記者会見要旨
(平成24年10月3日(水)21:00~21:50 於)消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

畑村委員長
 委員長を務めることになりました畑村洋太郎です。私は、20年位前から「失敗学」というのを始めたことになっています。
 もともとは、大学で機械の設計を教えていまして、上手くいく方法を教えるよりも、まずくなった道筋を教える方が学生がとても興味を持って、いろいろなものを学びとるというのを経験して、それで「失敗」を通じて、創造、クリエーションですが、そういうことを教えると良いだろうと思って、「失敗に学ぶ」という副題の本を出しました。そしたらその本がどういうわけか、あっちこっちで読まれ、突如、私は「失敗学」を始めたことになってしまいました。それからずっと「失敗」と付き合うようなことになってしまいました。
 1番の基本の考えは、世の中では失敗はあってはいけないこと、悪いことというふうに考えていますが、私の見方からすると、失敗にも2つあって「許されるもの」と「許されないもの」があるというふうに考えました。「許されないもの」というのは何回も同じものを繰り返したりインチキやったりして起こる失敗です。しかし、失敗にはもう一つ違う面があります。これはそれまでやったことがないことにチャレンジして、何かを一生懸命やろうとすると、結果が失敗になってしまうという失敗です。そしてこの失敗は、人間や社会や組織が発展、成長、進歩していく時に、必ず通らなければいけないものだと考えるようになりました。
 そういう考えでやっていきますと、「失敗をすると誰が悪いのか」という犯人捜しをやりたくなるのですが、そういう方法だけやっているのでは正しい対応になっていないというふうに気がつきました。そして、そういうことを通じて、世の中にもっと違ういろんなものを発信することを始めました。
 失敗学というので始めて1番長くやったのは「失敗知識データベース作り」というものです。10年間続いたのですが、2年程前に国の事業としてやらなくなり、個人でそれを引き継いで、今でも「失敗知識データベース」を世界中から見られるようにやっています。
 それとは別に、今から8年程前に、六本木で回転ドアに男の子が挟まって亡くなる事故が起きました。そしてこれも、誰が悪いという格好で処理をされると本当に学ぶことができないと思いましたので、個人として勝手に自分で事故調査を始めました。その結果分かったのは、立派でいいものを作ろうとしてやっていったのに、出来上がったものはものすごく重たいものになっていて、それ自身がとても危ない性格を持っているのに気がつかずに使っていて、それで事故が起こったんだと考えるようになりました。
 こういう考えでやっていくと、どこでも誰でも気がつかずにやっているうちに、大きな失敗を起こしてしまうということがありうると考えるようになりましたので、それで「失敗学」という考え方でいろいろなものを見るようになりました。実際には今から5年半、6年近く前から、自分でまた勝手に「危険学プロジェクト」というのをやっています。そこでは、実機を使ってすごく大がかりですが、エレベーターやエスカレーターとか機械式駐車場とかこういうもので起こる事故を力学的に検証しながら、なぜそういうことが起こるのかというのを明らかにする活動をやっています。そして、まだこれから先も4年半位続けていくつもりでいます。
 この中で1番大事なのは、失敗を誰が悪いという方向に行くのではなくて、何か理由があってこういうことが起こるのだとすると、その中にどんなシナリオがあるのかを見つけて、同じシナリオが別の形で現れてくるものを、起こる前に見つけてしまおう、そしてそれに対して対策を打てば、そういう事故を起こさないですむんだというふうに考える考え方です。
 そういうことを提唱するし、自分でもそういう活動をやっているところに、実は福島原発の事故が起こりました。それであの調査委員会の委員長をやってくれと言われて、つい先週の金曜日までずっとやっていました。ようやく報告書ができて終わったと思ったら、どういうわけか、消費者安全調査委員会の委員になってくれと頼まれまして、それで考え方が自分の考えとほとんど一致しているというふうに思えたので、いろいろ迷ったのですが、誰かがやらなければならないことだと思うので引き受けました。
