期的になりますが、リスクの低減策をやはり考えてくださいということです。
マークをつけることに関して、副次的な効果が期待できるのではないかという議論がありました。それは、都会とかで実は電動車椅子が置いてあるわけです。街中でちょっとそれを置いて出る。そうすると、通る人が大きなマークを見ることになります。乗っている以外の方々もですね。これは踏切を通らないものだったのか、一人で通るべきではないということになっていたのかということを知るという意味では、今、委員長が申し上げましたように、皆さんに助けていただく何らかの一助にはなるのではないか。ただ単純に注意を報告するだけではなくてですね。
もう一つは、とにかく注意書きに書いてあれば、それでいいよということが消費者庁の立場ではないので、やはりその上で、特に地方に行くと恐らく周りに人がいない可能性のほうが高いので、そういう中でもリスクが低減できることを引き続き一緒に考えていきましょうと、そんな位置づけになっております。

私は実は86と87の高齢者を二人介護しているのですが、今、転んで救急車で運ばれても、何で転んだかわからないのです。どう転んだかがわからないので、私はこの報告書の中で、電動車椅子に記録を入れていって、それで介護保険の中で指導しろといったところはとてもすばらしいと思ったのです。それは、何を考えられたということか。
それと、もう一歩進んで、例えば、自動で止まるとか、そういうところまでは考えられなかったのでしょうか。
持丸委員長代理

それについては、私のほうからお答えします。
まず一つ目、記録の件です。まさしく御指摘のように、この中にも書いてございますが、将来的にはそういうデータを使って、何らかの形で適性を見ていくことができないだろうか、ぜひそういうのをメーカーさんにも考えてほしいということをお願いしてございます。
ちょっと話が出ましたので、この電動車椅子というのは、レンタルで使用される場合と、買い取って使用される場合とあるのです。レンタルの方は必然的に利用者の適性チェックが入るサービスです。それは介護保険とかでやっています。それに対して買い取った場合というのは、皆さんが車を普通に買うときと同じで、一回買ってしまうと所有物になって、普通はそういう利用者の適性チェックが入らない。むしろそういうときにデータが取られていて、何らかのサポートがあるというのが良い体制なのではないかというのが、最初の質問に対する答えです。
二つ目は何でしたか。

もう一歩進んで、自動的に止まるとか。
持丸委員長代理

自動運転ですね。
自動運転のほうも議論は出ましたし、期待をしているところではあります。特に自動運転といっても、自動停止のほうです。
結論から言いますと、私も技術屋ですが、技術的にはまだちょっと難しかろうと思っています。理由は二つです。
一つは、高速道路ではなくて、皆さんが歩いているところで自動停止の仕組みが動くというのは、今の自動車よりも実はかなりハードルが高いです。
二つ目です。まだ非常に高価です。時代とともに価格が練れてバッテリー寿命も上がっていくと思いますが、今、この段階で自動停止のシステムをどんどん導入していくのは、まだ現実的にはなかなか難しいかなとは思っています。ただ、それについては、業界等も含めてぜひ検討していってほしいというのが我々からの一つお願いです。

毎日新聞の鳴海です。
今の関連にもなるのですが、「運転履歴情報」というものが出てくるのですけれども、これはもうちょっと具体的に、もちろん検討は経産省とか事業者に委ねるとして、どういうイメージなのか。例えば、坂道がどうとかとありましたけれども、坂道で乗っていることが記録されるものだとか、どこからどこまでの距離を乗ったとか、どういうイメージなのかちょっと思いつかないので、そこをまず一点お願いしたい。
持丸委員長代理

技術的なことをお答えしますと、今、車のカーナビのように、いろいろなリッチな情報がたまっているわけではありません。要するに、モーターがどれぐらい稼働したとか、実際にはブレーキをきかせているわけではなくて、アクセルを外せば自動的にブレーキがかかるわけですけれども、そういうものの稼働情報その他が今は記録されている。少なくともそれだけでもどんなふうになっているか、加減速などがわかればいいではないかということがまず一つはあります。
長期的には、その位置であるとか、いろいろなものがその中にとれていけば、新しいサービスも提供できるし、よりその人の運転状況というものが評価可能なものになっていくだろうと、そういうことです。
今、世の中全体もそういう情報をとって安全とドライバー支援に役立てていくということも、これに限らずいろいろな製品で出ていますので、そういうほうが、私、エンジニアの理解としては、先ほどの自動停止システムよりは、コストも性能も発揮や普及ができるのではないかとは思っています。あとはそれをいかにサービスとつなげるかということです。もちろんセキュリティーやプライバシーの問題もありますが。

