記者会見要旨
(平成26年1月24日(金)16:40~17:40 於)消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

畑村委員長
本日の委員会では、ガス湯沸器の一酸化炭素中毒事故の評価結果の取りまとめを行いました。この事故については経済産業省が平成18年に調査を行っていましたので、調査委員会としては、その調査結果とその後の状況について検証してきました。評価といいますと、経済産業省の調査が適切であったかどうかを検討したかのように思われるかもしれませんが、調査のよしあしを判断するものではありません。調査委員会では経済産業省の調査に独自の情報収集を加えて、消費者安全の視点から事故の再発防止に向けた検証をしてまいりました。
  この評価書では、まず一酸化炭素発生までの技術的なメカニズム、保守の現場で改造が行われた背景、類似の事故発生後の対応など、経済産業省の調査には明記されていなかったことを含めて、事故の背景要因を解明しました。
  また、事故後にとられた再発防止策については、おおむね妥当なものとした上で、現時点でさらに必要と考える対策については、経済産業省に対して意見として措置を求めることとしました。消費者安全調査委員会として、本件事故に対する調査は終了することといたしますが、今回は評価結果に加えて、この事故から得られる様々な教訓が忘れ去られることなく、より一般化した知識として他の事故防止にも生かされるよう、委員会所感をまとめました。
  最後に、この評価書の作成に当たり、主たる担当者として本件事故の分析、経済産業省の調査結果の検証、評価書案の作成をしていただいた飯野専門委員、奥村専門委員、水流専門委員、そして、9回にわたり、かつ毎回予定時間を延長して熱心に審議していただいた工学等事故調査部会の委員の皆様の努力に、委員長として感謝したいと思います。
  このほか、本日の会議では申し出にかかわる事案について、事務局から情報収集の結果が報告され、その内容を検討した結果、3件については調査を行わないこととなりました。残りの案件については引き続き事務局で情報収集を行うことになります。
  調査の状況については、本日、松岡委員長代理は欠席ですので、事務局から説明していただきます。
事務局
それでは、工学等事故調査部会が1月中旬にございました。そこではガス湯沸器の一酸化炭素中毒事故の評価書(案)、こちらについて取りまとめの議論を行いました。それが本日の委員会につながってございます。
  そのほか、機械式立体駐車場の事故、あるいは家庭用ヒートポンプ給湯機の事案、それぞれについて担当の専門委員からこれまでの調査結果を報告いただきました。委員からもいろいろと意見が出ましたので、引き続き担当専門委員を中心に調査を進めていくこととなりました。
  以上でございます。

2.質疑応答

朝日のイワナミです。
  この評価書について、2点教えてください。
  1つは、自ら調査に進まないことにしたことの理由をさらに詳しく知りたいというのが1点。
  もう一つは、これにつけられている所感の位置づけについて、法的にどういうものなのか。これは経産省に伝わるのかどうかという点も含めて教えてください。
事務局
評価・調査と2通り、やり方としてございますけれども、どちらかと言えば、形にこだわらず、まずは経済産業省の調査結果を見まして、その後、実質的には自ら調査とも言えるようなヒアリングですとか情報の収集、そういったことをやってまいりました。その過程で御議論をいただきまして、原因、先ほど委員長からもありましたけれども、事故の背景要因ですとか、そういったことの究明、それと意見を取りまとめるというところに至りましたので、ここで調査を終えるということでございます。ですので、評価に加えて、我々としてはさまざまな情報収集を加えてやってきたというところでございます。
畑村委員長
委員会所感というのをつけた経緯というか、理由というか、考え方をお話ししようと思います。こういう事故を調べると、とかく多くの場合、原因を調査する。これこれこういうふうにして、こういう事故が起こったんだというのをやると、それで調査が完了した、でき上がったと考えがちです。しかし、私たちはそういうふうには考えておりません。これは1つの事故が起こるには、その起こった事故のそのことだけを詳しく調べてみてもわからないことがたくさんあります。
  一番大きな言葉で言えば、例えばどういう背景があったのか。この背景の中をもうちょっと細かく言ってみると、多くの人はどんなふうにその事、その周辺の事柄について考えていたのか。多くの人はそういうものをどんなふうに取り扱っていたのか。もうちょっと違うので見ると、普通それに携わっている人たちは、こんなことを考えているとか、こんなことをやるのが普通になっているというようなことを明らかにしないといけません。
