記者会見要旨
(平成26年12月19日(金)16:50~17:15 於)消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

畑村委員長
本日の調査委員会では、まず、家庭用ヒートポンプ給湯機の事案の調査結果を取りまとめました。
  調査委員会では、ヒートポンプ給湯機の設置が健康症状の発生に関連していることを否定できない中で、申出者の方々が訴える症状には、日常生活に支障を来すほどの例もあることから、できるだけリスクを低減する努力をしていくことが必要であると考えました。
  その上で、リスク低減のための対策、健康症状の発生時の対応について、経済産業大臣、環境大臣等に対して必要な対策を採るよう意見することとしました。
  ヒートポンプ給湯機は熱効率の良い製品であるため省エネルギーの観点から重要なものであり、今後も普及していくことが見込まれるからこそ、こうした問題にも目を向け、リスクを下げる努力をお願いしたいと考えました。
  本件事案の担当として調査分析に携わり、また御助言をいただいた専門委員や熱心に審議していただいた工学部会の委員の皆様の努力に委員長として感謝したいと思います。
  次に、子供による医薬品誤飲の事案について、経過報告を取りまとめました。
  調査委員会では誤飲を防ぐために、保護者への注意喚起を通じて子供の特性を踏まえた医薬品等の適切な管理を促すこと、これが1つです。さらに2番目に、子供が薬を手にした場合であっても容易に取り出しにくくなるように、容器を改良することが必要と考えました。
  今回の経過報告の段階では、リスクの周知について、厚生労働大臣や消費者庁長官に対して必要な対策を採るよう意見することとし、容器の改良については今後、調査委員会で検討することとしました。
  今回は誤飲のうち医薬品を取り上げましたが、子供は様々なものを誤飲します。身近にあるものを手に取り何でも口に運ぶ、大人のまねをする、興味を持って好んで手に取るといった子供の特性を知った上で、各家庭において注意をしていただければと思います。
  調査等の状況については、持丸委員長代理に説明していただきます。
  お願いします。
持丸委員長代理
工学部会の持丸でございます。
  まず、工学部会から御報告をいたします。
  工学部会ではエスカレーターの事案、ハンドル形電動車椅子、機械式立体駐車場についても議論をいたしました。
  エスカレーターの事案はもう一息というところではありますが、どのような形で報告書を書くかということについて少し議論をしており、もうちょっと詳しく申しますと、エスカレーター事案は今、コンピューターシミュレーションという技術を使って事故の要因分析を図っているのですが、コンピューターシミュレーションはすごく便利である一方で限界もあるのですが、非常にリアリスティックでして、うかつに出すと誤解を招きやすい部分もあります。そこで少し慎重にどういう形で報告書に載せるかといった議論を今、しているところです。
  続いてハンドル形の電動車椅子、これは11月の調査委員会で調査を行うと決定したところでして、部会では部品の問題、高齢者の特性と実際の事故の状況などの関連の調査計画について、事務局からの説明を受けて議論を始めたという段階でございます。
  3つ目、機械式立体駐車場です。
  御承知おきのとおり、これは既に報告書が出ておりますが、実はお願いをいたしました専門委員から、この報告書の際の分析の仕方を少し一般的な解説としてまとめてみたいという話がありまして、これは今後の分析においても非常に有効であるという判断から、そのような解説書をまとめていただくことになり、その素案を検討いたしました。
  この解説というのは、1つにはこういう事故に対する安全設計の観点から分析をするとともに、それはすなわちどうやって安全設計を組み立てていったらいいかという、やや教科書的なのですが、フレームワークについてまとめられているものです。
  非常に分かりやすくまとめていただいていますし、今回の中から1つの事案を取り上げて具体的にも見えておりますので、是非、こういうものを我々としても企業の方々あるいは大学の方々、ひいては、もしかしたら消費者の方々にも目に触れるようになっていただきたい。このように思っております。
  いずれも、部会で出た意見を踏まえて引き続き、作業を進めることになっております。
  続きまして、食品・化学・医学部会についても御報告をいたします。
  1つが今、委員長からもお話がありました子供による医薬品の誤飲です。こちらについては経過報告書の取りまとめの議論を行いました。
