記者会見要旨
(平成27年9月25日(金)16:40~17:31 於)消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

畑村委員長
  本日の会議の概要をお話しします。
  調査委員会は、平成24年10月に発足し、4年目を迎えることになりました。これまでの3年間を振り返ってみて、調査委員会の活動を取りまとめた資料を作成いたしましたので、配布いたします。皆さんのところに配ってあるのがそれです。
  この委員会では、製品やサービスを供給する側からの従来の考え方や物の見方から一歩踏み出し、消費者の安全という視点で、実際に消費者がどのような使い方をするのか、使う環境はどのようなものかを考え、調査、分析を行い、事故の再発防止策を提言してきました。
  調査に当たっては、事故の直接のきっかけだけではなく、人の意思決定や行動に与えた背景的な要因も丁寧に分析することや、身近に潜む危なさを共有するといった点にも目を向けながら議論を重ねてきました。1つ1つの事故を調査、分析する中で、最終的には幅広い事故の防止に応用できる知見やシナリオを引き出すことを目標と考えています。それによって、ほかの分野でどのような事故が起こり得るか、どのような対策があり得るかを知り、事故が起こる前に手を打つことができるようにしたいと思っています。
  さて、本日の委員会では、まず、新たな調査案件として、体育館の床から剥離した床板による負傷事故をテーマにして、調査、分析を行うことを決めました。体育館は広く利用されていますが、バレーボールの活動中などに床から剥がれた床板が体に突き刺さる事故が起こっています。こうした事故の発生が知られておらず、今後も同じような事故が発生する可能性があると考えられることから、調査委員会として再発防止のための調査を行うことにしました。事故原因や再発防止策は、今後、調査委員会で調査、検討を行いますが、まずは体育館の利用に当たって、こうした事故が起こっていることを知った上で、床板に異常がないか確認することが重要です。
  このほか、今日の委員会では、3件の調査事案について議論しました。毛染めによる皮膚障害、エレベーター、ハンドル形電動車椅子です。
  第1に、毛染めによる皮膚障害の事案について、事務局から報告書素案の検討状況について説明を受けました。詰めの議論をしっかり行いながら、できるだけ速やかに公表したいと思います。
  第2に、エレベーターの事案を議論しました。エレベーターの事案について、私は参画しないことにしているので、持丸委員長代理に部会の状況とあわせて説明していただきます。
  第3に、ハンドル形電動車椅子の事案について、事務局から、これまでの調査経過の報告を受けました。
  それでは、持丸先生、お願いします。
持丸委員長代理
  委員長代理の持丸です。
  まず、畑村先生に参加いただいておりませんエレベーター事案について説明をいたします。報告書の取りまとめに向けて、事故原因の分析と、それから、最終的にどういう結論、もしくは意見につなげるかというシナリオについて、本日、委員会で、専門委員と事務局の説明をベースに議論をいたしました。これをもとに、これから報告書の素案その他に進んでいくことになります。
  続いて、今月開催しました2つの部会の議論について説明をいたします。先立ちますけれども、工学部会でもこのエレベーターの事案、それから、ハンドル形電動車椅子の2点について審議をいたしました。
  エレベーター事案については、実は工学部会も同じように、事故の分析、それから、最終的な結論に至るところについて、本件事案で何が考えられて、それを再発防止していくのに、さらに我々がどういうことを書き込んでいかなくてはいけないかというあたりをベースに議論いたしました。それが本日の本委員会での議論になったということです。
  ハンドル形電動車椅子については、事務局から、これまでの調査結果と、今後、こういう形でさらに調査をしていくという方針の報告を受けて、その方向性について議論をしたということです。
  続きまして、食品・化学・医学部会です。こちらは毛染めによる皮膚障害と、子供による医薬品の誤飲の2件について審議をしてまいりました。
  毛染めによる皮膚障害の事案については、報告書の最終的な取りまとめに向けて、皮膚障害事例が継続的に発生する原因や、どんなステークホルダーに対して、どんなアクションをとって再発防止をかけていくかというあたりの意見を中心に議論をいたしました。
  子供による医薬品の誤飲の事案については、工学部会も絡んでおりますが、チャイルドレジスタンス・シニアフレンドリー包装容器のパネル試験の進捗状況について事務局から説明を受け、委員から意見を頂戴したと、このようなことになっております。