 そして、今日は他の委員の方と一緒に初めての会合を開いて、これからどんな考えで進めていくのか、それから、その考えの基本になる事柄について話し合いました。これから、この委員会を定期的に開きながらいろんな事故を扱っていくことになると思いますが、今まで日本でやってこなかった、もしかすると世界でもやってこなかったような、失敗や事故を取り扱うやり方になるんではないかというふうに思っています。それで、私からの希望なんですが、委員会も委員も一所懸命やるし、それから事務局も一所懸命やりますが、この報道機関の皆さんにも協力していただいて、ほんとにその不必要な事故が起こらないようにするのに、どうしたらいいかというのを考えて皆に広めて、それで事故を減らしていく方向に持っていきたいと思っています。そういう意味で是非とも皆さんに協力して頂きたいというふうに思っています。これで委員長の挨拶はおしまいです。

2.質疑応答

 読売新聞の崎田と申します。今日の資料はこれだけなんですけど、委員会の中で決まった事、決まらなかった事を、整理して概要だけでも構いませんが。
畑村委員長
 はい、それではやっていきます。まずですね、消費者安全調査委員会の運営規程を決めました。それで大事なことは運営の規程で、会議の公開は原則として行わないということを決めました。これは、審議をするときに素直な意見交換が行われるようにするためと、特定の事業者や個人の情報が含まれているためです。しかし、委員会が必要と認める場合には、議事要旨の公表を行います。また、資料その他についても委員会が適当と認めるときには公表することがあるということを決めました。
 それからその次はですね、今度は委員会の下で活動する事故調査の実務を行う事故調査部会と製品事故情報専門調査会の設置を決めました。それからその次はですね、事故等原因調査等の申出書の様式を決めました。どういう形で申出をするかということやりましたが、随分詳しく細かいところを決めたということではなくて、考え方自身がこれでいいのだろうかというようなところを、だいぶ詰めたというふうに思っています。
 それからその次は、調査等の対象の選定を行うときの指針を議論しました。それからですね、警察庁との取り決めについての議論を行いました。これは日本の中では、業務上過失傷害とか致死とかいろんなものがあるんですが、こういう責任追及型のやり方でやっているだけでは不十分だと考えています。この司法上の問題とこういう原因を調査して、同じ種類の事故が起きないように再発防止、または被害の拡大防止というふうにいっていますが、それよりもうちょっと広い概念でみたときに同じシナリオの事故が別の形で起きないようにする、それが正に調査委員会の設置になっているわけですが、そういうところの議論を行いました。
 それから、そのあとですね、フリートーキングをやりました。このフリートーキングも本当はもっとずっと長くやりたいんですが、時刻が随分遅くなっているので、フリートーキングをまた次回の委員会のときにもやらないと不十分だねというところで時間がきてしまいました。大体こんなことを決めたり討論したりしました。
 続けて選定指針のところですけども、案どおりに決まったのかどうかというところを教えていただきたい。
畑村委員長
 選定指針?どれを取り上げるかという?
 そうです。6つから。総合的に勘案するとありますけれども。
畑村委員長
 それはそのとおりです。案のとおりに決まりました。
 あとその、警察庁との取り決めのところで、もう少し、情報の収集の仕方とか、そういったところまで踏み込んでいるんですか。警察庁との取り決めのところなんですけれども、覚書とか、一年間締結して、警察で調べた後にスムーズに証拠を得られる、これからどれくらいの期間でやっていくとか、それはその辺まで踏み込んでいるのか
畑村委員長
 そういうことをね。今警察庁とやり取りをしているところで、まだきっちりと確定するところまで行っていません。どこまでどういうふうに取り扱いたいかとか、やるべきかということについての議論はやりました。どう希望するか、そういうことは議論しましたが、十分に議論ができる時間はとれませんでした。
 それは、結論は出ないので継続してやっていくと。
畑村委員長
 こちらの中で結論を出したら、そのままちゃんと通るとか、そういうものではなくて、警察庁とやり取りをする中でやっていく。こちらはこちらなりの考えのやり取りをしていますが、それがそのまま決まっていくという、そういう性格のものではない。それからこっちで決めたとおりで交渉するという、そういう性格より一緒にやっていく、にはなるんですね。
 それはすり合わせていくという、こっちで決めて、向こうにボールを投げるという、よりは並行的に。
畑村委員長
 そういうことです。そうやって決まっていくというふうに思います。
 共同通信の林です。最初にちょっと事務的なことを聞きますが、先程、その運営規程なども同じように、文案どおり決まったということでよろしいんですか?
