平成25年版消費者白書

第2部 消費者政策の実施状況

第1章 消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援

第2節 消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保

1 .消費者取引の適正化を図るための施策

( 6 )住宅分野の取引の適正化

ア.マンション投資への悪質な勧誘に対する措置

全国の消費生活センター等に寄せられるマンションの勧誘に関する相談件数は、2006~2010年度までの5年間で、2万2千件を超え、契約を締結させるにあたって、相手を威迫したり、電話による長時間の勧誘等により相手を困惑させたりするなど、その強引で悪質な勧誘が社会問題化していました。

このような状況から、マンションの悪質な勧誘に関する問題について、2011年3月の行政刷新会議の「規制仕分け」(規制強化)で取り上げられ、同年4月には「規制・制度改革に係る方針」を閣議決定しました。さらに、同年5月には消費者委員会からも関係省庁による連携、規定の明確化等について、国土交通大臣及び消費者担当大臣に対して建議が出されました。

国土交通省では、これらの状況を踏まえ、2011年8月に宅地建物取引業法施行規則を改正し、新たに、①勧誘に先立って会社名、担当者名、勧誘目的を告げずに行う勧誘、②勧誘拒否後の再勧誘、③迷惑を覚えさせるような時間の勧誘等を禁止行為として規定しました。あわせて、宅地建物取引業者向けの説明会の開催等により、当該改正内容の周知徹底を図るとともに、政府のインターネットテレビにより消費者への注意喚起を行っています。引き続き、都道府県等の関係機関と連携を図りつつ、悪質な勧誘の発生防止に努めるとともに、悪質勧誘事業者に厳正に対処していくこととしています。なお、こうした取組により、2011年度以降のマンションの悪質な勧誘に関する相談は大幅に減少してきています。

イ.賃貸住宅の賃借人の居住の安定

昨今、賃貸住宅への入居にあたり、従来の連帯保証人に代わるものとして、家賃債務保証業者による機関保証の役割・必要性が増しています。そのため、国土交通省では、家賃債務保証をめぐる消費者相談等の状況を踏まえ、家賃債務保証業の経営状況、賃借人の消費者相談・滞納事例、賃貸人の抱えるトラブルについて、家賃債務保証業者、賃借人、賃貸人それぞれに対して、ヒアリングやアンケート等による調査を行うなど、家賃債務保証の実態を把握し、家賃債務保証業者の適正な運営の確保や賃借人の居住の安定を図るための必要な諸施策の検討を行っています。

2010年1月の社会資本整備審議会(住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会)の「最終とりまとめ」において、紛争を未然に防止するための取組として、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」及び「賃貸住宅標準契約書」の見直しや更なる普及が必要との意見がありました。これを受けて、2011年8月に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を、2012年2月に「賃貸住宅標準契約書」を、それぞれ改訂し公表しました。

また、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の再改訂版及び「賃貸住宅標準契約書」の改訂版は、ホームページに掲載するなどして周知活動を行っています。

ウ.既存住宅流通やリフォーム工事に係る悪質事案の被害防止

国土交通省では、既存住宅流通やリフォーム工事に係る悪質事案の被害防止の観点から、以下のような取組を行っています。

「住まいるダイヤル」(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)において、リフォーム工事の内容や価格、事業者に確認すべき点等に関する相談を含めた住宅に関する電話相談業務、リフォーム工事の見積書についての相談を行う「リフォーム無料見積チェックサービス」を実施しています。また、各地の弁護士会における「専門家相談制度」等の取組を進めています。さらに、住まいるダイヤルのホームページにおいて、住まいるダイヤルで受け付けた住宅に関する悪質事案を含む代表的な相談内容と相談結果を公表しました。

他方、消費者が安心してリフォームができるよう施工中の検査と欠陥への保証がセットになったリフォーム瑕疵保険や、大規模修繕工事瑕疵保険、消費者が安心して中古住宅の取得ができるよう検査と欠陥への保証がセットになった既存住宅売買瑕疵保険等において、引き続き、これらの保険を利用する事業者に住宅瑕疵担保責任保険法人への登録を求める制度を実施し、各保険法人はホームページで各登録事業者を公開しています。

なお、登録事業者は一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページでも公開され、消費者は事業者選びの参考とすることができます。

また、リフォーム支援制度を紹介したガイドブックや住まいるダイヤルが作成する各種パンフレット等で、住まいるダイヤルや、リフォーム瑕疵保険の有用性等について消費者に周知しました。

さらに、中央建設業審議会129)では、戸建て住宅等の比較的規模の小さな民間工事を想定した標準的な約款として、民間建設工事標準請負契約約款(乙)を作成・勧告しています。また、2010年7月に同約款を改正し、工事の出来高に照らして過度な支払いをしないよう契約書に標準的な支払い割合を例示し、同約款の利用を促進するための周知に努めています。

このほか、国土交通省では、事業計画の認可等を通じて住宅瑕疵担保責任保険法人が行う完成保証の適正な運用について必要な助言を行いました。


129)

建設業法、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律等に基づき、経営事項審査の項目と基準(建設業法第27条の23)や、建設工事の標準請負契約約款(建設業法第34条)等の事項について審議を行っている。

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