  私からは以上です。  
事務局
  あと、事務局から補足でございますが、お手元に、3年間を振り返ってのほかにもう一つ、「体育館等の床から剥離した床板による負傷事故」についてというペーパーを参考でお配りをさせていただきました。先ほど委員長からありましたとおり、本件について調査を行うこととしたところでございます。資料に3つほど○が書いてございますが、これまで国内で過去に8件発生していることを確認しました。刺さった木片の長さは5センチメートルから30センチメートルと、それぞれございますけれども、ささくれというよりは、もうちょっと大きな木片が体に刺さるという事故が起きているというものでございます。
  2つ目の○で書いてございますが、確認された事例でみますと、バレーボールですとかフットサルといったような、フライングレシーブですとか、フットサルだとスライディングのような、床に滑り込む動きをした際に、木片が体に刺さるというような事故でございます。
  最後の○につきましては、現状では基本的には体育館利用に当たって御注意をいただくというところでございますが、今後、調査委員会で事故の原因ですとか、再発防止策を検討していきたいと思ってございます。
  2ページ目は8件の事例が書いてございますので、御参考にしていただければと思います。
  以上でございます。

2.質疑応答

毎日新聞の鳴海です。よろしくお願いします。
  まず、委員長に、振り返ってということでペーパーをいただいておるのですけれども、この3年間の実績というか、9件という件数とかを含めて、率直な感想をお聞かせ願えればと思います。
畑村委員長
 この調査委員会が調べてやった結果、2枚目の紙に書いてあるように、全部で5件、この結果を発表したものがあって、調査中のものが4件、こういうふうにやって出てきています。今、皆さんにお配りしたペーパーを見ると、本当によくこういうところまで来たなという感じがとてもします。初めに委員長を引き受けてくれと言われて引き受けるときに、一体、どんなことで何をするのかというのが自分の中で心積もりがあったわけでは全然ないです。本当に始めてやっていったら、こういう形のものが出てきて、今、3年分を、裏表1枚ずつになっているけれども、これを見ると、本当に一番大事なことがきちんと書いてあって、ああ、こういう形でこういうふうに事故になっていくのだ、それを事故にしないようにするにはどういう考え方が必要なのかというのがきっちり書いてあると思っています。
  実は、こういう形でまとめる前に、草稿の段階でやっていったもので、それにまたいろいろな意見が出て、それでこういう形になっています。特に、皆さんのこれで見ると、それぞれのところにその後の動きという部分が書いてあります。ただ提言するなり、いろいろな調査の結果を外に公表して、はい、おしまいというのではなくて、こういう考え方、やり方をすべきだというので提案をして、そうしたら、そういうものを受けて、世の中がどんなふうに動いていったかという結果もちゃんと書こうとなって、だから、今、皆さんにこういう格好で行っているけれども、やりとりで見ると、本当にいろいろなやりとりをしました。それでこういう格好が出ているのだけれども、結局、調査をした結果で、ただ報告書をつくればいいのではなくて、世の中にきちんと伝えて、世の中でいろいろな考えや、物の見方とか、そういうことを共有して、事故が再発しないように持っていこうとするには、どう見ても、ここに書いてあるような中身が必要だと思うのです。それが今、ここまでできたのだというので、随分すばらしいものができたなと思っています。
  もう一つ、3年、私が委員長を続けてやってきたわけですが、何をどんなふうに考えればいいのかも初めはちゃんとわかっていないのに、とにかく動き出したのですね。ああではないか、こうではないかというのをやって迷っているうちに、最初の2年の委員をやってくれた人たちも、最初は何がどういう方向に進むのかわからないけれども、委員になってくれたのですね。それを一緒に勉強しながら、僕はこう考えるよ、ああ考えるよというのをやりながら、また、申出がこんなのもあるというので、それは調査をしないものも随分あったし、やっていくうちに、あれも要るのではないか、これも要るのではないか、こういう見方が要るのではないかという議論をしながら進めてきて、ようやくこういうところまで来たのだと思います。今、3年たってこれを見ると、本当にすばらしいものができたなと。見る人から見ると、自画自賛したら、委員長、いい気になっているぞと言うかもしれないけれども、本当に実感として、一生懸命やってここまで来たのだなという感じがしています。