  そうでないやり方、何かマニュアルで決まっているとか、規則で決まっている。そして、その規則から外れたり、マニュアルから外れたりしたから事故が起こったんだろうという考え方。そういう考え方も成り立つんです。そして、多くの従来の事故の取扱いというのは、そうやって誰かが決めたことから外れたことが原因で、それで事故になってしまっているんだというような、そういう考え方で多くの事故原因というのが特定されたり、みんながそう考えたりするというやり方になりがちです。
  しかし、この消費者庁の事故調査委員会で考えているのは、今、言っているような考え方はある部分については当てはまっているものもあると思いますが、もっと広くとらえないといけないと考えています。それは先ほど言ったように、普通はこう考えているとか、こうやっているとか、そういうような事柄を明らかにすること。これが1つです。
  もう一つ、今回の委員会所感の中では、そういう表現はしていませんが、こういう事故を起こさないようにするのは、どんなことを考えたり、やったりすればいいか。もうちょっと進んで、仮に事故が起こったとしても、その結果が重大なものにならないようにするにはどうすればいいかというような考え方が極めて大事だと思っています。
  それをもうちょっと違う言葉で言うと、使う人、または消費者、そういったほうの人からの見方、視点の問題です。そういうものをきちんと取り上げて、そちらから見たら、どんなふうに見えるのかというのを丁寧に考えたり、調べたり、そういうことをやらないといけないと思って、やっています。ですから、普通にやる事故調査というのとは随分違う考え方になっていると思います。
  今、言っているような考え方は、今取り上げて調査をしているどれについても、そういう考えを当てはめて、そこから何かの知見を得て、それで次の事故を防いだり、その結果が重大にならないようにする。そういう考え方に結びつけたいと思ってやっています。
それは意見と同時に経済産業省に伝えられるということ、所感も伝わっているということでしょうか。
事務局
意見という形で伝わるのは、その前のところですね。「おわりに」の前に書いてあるところです。そのほか、これについては報告書も広く公表します。意見として伝えるという部分で言えば、「おわりに」の前のほうに書いてあるところだと御理解をいただければと思います。
畑村委員長
ちょっと補足すると、今、言っているような、これで得られた知見というのをきちんと抽出して、その得られた知見として、きっちりと認識しないと、この1つの事故から学んだ狭い範囲の考えで、これはこんな事故だったんだよねというような、そういうとらえ方でするのでは、あまりにもったいないというか、事故が起こってしまったのに、それから吸収できるものはもっといっぱいたくさんあって、それを適切な抽出の仕方とみんなで共有する。それは使う人もつくる人も規則を決める人も、そういう人でみんなで共有するときに初めて、その事故が持っていた意味というのを抽出できると考えています。
  そういうふうに考えると、従来のぼくらはこういう調査をしましたという形で報告書をまとめると、調べたのではなくて考えたとか、自分の考えをどんどん言っているのではないかという、もっと違う見方が出てきてしまうんです。そういうことをはっきりと区別して、これから得られたことをきちんとした知見として、言葉なり文字なりにするということで、実は1つの事例だけを取り上げるのではなくて、別の分野の違うところで起こることにまで、ここで得られた知見もきちんと広げる。ちょっと難しい言葉で言うと、敷衍(ふえん)すると言うんだけれども、そういう考え方でやろうとしました。
  そうすると、今、言っているのを本文の中にそのまま入れたのでは、何かすごくもったいない感じがするんです。きちんとした知見として、みんなが認識してくれるようにそれを書こうというので、実はすごい議論を委員の中でやりまして、その結果、やはりこういうふうにやるのがいいだろうとなりました。ですから、消費者安全調査委員会としての考え方の基本とそういう姿勢が出ているものだと思って御覧いただくのがいいと思います。
  そうすると、毎回、ほかの調査でも全部同じようにこういうやり方でやるんですかと。そこまでできるかどうかはわからないんです。でも、少なくともこの事故については、ここまでは学んだし、それから次にこれを適用することで、同じようなシナリオの別の事故、そういうものを防ぐほうにとっても大事な種を提供していることになっていると期待しています。それで分けました。
  ですから、意見をほかの省庁に言うということは、それはそういう制度になっているけれども、その中で形として、そういう伝達の仕方をしたかどうかと言ったら、先ほど言っているように意見として求めているところに、その文面が全部そのまま入っているわけではありません。しかし、全体の報告書を見ていただければ、きちんとそこで得られた知見がはっきりとわかるという形にしました。