畑村委員長
 そのとおりでいい?
草桶審議官
 はい。
畑村委員長
 だいぶね、あれなんですよ、文言の大部分のところで、こうだろうとかああだろうとかいう議論は僕の記憶だと、だいぶ議論したつもりでいるんです。
 でもね、全部そのとおりになっているわけではないのかなと。最後は、文言のとおりになりましたと。それは言えるんですが、これの言葉は、こういう言葉は入れておかないといけないんじゃないかとか、こういう視点、考え方の議論はだいぶやりました。
 ただ、あんまりね、どんどん議論が行くから、このままやっていると終らないから、このくらいのところで、今はうんと言うことにしようというふうになりました。
 すみません、いろんな事故がありますけど、消費者事故っていうのは、いろんな選定基準で選ぶんでしょうけど、まずはその委員長としては、今までの問題意識の中から、こういうところから手を付けたいと考えているとか、そういったお考えはありますか。
畑村委員長
 どれからね、どれから手を付けるか、なんかあんまり希望とか、考えるとかいうのは、この委員会としてどうやるかというのは、あんまりきちんと考えていません。なんか、こういう大役をやるようになるなんていうふうには思っていませんでしたので。過去に起こったいろんな事故とか、失敗っていうのは、自分なりには見てるつもりなんです。
 特にですね、もう国の事業じゃなくなってしまいましたが、科学技術振興機構で10年近く続けてやってきた失敗知識データベースでは常にその国中、または世界中で起こっている事故とか失敗をずっとウォッチして、いろんな分野毎でやってきたんですが、過去に起こった千個くらいの例を一応、まず全体として見て、そのうち100個くらいはすごく詳しく調べて考えています。それで、それから何を学び取るのか、知識化しているんです。それのなかでですね。毎年いろんな事故が起こるんで、だいたい10件くらいを選んで、それでそれを自分達なりに、詳しく調べて、それで何を学ぶのか、というのをやってきました。
 で、そういうんで見るとですね。例えば、人間が機械とどう接しているかというような、そういうところで、機械が持っている本質的な危なさに気づかずに、上手く動いているからこれでいいんだ、というようにしてやっていくと、いずれいろんな形の事故が起こってくるということを学んでいます。ですから、いずれは、そういうこともここで取り上げなきゃいけないんじゃないかと自分では思っていますが、ここの中でそういうことをまだ提案したわけでもないし、議論をしたわけでもないんです。
 で、ただですね。みんなが意識していないけれども、当たり前だと思っているものの中に潜んでいる危なさというのがあって、そして一般的にその危なさが広がっているというような、そういう見方が必要だと思っています。
 それから、もうひとつはですね、個別のことであっても、みんなが、まだ取り上げていないけど、事が起こったときには非常に重大になるという事柄があったら、やっぱりそういうものも取り上げなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。
 ただですね。そういう手法や考え方が、確立しているわけではありません。ちょっと話しはずれますが、福島の原発のときに、津波であんなにやられちゃうというのを、きちんと見抜くことができたのかできないのか、今日のこれとは別ですが、私が、やっていた事故調のほうで見れば、一番大事な事柄です。でもほとんどの人が津波のことっていうのは考えていなかったんです。でもあんなに大きな被害が起こっているとすると、私たちがいま当たり前だと思っているものの中に、危なさがあるものをどう見つけて、それを自分たちの判断や行動にもっていかなきゃいけないっていうのをどこかで主題にしないといけないなというのはとても思っています。
 日本テレビの柳澤と申します。今後の委員会なのですが、例えばスケジュールだとどのくらい定期的に頻繁に開かれていくのか、それぞれ事案選定をした場合、今回のように会見を開いていただけるのか、審議が終了したらまた会見を開いていただけるのかそういったあたりをお願いいたします。
畑村委員長
 いまのところ月1回くらいこの委員会を開かないといけないと思っています。そしてそれの中で、その一月の間に起こったこと、過去に起こったことをひっくるめて、いろんなものを審議して、これについて詳しく調べようとか、あれについて詳しく調べようとかいうことになるんだと思います。そしたらそれを調べてこの委員会でも議論するけれど、この委員会で調べて分かったこと、委員会としてそれを発表したり公開したりするのか、もっと違う形で、どれかの部会が調べたことがこれこれこうでしたという格好で発表するのか、僕の頭の中では今ははっきりとそのイメージができていません。これはどういうふうに説明したらいいんだろう。
草桶審議官