  普通に考えると、誰が悪い、何がおかしいというところにすぐに話が行ってしまうけれども、そういう責任追及型でやるのではなくて、同じ種類の、同じようなシナリオの事故が再発しないようにしよう、しかもそれはどこか特定のところで起こっているだけではなくて、きちんとした知識なり、シナリオというような考えでやっていくと、ほかの分野のところにも適用可能になるぞというのがまず第1ね。
  それから、こういう物の見方をすると、同種の事故が起こる前に、こういうことがありそうだぞというのがわかってきて、未然にそれを防ぐという方法を提案していることになっていると思うのです。そういうやり方に行くには、この委員会で一番初めから言っているように、責任追及を目的としないというのをきっちりと言って、それで実行していくことが大事だなと思うし、そうやって行ったら、こういう形のものができてきたなと思っています。
  ただ、こういう格好でやると、とても立派で、それから、使えるし、すばらしいことで、するするっと行ったかのように思うけれども、実際にはこの報告書がこういう格好で出てくる以外に、自分が思っているのと違うから、例えば、申出はしたけれども、取り下げますとか、そんなやり方では自分が思っているものとは違うという意見が出てきたり、もっと悪いのは、遅過ぎるとか何だとか、いろいろなものがいっぱい出てきました。でも、最後にこういう形で出てくるというのは、調査を引き受けてくれた委員の人と、ここにいる事務局の人たちが物すごくよくやったのだというふうに見えます。多分、今までにないような新しい知見を世の中に提供できたのではないかと思っています。そこまでが感想です。
 追加で。振り返ってみれば、パロマの件は、被害者というか、遺族、御家族の方が大分厳しい御意見を持ってらして、その一方、今年に入ってからだと、エスカレーター事故の御家族の方が満足されているようなコメントをされたりしています。評価はいろいろあるのだと思いますが、御家族というか、被害者の方に対してのメッセージというか、お考えがありましたら教えてください。
畑村委員長
 被害者とか、遺族とか、被災者とか、そういう人の立場に立って物を見るというのは非常に大事な見方だと思うのです。従来の責任追及型でやっていると、今から10年とか15年前で見ると、いろいろな大きな事故、例えば、日航機墜落の事故でもそうだし、それから、福知山線の事故のようなものでもそうなのだけれども、最初は被災者とか、被害者とか、遺族とかいう人たちは事故調査にかかわるものではないと世の中では考えていた。だから、そういう取扱いしかできないし、責任追及型のことしか行われていなかった。
  だけれども、今、こういう形でやってくると、遺族の人とか、被害者の人とか、そういう人の声の代弁をしようと思っているわけではないです。だけれども、もっと大事なことは、同じ種類の、同じようなシナリオで起こる事故を起こさないようにするにはどうするかと考えたときに、本当に物を見ていくと、例えば、直接原因のようなものだけを取り上げてやっていればいいのかといったら、そうではなくて、背景要因のようなものを見ていないといけないよと。そして、1つの事故というのは、直接原因だけが関与して起こるのではなくて、背景の要因とか、そういうもの全部がある中で、事故とか、いろいろなものが起こっていくわけね。そういう考えで物を見るというのが、従来は必要なのに、それができていなかったという気がするのです。
  この委員会でそういう取り上げ方をして、そういう調べ方をしてやっていった意見なり、勧告なり何なり、そういうものが、それこそが遺族の人たちが言いたかったことなのだというふうに合致したときには、本当によくやってくれたと喜んでくれるし、遺族とか、被害者とか、そういう人が期待していたとおりに書いていないと、やはり不十分だと感じる、それは仕方のないことだと思っています。
  でも、ここでやっているような考え方、やり方というのは、少なくとも従来にはなかったようなやり方でやっているつもりです。そういうものが世の中でみんなの知見として共有できるようになっていくこと、それが時間を超えて、語り継ぐというよりも、伝えられて、みんなで共有している状態というのは、社会全体が結果としてそのことを取り込んで安全になっていっていると思うのです。
  多くの場合、安全を求めたいからというので、安全、安全と言うけれども、それよりは、どこにどんな危険があって、それがどんなふうに進んでいって事故になってしまうかという、そのシナリオをここの中ではっきりと表現ができて、それをみんなで共有できるようになったときに、結果として安全というのが手の中に入ってくるのだという考え方でやれているのだと思います。それがいろいろな形で、世の中のいろいろな人に伝えられて、いろいろな反応が起こってくるのだなと思っています。