共同通信のハシモトです。
  今、委員長がおっしゃった消費者の視点という、これは例えば、評価書のこの部分が消費者からの視点がよく表れているという部分について、もしいくつかあれば御指摘いただけないかと。
事務局
お手元にあります概要のほうで行きますと、5ページのあたりです。本文のほうでも同じようなことが書いてございますが、5ページの真ん中辺り、保守作業時の状況というところがございますが、その中でこれは例えばでございますが、この事故を行ったサービス員は、これは裁判資料から得ましたけれども、コンセントを抜かないように注意はした。ただ、それがどういう危険につながるかは言わなかったというところですね。一般的に例えば消費者の使用実態などを考えれば、コンセントを普段の生活で抜き差しするということもあると思いますし、ちゃんと危険性というのは伝えないと消費者のほうはわからない。こういったところがあろうかと思います。
  こういったところを指摘した上で、今回についてはさらに言えば、このサービス員に対してもパロマから危険性が十分に伝わっていたのだろうか。そういったところにつなげていって、最後に意見として書かせていただいたところでも、きちんとそのサービス員に対して危険性まで含めて徹底をすべき。そういったことを最初の消費者のところからつなげて、ストーリーをつくっているというところが1つございます。
畑村委員長
今のにもうちょっと補足するとわかりがよくなると。みんながコンセントに何かを突っ込んで使っているときのことを考えてみましょうと。そのコンセントは一口しかないとする。それで、今ここの湯沸器も使っているけれども、掃除機も使いますというような状況はどこにでもありますねと。そして、掃除機を使った後に引っこ抜いて、湯沸器のコンセントを入れてくださいというふうには必ず伝えているし、取扱説明書で注意をしたり、こういうふうに使ってくださいというところまでは多くの場合、記述するんです。
  しかし、これから先に大事なのは、とても大事なことです。それをやらなかったら何が起こるかということは、こういう取扱説明書とか、そういうものに書いていないんです。しかし、重大な事故はそこで起こるんです。言われて、きちんとした使い方でやっていれば、事故は起こらない。だから、こうしなさいと書く。しかし、しなかったときに起こり得る問題というのをきちんとこういうところで記述をするとか、教えるとか、例えばこれの保守をする人がきちんとユーザーに、これをこうやらないで使うとこんなことが起こり得るんですよというところまで、逆のことを言うと、どこのどんな危険があるのか。注意しないで自分がやっていると、その一番危険なことが本当に行ってしまうんだよというところまで、きちんと使い方を伝達することが本当は必要なのではないですかというようなことを考えています。
  これは従来何かの守備範囲で考えている、ここまでやればいいとか、やるべきだとか言っているようなものの範疇を超えていると思います。しかし、みんながそうやってコンセントのところに使って、掃除機を使ったり、湯沸器を使ったり、もっと違うものも使っているというような状況があったら、本当にそれを突っ込まないで使っているときに、これだけの危険があるんだよというのを仮に伝達されて、使うほうの人が頭の中にそれを持っていたとすれば、こういう事故を起こさないで済んだのだろうなと考えます。
  そうすると、本文とか評価書とかこういうところに書いてありませんが、非常に大事なのは、誰が何をやるべきだ、規則でこうだ、マニュアルでこうだ、それはそれで必要なんです。しかし、それ以外に使うほうの人もきちんとこれだけがないと、ひどいことが起こりますよというのを共有しているような状態がとても大事だと思っています。
  ちょっとくどくなったけれども、一番大事なスタンスというか、物の見方だから、解説をしました。
もう一点、これは委員長と事務方の小堀室長か審議官のどちらか、どちらにも伺いたいのですけれども、今回、最終的な報告としては第1件になることとおります。今回、第1件に公表できることになった御感想をできれば、お三方に。
畑村委員長
では、まず委員長として見ると、ようやくここまで来たという感じです。今日でこの記者会見は何回目ですか。
事務局
16回目です。
畑村委員長
毎回いくつやるんだとか、そんな数では足らないだろうと、まず最初のうちはよく言われたんです。そのうち何も出てこないというので、何をやっているんだというのを毎回言われていた。だけど、ようやくここまで来ましたという感じがとても強いです。それと一緒に、もう一つ皆さんに希望したいのは、一生懸命やってここまでやったから、丁寧に読んで、それで考えてほしいというのをお願いしたいんです。それをただ読んでくれとか、ただ知っていてくれと言っているのではなくて、みんながそれをきちんと読んで考えて、そして、報道をしてくれたときに一番大事な消費者というか、国民というか、国民でなくてもいいんだけれども、これを使う人たちみんなが、ある考えの共有ができるところまで行く一番大事なものです。