 はい。今、どういう事故を扱っているかということにつきましては、調査の密行性の確保でありますとか、関係者の正当な利益、正当な権利とかそれに対する配慮、それから一方で、この委員会の性質であります、目的であります消費者事故の再発防止という観点、消費者利益の観点から二つをバランスさせてどのように考えていくか、できるだけ出す方向なんですけれども、だけど、調査の密行性とか関係者の正当な権利もある。どれだけの数を発表すれば良いのかということにつきましては、今日も議論しましたけれども、ちょっとこれはもう少し議論が必要だと思っておりまして、11月に行なわれます第2回目の議論で議論いたしまして、そこで、こんな形で、こんな方針でやっていきますということが決まれば、発表されると考えております。
 そうしますと、次の委員会まで具体的に何か動き出したりしないということでしょうか。今決まっていないのなら。
畑村委員長
 この委員会として・・・
 事案の選定ですとか。
畑村委員長
 この委員会としての作業をやりますかという質問ですか。それだったらこのミーティングは次までありませんから、そういう意味では・・・
草桶審議官
 個別事案の着手ということでは、いま想定できる、直ちに、という範囲では行なわれないだろうと考えています。
 個別事案の着手は行なわれないということですか。
草桶審議官
 はい。
 京都新聞の相見と申します。二点ありまして、一点目は、警察との取り決めのところで、今日は少しだったのかもしれませんけど、今日の委員会の中ではどうありたいというところ、もう少しどういう議論があったのかということを教えていただきたいんですけれども。
畑村委員長
 ものすごく細かくというか、そんな大きく踏み込んだ議論をやっている時間がないんですよ。だから、一般的に考えて普通に警察がやるような調査と、それから、ここがやろうとしている調査とは性格がまるで違う。それで警察がやるようなものは誰に責任があるかという方向で調べようとするけど、ここは、一番基本の形は、簡単な言葉でいうと再発防止です。だけど、もうちょっと正確にいうと、同じシナリオの事故が別の形で他の場所であらわれてくることを未然に防ぎたいというふうに考えています。そういうふうにやろうとすると、視点が違うしやり方も違います。そうすると、同じ事故が起こったときにどこがどんなふうにそれを調べて何をやろうかというときに、例えば法の側がやろうとする責任追及のための調査と、ここの委員会がやろうとすることがぶつかることがあるだろうと。ぶつかったときにどちらを優先させるかというのをきっちり決めましょうとか、そういうことではなくて、その事故に必要なことというのをきちんとどう取り扱うかという基本形をきっちり決めておきましょうというのを今警察とやっていますと。それ以上細かいところに、こういう場合にどうしようこうしようという、そういう議論は今日やっていません。
 証拠関係とかも今日はやっていないと。
畑村委員長
 やってないですね。
 あと一点ですね、各委員からの挨拶にもあったかと思うんですけれども、委員会として調査等をして取り組んでいくときに、こうありたいという方針、大きな方針だと思うんですけれども、ここのところで何か一定の合意を得たとか、合意があったとかそういうところの意見があればもう少し。
畑村委員長
 合意があったということはありません。そこまで議論をやる時間もないし、それだけの準備ができているわけではない。それよりね、折角だから一人ずつの委員の人に、私はこう思っているというのを言ってもらいました。私も自分の考えを言ってある。今1分ずつ、みんなに言ってもらったら今の質問に一番応えられるんじゃないかと思うんですが、どうですか。1分ずつ。
草桶審議官
 どなたか言いたいという方がおられましたら、お願いしたいのですが。
松岡委員
 じゃあ、僭越ながら、松岡と申しますが、フリートーキングの中で、委員長もおっしゃったのですが、我々事故調査、新しい体制で、しかも新しい観点からやっていかなくてはいけないということで、消費者の立場ということをかなり念頭において、事故分析、調査をやる必要があるのではないか。
 まあ、今までの事実を単に解明すればよいというだけではなく、立場、基点をちゃんと見据えて、やる必要があるのではないかとコメントがありまして、私もその通りだなと思いまして、そういう立場から進めていきたいなと考えています。
 朝日新聞の兼田と申します。先ほど、業務上過失致死とかとそういうお話が出たので、ついでにお伺いしたいのですが、犯罪捜査を優先させるのではなくて、社会の考え方だと思うのですが、単純に最後の引き金を引いて、処罰に問われるというケースがあると思いますが、こういうものを免責して、こういった再発防止型の調査に重点をおくということ考え方があると思うのです。言葉の表現はあれですが、免責というか、刑事責任の追及はなしにして、こういう対象にするという考え方があるように聞いているんですが、その辺は何か、個人的な見解としてでもかまいませんが?