 立て続けに済みません。事故調を司る立場として、現状の課題というか、運営の課題でもいいのですけれども、例えば、専門の職員が少ないとか、よく言われていらっしゃいますけれども、事故調の在り方とか、体制の課題等で何かありますか。
畑村委員長
 試行錯誤で始めて、3年たって、今の状態で物すごく大きく欠けているものがあるかとか、私自身は余り気がつかない。やれるところを一生懸命やっていたら、今のようになっているという、そんな感じです。だから、これから先、どういうことが必要かとか、どうやらなければいけないかといったら、この3年間やってきて、今、考えていることはあるけれども、今、やっているものに何か不足があるとか、こんなところはおかしいぞとか、そういうものを直接的に感じることは余りないです。
  だけれども、ここまでやってきたもので、これから考えていくとすれば、例えば、いろいろな事故とか、そういうものは、何でそんなことが起こってしまうのだろうとか、何でそんな判断をするのだろうとか、もっとちゃんとした知識を持っていれば、そういうことを起こさないで済むのにということを考えるようになっていったら、いつかは、どこがやるのかわからない、調査委員会がやることとは余り思わないけれども、消費者庁としてきっちりと、危険とか、事故とか、そういうものは、どういうシナリオで、どう起こっていくのか、それに関与する要素はどんなものがあって、それをどう排除すれば事故が起こらないようになるのかとか、そういうような考え方で、きちんと物を考える人を養成しなければいけないとか、そういう組織をつくらなければいけない、それに予算をつけなければいけない。
  それから、今度はそういうことを社会にきちんと伝達するのにどうすればいいか。伝達をする動作だけやって、それでいいのかといったら、本当にそれが社会の中でどう浸透していくか、みんなで共有できていくかというのもちゃんと調べるとか、そういう活動をそろそろ始めないといけない時期に来ているのではないかと私は思っています。そうするとまた、思っているなら早くそう動けよと言う人がいるけれども、そんなことまで私はとてもできないから、そう思っているというのを人に言うぐらいしかできません。
 わかりました。あと、もう一点だけ。これは持丸先生の御担当かもしれないのですけれども、来週の火曜日に例のエレベーターのシンドラーの関係で刑事裁判の判決があります。御承知だと思います。これは事故調の発足のきっかけになっているような側面もありますので、世間の関心と、もちろん皆さんの関心も高いと思うのですけれども、個別事案はなかなかお話ししづらい面もあるのでしょうけれども、議論の中で、報告書をつくる上で特に腐心している点、こういうふうに提示しようかとか、お話しできることがあれば、可能な限りで、今の様子等を伺えればと思うのです。
持丸委員長代理
 率直に言って、なかなかお話できない。今、報告書をつくっているところです。ちょっと抽象的な申し上げようになりますけれども、大きく本体、箱ものにかかわる部分と、保守にかかわる部分に分ける、もしくはそれの相互作用みたいなものを考えながら、あくまでもこれはある1つの事案に駆動されていますので、その駆動された事案について、どういう問題があったかを整理する。ただ、御承知のとおり、既に我々が着手したときに事故機そのものはもう触ることができない、分解された状態であったりとか、かなりの制約の中で、考え得る原因を整理して、今、それをまとめている段階です。
  さらに、そこの中から見えてくる一つの知見として、では、今後どうしていくのかというのを考えているところです。実は前回、エスカレーターのときにもちょっと申し上げたかもしれませんが、今後どうするのかというのは裁判とは直接関係ないですが、我々にとってはとても大事なことでありまして、エスカレーターというのは、この間も申し上げたように、大手の事業者がつくって、大手の事業者が使っている。ですから、あることを表明すると、ブランド価値とか、いろいろなことを考えて、使用している大手の事業者がアクションをとってくる可能性が期待できますが、エレベーターは、もちろん大手も使っておりますが、マンションにも入っていますし、小さな病院にも入っています。それをとめることもなかなかできませんし、全部が急に入れかわることもできません。新しいものをよくする、安全にするとともに、今のものをどうしていくのか、より安全に使っていくにはどうするのかということも考えながら、我々は今後の作戦を用意しなくてはいけない。そのために、この事案に駆動された原因をどうやって拡張して社会の皆さんに発信できるか、そんなような視点で今、議論している。これが今、申し上げられるところです。
 長くなって、ありがとうございました。