  ですから、それの種がようやくできたなという感じで、うれしいのと一緒に、ほっとしています。だけれども、これで本当に十分なのかどうかは、まだわからないなという気もしています。
  委員長としては、全体としてはそういう印象を持っています。
審議官
一言だけ。私ども事務局にしてみますと、委員の先生方に御議論をいただいて、進めていくのが私の仕事でございますので、そういう意味ではこれまでの経験を踏まえて、いろいろと反省点も多々ございますので、それを来週からの我々の仕事にどう反映させていくのかということが、これからまた考えなければいけないところだというのが、今の私の頭の中にあります。
事務局
私も審議官と同じでございますが、私もちょうど着任して1年が経つところでありまして、こういった記者の皆様ですとか、本当にいろいろな方からいろいろなことを伺って、とにかく事故調というのはどういうものなんだ、どうあるべきなんだというのをいつも考え悩んで、そして、同時にこういった評価書についても、では、これでいいのかどうなのか。いつも悩んできたところであります。
  やはり1年間悩んできたことを次はどうにかうまく進むようにやっていかなくてはいけないなということで、改めて身の引き締まるといいますか、そういった思いというのが率直なところです。
産経新聞の村上と申します。
  委員長にお伺いしたいのですけれども、委員長は今まで数々の御調査を経験されてきたと思うのですが、率直に言って今回の事故調査の評価書は、委員長としては何点満点中何点という自己評価をしていますか。
畑村委員長
そんなことを考えたことないな。100点満点で何点かというのを聞きたいんですね。
委員長の御評価として、つまり自分が思い描いていたものは全てやり切ったというお考えなのか。
畑村委員長
全てやり切ったかと言ったら、やり切れていません。それはあるんです。それは先ほど言っているように、もっと考えを進めていったら、こういうことが見えてくるなとか、ほかのもっと違うものとシナリオの比較をしたいという感じなんですけれども、どういう要因とどういう要因がどんなふうに関係して、この事故になっているのかというのをきちんと取り上げる。それを私はシナリオと言っているのですが、ほかの事故の事例できちんとシナリオを抽出してきて、このシナリオとどう似ているか、どう違っているか。そして、どういうふうに共通性があるかということをいずれはきちんと見つけたいと思っています。
  でも、それができると何がいいかというと、一番端的に言うと、そのシナリオはどこにもあると言ったら、自分たちの分野のここではこんなことがあり得るぞというのを事故が起こる前に見つけられると思っています。そういうふうになると、事故が起こる前にこういう事故があり得るし、それはどのくらい起こりそうなことなのか。そういうことが見つけられるようになる。
  そういうふうになったときに、本当に事故調査の究極の目的の一部だけれども、それが達成されたと言えるようになるんだけれども、では、今そういうところまでこれは行っているか。今回の1回目の評価書はそこまで行っているかといったら、とてもそういうところまで行っているとは思えないんです。では、全然できが悪い、だめなのか。そんなことはない。だから、相当によくやれていると思うんです。
  ですから、点数をつけろと言われても困ってしまう。このくらいのところまでこうだというのが、ほぼやれそうなところまでいけているかという評価で言ったら、100点満点で90点ぐらいに行っているのではないかと思うんです。ところが、こういう考え方を本当にもっと広げて、ほかのものに適用して、きちんと事故を起こさないようにするところの入口のところで、ちゃんとそいつができたのかと言われると、やりたいとは思っているけれども、そこまでとてもいけているように思えませんという、100点満点でやったら何点だろうね。20点か30点か、そのくらいの点数になってしまうのではないかと思います。
  ですから、評価軸をどこにとるかで全然違ってくるから、簡単には言えない。でも、ほかで考える、例えば事故調査のほかのものね。どこのどんなものでもいいけれども、そういうものに比べたら、随分と大事なものがちゃんと入っている、いいものができたなと思っています。
もう一点お伺いしたいのですが、経産省の報告書では不正な改造がパロマによる組織的関与があったかどうか結論が得られないとしていまして、どういう改造が行われたか、組織的関与があったかどうかというのは、事故原因とか再発防止を考えるのは非常に重要だと思うのですけれども、どうして事故調ではその点については調べたのか、調べなかったのかということを、その辺の記述が見当たらないのですが、どのような評価。
畑村委員長