畑村委員長
 委員長としての意見じゃなくて、個人的意見としてだったら言います。
 それでもかまいません
畑村委員長
 僕はやっぱり、ほんとに事故を防ぐためにはね、例えば今おっしゃったことをもっと簡単に言うと、司法取引という考えがあります。そして、刑事訴追をしないことを条件に、自分の見たこと、考えたこと、やったことを全部しゃべってくださいと。それをしゃべったことによって、次の事故を防げるという利点が社会に及ぼされるんだから。仮に、それが責任追及すべき事柄だったとしても、責任追及とバランスを取ったときに、社会の得るメリットの方がよほど大きい。利益の方がよほど大きいから、だから取引をしましょうという考え、これは、日本にはなじまないかもしれませんが、アメリカでは、そういうことをやります。司法取引ということですね。それから免責という言葉で言われることがあります。そういうものは、日本の文化には、中々なじまないですが、社会全体として見たときは、そういう考え方は、とても大事なんじゃないかというふうに思います。でも、これは、それぞれの国には、それぞれの歴史と文化があるし、考え方というのがあるので、例えばそこで、取引して、何かがわかったとしても、それでやったことを責任を追及しないで許せるのかという考えが出てきて、日本では中々なじまないというように思います。でも、ある部分、社会全体で見たときには、その方が社会の得る利益が大きいのであれば、そういう考えも日本の中にも取り込むことが必要ではないかというふうに思っています。ただ、これは必ず、記事にするんだったら、きちんと委員長の公式な意見ではなく、私的な意見を聞いたらこう出たと書いてください。そうでないと大モメになってしまいますから。でも、自分はそう思っています。
 すみません、テレビ東京の青木と申します。月一回ぐらいのペースで、今後、開催されていくということで、まだフリートーキングを次回もやりたいということをおっしゃっていますが、その間の着手がないということですけど、消費者庁ができて3年、期待していた人たちがすごくいると思うんですね。待っていた人が、申出やお問合せもたくさん来ています。最初の着手っていつ頃見込んでらっしゃるんでしょうか?年越す感じですか?
畑村委員長
 全然わからない。
草桶審議官
 さっきの答え、補足させていただきます。事故調査の着手なんですが、事故調査をきちんとするには、専門委員、臨時委員の任命が必要です。現在、任命作業を行っているところであります。ただ、この間、急を要する事件があって、委員会としてやるべきだという結論が出た場合には、専門委員や臨時委員の任命前であっても、今の親委員会とそれから事故調査室とが協力して、対応していくことになると思います。いずれにしても、臨時委員、専門委員、早く任命できるように急ぎたいと思います。同時に、その間、急を要する事件があれば、今の体制でやっていくことになると思います。
 日本消費経済新聞の相川と申します。国会の議論において、消費者団体がすごく不安に思っていることで、他省庁のところで調査をするところがあれば、そちらでやって、その報告を受けて、不十分であればこちらでやるという仕組みがあって、ほんとに必要なところに調査が届くのかという不安とてもあって、この指針が国会でこれを策定しないと決まったんですが、これを見ていたら、非常に曖昧な気がします。一番、現場の確保とか、初動で、現場をまず見ることが必要だと思うのですが、そういう緊急的なことに対応するスタッフをどのようにそろえるだとか、そういうものが全く見えてこないのですが、どのようにお考えなのでしょうか?