畑村委員長

多分、機械と人間との関係で、それの一番単純なものから記録されていくと思うのです。だから、例えば、アクセルを離したらブレーキがかかるというのはそれでいいから、要するに、アクセルを踏んでいるかいないかというのをやって、結局、それがずっと集積していくと、ドライバーになる、そいつを使用している人の特性がそいつの中にみんなたまっていくことになる。それを一人の人についてただ記録をとっているだけではなくて、たくさんの人のそいつをやっていくと、ものすごく豊富なデータがいっぱいできてきて、そいつを分析するとどんな製品が欲しがられているのかという、商品の企画をやるようなことにもまずなっていくね。だから、それは製品を設計するほうの側から見るとそういうのが出てくる。
だけれども、もうちょっと違うので見ると、その人自身の人間の特性が出ているとすると、この人はいつもこんなことをやりたがる、そういう特性を持っているぞと、それが危ないぞとか危なくないぞということを判断して、そいつを教えてくれるということも出てくるし、もしかすると、運転ということの視野から見て、その人は危ないからやはりこういうところは気をつけて何かをやってやらなければいけないということが出たり、やめておいたほうがいいぞというウォーニングが出たりとか、どこかで何かの記録をどんどん集積していく中からそういうものが出てくるのではないかという気がする。
今、何が出てくるのかをうまく言えないし、わからない。だけれども、そういうものがたくさん世の中で使われて、特に人間との関係、そういう中でたくさんのデータが集積していくと、今、私らが気がついていないような大事な事柄が出てくるかもしれない。そうすると、もしかすると、運転のやり方、特性を見ていると、その人の病気のようなものまで見つけてくれるかもしれないし、なりそうだぞということまで教えてくれるようなことができるのかもしれない。そうすると、電動車椅子は移動手段だと思っていたら、病気の予想をしてくれる診断機械になっているなんてことは大ありだと思うね。だから、今、普通に考えられないぐらいの発展の仕方を潜在的に持っているものになっていくのではないかと思います。

もう一点、ちょっとマニアックな話になるのですけれども、薬の包装のときは、握力を調べたあれもありました。今回、アクセルレバーのところで手が触れるぐらいの程度で動き出すと、誤作動の原因としてありました。
これは原因がいまいち曖昧だなと思って一昨日も聞いていたのですけれども、例えば、薬のときみたいに、手が触れて、どの程度の力で押せば動いてとかと考えれば、これは便利だと思うのですよ。力がなくても触るだけで動くということで、そういうニーズもやはり多いと思うのです。であれば、その固さを2段階とかというよりは、薬のときみたいに、固さを調整するとか、いろいろとそういう提言もあったと思うのですが、あえてそういう力、どの程度の力を入れれば動くとか、そういう調査をしなかった理由は何かあるのですか。
持丸委員長代理

これも回答します。
一言で言うと、体重を使うと幾らでも力が出るからです。指で押すのではなくて体重をかけて乗ってしまえば大きな力になる。それが指で押すライターとかパッケージと根本的に違うところなのです。
ですから、こういう類いのものは、そういう力の加減というものが、なかなか高齢者がこれぐらいの力でと言うことが難しくて、むしろここの提言に出ているように、どちらかというと安全サイドでいくと、軽く触れて進むということを考えない、手段は幾つかありますけれども、そういうものを考えたほうがよいのではないかという提言にして、余りそういう閾値みたいなものにいかなかったのはそういう理由です。

朝日新聞です。
今の毎日さんの御質問にちょっと関連するのですけれども、再発防止策の中で、意図しない発進を防止する設計を求めるであるとか、最高速度を下方変更するための機能の付加ということを提言されているのですけれども、これは多分メーカーさんなんかに言わせると、逆に、意図しない発進を防止する設計にすると、今度は意図しない停止を惹起してしまうのではないかと。
例えば、踏切を渡っていて、そこで立ち往生してしまう。再発進するときに当たって、焦った使用者が二カ所同時操作とか二段階操作とかができるのか。あるいは、最高速度の下方変更にしても、同じように踏切の例であれすると、やはり遮断機がまた閉まりそうなときに、健常な人、歩行者とかだったら、走って急いで渡るとかということができますけれども、最高速度を抑えてしまったために渡り切れなくなって事故に遭うというリスクが逆に増大することも考えられると思うのですけれども、その辺についてはどのような議論をされたのでしょうか。
持丸委員長代理

こちらも持丸のほうから回答します。
まず、どちらも似ているのですけれども、ある側面の安全サイドを考慮した結果、別のリスクが高まることがあるのではないかと。
ちょっと細かいことを申しますと、今回の設計上は、意図しない発進が起きないような機能にすることによって、とまりやすくなってしまうことは多分余り起きない。ただし、いずれにしてもとまったときの再発進がやりにくくなるというのは、ある程度事実です。意図しないということは、逆を返すと、二重操作になったりとか、そういうことがあります。
そういうこともあって、当初、かなり具体的に幾つかの発進方法を提言していたのですが、ここも含めてもう少ししっかり検討いただいたほうが良いだろうということで、いずれにしても見直す方向で考えてくださいという位置づけになっているのはそんな理由です。ですから、逆向きのリスクが起きることもある程度我々のほうでは想定した上で、さはさりながら、何かテクノロジカルに一緒に考えていきましょうよと。
下方変更の場合も、基本的には、この辺も議論が出ておりました。
ただ、要するに、渡り切るのにどれぐらいの速度が要るかというのは既にわかっておりますので、それぐらいは一つ担保した上で、このあたりはセットしても良いのではないかという議論でございます。