  包装容器について、チャイルドレジスタンス、シニアフレンドリーというのですが、子供に使いにくく、しかし、お年寄りが間違いなく飲めるようにするということについて、多少、実現の可能性が出てきているということもあって、工学部会と連携しながら調査を継続するということになりました。
  染毛による皮膚障害についても事務局から調査の進捗、今後の調査計画の報告がありまして、それについても議論をした。このような状況でございます。
  以上です。

2.質疑応答

朝日新聞の小寺です。
  畑村さんにお伺いしたいのですけれども、エコキュートの問題は、結果としては、拝見するとこれまでの学術的な論文などから踏み込んだような因果関係ではないと思うのですが、因果関係のところについて、畑村さんは今、調査をし終えてどうお考えなのか、当然、報告書の中で触れられているのですが、畑村さんの言葉で伺えないかと思います。
畑村委員長
このエコキュートの基本原理を考えると、ちょっと専門的な話にもなるけれども、普通、電気を作るのに、もともと石炭なりLNGだのいろいろなものを持っているエネルギーの約40%しか電気にならない。これが発電の総合効率というので、ものすごく努力をしても大体、最大で42%とか、そのような数字です。
  そうすると、電気はものすごく高級で大事だから、電気が1だけ自分たちが使おうとすると、実は40%だとすると、60%分はたき火して熱でそのまま捨てているのだよ。そう考えると、1の電気を自分たちが使うと、実はその1.5倍のたき火をよそでやって、無駄に熱を捨てて、地球を暖めてしまっているのだと考えないといけない。これはすごく大事な概念だけれども、みんなが忘れていることなのだね。
  ところが、今度はそれを持ってきて、1の電気を持ってきたら、普通はそれをニクロム線のところで熱にすると1の熱しか出ないけれども、ヒートポンプというやり方を使うと、今すごいのは、1の電気を入れると2.5ぐらいの熱をとることができる。これは間違えるといけないのだけれども、何のためにあれがあるかというと、ものすごくリーズナブルというか、いいもので、1の電気を入れてニクロム線でやったらただ1の熱しか出ないのに、ヒートポンプを使うと2.5の熱にできるわけね。そうすると、電気を起こすというところから全部考えると、電気を起こすところで2.5分の1しか電気にとれないから無駄になってしまったというのに、それを賢く使ったら2.5倍にして、もともと石炭とかそういうものが持っていた熱をそのまま熱として使えるところまでちゃんとしたシステムができるのだというのがこのヒートポンプの良さなのね。
  ところが、そのヒートポンプは本当にいいことずくめだといって自分たちは使いたいのだけれども、何でそんなに能率のいいものができるようになったかというと、これが技術の発達でヒートポンプのやり方が周波数を変えたり、周波数を変えるということはポンプの回転数を変えたり、いろいろなものを変えることによって、ものすごく、今言った合理的なやり方ができるようになって、とても嬉しいいいことなのだね。
  それに気がついて、いろいろな形のヒートポンプの熱を使うやり方ができて、それでお湯をためてそれを使えばいいとなって、めでたしめでたしだと思ったら、先ほど言っているように回転数を変えたり、いろいろなことでやるために、だからうまくいくのだけれども、その回転数を変えたりなどすると変な音が出たり、私たちが普通、気がつかないような低周波数の振動が起こったりするわけ。
  それで起こってくる低周波によってとても健康を害する人と、害さないで平気だという人とがいろいろ出てくる。それで、片方はそういうことが起こるのだけれども、今度はそういうヒートポンプのシステムを作っているところで見ると、これでいいだろうと思って作っていて、いろいろなことを考えたりなどやっているのですが、それを設置する人がどこでどのようにそれを使うかによって、とてもいろいろなトラブルがあちらこちらで起こる。
  大体は2軒の家が隣り合っている家に、自分の家の外側で外に向かって風を送り出すようなやり方で機械を設置して、何でも構わずどこかに置けば便利なものだからという使い方をすると、そこで発生する音と低周波の振動とそういうものが隣の家に悪さをするということが起こる。その悪さが起こるのだけれども、どこにどのような形で出てくるのかというのが余りよく分からない。
  一般的にそういうまずいことが起こるから、多くの場合、設置するときに隣の家の開口部に向いて風が出ないようにしようとか、ぎゅう詰めになっているところには置かないようにしようとか一般的な注意もするし、それでいろいろ設置するときに注意しなければいけないことというのがある。