調べようとして、調べましたと。だけれども、はっきりと例えば組織的にそれが関与して、こういうものが出ないようにしたとか、そういうことははっきりと断言できるところには至りませんでしたと、そうしか言いようがないです。
NHKの藤谷です。
  まず、重複するのですが、畑村委員長にお伺いしたいのですが、今回の事故について自ら調査を事故調としてやらないという理由を改めて委員長からお伺いしたいのと、最終的なこういう報告が出るまでに1年3カ月余りがかかったわけですが、どういうところで一番時間がかかったとか、どういう点で評価に苦労されたというのがあれば、教えていただけますか。
畑村委員長
一番大きいのは、もう時間がたってしまったということですよ。だから、時間がたってしまって、今から調べて、では、仮に自ら調査をするのだったら、あなただったら何を調べるか。そう聞かれたときに、それでは答えられるかという問題なんです。だから、時間がたってそれをやると、では、何も調べないのかというと、そんなことはない。でも、こういう事故の1つをきちんと記述しようとしたら、こういう点とこういう点とこういうことがどうだったろうかというのを自分たちなりの考え方で全部の構築をするということは必要なんです。
  そうすると、時間がたっている中でも、それはきちんと記述がされているものがあるなら、その記述されているものをもとにして、そして、全体の構築をしている以外にないです。時間がたっていたって、調べればわかるだろうというと、何を調べるんですかと逆に聞きたくなるんです。それは、そのときに今のような意識や問題意識を持っていれば、事故が起こっているときに、でも、これだって難しい。どんどんとぽつぽつ起こる事故だからね。
  そういうシナリオがあって、この視点で、これを見ようとしていたら調べられたかもしれないけれども、時間がたってしまって、それを調べても、それ以上に自分たちがとらえようとするものをとらえることができないと考えたらどうしますかと言ったら、そういう意味での自ら調査という自分たちが行けば何でもわかるんだというのは、そんな気負った言い方で行くようなやり方は無理だと思いました。だから、過去にいろいろなところが調べたものを評価して、それでつくって行ったというのが実情です。
  時間がかかったというのは最初にも言ったけれども、何でそんなに時間がかかるんだって。そんなにはあなたが自分でやってごらんなさいと、私はすごく言いたいんです。わからないんだもん。どういう視点。普通に言う事故調査ということでやるのだったら、それはできるかもしれないけれども、本当にどの視点が大事で、どういう見方をやらなければいけないかというのは、この消費者庁としてやるので見ると、全く初めてのトライアルというか、そういう面がすごくあって、どんな視点でどう考えるか。出てきたものを議論していくというのをやっていました。
  だから、みんなが遅いだの何だのと言われるけれども、そんなに言うんだったら、もう自分でやってみたらと私は言いたいなと言うと、委員長、そんなことは言わないほうがいいですよと、いつもしかられていた。だけど、どういう視点で何をやるかというのを考えるところでは、とても大変でした。ようやく今、出てきて、ほっとしたという、そういう感じがします。
この事故から学ぶべきこと、忘れてはならない教訓について、委員長の口から、今、危険性の共有のことはおっしゃっていただいたので、そのほかについて、消費者の方が聞いて、わかりやすく御説明いただけますでしょうか。
畑村委員長
どれから言うかな。これは4つ書いたんですね。委員長の口からというのは、すごく不思議なことを言います。福島の政府事故調でこうではないといけないのではないかと言ったのと、とても似た感じがしています。学ぶべきところの所管で、全体像を把握しろと言っていました。そんな抽象的なことを言うなよというんだけれども、全体像を把握する。
  だから、例えば今回の湯沸器というのを考えたら、湯沸器の細かい構造を知るよりも、部屋の中で火をたいて、お湯をつくっているんだよと。そうしたら、火をたいているということは部屋の中の空気、酸素をどんどん使って、最後は酸素がなくなってしまう。そうなると人間がそこの中では生きていることができなくなるんだという基本的な危機。空気の入れ替えが起こらない限り、人間が生きているために絶対に必要な酸素がなくなってしまうというような、例えばそういう全体像を使う人も持っていないといけないなと思います。何でも安全で、そんなことは何も考えないでもいいというのなら、初めからそういう危険性のないものを選ぶという、そこにまた注力しなければいけない。それもそうかもしれない。そういうことが言えるなというので、例えば全体像。今、使っているものの全体像というものもある。