 日本消費者新聞の丸田です。
  体育館の床板の事故は、施設の事故なのか、役務なのか、床板という製品の事故なのか、どう分類されていますかということが1つと、事故情報の件数を見ますと、不明はわかりませんが、9年間で8件と考えたとしたらば、要するに、消費者安全上の通知義務といいますか、体育館ですから、教育施設かもしれません。そういうところが知った段階で通知すると、自治体含めて、文科省も含めてというものが不十分だと私は思うのですけれども、これについて、要するに、事故原因を究明しつつ、事故情報の収集体制の評価とかを提案される可能性はあるかどうかということが2つ目です。
事務局
 まず、事故情報の収集について、意見として出すかというのは、現時点でそこまで考えが至っているところではありません。事故調ではありませんが、消費者安全課のほうで、学校とか、教育現場の収集については、いろいろ要請等しているようでありますので、そこは今後いろいろ調べていく段階で、必要があれば言いますしというぐらいの状況だと思います。
 もう一つ、この事故はどこの分類になるのでしょうか。役務、製品、施設。
事務局
 率直に言いますと、我々も余りかちっとした分類で考えているわけではないところでありまして、もちろん製品としての木材みたいな視点もあるでしょうし、ひょっとしたらメンテナンスみたいな問題も今後出てくると思いますし、最後には施設の管理みたいなところも出てくるかもしれないというところでありますので、現時点で区切りはどこかというよりは、広い視点でいろいろ可能性を検討するということかと思います。
持丸委員長代理
 ちょっとよろしいですか。驚かれたかと思うのですが、私も若干びっくりした案件でありまして、滑り込みをしていると刺さってしまうということなのですね。取り上げられましたので、これから私どもの工学部会が中心になってやっていきます。先ほど御質問ありましたように、いろいろ御批判ありますが、かなりのボリュームのものを科学的に調べるに相応に時間がかかります。
  私が工学部会長として若干懸念しておりますのは、その間に多分、また事故が起きるだろうということですね。もちろん、事故調査をしていく中で本質的な原因ないしは解決策が提案できるものと私も期待はしておりますが、まず知っていただきたいというのが正直なところです。特に学校で指導される先生方とか、実は、この中の1件は、何が起きたか、先生も、最初に運ばれた病院もわからなかった。つまり、いきなり木片が刺さったとはなかなか思えないので。こういう事故が起きているのだということを知っていただいて、だからスライディングやレシーブをやるなとか、そこまでは申しませんけれども、気をつけて床を見ていただくとか、滑り込む方向を、分からないけれども、できるだけ木目の方向にしないとか、何か少し気をつけていただくだけでも、少なくともこういうことがあることを知っていただくだけでも随分違うのではないかと思います。本格的な解決策はこれから調査委員会でやってまいりますが、ぜひとも取り上げられたということを記事にされる機会がありましたら、あわせて、こんな事故があるのだよということを注意喚起いただけるとありがたいと思います。
 日本消費経済新聞の相川です。
  先ほどの体育館の床の問題なのですが、どういう体育館でも起こっているのですか。何か分かっていることはあるのかということと、重傷事故が何件でしょうか。肝臓に突き刺さったというのは私も驚いて拝見させていただいていて、そこまで深く刺さってしまうのかと。胸とか、いろいろなところに刺さっていて、重大事故がどのぐらいなのかということと、今、持丸先生が、知るだけでも違うからということをおっしゃっていたのですが、ほかに伝えられることが何かあるようでしたら教えてください。
事務局
 重大事故については、すっきり何件と区別できているわけではございません。おっしゃられた肝臓に達する事故ですとか、そのほかにも、緊急手術で除去したとか、そういった事故はございますので、8件のうち、きれいに何件というわけではありませんが、そういった重傷事故はあるということは言えるかと思います。
  また、1つには、古さみたいなものも関係するのかなと思ったのですが、必ずしも全部が全部古いわけでもないということもありました。そういった意味で、現時点で何かヒントになるとか、共通項があるかと言われると、ちょっとわからないというのが実情です。
 板目のもの、張っているものは気をつけたほうがいいと。
畑村委員長