  その注意しなければいけないことを満たせば必ずうまくいくのかというと、そうでもない。だから、そうすると、幾つものことが起こって、システム全体としてはとても合理的でいいものなのに、設置の仕方がまずいと何かトラブルが起こる。そうすると、どこかにそれを置くと必ず隣の家のどこかの場所に窓に近いほど音が大きかったり振動が大きかったり、気持ちの悪いことが起こったりするかと考えるけれども、そうでもなくて、ちょっと離れた違う部屋のある部分だとその振動が大きいとか音が聞こえるとか、そういうことが起こる。
  そうすると、個別の問題が特異的にいろいろな場所に出てくるという性質がある。そういうことを丁寧に調べたり対応したりしながら置いてやっていればいいけれども、安くて便利でいいものがあるというので、ただ置いてしまったというので使い始めると、自分の家はいいのですが、隣の家でひどいことが起こってしまっているというのがあり得るのだね。そういう性質を持っている機器なのです。
  だから、それにはそれなりの機器の使い方をやらなければいけないのと、自分の家が好き勝手に置いたら、隣の家にもしかするとすごく迷惑がかかるのかもしれないし、今からそういうものをつけると、仮にまずいことが起こったらこちらが気がついていなくてつけてしまったのだからごめんなさいで、お宅で問題が起こっていないかしらと隣に問い合わせをするような近隣関係ができていると、それで問題が解決するというのもある。だけれども、まだそういうことに慣れていないし、みんな便利だからというので、このヒートポンプのものを使って、それの台数がすごい数だった。
持丸委員長代理
400万です。
畑村委員長
これはまだどんどん増えていくと思う。それは方式としてすばらしいものだからね。
  でも、本当にそれを使うと、ちゃんとできないと隣に迷惑をかけてひどいことになって、もめごとになるわけね。そういうことまでひっくるめて、大きな意味ではちゃんとした方向に進むはずの製品だけれども、それを本当に使いこなしていくには人間の関係も大事だし、理解の仕方も大事だし、物事がよく分かっていないといけない。特に設置するような人はそれがちゃんとしていないといけない。
  だけれども、仮にそれができていないのでもめごとが起こったとか、何か変なことが起こっているといったら、こういうものがものすごい数が出ていくのであれば、地方自治体なり何なりでそのトラブルの対応をきちんとどう対応するかといったら、作った人のところに連絡する。設置しているところがちゃんとそれをやっているかどうかを見る。もめごとは隣の家ではすごく怒っているというのを片方の人に言うとか、いろいろな細かいことを面倒見ないととてもやれない。
  そういうことが全部出てきている上に、先ほど言っている低周波の振動というのは感じる人もいるし感じない人もいるし、その人の体調によって感じ方が違ったり、片や、そういうことが起こっているけれども、低周波なのだからというので、これはもうやりようがないのですなどと、そのようなことを言ったら、もうみんなが怒り出すし、とても難しいものだという感じがします。
  方向としてはものすごく正しい方向のものなのに、それを扱う人たちが十分に理解して、扱うというのは、それを設置する人も、業者である人も何もかも全部ひっくるめて、こういうものがとても微妙なものだというのも知っていなければいけないし、こういうものを作る人も、また低周波のそういうものを抑え込んでいくような技術開発もやらなければいけないしというので、とても難しいものだという気はする。だからヒートポンプはいけないのだという短絡的な発想でものを扱ってはいけないと思います。
  このくらい言わないと分からないから、ちょっと長くなりましたけれども、説明しました。
毎日新聞の江口といいます。
  今も言及されていたかと思うのですけれども、一般的な話として低周波と科学的な健康問題の関係は、因果関係はよく分からないとされているかと思うのですが、本件事案については、例えば現地調査をされていたりとか、しっかり調査されているかと思います。
  残りの18件についてもかなり調査されているかと思うのですけれども、それにしては、いわゆる因果関係の言及の仕方として、それに関与していると考えられるとか可能性は否定できないとか、割と歯切れが悪いかという気もするのですが、その辺の説明をしていただけないでしょうか。
持丸委員長代理
御指摘のとおりです。
  まず、端的に答えますと、そうは言いながら、個別の案件でも割と実験が難しかったということがございます。訴えられている方は例えば隣家の方で、実験をするには音源のほうをコントロールしなければいけなくて、そちら側の協力が必ず得られるかどうかという状況が1つあります。