  だけど、もっと違うのもあって、例えばそういう機器が供給されている全体の体制がどうなっているかというような、そういう全体像をとらえるということも必要ですよと。でも、それで見ると先ほど言ったように、後ろ側にどこにどんな危なさがあるかというのは、いつも考えていないとだめですよと。身の回りにあるものは何でも全部安全になっているはず。危険性が少しでも残っているとしたら、つくった人がおかしいというような他人任せの考え方になってはいけませんよというのが一番大きなところだと思います。
  そういうふうに考えたとすると、危なさ、危険性です。これを共有する社会をつくらないといけないなというというのは、とても感じます。全体で見ると一番大きく感じたのは、それです。
  2番目に言っているのは、被害の拡大防止のために本当に起こっていることを会社の経営とか、この生産に携わっている人は持っていないといけないというのは、まことにそのとおりです。だけど、それはつくる人だけではなくて、サービスをする人もひっくるめて、本当の使われ方で起こっていることで、何がどうなっているかをまずとらえること。だけど、それもすぐ後ろについて回るのが、どこにどんな危険があるのか。それを共有していないといけないと思います。
  今回の事故で、最初は会社は不正改造とか、そういうのは自分たちが指示したわけでもないし、自分たちは不正改造が行われているのに責任があるとは思えないから、それを伝えなければいけないと言われても、それは別の人たちがやるべきこと。または改造しようとする人たちの責任でやることで、こういう製品を出している人の責任だとは考えられなかったんですね。それでそう言っているうちにいくつも事故が起こっていて、たくさんの人が亡くなった。
  そうだとすると、今、世の中で見るときに、自分たちがつくって製品がどんなふうに世の中で使われているか。そして、それの中にどんな危険があるかをきちんと把握して、それができる人が製品をつくる人だとしたら、その人は形の上での責任とは違う、もっと本質的な危険の察知というか、責任というものがあるのではないかと思うんです。
  そういうことをそのとおりに全部書いたのですかというと、今回の評価書の中では、ほぼ書けているように思っています。これは日本の中でこういう製品安全というか、それを考えるときに、法律的に云々ではなくて、もっと全体として見たときに、こういう機械とかシステムとか製品と使う人たちとの間がどんなふうにならないといけないかについて、随分大事なことを言っている評価書になっているのだと思っています。
  4番目に安全管理サイクルの重要性を書いておいたんですけれども、これが起こる前に起こりそうなことを見つけて、きちんとそれを意識して、それを使う。だから、起こさないようにしようということだけで考えないで、起こりそうなことというのをきちんと考えて、自分はそれにどう対応するのかというのを考えなければいけないということを前提にすると、今、世の中で起こっている何かのトラブルがどんなシナリオでそれが起こっているのかをシナリオの抽出をするという、今はまだ世界中で意識していない新しい考え方です。
  だけど、そのシナリオの抽出をすること。抽出ができたとしたら、今、起こっている何かおかしいぞと思うようなものに、そのシナリオを当てはめてみて、これが本当に顕在化する。はっきりとした形になって表れてくるとしたら、こんなことが起こるぞと言う、そういう考え方をやる必要がありますねというのも書いておいたんです。これは今までの事故調査とか評価とか言っているものの多分どこにも書いていないことではないかという気がします。
  では、そこの中身はもう完璧に書けているかというと、そんな完璧なんてないんですよ。まだ一生懸命考えたり、議論をしたりして、ようやくここまで来たけれども、全くまだよちよち歩きというか、そんな感じがします。でも、とても大事だから書こうということで書きました。
毎日新聞の大迫です。
  審議官にお伺いしたいのですけれども、この評価書は大変いいことが書かれてあって、今の委員長のおっしゃられたことも全くそのとおりだと思うのですが、これを使う人とかつくる人が再発防止のために具体的に何か行動しようとしたときに、これを具体化してくれないことには、そこにつなげられない理念のようなことが書かれてあるので、それはまさに消費者事故調か、あるいは消費者庁にみんながすごく期待していることで、もしかしたら評価書とか報告書にそのあたりのことまで入れてくれたらいいなと思っていたと思うのですが、これは今後、消費者庁として何か努力してくださるのでしょうか。
審議官
今のは事務局としてではなくて、消費者庁の人間として聞かれたのだと思いますが、ここはまさに基本的な考え方、理念だと思います。そういう意味では、今後の事故調もそうだと思いますし、消費者庁として御指摘のような、この考え方に基づいて、具体的に何をどうしていくんだということのミッションといいますか、問いかけが事故調委員会から投げかけられたものだと思っています。
  したがいまして、今ここで具体的にこうする、ああするということをお答えできる状況ではありませんけれども、我々としては、これに答えていくということを常に意識していかなければいけないと思っています。
