平成25年版消費者白書

コラム8

貴金属等を無理やり買い取られた事例

「押し買い」とは、貴金属等を強引な手口で「買い取る」というトラブルです。突然自宅を訪れたり、不用品を買い取るとの電話をかけた後に訪問し、「金の相場が上がっている。」「東日本大震災等によって金を材料とする医療機器が不足している。」等と言って、不意打ち的に持っている貴金属やアクセサリーの買取りを持ちかけられるため、被害者は冷静に考えることができないまま渡してしまいます。安いのではないかと迷っていると、その場に居座り、「全部出せ。」「早くしろ。」と威圧し、強引に全てを買い取っていくというケースもあります。また、被害者の多くが、60歳以上の女性の方となっているのも特徴です。

従来、消費者が「売り手」となる取引については特定商取引法の規制がありませんでしたが、こうした被害が急増したことを受け、2012年8月に同法が改正され、こうした取引も規制対象となり、クーリングオフも適用されるようになりました。

以下に、実際の相談事例を紹介します。

「不用品など何でも買い取る。」と電話があり来訪してもらった。業者の男性は用意しておいたものはざっと見ただけで、「貴金属はないか。」と聞いてきた。「ない。」と答えると、「絶対に何もないか。うそになるよ。」などとあまりにもしつこく言われ、仕方なく金のネックレスなど4点を見せたところ、「それを売ってほしい。」と言われた。断ったが男性の様子が怖かったし、なかなか帰ってくれないため、あきらめて売却し2万円ほど受け取った。冷静になると大事なものを売ってしまったという後悔が強くなり、数日後「返してほしい。」と連絡したが、「すでに手元にない。」と断られた。

(70歳代 女性)(見守り新鮮情報 157号より)

「リサイクルショップを開設するので、古着や陶器などどんなものでも買い取る。」と女性から電話があり、訪問を了承した。古着などを準備して待っていると、来訪したのは男性で、「買い取るのは、貴金属、テレカ、切手だけ。貴金属があれば見せてほしい。」と言われた。電話の説明と違うと戸惑ったが、すでに家の中に通していて断りにくかったため、しかたなく指輪2個を見せた。業者は結局この指輪を6千円で買い取っただけで帰って行った。冷静に考えると、最初から貴金属だけが目当てだったのではないか。騙されたようだ。

(60歳代 女性)(見守り新鮮情報 140号より)

庭で草取りをしていたら、見知らぬ男性に「ペースメーカーの材料に使う金とプラチナが不足しているので、貴金属を持っていたら出してほしい。」と声をかけられた。断ったのに「たんすを開けたらあるでしょう。」などとしつこく言われ、ペースメーカーに使われるのなら…という思いもあり、一応探してみようと家に向かうと玄関まで一緒に入ってきた。壊れたネックレス3本と指輪を出すと、買取料として5千円を渡された。後になって「どうして渡してしまったのか。」と悔やんでいる。

(80歳代 女性)(見守り新鮮情報 105号より)

「不要な着物を譲ってほしい。」と女性から電話があり、少し不安だったが「ちゃんとした人を行かせる。」と言うので来てもらった。着物はざっと見ただけで、今度は「貴金属を見せて。」と言う。断ったが「見るだけだから。」としつこく言うので見せたら、半ば強引に着物5点と貴金属を宝石箱ごと6万7千円で買い取られてしまった。キツネにつままれたような気分で、後になってとても後悔し、翌朝すぐにやめたいと申し出たが、既に手元にないと言われた。

(60歳代 女性)(見守り新鮮情報 92号より)

(出典:国民生活センター発行「見守り新鮮情報」、イラスト:黒崎 玄)

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