畑村委員長
 具体化するには、必要な事柄は、いっぱいあると思うのですが、私自身は、委員長を引き受けただけで、そういうことまで、きっちりと考えてあるわけではないので、答えに窮します。
事故調査室長
 そこらへんは、事務局のスタッフの問題だと思いますが、長官会見でもありましたけれども、体制の充実に努めていきたいと思います。
 日本経済新聞の村上と申します。よろしくお願いいたします。先程の畑村先生のご挨拶で、その被害に遭った苦しい立場、被害に遭った苦しい立場に立ってきちんとやっていかなければならないとおっしゃっていらっしゃったと思いますけれど、どういう調査かもう少し分かりやすく教えていただきたい。
畑村委員長
 少し、それに関連したもので、ちょっと違う答えのように聞こえるけど、本当はそれが直接的な答えだというふうに思うことを答えます。
 福島の原発の事故調の委員長を引き受けて、私が何を調べなければいけないかと最初に思ったのは、発電所の中でどんな事が起こってどうだったのかを明らかにすることが大事だというふうに始めは思いました。
 ところがですね、この事故調査の委員長として動くだけではなくて、私自身は自分が勝手にあちらに出掛けたり、こっちに出掛けたり、現地の人に接するとか、ということをやりました。そういうこともやりながら、オフィシャルにもきちんと避難している町長さんのところに話を聞きに行くとか、いろんな人に集まってもらって議論するとかということをやっている内に、原発の事故というのは、発電所の中で起こった事をとり上げて、そこだけに焦点を合わせているっていうのはとっても大きな間違いだというふうに考えるようになりました。
 それは、ほとんど理不尽にね、それまで普通に生活をしていたのに、ある日突然にお前ここから、ここに居てはいけないからどけという強制的に動かされた人だけでね、16万人もいるんです。
 それでそれだけじゃなくてね、津波とか地震とかいろんなもの全部ひっくるめると、福島県のあたりで動いている人は、たぶん30万超しているんだと思います。
 そういう全体の中でね。ものすごく大きな混乱が起こって、もう信じられないようなことが福島県の中で起こっているのを見たときに、発電所の中だけを見ていていいのかというふうに考えるようになりました。それで見るとですね理不尽にあそこからどかされてしまった人、それが最大の中身だというふうに考えました。で、そういう人達の方から見たときに、何が見えるかというのであの原発の事故を見ないといけないし、それから原子力発電も一度事故が起こればああいう事も起こるんだと考えてなければいけないんだと思うようになりました。
 それと同じように、いろんな事故が起こったら、その起こった事を誰が悪い、何がおかしいということだけで、ほぼ事故が処理されていますが、自分で、再現実験をやるとか、それから被害者の人とか遺族の人に自分で会って話を聞いてみると、被害者の立場で物を見ないと見えないのに、そういう見方で見なければいけないという考え方が出来上がっていないなというふうに、だんだんと思うようになってきました。始めからそういうふうに思っていたわけではないんです。丁寧にそういう物を扱っている内に自分がそういうふうに考える様になりました。だから、たぶんね、その事故に遭って苦しんでいる人の方から見るんでないと見えない事っていうのにきちんと焦点を合わせるというか、そっちの視点から物を見たときに初めてそれまで気が付かなかった非常に大事な部分が見えてくるというふうに思っています。
 分かりました。そしたら丁寧な調査をされていくということでございますけど、前の松原大臣ですね、年間100件程度扱うとおっしゃっておられました。現状の体制で年間100件の事故の調査、そして丁寧な調査ができるのか、委員長としてご所見をお願いいたします。
畑村委員長
 これから答えることは委員長としての所見ではありません。私見です。100件なんかできるわけがないと僕は思うんです。だから100件か10件か1件か知りませんが、そんなにね、件数で何か言えるようなものではないというふうに見えます。
 この辺からがね、このインタビューの怖いところでね、この委員長が反対したと書かれるとそれは困っちゃう。そんなこと言ってるわけではない。だから正確に書くんだったら100件ていうのが全部、馬鹿丁寧にね、調査ができることは思わないと、委員長が私見で言ったと書いて下さい。そういうふうに言わないと、だって議論もしていないし、何も分かんないのに答えて、でもちゃんと答えたからそういうふうに報道してくれるとありがたい。
 分かりました。 もう一点お聞かせください。今回ですね事故調査委員会で非公開とというふうに決められたということですが、畑村先生が事故調のですね、事故調のですね、原則非公開とするという決定でございました。関係者一同で。