日本消費者新聞の丸田と申します。
  この評価書については、経産省の報告書のみならず、8ページに書いてあるように、本件の対策ということまで含まれていることを理解したとしたら、24条の意見は初めてだと思うんですけれども、意見の中で経産省への意見となっておりますが、所管省庁は消費者庁も含まれると理解していいですね。安全対策についての周知徹底とか。
  お聞きしたいのは2つありまして、消費者庁に対して、この事故が発生した後、法律改正がありまして、今消費者庁が所管してくるものもありますけれども、消費者庁に対する対応の評価、その後の事故発生後の対策について、何か調査会のほうで意見があったのかどうかということ。
  もう一つが、事故後の対策ですので、法律が施行されて以降も報告義務等のあり方の範囲を広げるべきだとか、つまり製造業者ではなくて流通販売業者、あるいは保守点検業者とか、そういう分野に対しても法律の範囲を広げるべきであることとか、リコールに対しても現状の自主的なリコールではなくて、何らかの法的な基本法なりを制定すべきである。こういうのが意見としては消費者安全等も出ております。
  そういうことについて、調査会の中で検討されたのでしょうか。それとも意見はなくて、消費者庁のあれにしても、これでオーケーだということで、そういうのは触れていないのでしょうか。
審議官
進め方として、何々省が今これをやっている、あれをやっているということの議論の進み方はしておりません。先ほども御説明していますように、経産省の総点検があり、その後の政策がどうなっているかを見ていきましたけれども、そのときにその政策が何省のどうのこうのという議論はしていません。最終的にまさに意見に書いてあるようなことを追加的に行うべきだという議論になって、これを誰のところに言うんだということになれば、経産省だねということになったということでございます。ですから、消費者庁だからどうのこうのとか、経産省に何かとか、そういう議論をしたわけではありません。
  議論の過程では、先ほどありましたようなお話、そういう意見も世の中にはあるという話とか、そういう議論もいろいろありました。結論的にまとまったものはこれということでございますので、そのプロセスで誰が何を言ったとか言わなかったとか、そういうことをあまりここでお話ししてもしようがないのではないかと思います。
読売の崎田です。
  1つ前の質問であった所管のことについてですが、畑村さんに聞きたいのですが、再発防止策とか教訓とか提唱が入っていて、事故調が求められているものが書かれている。
畑村委員長
全くそのとおりです。
だとすると、これをどうして提言なり意見なりにしなかったのかというのがあります。所感とすることによって責任の所在が曖昧になって、位置づけみたいなものが曖昧になるのではないかと思うのですが、そういう思いはなかったのか。その辺の認識をお伺いしたいです。
畑村委員長
所感と書くと誰がそいつを担ってやらなければいけないかというのを考えなくなってしまうというので、曖昧になるのではないかという、今は質問だと思うんだけれども、そういうことは全然考えませんでした。
どうしてですか。
畑村委員長
どうしてって、考えなかった。そういうふうに書くと、曖昧になるだろうということは全然考えなかった。ただ、誰がどうやるべきだという、こういうふうにやらなければいけないということは考えるけれども、誰が具体的にどういう手当でこれをやらなければいけないか。そういうことは考えていない。なぜ考えなかったのか。そこまで全部具体化して細かいことを書かなければいけないというのが、今回求められている自分たちの仕事というか使命というか、そうだとは考えない。
  だけれども、今どういう方法でどうやるべきかというのを考えて全部書こう。最初に言った大事なことは、あれのなかに全部、例えば目次の中に入れたら、最後のところに行く前に入れてしまったとすると、パロマの湯沸器のその問題についての事柄なんですねと受け取られてしまって、もっと一般的なもので、ほかの分野のほかのことにもみんなあてはまることだと考えているということがはっきりと出てこないから、ああいう格好をとりました。
  そうすると今、言われているように、どこの誰に何を言っているんだという、そいつの意見というような、そういうふうになっていないから、言ってみればパンチが足りないというか、おまえがやることだと言っていないのがおかしいではないか、不足だと。それはそうかもしれないけれども、そういうことは考えなかった。なぜ考えなかったのかというのは、もっと一般性を持って、きっちりとやらないと、先々のこういうものを防いだり、被害を小さくしたりするというのに、きちんと貢献することができなくなると思ったからです。