  もう1つは、私の専門になるのですが、人間工学なのですけれども、今、400万台という話がございました。それに対して、全国で起きているようなこういった、これは事実ですから事実そういうものがあるのですが、ざっと言うと、ppmのオーダーなのです。これは少ないから無視しなさいと言っているわけではありません。我々の人間工学は従来、パーセンタイルといって、100人に対して5人ぐらいそういう感覚を持った人がいるかどうか。この辺は実験室で割と統計的にとれるのですが、ppmになってくると、もはや我々の実験では。
畑村委員長
ppmだったら100万件あったうちの1件がある。
持丸委員長代理
1件とかですね。
  それくらいになってくると、従来の実験室科学ではなかなかできません。ですから、今回の方の人間特性というレベルでも非常に解明するのが難しい。ただし、明らかに分かっていることは、これはその方の気質とか心理的な問題などではなくて、環境とか人間の感覚系の要素であろう。
  そうは言いながら、問題の一環が全体としての運転音にあるということは大体、見当がついているのですけれども、その運転音を構成する中での低周波音にあるのかどうかというところまでは、今回の分析だけではどうしても科学的に詰め切れなかったというのが実態であります。
  これについては、報告書の中にも出ておりますが、もう少し気の長い基礎研究として低周波音の問題をやっていく必要があるだろう。それで、そちらはそういう研究を引き続きエンハンスしてくださいという形の意見にしてございます。
  よろしいでしょうか。
共同通信の橋本です。
  持丸委員長代理、関連ですけれども、私は、環境省はホームページぐらいしか見ていないのですが、ある程度、この低周波音で健康被害が出るということを、ホームページでは出る可能性があるのだということは言っているようなのですけれども、現在の医学の科学研究では低周波音の人体への影響はどの程度解明されたと言えるのですか。
持丸委員長代理
正確に言うと、2つのことがあります。
  こういうものは実際のデータで、メカニズムは100%分からないけれども、こういうような音のときにこういうことが起きる。もう1つは、それがどう人間の感覚系で受容されて、どういうことが生体内の変化で起きるかという中もよく分かる。
  後者はほとんど解明が進んでいないというのが実態です。前者に関しても、先ほど申しましたように実はそれほどたくさんのデータがあるわけではないというのが実情で、ただ、そうは言いながら、低周波音は非常に古い問題でもありまして、工事とか、そういうような時代からある程度、議論はされていて1つの目安は出されている。
  しかし、この案件もそうですし、日本では余り多くないかもしれませんが、世界的に言うと、発電用の大きな風車です。ああいうところの問題も世界的にはクローズアップされていて、これからまた少しそういう研究が進んでいくのではないか。その中で、メカニズムの解明も科学的には進んでいくと思いますが、残念ながら、現時点では余り解明されていないというのが実態です。
統計的には、いわゆる低周波音というもので体調不良というか影響が出ているというのはデータとしてあるけれども、では、何で影響しているのかというメカニズムについては分かっていないということですか。
持丸委員長代理
もうちょっと正しく言いますと、統計的にはあるのですけれども、それもものすごい数のデータではありません。だから、例えば100人やったときに5人ぐらいの人が確実に具合が悪くなるレベルというと、音としては相当高いレベルに据えられてしまうわけです。
  実際は、そこまでのレベルに至らなくても、100万人に10人ぐらいはもっとひどい障害が起きるケースがある。それは先ほど申しましたように、普通の実験室実験ではなかなか詰め切れなかった部分がありまして、これが実際の社会問題として今、出てきているので、新たに研究もそこへシフトしていかなければならない。それに対して、おっしゃるようにメカニズムの解明を並行して進めていかなくてはならない。そういう状況だと思っています。
すみません。念のための確認なのですが、ヒートポンプの本編のほうですけれども、これは「時間的な関連が認められたこと」という表現があります。これは簡単に言うと、状況証拠はあるというような意味合いかとは思うのですけれども、要するに、これだけでは因果関係を断言するには不十分という理解でよろしいでしょうか。
持丸委員長代理
そうですね。専門的になりますけれども、ある時間的な対応で、どうも相関関係というのですが、これが起きているとこれも起きているというのがあるのですが、これが起きたらどういう仕掛けでこちらが起きている、科学的なことですけれども、因果関係までははっきり言えないという慎重な言い回しにしてあります。

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