 脱線だけれども、このテーマがこういうふうになっているというのは、1か月前のこの委員会の中でも議論になって、こういうのがあるのだよというのでやって、そうか、私は全然そんなことを考えていないと思って、自分の家の床を見たのですよ。そうしたら、そっくりの、こういうふうになっているのだね。自分の家の床が2か所あった。だから、この4連休の間に何とかしようと思って、ボンドを買ってきて、剥がすと、ちゃんと剥がれるのだね。だから、少し裂け目になっている、木の目が少し斜めになっているようなところだと、ちょっと引っかかりがあると、そこから割れていくのだね。だから、そこにボンドをくっつけて、きっちりくっつけた上からガムテープでとめて、今、固まるのを待っているのですよ。体育館だとか何だとかいう問題だと思っていたのだけれども、自分の家の床をよく見たら、そのとおりに起こっていたので、今、直しているところです。だから、そのくらい身近な問題なので、そこを本当に滑るようなことをやったら、突き刺さるというのはあるなと思いました。
  だから、どういうふうにこの写真を見るのかといったら、すごくはっきりしているのですね。こういうふうに板があるでしょう。木の目が斜めになっていますね。そうすると、ここにささくれがあったとして、こっちからこういうふうに滑ってくると、ここがきゅっと持ち上がって体に刺さる。スライドしているから、ぎゅっといくから、嫌でも体の中に突き刺さるのね。突き刺さって、あるところまで行ったら、ぽきんと折れる。すると、ここが折れてしまうのね。
  これで大事なのは、この写真を見たときに、ここのものは体が滑っていくとどんなふうに刺さるのかという動画を思い浮かべるようなことをやってほしいのです。そうすると、これがいかに危ないか気がつくのだけれども、なるほど、私みたいに何もわからんちんが、自分の家の床を見たら、そっくりそれになっていたので、びっくりして、今、直しているのだけれども、日本中の学校の先生に、自分のところの体育館がなっているかもしれないから見てごらんと。そういうふうにしたら気がついて、それで使用禁止にするなどと、そんなことは言わないで、応急処置で、ボンド買ってきて、こうやれば直るぞというのを、本当はこの続編でみんなにオープンにするようなことが要るねと言うのだけれども、そうすると、消費者安全調査委員会というのは何をやるところなのと言われるけれども、そんなことをぐじゃぐじゃ言っているうちに事故が起こってしまったら元も子もないなと思うから、早く取り上げたほうがいいなと思っています。
  脱線だけれども、ある知見を得たら、その対応までひっくるめて、事故などは起こらないほうがいいに決まっているのだから、やはりそういう考えが必要なのではないかと思っています。脱線の脱線だけれども、そんな感じがします。
 ありがとうございました。
  持丸先生、最初から時間がかかるとおっしゃっていましたけれども、これ、どのくらい。
持丸委員長代理
 頑張りますが、事務局からも話があったように、ぱっと見た感じで、これかなと思える、簡単な、例えば、古かったとか、築何年だったでもないなとか、幾つか、これあたりだなという仮説を立てながら、詳しい先生にこれからお願いをして、言いわけをするわけではないですけれども、もう一個のディフィカルティーが、日付を見ていただくとわかるのですが、この事案のほとんどはもう残っていないのですね。現場行って写真が撮れるところといって、さっき、跡ですかと言ったけれども、当然、切片などは残っていないわけですよ。跡が残っているところすらほとんどなくて、大方の場合は、たしか、この辺に昔あった木の板が剥がれたのですよとか、そういうことしか分からないので、恐らく実験に相当するものをやらないといけない可能性が出てくるのですね。そのとき、どういう材料で、どんな条件で実験するかというのもあるので、最初から白旗上げているわけではなくて、少し時間がかかりそうだなという気は、正直なところ、しているということです。
 実は、事故調ができてからずっと気になっていたのは、事故の調査のすみ分けなのです。消費者庁もやっていないし、国民生活センターも、昔は事故があったらすぐに出ていって、小さな事故は調査していたのに、それが今、やられなくなっていると私は思っていて、とても心配していて、事故調では今後何をやっていくのか。自ら調査みたいなもので身近な案件を取り上げてきつつはあるのですけれども、その辺をどう考えていらっしゃるのかというのがあって、大きなものであれば、このペースでいいのかもしれないけれども、予算もちょこっと削られ、人員とかはどうなったのですかね。今、何人が何人になっているとか、教えていただいておくと、皆さんの認識ができていいのではないのでしょうかね。その辺も教えていただければと思います。
事務局
 人員につきましては、現在、調査に携わっているスタッフで言いますと、事故調査室は私を含めて22人になります。始まったときは10人ちょっとという感じでスタートしていたので、そういった意味では、少しずつですが、増えているところかと思います。