そうすると、一般性の話になると、伝え方ですけど、ホームページに載っけて終わりというのではなくて、先ほどのしっかり読んで報道してほしいとおっしゃいましたけれども、言うなれば大きなお世話であって、委員会として委員が出ていって説明会を開くなりとか、消費者のための機関なのだから、そういうのを説明するような場所をつくってこそだと。その辺はどうですか。
畑村委員長
それはそうかもしれない。やってほしいと期待するばかりではなくて、自分が荷物をしょって歩ける分は歩けよと、そういうことです。でも、それはそうかもしれない。だけど、そこの議論まではまだとても行けていません。また、そうやると消費者庁への要望ではなく、意見だね。そういう方向でちゃんと具体的にみんなに伝わるような動作を消費者庁としてやるべきなのではないか。やるべきだというのをこの委員会が言葉にして書けばいいのにと、今はそういう意見ですね。そうかもしれない。
  でも、ごめんなさいであれなのは、そこまで考えるだけの余裕がない。私らはこれだけではなくて、ほかのもひっくるめて、それをやるだけで必死です。
そういう必要性はあると。
畑村委員長
あると思っています。
所感のところでもう一つつけ加えて質問します。所感の3番で、リコールの実行性を高めるという項目があります。これについてはパロマを離れてではなくて、パロマ本件でもリコールについてはいまだ完了していないという問題があります。一般論にせずにきちんと意見の中で、パロマのリコールについて現状がどうなっていて、経産省がどうしているのか。それは経産省のその後の対策に十分含まれるものだと思うのですが、これが意見になく所感の中に入ってきていること。
  その上で、実行性を高める取組が進められることを期待するといったような一般的な書き方で、第三者的な書き方がされていることの理由を教えてください。
畑村委員長
今あなたがおっしゃったのは、パロマのことについてのリコールの制度なり運用なりがどこまで行って、どういうふうになっているか。そいつをつかまえると不十分な面があるのではないかということから始まっているのではないかと私は受け取るけれども、私はそれが今どういうふうに、パロマの体制でどうなってやっているかをきちんと知るというか、それは知っていません。だから、それについて直接答えるのはできない。
  だけど、もうちょっと違うのをやったことがあります。それは今から十何年か前の三菱自動車のリコールのあれをどう考えてやるべきか。あのころの省庁は何だったんだろう、よく覚えていないけれども、とにかくそれでリコールをどう運用するのかということだけど、みんながやるのは、リコールというのはぽつぽつ起こっているのに無視していたとまずとらえるけれども、ぽつぽつ起こるそれの間にどういう脈絡があるのかというのを見つけるのが物すごく大変なんです。
  だから、多くの場合、あまりそんなに大変なことはやりたくないとか、それにコストがかかるとか、いろいろなものがあると、見たいものが見えなくなるという、そういう特性が物すごく強いんです。そういうことまで全部ひっくるめて、それで致命的なことが起こらないようにするのにどうするかというのを考えなければいけないとすると、私はここに書いている中身は前のほうに持っていって具体性を持たせるというよりは、ここに書いているようなやり方でやっていくこと自身がもっと一般化して大事だと思って、こういう表現の仕方になっています。
  だから、あとはそれが今、パロマの中でどういう形の何になって、どんなふうに運用されているのかというのは、私はよく知りません。
パロマの中でのことを伺ったのではなくて、経産省の対策の中に、パロマに対して危害防止命令を出したということも含まれますし、パロマの体制を伺ったのではなくて、経産省がその出した対策の一つとして、リコールのあり方については検証しなかったのですか。したのであれば、意見に入れなかったのはなぜですかというお伺いでした。
事務局
本文のほうでは、例えば経済産業省が公表した定期報告の終了についてというところで、回収率が99.7%という公表をしたが、と書いてありますが、これはあくまで点検完了の台数に対する比率であって、生産台数に対する回収率でもないということ。あるいは本文のほうでは書いてございますが、やはり生産台数に対する確認台数が少ないといったことは指摘をしてございます。その上で、現在でも半年に10台くらいまだ見つかっている。そういう状況はきちんと評価書のほうに書かせていただいたと思ってございます。
  リコールにつきましては、機種1個というわけではなくて、やはりもっと幅広い視点で、今、取組の機運も出てきているところですので、それはもうちょっと一般化した形で最後の学ぶべきことというところで述べたということでございます。消費者委員会などでもやられていますので、そういったところも応援していくというような意味合いも込めて書いたところでございます。

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