畑村委員長
 そうです。
 非公開というと事故調査における先生のポリシーというものがあるのでしょうか。
畑村委員長
 自分がね、聞く方の側だったら知りたいことがものすごく沢山あります。それを全部答えてほしいというふうに聞く方側から見たらいつもそう思います。
 ところがね、先程言った・・大きな意味でこれから何を学んで何をどうするかというときに丁寧に、今つかまなきゃいけないことというのをやるのと、それから外から見て知りたいと思うことで、公開にしたいと思うことがぶつかります。
 そうしたらどっちをとるのが大事なのかといったらば、そこからきちんと学びとることの方が大事と思っています。ですからそういう意味で公開をする、公表をするということと、きちんとやるために公開しないことでは、十分に考えてないといけないと思っています。
 時事通信の高橋です。あの、専門委員と臨時委員の選任は、先生方は関わられるんでしょうか。
事故調査室長
 先生方に、アドバイスを頂きながらやっていきたいと思っています。
 資料が差し替えられているんですけれども、委員の方の議論の結果、決定したということですか。
草桶審議官
 えーと、差し替えられている資料は、この申出書ですよね。申出書の5ページであります。それで、下の方の留意事項ですね。黒丸の部分を読んだときに分かり易くしたというのが変更の趣旨で御座います。
 後で差し替えた文書で、表示されております。
 抱負と課題を、お願いします。
畑村委員長
 抱負と課題。先ず抱負、ないです。これこれを、こういうふうにやりたいとか、ああいうふうにやりたいとかいうのが、今求められているんだろうと思うけれど、こんな大変なね、委員を引き受けて、私自身は仕方がないから引き受けたというふうに思っていますんで、抱負なんてものはないです。でも、ちゃんと真面目にやろうと思っています。それから課題は、今言われた課題は、気が付いているようなものもあるけれど、やってくうちに、これから出てくるんではないかなというふうに思っています。それしか、答えられないんですよね。
 現時点で、特に認識されている課題はありますか。
畑村委員長
 個々のね、どういう事故ですか、あれですかこれですかというのは、僕の頭の中には浮かんでいません。だけどもね、もう一段高いレベルにすると、例えばですね、人間と機械の関係が、どんなふうに皆に認識されていて、そこの部分で考えられないっていう部分があると、ものすごく大きな事故になってしまうぞっていうような、事故や失敗の大きな意味の背景要因、言葉がね、うまく出来上がっていないんだけど、大きな背景のようなものをきちんと考えて、そういうことを明らかにするというのは、いつかやらないといけないことだろうというふうに思っています。それ以上、なんか個々別々のことを言えって言われても良く分からない。とにかく、抱負はないということだけは言えます。
 先ほどの公開の部分でのお話で、最初のタイミングで決まっちゃったら辛いので、あえて言いたいのですけれども。公開する非公開するというところのメリット、デメリット、いろいろとあると思いますが、その都度考えるのか、そういう考え方もあって、おそらく、7人の方はそれぞれご意見があったでしょうけれども、その辺りどのように議論されて、あるいは議論されなかったのであれば、次に議論していただきたいなと思うのですよね。
畑村委員長
 公開・非公開のことにだけに焦点を合わせて議論をやったわけではないです、しかし、それに近い議論はだいぶやりました。で、皆でね、それぞれフリーなディスカッションをやるという時間を持ったなかで、半分ぐらいは今言っていることの議論をやりました。で、今のね、大事でまだきちんと伝わっていない部分があるなと思うのは、先ほど言っているように、きちんと知らなければならないことをやるために必要となるから、その部分を非公開にしますということを言っているのであって、何もかも全部非公開にしようと言っているのでは全然ないです。それで、社会との関係で見て、これをきちんとオープンにしておくことが非常に大事だということを、この委員会で考えたときは、きちんと、どこまでできるかわからないけれども、先ほど言ったように、守らなければいけない部分というのはあると思うけれども、きちんとそいつを公開するというか、公表するということをやるということは議論しています。何もかも全部隠しちゃうというか伏せちゃうと、そういうふうに考えているのではないです。
 今のお言葉で非常に安心しましたので、その運営を続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。
畑村委員長
 はい。

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