  今後どういうところをやっていくかというのは、余り事務局が言う話ではないなとは思ってはおりますが、私としては、できるだけいろいろな種類のこともやってみたいなとは思っているのですけれども、ここまでのところは、目の前にある調査案件をやってきたというところでありますので、事務局の責任者としても少し考えていかなければいけないなというところは、思いとしてはあるところです。ただ、まだそこまで明確に描けていないなというのが私の率直な思いです。
 この22人で、率直にどうなのでしょうか。
事務局
 もちろん多いにこしたことはないのだとは思いますけれども、そこは当然、国として税金を使ってやることでありますから、無尽蔵に増えるものではないのだろうと思っています。
  他方で、これも事務局としての思いですけれども、人数というのもさることながら、技量というか、ここまで3年間やってきて、これは本当に委員の先生方のおかげというのが一番大きいのですけれども、事故の物事を考える枠組みというか、私などは、率直に言えば、ここに着任したときは、一体どうしたらいいのだろうという感じだったのが、少なくとも、こういう考え方で事故を捉えていくのがこの調査委員会だというところまではできたと思っています。
  ただ、一個一個の事故はかなりバリエーションがあって、そういう考え方に1つ1つの事案を落とし込んでいこうとすると、私も含めて、すごく難しさを感じています。逆に言うと、難しさのところを改善していく余地はあるのかなと思っているので、もちろん人数がふえればいいのですけれども、そういう技量というか、報告書をつくっていく力を、事務局としては何とかしていきたいと思っています。
持丸委員長代理
 私からも少しだけいいですか。これは私個人の意見ですので、別に委員会の意見というわけではないですが、本質的にそもそもこの事故調でやったらいいと思うのは、まず、重篤な事故が増えている案件です。もちろん、その一事案として、消費者の方から話が出るわけですから、繰り返す事案が増えている案件。
  あるいは、明らかに社会的情勢から見て、今後増ふえるであろうと思える案件ですね。例えば、過去の事例でいきますと、ヒートポンプとか、今やっているものですと、高齢者が増えるわけですから、ハンドル型電動車椅子。こういうのは、社会情勢からいって、エネルギーのことも含めて、明らかに増えるであろう案件で、そういうものは、増えてしまってから、昔の公害問題みたいにやるのではなくて、いち早く原因をしっかり究明して、重篤なことが起こらないようにしなくてはいけない。
  3番目が、最初に申し上げるべきだったのかもしれませんが、使い方が悪かったと言って、何か消費者の責任のように終わってしまった案件ですね。それに関して、いや、これは、こんな使い方は十分想定できて、それでも安全にしなくてはならないというのを社会全体で考えましょうということができるのであれば、それが我々がやっていかなければならない、本来の消費者庁の案件だろうと思っています。個人的な意見です。
 共同通信の平田です。
  体育館の床板の話に戻ってしまうのですけれども、もともと浮き上がっていた床板に直接刺さるというよりも、ささくれとか、亀裂とか、そういったものに、洋服とか、体とかが触れて、力もかかって、板がめくれ上がるというメカニズムなのか、これから調査するので、まだわからないかもしれないですけれども、可能性として。
畑村委員長
 多分、そうですよ。
 引っかかって、ぎゅっとやられる可能性が高い。
畑村委員長
 ちょっと違う話になるけれども、私はこういう事故を考えるときに再現実験をやるというのがすごく大事なのですよといつも言っているのね。だから、何かの仮説でこうではないかと思ったら、それをその形にしてやってみる。そうすると、自分たちが気がついていないような事柄が物すごくたくさん出てきます。そうなると、なるほど、こういう視点でこれを見ていなければいけなかったのだねという知見を、今の再現実験の中から取り上げることができる。それは物すごい大事な知識になっていて、床というのは、ただ木を削って床が張ってあるということしか考えていないけれども、斜めに少しささくれのようなものがあるところに、そのささくれの向いている方向の逆方向からものが滑ってくると、それをめくりながら、ささくれをどんどん大きくしながら、この中に刺さっていくのだよというメカニズムを考えなければいけないということになる。そうすると、床をつくる人も、床を使う人も、そういう現象があり得るのだ、そういう方向に進行すると、すごい重大事故になっていくのだ、場合によっては死亡事故まで起こるのだというのをちゃんと知っていないといけないよということが分かってくるのだね。