実は私も同じことを考えていて、86ぐらいにもなると、本当に簡単なことが意外とできないのです。それで、この二カ所同時操作と二段階操作、高齢者にもできる同時操作とは、大体どういうものを考えられたのか、教えていただきたかったのです。
持丸委員長代理

はっきりお答えすると、明確に具体案が出たわけではありません。
これは頭で考えるだけではなくて、御指摘のように、高齢者を含めた実際の実験等をしながらインターフェースをちょっと考えていかないと。常識的にこういうことをやるときに、決まり切ったやり方はあるわけです。二段階操作であるとか二カ所同時操作であるとか。ただ、メインのターゲットの層の方々を考えると、素直に学術的に言われているインターフェースの設計論を持ち込めばいいというわけではなかろうという議論はなされていて、その上で、今、明確な知恵や答えが必ずしも出たわけではありません。幾つかのアイデアは出ておりましたけれども、繰り返しになりますが、この中では具体的にそこを指示しなかったのは、そんな意図で、そこも含めて研究をしていきましょうという位置づけです。

国交省への意見が踏切への対策だけになっていることに関してなのですけれども、これは全体を読んでみると、事実上、軽車両みたいなものが歩行者として扱われていることが、そもそも事故の背景にあるという感じがどうしても抜けなくて、軽車両みたいなものを歩行者として扱うのだったら、道路全体の行政を考えなければいけない、それに合ったような行政対応にしなければいけないという意見にならなければいけないと思うのですけれども、何で踏切だけにしたのでしょうか。
持丸委員長代理

まず、端的にお答えしますと、これは道路行政というよりも、高齢者の移動という都市行政というかなり大きな問題です。最初にこのテーマを預かりましたときに、専門の先生とも一緒に一体このテーマをどこまで広げるのかという議論をいたしました。
結論から言いますと、やはりこれで都市行政全体であるとか、これからの移動行政全体に関して意見をするというのは、非常に時間がかかるし、この問題だけではない様々な問題が入ってくる。先ほど言ったように、ほかのモビリティーとの組み合わせをどうするのか、そのための開発をどうするのか、道路をどうするのかという話になってくる。
今回は、枠組みとしては、とりあえず元々あったものが車椅子の事故であったので、まずはそこのところの車椅子のハードウエア、それから、メンテナンスや乗る人のチェックみたいなことの意味でのソフトウエア、サービスの部分、物だけで解決しないところを多少インフラとして見ていっていただくというところまでで問題の枠組みを設定しました。今回は国土交通省の意見がこの程度になっているということが実際です。
ですから、御指摘のように、本質的にこの問題を解決しようとすると、これは機械そのものの問題ではなくて、高齢者が移動できる街をどうやって担保するかという非常に大きな問題で、工学部会としては、今回の消費者庁の我々の立場としては、まずはこの事故を減らすという一つの対策から提案するべきではないかという形で全体を位置づけたというのが方向性ということになります。

趣旨は非常にわかるのですけれども、ただ、これはメッセージとして、消費者事故調は、今の道路行政はこれで問題ないと言っていると取られると思うのです。
持丸委員長代理

そうですか。私が解説するべきかどうかわかりませんが、そこに関しては、実際にはコメントをしていないというのが今回の枠組みです。ただ、少なくともこの問題だけは解決していかなければ、これから都会でも高齢者の移動がこういう形でふえていくので、そこに関してはきちんと見ていきましょうという建付けになっておりまして、トータルでの高齢者モビリティーにおいてどうかということについては、特にこの中でコメントをしているわけではないという建付けと理解いただければと。

すみません。ちょっと細かいのですが、アクセルレバーで、素人的に考えると、先ほど体重の話もありましたけれども、ハンドルより上の位置についていたほうが使いやすいし便利かなと思うのですが、そのアクセルレバーとハンドルの位置関係について、特にこの報告書では言及がないのですけれども、特別触れなかった理由とかは何かあるのでしょうか。
持丸委員長代理

御存じかもしれませんが、製品によっては、アクセルレバーがハンドル面より上に出ている製品あるいはそうでない製品がございました。
当初、この部分に工学部会でもそれなりに着目をして、いろいろな分析を進めたり事故のデータの分析を進めたわけですけれども、事故事例を見ていただいても、そうでないものでもやはり事故が起きていて、前に寄りかかってしまうようなことが起きれば、沈んでいってもやはり押されるのは事実です。
そういうことから、ただ上に出すものを平面より下に引っ込めれば安全になるかということだけではないだろう。つまり、この構造だけに問題解決を帰着するだけでは十分にリスクを減らせないだろうということで、我々としては、その部分に特化するのではなくて、先ほど何度か質問がありましたけれども、意図しない発進を妨げるようなアクセルレバーのインターフェースについて検討していきましょうという、そのような答えにしているということです。

ありがとうございます。