  そのときに、ただ写真を見ているとか、図を見ているとか、話で聞いて、床を平らにしておきましょうとか、目視で何かしましょうなどと言っているのではだめで、今、起こっているようなことが起こり得るぞというふうに頭の中に入れて物を見ていないと、防ぐことができない。そういうやり方をすると、私は再現実験をやるのが事故調査のときに物すごく大事だと思うのだけれども、今、再現実験をやらないと正しい知見が得られないなどと考えている人は余りいないのだね。だから、そういうものに予算をつけようというのもやらないし、そういう物の考え方をする人をちゃんと育成しようとも考えない。
  でも、本当に今のようなことが起こっているというのがこれだけ明らかだったら、もっとたくさん、みんなで共有をすれば防げる。多分、ここに出ているのは、本当に起こっていることの10分の1とか、50分の1とかだと私には見えます。もっといっぱいあるのに、運が悪かったとか、大したことないからというので、事故として取り上げないでいるだけで、本当はすごいたくさん起こり始めている。だけれども、もしかすると、今から10年前とか20年前だったら、全然起こっていないかもしれない。それは体育館の使い方、床の上を体が滑るというような運動の仕方は、もしかするとなかったのもしれない。そういうことまで全部ひっくるめると、いろいろな意味の調査も要るし、再現実験も要るし、運動の中身も変わっていくという、全体としては立体的に、豊かな、大きなもので捉えないと、ちゃんとしたことはつかまえられないのではないかという気がする。
  だから、調べたり、やったり、いろいろなことをやっていって、じたばたするので、もういいだろうというのでやってみたら、やはり何かおかしいというので、もう一回全部やり直しとか、そんなことが起こっていくのではないかと思います。でも、それにひるんでいてはだめで、やらないといけない。多分、物すごい大事なことを言っていて、隠れていて、まだ起こっていないかもしれない事故を、きちんと再現実験やったり、調べたり、考えたりして、それでひどい目に遭う人をうんと減らすことができる。そういう考えが必要ではないかと思います。
 また3年のほうに戻って、ちょっと数字を教えてください。一般の方から取り上げてほしいと来ている数、この3年で幾つだったかというのと、あと、専門委員の数の推移も教えてください。
事務局
 まず、申出につきましては、ことしの8月末の時点で179件ございました。それと、専門委員の方の人数につきましては、現在、45名になってございます。
 専門委員の数、1年目から増えているようですが、事務方から見て、これで十分というお考えなのか、来年以降、増やす予定はあるのかというのはどうですか。
事務局
 1年目に比べれば倍ぐらいの数字になっています。これは、どこまで増えたら十分というわけではないのだと思っておりまして、今でも必要があれば増やしておりますので、今後もそういう形でやっていくのかなと思っております。多分、何人いればいいとか、そういうところではないのかなという感じがします。
 1年目のときも言われていたことですけれども、申出の数に対して、受ける件数が少ないと。非常に時間がかかるのはわかるのですけれども、これは単にマンパワーだけの話なのでしょうか。受けられないというのは。
事務局
 179件ございまして、直接的に事故調査として選定したのが6件でございます。そのほか、調査としてやっているものと同種の申出が19件ございますので、そういった部分については、ある程度対応したというところはあろうかと思います。また、毎月のニュースレターなどで、ワンポイント・アドバイスという形で、できるだけ、いただいた情報を無駄にしないように、何かに生かすようにという方針でやってございます。調査につきましては、率直に言いますと、1件1件丁寧にやっていくことも非常に大事でありますし、できるだけ1件の事故の中から幅広い分野に使えるような知見をということでやっております。もちろん数が増やせれば、それにこしたことはないところかとは思いますけれども、1件1件しっかりやっていくこと、その中で、先ほど事務局の課題もありましたけれども、スピードアップができるところはしていって、それで少しずつ件数もできていければと考えております。
 これも1年目で課題に挙がっていたことで、それがどうなったかという確認なのですけれども、裁判情報とか、捜査情報が入手できていない、限界があるのではないかと言われていたのですけれども、そこら辺はどうなっているでしょうか。
事務局
 そこについては、率直に言いますと、さほど問題と感じてはおりません。

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